ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
実務の視点から見た ISOマネジメントシステム規格
-規格の意義、目的、利益、第三者審査登録制度の役割-
11-01-01
1.組織にとっての規格適用の意義       [規格は組織の存立と繁栄の礎]
   どの組織も製品又はサービスを提供することが事業の目的であるから、製品、サービスを受入れる顧客或いは消費者の支持がなければ成り立たない。 顧客の支持は、組織が顧客のニーズ(必要、欲求)と期待を満たす製品、サービスを提供することによって得ることが出来る。 近年、顧客が製品を選ぶ際に考慮するニーズや期待には、製品そのものだけでなく、不祥事、操業事故、環境取組み、収益性、社会貢献など組織の様々な活動や形成された組織のイメージを含める傾向にある。 組織にはまた、株主、投資家、行政府、地域社会、更には従業員の支持によって成り立っている側面がある。 どの組織もこのような多様な利害関係者の支持を受けて存続が許される。 ISOマネジメント システム規格は、組織の存立に係わる最新理論を基礎として、組織が利害関係者のニーズと期待に応えるための道筋を示すものである。
 
2.規格が規定するもの       [規格はマネジメントの在り方を規定]
   ISOマネジメント システム規格は、"もの" ではなく、組織の
マネジメントの仕事に関する規格である。 マネジメントはトップマネジメント組織の日常の業務を指揮、管理する体系的な活動である。 トップマネジメントは経営の決定を受けて、その実現のための事業課題を様々な観点で検討、抽出して、必要な経営資源を投入し、課題解決に向けて組織を指揮、管理する。 規格はこのマネジメントの種々の業務を効果的に行なうための指針を規定している。
   ISOの各マネジメントシステム規格は、組織の多様な事業課題の内、
品質保証(ISO9000 シリーズ  94年版)、あるいは、顧客満足の向上(同 2000年版)、並びに、環境負荷低減(ISO14000 シリーズ)に関する課題を取り扱っている。 労働安全衛生、リスク管理、社会的責任など、他の種類の事業課題に関するマネジメントの規格も制定されされているが、今日、第三者審査登録制と合わせて制定され使用されているのは、品質と環境の2つの規格だけである。
   
3.規格の性格       [規格は成功体験で裏付けられた論理の体系]
   ISOマネジメントシステムの両規格とも、種々の規定の単なる集まりではなく、課題解決に取組むことに関する論理の体系である。 また、この論理は規格の創造したものでなく、過去の成功例をとりいれた最新のマネジメントの理論に基づいている。
事業課題を効果的に解決するためには
◆ 事業課題(組織運営の課題)と必要な対応に関する方向が明確にされる
◆ 組織の業務の手順が明確化、標準化され、その通り実行される
◆ 組織内で必要な知識、情報が伝達され、理解され、共有される 
を基本とする体系的で透明性のあるマネジメントの業務体系の確立と実行が必要である。
   このことによって、
トップマネジメントの認識と意思組織全体で理解され、実行され、効果的に効率良く問題解決され、狙いが実現する。 そしてマネジメント活動の方法論について規格は、方針と目標を設定してその達成に向けて諸業務を実行し管理し、起きた問題は是正するという課題解決と改善のPDCAサイクルを基礎としている。
 
4.要求事項が意味するもの
   [
要求事項は効果的課題解決のために必要な事項
  規格の
規定のことを、ISOマネジメントシステム規格では"要求事項"と呼ぶ。 要求事項とは呼ばれても、審査合格のために等、規格が組織に何かを要求するということではない。 規格の定義でも明らかなように、要求事項(requirement)は、組織が効果的にマネジメントの課題を解決するために必要な事項という意味である。規格は要求事項として組織に何らかの制約条件を課そうとしているものではなく、効果的なマネジメントのために各業務はどうあるべきかを教示するものである。 この意味からして、規格は組織の繁栄のための道筋を示す、いわばマネジメント指南書である。 世に「規格は経営のツール」と呼ばれるのは本来はこの所以である。
 
5.規格の正しい解釈の仕方  条文ではなく、規格の論理に則って考える
   要求事項は、規格の論理が、個々の具体的な仕事の仕方に対する条件として表現されたものである。 要求事項は全体として規格の論理を体現しており、相互に関連して意味を持っている。  個々の条文からだけで要求事項の意味を見つけようとするのは誤りである。 要求事項の解釈には、基礎となっている規格の論理の理解がまず必要である。論理に沿って他の諸要求事項との関連の中で、規格の意図、条文の意味を正しく読み取ることができる。
またJISが翻訳規格の性格上、条文の日本語を一人歩きさせるが如き解釈は正しくない。 規格解釈上の疑義は原英文に照らして解消させなければならない。

 
6.規格適用の実益    
 [
利害関係者の支持の確保を通じた組織の繁栄]
   組織が規格の要求事項に従って諸業務を運営管理すれば、顧客満足の製品の提供(ISO9000)、製品と活動の環境負荷の低減(ISO14001)という、顧客初め利害関係者のニーズと期待を効果的に満たすことができる。 この結果、組織はそれら利害関係者から受け入れられ、顧客の保持、取引の拡大、製品の拡販、地域社会との共存、投資受入、人材確保など、事業上の実際的な利益を得ることができる。 組織はまた、このような継続的、体系的な課題取組みを通じて、
品質向上、生産性向上、コスト削減など業務体質を強め、組織のイメージ向上、市場競争力向上など事業体質の強靱化を実現することができる。原価、資金、研究開発など他のマネジメントの成果と合わせて組織は繁栄の道を歩むことができる
 
   
7.第三者審査登録制度の役割
  [利害関係者のニーズと期待を満たすマネジメント実行の保証]
 
 第三者による認証審査は、組織が規格に定める効果的なマネジメントを実施していることを、組織と顧客など利害関係者に保証することである。 審査登録機関が発行する登録証は、製品の品質や環境負荷について利害関係者のニーズと期待を満たしていることを保証するものではないが、組織がそのような努力を誠実に且つ効果的に行なっていることを保証する。 顧客や利害関係者は登録証によって、組織とその製品が自らのニーズと期待を満たしているとの信頼感をもつことができる。 新規の取引、海外との取引など相互に未知の当事者間の取引に登録証はとりわけ有効である。第三者審査登録制度は、
規格適合を組織が自己宣言しても説得力は乏しく、取引毎の顧客による監査もわずらわしいという状況への効果的な対応として、両規格の運用の仕組みに組み込まれている。

H15.12.20(改H16.3.23) 
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