ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
2.   マネジメントシステム  とは
実務のマネジメントシステム(入門 解説編)   −組織の実務に照らして考える−
24-01-02
1.システム
  システムの原英語 system には幾つかの意味があるが、マネジメントシステムの場合のシステムは「結びつけられ又は一緒に機能する、ものごとの集団、一連の装置 等」(1)の意味である。あるいは、「共通の目的に資するための、又は、何かを共有するためのネットワークを形成する、一群の道具又は人工の事物又は組織」(2)である。 例えば、交通システム(transport system)、暖房システム(heating system)、計算機システム(a computer system)、安全保障システム(a security system) (1)、高速道路システム(highway system)、データ処理システム(a deta processing system)(2)のシステム(system)である。
   
   ISO9000の定義(3.2.1)のシステムは、「相互に関連する又は相互に作用する一連の要素*」である。ASQの品質用語集(3)ではシステムは、「共通の任務を一緒に遂行する、相互に独立した一群の諸プロセス及人々」と定義されている。システムたる要件は、多くの要素から成るが、それらが単に集まっているだけでなく、特定の目的のために相互に関係づけられているということである。
   
   例えば交通システムとは幾つかの経営主体、種類、路線の交通機関が乗換駅で繋がり、相互乗入れ運転し、接続容易なダイヤとなっているなど、利用者の必要な移動の便が図られて運行されている各交通機関の集まりのことである。単に地域で複数の交通機関があるというだけでは交通システムと呼ばれるに価しない。
 

2. マネジメントシステム
    マネジメントのために結びつけられ、目的達成に向けて一緒に機能する一連の要素の集合体が、マネジメントシステムである。 マネジメントシステムの要素というのは、マネジメントという活動の実行に必要な要素のことである。 
 
   ISO9001の94年版の品質システムは、「品質マネジメントを実行するのに必要な組織構造、手順、プロセス及び資源」(ISO8402:1994 3.6)であったから、品質マネジメントシステムの要素としては、組織構造、手順、プロセス及び資源であるということになる。また、ISO14001の環境マネジメントシステムは、「環境方針を作成し、実施し、見直しかつ維持するための、組織構造と種々の計画活動、責任、方法、手順、プロセス、資源」(ISO14001 3.5)と定義されている。 この場合の、環境方針を作成し云々は環境マネジメントの活動に他ならないから、そのための組織構造と種々の計画活動、責任、方法、手順、プロセス、資源が環境マネジメントシステムの要素である。 両者は表現が異なるが、これは「資源」という用語に含ませるものが両規格で異なり、、要素を具体的に羅列する上で両定義とも言葉足らずであるからであって、意味するところは同じである。 このような要素の表現においては、プロセス、手順、資源の3つが基本であり(図1)、他の要素はこれらのいずれかの要素に含めて表現できると考えてよいからである。
図1 プロセスの概念

   
  一方、ISO9001の2000年版はプロセスアプローチの考えで記述されているので、システムの要素はプロセスである。マネジメントに必要な諸プロセスが相互に関係づけられた「諸プロセスのシステム」がマネジメントシステムである。規格におけるプロセスは組織の業務の活動のことである。規格は業務が、そのインプットとアウトプットが明確にされ、実行に必要な資源とその使用の手順が明確にされた状態にある時にこれをプロセスと呼ぶに値するという考えでプロセスを定義している(図1)。 従ってプロセスという言葉の裏には、それを実行するのに必要な組織構造、計画活動、責任、方法、手順・・・をも含んでおり、要素をプロセスと定義しても、組織構造、計画活動・・・と定義しても意味しているものは変わらない。 規格によって異なるシステムの定義については、システム要素をプロセスと見るのか、システム要素を組織構造と種々の計画活動、責任、方法、手順、プロセス・・・と細かく分割して見るのかの違いに過ぎない。
   
   従って、マネジメントシステムとはマネジメントの諸業務がマネジメントの目的達成のために相互に関連づけられて実行されている状態でのそれら諸業務全体のことと考えるのが実務的である。これら諸業務はネットワーク構造(network of interacting processesで結びつけられて(TC176/SC2:N544R,p.6)、プロセスのシステム(system of processes)を構成している(ISO9001 0.2項)。この概念はISO9001の94年版、2000年版に共通であり、ISO14001もこの概念を共有していると考えられる。マネジメントシステムとは、「マネジメントの諸業務の有機的集合体」であり、「マネジメントの業務体系」のことである。
 
   
3. マネジメントシステムの実体
   マネジメントシステムとは、マネジメントのための諸業務の有機的集合体である。これは各業務がばらばらに行われているのでなく、組織的に或いは体系的に又は統制をとって行われているということを意味する。 このような組織的な業務活動が行われるのは、どのような業務がどのような順序で、或いは、他のどの業務との関係の中で、どのように行われるのかの決め事、決まりや取り決めが明確になっているからであり、この状態は業務体系が確立していると見なされ、規格ではマネジメントシステムが確立していると表現される。 そしてシステムとして機能しているのは、決め事、決まりや取り決めが、或いは、そのような業務が実行されているからであり、これはマネジメントシステムの実施( implement)である。
 
一方ある業務がどのような業務であるかを表現する場合、その方法や使用する材料、設備や工具、あるいは、誰が実行し誰が最終責任者か等々で表現される。 これらは、ISO14001の定義におけるシステム要素である。 規格ではこれを「手順」と呼び、手順が明確になっている時、手順が確立していると言い、手順を文書に記述することで手順の確立をより強固なものとすることができる。手順を文書に記述したのが手順書である。手順とは一面では業務をどのように行うのかの決め事、決まり又は取り決めであり、文書はそれらを人の記憶から引き出して、誰の目にも明らかな形にしたものである。 マネジメントシステムたる業務体系とは、これら一連の文書の集まりによっても代表され、また、文書に書かれた決め事、決まりや取り決めの集まりによっても代表されることができる。
 
 
引用文献
(1) Oxford Advanced Learner's Dictionary, Oxford University Press
(2) Merriam-Webster's Collegiate Dictionary, Merriam-Webster Inc.
(3) Quality Glossary, American Society for Quality
H16.7.22(改H16.10.4, 10.7, H17.4.8))
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