ISO9001/ISO14001
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解説
   ISOマネジメントシステム 構築
このセクションでは、ISOマネジメントシステムを "構築"するとはどういうことか、実務の視点で考えます。
目  次
システム構築とは
マネジメント と
マネジメントシステム
(入門解説編)










マネジメント と マネジメントシステム  (入門解説編)
−組織の実務に照らして考える−
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ISO規格のマネジメントシステムは新たな概念でも特別なものでもありません。どの組織も現にマネジメントシステムによって機能しています。
現実の組織のマネジメント(経営管理)の実態に照らして
マネジメントシステムとは何か、をわかり易く解説します。
目 次
.マネジメント とは
.マネジメントシステム とは
.種々のマネジメントシステム
(個別、全体マネジメントシステム)
. 統合
されたマネジメントシステム


 1. マネジメント とは
◆ 組織の種々の業務とマネジメント
組織は存立の目的の追求のための事業を行なっている。 組織の維持、発展を図るために事業をどのようなものとするのかを決定するのは経営であり、これを担うのが経営者である。
マネジメントは、経営の目標を効果的、効率的に実現するために組織の日々の作業活動を方向づけ、制御する活動である。日本語ではこの業務は管理業務、これを担う人々は管理者である。部門の長としての役職を負っているので役職者とも呼ばれる。
管理者は、事業遂行の作業を担当する代わりに、それら作業の仕方を決め、その実行に関して人々を指導し、指示を与え、業務が効果的、効率的に実行されて所定の成果を出すことを責任とする。
マネジメントとは組織で管理者が担う業務であり責任である。
 
◆ マネジメントの階層
株式会社では、株主総会の委託によって取締役会が経営の意思決定を行なうから、経営者に相当するのは実質的に取締役会である。
取締役会が選んだ代表取締役が普通は、会社の組織の長たる社長を兼ねて、社員を指揮、管理して取締役会の決定に基づく業務の執行にあたる。
多くの人々が働く組織では、マネジメントの機能は社長以外にも幾人かの管理者が居て分担しており、管理機能は分化し階層化している。
マネジメント機能は、経営の戦略や目標の実現を図るための会社全体としての業務を方向づけ、制御する全般管理と、その下で部門の役割を果たすよう部門内の業務を方向づけ制御する部門管理に分けられ、後者は更に、細分化された中間的部門間の業務を管理する中間管理とその部門内の作業活動を直接指揮管理する現場管理に階層分化される。
管理者は英語では manager と呼ばれるが、例えば労使(Labor and Management)のように、管理者を担当者・作業者と対比させて階層として集合的に表す場合の英語は、management である。
全般管理を担う管理者層を top management(トップ マネジメント)、中間管理を担うのは middle management(ミドル マネジメント)、現場管理を担うのは lower management(ロア マネジメント) と言う。これらはそのまま(   )内のように日本語ともなっている。ISO14001では トップマネジメント は最高経営層と訳されている。
日本の株式会社で全般管理を担っているのは普通、社長を初め、役付取締役、業務担当取締役、或いは使用人兼務取締役など取締役会のメンバーである。最近では、執行役員と称する取締役でない トップ マネジメント職が各社で設けられるようになっている。
ミドル マネジメント に相当する役職は部長、課長であり、ロア マネジメント に相当するのは、係長、主任、作業長などの役職を負う人々である。
 
◆ 管理とマネジメントの混同
日本では、狭義の品質管理のように結果を目標に納める活動(統制)も、マネジメントも、管理活動、管理者と管理の名をつけて呼んできた。英語では前者は control、後者は management である。
組織運営に関しては、解決すべき課題を設定し、その解決のためにどんな結果をどのような方法で達成するのかを計画することから始まる活動が managementであり、所定の結果が得られるように計画した方法を遵守するように制御する活動が control である。
このページの先頭へ 詳しくは<24-01-01>

 . マネジメントシステム とは
◆ システム
システムの原英語 system は「結びつけられ又は一緒に機能する、ものごとの集団、一連の装置 等」あるいは、「共通の目的に資するための、又は、何かを共有するためのネットワークを形成する、一群の道具又は人工の事物又は組織」である。
ISO9000の定義では、「相互に関連する又は相互に作用する一連の要素*」である。
多くの要素から成るが、それらが単に集まっているだけでなく、特定の目的のために相互に関係づけられているということがシステムたる要件である。
つまりシステムとは、ある目的のために必要な種々の要素が集まり相互に関連して機能している状況にあるその全体のことを指す。

◆ マネジメントシステム
マネジメントシステムとはマネジメントのために結びつけられ、目的達成に向けて一緒に機能する一連の要素の集合体である。
ISO9001の94年版の品質システムの要素は「組織構造、手順、プロセス及び資源」であった。
ISO14001では環境マネジメントシステムの要素は「組織構造と種々の計画活動、責任、方法、手順、プロセス、資源」と定義されている。
両者は異なるが、用語の定義が一定せず、具体的に要素を羅列する上で言葉足らずであるからで、意味するところは同じである。
一方、ISO9001の2000年版はプロセスアプローチの考えで記述されているので、システムの要素はプロセスである。
プロセスは組織の業務の活動のことであり、マネジメントシステムはマネジメント活動の諸業務がマネジメントの目的達成のために相互に関連づけられて実行されている状態でのそれら諸業務全体のことである。
これら諸業務はネットワーク構造で結びつけられて、各業務は全体としてマネジメント活動として機能している。
規格ではマネジメントシステムは、「プロセスのネットワーク(network of interacting processes)」構造(TC176/SC2:N544R, p.6)から構成される「プロセスのシステム(system of processes)」(ISO9001 0.2項)である。この概念はISO9001の94年版、2000年版に共通であり、ISO14001もこの概念を共有していると考えられる。
実務的にはマネジメントシステムとは、「マネジメントの諸業務の有機的集合体」であり、「マネジメントの業務体系」のことである。
なお、規格によって異なるシステムの定義については、システム要素をプロセスと見るのか、システム要素を組織構造と種々の計画活動、責任、方法、手順、プロセス・・・と細かく分割して見るのかの違いに過ぎない。

◆ マネジメントシステムの実体
プロセスをシステムの要素と考えるとマネジメントシステムは諸業務の有機的集合体となる。これは各業務がばらばらに行われているのでなく、組織的に或いは体系的に又は統制をとって行われているということを意味する。
このような組織的な業務活動が行われるのは、各業務の内容と業務間の相互関係が明確になっているからであり、この状態を業務体系が確立していると見る。 規格ではこれがマネジメントシステムの確立である。
一方、業務の内容と相互関係は方法や条件、使用する材料、設備や工具、あるいは、実行の責任と権限等々で表現される。規格ではこれを「手順」と呼ぶが、手順とは一面では決まりとか取り決めというような概念でもある。
手順が明確になっている時、手順が確立していると言い、手順を文書に記述することで手順の確立をより強固なものとすることができる。
手順を記述した文書が手順書であるから、マネジメントシステムたる業務体系は一連の相互に関係した文書の集まりによっても代表され、また、文書に書かれた決まりや取り決めの集まりによっても代表されることができる。

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 . 種々のマネジメントシステム
      (個別マネジメントシステムと全体マネジメントシステム)
◆ 種々のマネジメントと全体マネジメント
ISO9001,14001規格の品質マネジメント、環境マネジメントのように種々の名称の付してマネジメントの種類を表すことがある。この他にも労働安全衛生マネジメント、リスクマネジメント、情報マネジメント、顧客関係マネジメント等々である。
これらはマネジメントの目的あるいは対象とする問題や分野を限定したマネジメントのことを意味し、その目的や対象が名に冠されている。
この概念も目新しいものではなく、例えば、人事制度、採用を初め一連の人事施策を司る人事マネジメントが"人事管理"と呼ばれてきたように、用語が新しいだけである。
組織の諸作業活動を全体として方向づけ、制御する活動を普通、マネジメントと言うが、ISO9001,14001ではその品質、環境マネジメントとの区別を明確にする場合は、この組織の全体としてのマネジメントのことを「全体マネジメント」又は「組織のマネジメント」と呼んでいる。
また、事業組織のマネジメントであるから海外では、ビジネスマネジメントとも呼ばれる(1)(2)
当ウェブサイトでは、全体マネジメントに対する、特定の目的、対象範囲のマネジメントのことを"個別マネジメント"と呼ぶ。
 
個別マネジメントの意義と概念
事業上の問題、課題が多様になると、マネジメントも種々の重要な問題に対応した各々の観点から行うのが経営目標の達成に効率的、効果的になる。
例えば全体マネジメントの中から品質向上という観点でのマネジメントを区別して、関係する諸業務の業務を明確にし責任者を決め、資源の投入、作業管理など諸業務を運営管理するのが品質マネジメントである。
個別マネジメントとは、組織の全体マネジメントの中のそれぞれ特定の観点あるいは目的に関係する部分に焦点を当て浮かび上がらせたものであり、全体マネジメントのそれぞれの側面である。
観点や焦点の当て方は組織の必要により様々であるから、様々な個別マネジメントというものがあり得る。
個別のマネジメントとして他と明確に区別されていない場合でも、組織の運営管理に不可欠な観点に関するマネジメントは、他の関係する個別マネジメントの中で、或いは、全体マネジメントの中で取り扱われている。
 
◆ 個別マネジメントシステムの実体
全体マネジメントの業務体系が全体マネジメントシステム、個別マネジメントの業務体系が個別マネジメントシステムである。
個別マネジメントシステムは、全体マネジメントシステムの中からその目的のために必要な業務を抜き出して繋ぎあわせ有機的集合体としたものに相当する。
この点で各個別マネジメントシステムは全体マネジメントシステムの一部と考えることができる。
実務においてはひとつの業務が幾つかの個別マネジメントに関係していることが多いが、その業務自体はている。
   
◆ ISO規格の品質、環境マネジメントシステム
品質マネジメントシステムは、品質に関する個別マネジメントシステムの一般名称である。直ちにはISO9001の品質マネジメントシステムを指すものではない。
品質のどのような点を重視するのかは組織の必要性の問題であるから、目的や対象とする問題、分野が様々な、多様な品質マネジメントシステムがあり得る。
一方、ISO9001の2000年版では「顧客満足」を追求することが品質マネジメントの目的である。規格の要求事項を満たしているシステムがISO9001(適合の)品質マネジメントシステムである。
組織の従来からの"品質マネジメントシステム"と規格の"品質マネジメントシステム"が、目的や対象の品質問題の範囲、関係する業務と業務間の相互関係において全くは同じではないから、実務においては両者を合わせた形で品質マネジメントが行われているに違いない。
同様に、環境マネジメントとは、環境保全、環境影響低減に取り組むマネジメントの活動の一般名称である。
このひとつであるISO14001の環境マネジメントシステムは、利害関係者のニーズと期待を満たしながら経済的技術的に実行し得る最大限の環境保全努力をするという組織の環境取り組みのマネジメントの業務体系である。
このページの先頭へ 詳しくは<24-01-03>

 . 統合されたマネジメントシステム
◆ 個別マネジメントの実務
個別マネジメントもトップマネジメントの責任であるが、トップマネジメントがすべてに目を行き渡らせることはできない。
トップマネジメントは、それぞれの代行者からの報告を受け必要な指示を出すという形で日常の個別マネジメントを行っている。ISO9001,14001ではこれを「マネジメント代行者(JISでは管理責任者)」と呼んでいる。
機能別部門で構成される組織構造の組織では、各機能部門がその機能に関係する個別マネジメントを統率するのが普通である。機能部門長が当該マネジメントに関する限り同僚の他の部門長を指揮する。
要員は、個別マネジメントの責任者から直接に指揮、管理されることはなく、直属の管理者からの指示を受けて業務を行う。
個別マネジメントが分化していてもすべての業務は全体マネジメントの枠組みの中で実行されている。
トップマネジメントが個別マネジメントに関して下す判断や決定は、全体マネジメントとしての最適解である。
個別マネジメントは実際に、全体マネジメントと一体的に行われている。

◆ 個別マネジメントシステムの業務と手順
ひとつの業務が複数の個別マネジメントに関係していることは少なくない。
しかし、その業務の実行の手順はひとつであり、個別マネジメント毎に異なる業務方法がとられるというようなことはあり得ない。
手順は、関係する個別マネジメントの必要を満たし、各狙いから最適なものとして決められている。
手順を記述したものが手順書など諸文書であるから、ある業務の手順書はすべての個別マネジメントシステムに共通である。
業務に用いられる文書は、どの個別マネジメントシステムの文書という性格のものではなく、すべて全体マネジメントシステムの文書である。

◆ 統合されたマネジメントシステム
実務上すべての個別マネジメントは全体マネジメントと一体となって行われている。
個別マネジメントシステムは全体マネジメントシステムと要素を共有しており、実体的に全体マネジメントシステムの一部である。
組織のマネジメントもマネジメントシステムも本質的に一体的な("統合"された)活動であり、概念あるいは実体である。
規格も、その品質、環境マネジメントシステムが組織のマネジメントシステムの一部であり、既存のマネジメントシステムを基礎として規格のマネジメントシステムを構築し、それと一体化されたものとするよう規定している。

◆ ISO9001,14001 "統合マネジメントシステム"
個別マネジメントは必要があって全体マネジメントから分化した。
各個別マネジメントシステム間では、取扱う問題や分野、関係する部門や必要な専門性が異なる。
マネジメント代行者も、全体マネジメントシステムの中で最もふさわしい責任と権限を有し、必要な専門性を有する者である。
異なる個別マネジメントシステム同士の統合は、組織のマネジメントシステムに関する実務と論理に照らして必要がないし、意味がない。
本来各個別マネジメントシステムは全体マネジメントシステムと一体であることを通して、相互にも融合して一体となっている。
このページの先頭へ 詳しくは<sub24-01-04>

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