ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
ISO9001:2008
留意すべき変更
10. その他 JIS和訳の変更 (原文は不変)  <31-02-10>
 
(4) 設計開発条件の適切さの確保  − 7.3.2 設計・開発へのインプット
[記述の変更}

2000年版 2008年版
[第1節]
製品要求事項に関連する インプット を明確にし、記録を維持すること(4.2.4参照)。[第1文]
インプット には次の事項を含めること。[第2文]
a) 〜  d) 項
 
[第2節]
これらの インプット については、その適切性を レビュー すること。
[第1節]
製品要求事項に関連する インプット を明確にし,記録を維持しなければならない(4.2.4参照)。 [第1文]
インプット には、次の事項を含めなければならない。 [第2文]
a) 〜 d) 2000年版と同じ
[第2節]
製品要求事項に関連する インプット については,その適切性を レビュー しなければならない。
[記述変更の意図]
   設計・開発へのインプットとしてのa) 〜d) 項を列記する第1節に引続く第2節の主語が、原文で“These inputs”から“The inputs”に変更された。単なる英語の表記上の変更であり、この場合の“These inputs”と“The inputs”は全く同じ意味である。第1節第2文では“These inputs”がそのまま残されているから、この第2節のみ変更する必要があったのかも含めて理解し難い記述変更である。
 
   しかし、JIS和訳はこれを、「これらのインプット」から「製品要求事項に関連するインプット」に変え、「これらのインプット」では第1節のa)〜d)項のみを指すとの誤解があり、それ以外にも製品要求事項に関連するインプットがあることを明確にするための和訳変更だと説明されている。つまり、JIS和訳は、「インプット に a) 〜d) 項を含める」との第2文の記述を根拠として、第1文の「設計・開発に関連する インプット」にはa) 〜d) 項以外の事項も存在すると受けとめている。 これにより、第2節の2000年版の「これらインプット」は第2文のa) 〜d) 項のみを指す表現であるとし、この2000年版記述では第1文の「製品要求事項に関連するインプット」に含まれるa) 〜d) 項以外のインプットは、「その適切性をレビュー」しなくてもよいことになるとの解釈を展開している。そして、原文記述の“These inputs”から“The inputs”への変更は、レビューの対象が「これらa)〜d) 項のインプット」ではなく、「インプットというもの」つまり第1文の「インプット」であることを明瞭にするためと説明している。
 
  これは原文で見ると的外れの理解であることがわかる。原文では、第1節の第1文、第2文、及び、第2節の「インプット」はそれぞれ、次のようになっている。 すなわち、2000年版でも2008年版でも、第1文の「製品要求事項に関連するインプット」は第2文では“These inputs”、つまり、「これらインプット」と表現されており、原文では「製品要求事項に関連するインプット」と「これらのインプット」とは同じものを指すことが明らかである。 JIS和訳が新旧両版ともなぜか第2文の「これらのインプット」を「インプット」と和訳することによって、結果的に2000年版第2節の「これらのインプット」が他の「インプット」と違うものだとする解釈を可能にする余地を生んでいる。
 
原文 JIS和訳
2000年版 2008年版 2000年版 2008年版
第1節 第1文 Inputs Inputs 製品要求事項に関連するインプット 製品要求事項に関連するインプット
第1節 第2文 These inputs These inputs インプット インプット
第2節 These inputs The inputs これらのインプット 製品要求事項に関連するインプット
 
[組織の対応]
  「設計開発へのインプット」とは、設計開発する製品の目標仕様と組織の設計開発基準など「設計開発のアウトプット」のあるべき姿、つまり、設計開発目標のことである。目標の製品が顧客のニーズと期待を満たす製品として適切であるかどうかの評価が インプットの適切性のレビュー である。 インプット として例えa)〜d)項に属さない事項があったとしても、インプットである限り「適切」でなければならないから、レビュー しなくてよいという理屈にはならない。 本項の記述変更のJIS和訳とその説明は実務的には無意味なものである。
 
[審査への影響]
   a)〜d)項以外の インプット の記録や、a)〜d)項以外の インプットを レビュー した証拠が審査で求められるかも知れない。
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