ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
ISO9001:2008
留意すべき変更
5. 顧客満足度の評価     (8.2.1項  顧客満足)  <31-02-05>
 [記述の変更}   8.2.1項
2000年版 2008年版

注記 顧客がどのように受けとめているかの監視には,顧客満足度調査・提供された製品の品質に関する顧客からの データ、ユーザ意見調査、失注分析、顧客からの賛辞、補償請求及びディーラーラ報告のような情報源から得た インプット を含めることができる。
 
[記述変更の意図]

  組織は事業維持発展に必要な顧客満足の狙いを品質方針に明確にし、この実現を図るよう定めた各業務の目標(品質目標)を目指して品質マネジメントを行い、一定時期毎にその成果、つまり、掲げた方針の顧客満足が実現したかどうか評価し、問題や次年度への課題を抽出する。これら評価結果は、必要により新たな品質方針、品質目標となって次年度の品質マネジメントの必要な在り方を決める。 この品質マネジメントのPDCAサイクルの“C”の活動が本項の顧客満足に関する情報の監視であり、この情報の性格を規格は「品質マネジメントシステムの実績の尺度として」と表現している。 原文では“As one of the measurements of the performance of the quality management system”であるが、JISはこれを「品質マネジメントシステムの成果を含む実施状況の測定の一つとして」と和訳しているため、本項の顧客満足に関する情報の監視という意図が正しく理解されていない。
 
  顧客満足向上を図る業務体系である品質マネジメントシステムの成果は、狙いの顧客満足が得られたかどうかで判断されなければならない。 そのためにはどのような情報を用いてどのように分析する必要があるのかというのが、8.2.1項の趣旨である。 この場合の原文の“measurements”は「測定」ではなく、尺度、指標の意味である。改訂作業でこれに関係する記述の明瞭化が取り上げられたのは、原文を自国語に翻訳して使用する各国にも同様の翻訳上の問題による誤解があったのであろう。 そこでCD版では、原文“As one of the measurements of ….”が“As one of the indicators of ….”と変更され、そのJIS仮訳(1)も「….の指標のひとつとして」となった。 こうして明瞭になった規格の意図であるが、これもなぜかDIS版では取り消されて、代わりに注記が追加され、顧客満足の監視の情報が例示されることになった。
 
[変更の意義]
  注記の追加によって、顧客満足度調査を唯一の情報採取手段とすることは規格の意図でないことが明らかになり、また、8.4 a)項(顧客満足に関するデータ分析)に「8.2.1 参照」が付されたことによって、本項と8.4 a)項が繋がっていることが明確になった。これにより、規格の意図が顧客満足度調査だけの単純なものでなく、種々の データ の分析に基づく総合的な評価と判断であることが明確になった。 しかし、CD版の記述が取り消されたことにより、品質マネジメントの実績の指標や尺度としての顧客満足度の評価であるという規格の意図の明瞭化には迫力不足の変更であることは否めない。
 
[組織の対応]
  大多数の組織で顧客満足度調査と苦情分析を以て、本項への適合を図っていることになっている。この結果が マネジメントレビュー で、品質方針、品質目標の変更を含む品質マネジメントシステムの変更の必要性の評価(5.6.1項)や マネジメントレビューの結論(5.6.3項)を導き出すことに繋がっているかどうかを見直してみるのも意義あることとおもわれる。
 
[審査への影響]
  特にない。但し、顧客満足度調査だけでは不適合と判断されることもあるかもしれない。
 
 
引用文献( 英語文献及び文章中の *印は著者による翻訳)
(1) 日本規格協会: ISO9001:2000及びISO/CD9001比較表-抜粋-
H20.12.26 
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