ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
19 ISO9001: 2015解説         9.1.2  顧客満足
- 変更点と移行対応 (12) -
<31e-01-19>
 
 
0.1 概要   こちら
 
0.2 実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応:
   実績 ⇔パフォーマンス;   実績評価 ⇔パフォーマンス評価$31;   品質経営(活動) ⇔品質マネジメント$19-0;  
 
   
1. 規定条文   (JIS Q 9001: 2015)
9.1.2  顧客満足
  組織は、要求事項が満たされた程度に関して顧客がどのように受けとめているかを監視しなければならない。
 
  組織は、組織とその製品及びサービスに関する顧客の見解及び意見についての情報を入手しなければならない。
 
  この情報の入手及び使用の方法を決めなければならない。
トップマネジメントは、次に示す事項によって、品質マネジメントシステムに関する リーダーシップ及びコミットメント を実証しなければならない。
 
  注記  顧客の見解についての情報には顧客満足度又は意見調査、提供された製品及びサービスの品質に関する顧客からのデータ、市場占有率分析、顧客からの賛辞、補償請求及びディーラー報告を含む。
[08年版 関連規定]
8.2.1 顧客満足
組織は、品質マネジメントシステムの成果を含む実施状況の測定のーつとして、顧客要求事項を満たしているかどうかに関して顧客がどのように受けとめているかについての情報を監視しなければならない。この情報の入手及び使用の方法を定めなければならない。
  注記:顧客がどのように受けとめているかの監視には、顧客満足度調査、提供された製品の品質に関する顧客からのデータ、ユーザー意見調査、失注分析、顧客からの賛辞、補償請求及びディーラー報告のような情報源から得たインプットを含めることができる。

 
 
2. 条項の意図
(1) 趣意
  本項は、業務実行管理における実績評価(9.1.1項)の活動の一環として、品質経営活動の業績としての顧客満足追求に関する実績評価の必要を規定し、顧客満足の状態の実績把握と評価の要件を規定している。
 
(2) 論理及び用語
① マネジメントサイクルと業績評価§7
  経営論では無限持続体として組織の存続発展を図る経営管理活動の方法論は、特定の戦略の策定とその遂行により組織目的を追求する循環的活動としてのマネジメントサイクルと捉えられる。このサイクルの最後にはその経営管理活動の成果としての目的達成度が評価される。
 
  これは、実務的には一般に1年を単位とする組織の経営管理活動の期末に行なわれる経営管理活動の成果、つまり、業績の評価のことであり、金銭的業績評価は普通、決算と呼ばれる。規格では特定期間の品質経営の活動の業績は、品質方針及び組織の品質目標(5.2項)として定められた狙いの顧客満足の状態がどの程度実現したかであり、このような業績評価はプロセスアプローチ/PDCAサイクルの管理/Cに相当する。
 
② 顧客満足§9.1
  規格の『顧客満足』とは、不良品を出さないことを含み、顧客に製品及びサービスを買ってもらう又は取引を続けてもらうために顧客に抱いてもらう必要がある組織と製品に対する好感、満足感、安心感、信頼感の状態や程度のことである。規格はこれを「顧客の期待が満たされている程度に関する顧客の受けとめ方」と定義している#17
 
  事業組織では事業活動の最終的業績は収益であり、狙いの顧客満足の状態とはこの業績を製品・サービスの売上又は取引高の面で達成するのに必要な製品・サービスに対する顧客の評価に関係する。組織の狙いの顧客満足の状態の実績がそのニーズと期待を満たすものとして顧客に受け入れられた場合に、狙いの売上又は取引高の達成に寄与することができ、原価管理など他の関連する業績目標の達成を合わせて最終的業績目標の狙いの収益を達成することができる。
 
(3) 規定要旨
  組織は、品質経営の業績目標として品質方針及び組織の品質目標(5.2項)に定めた狙いの顧客満足の状態を確実に実現させる業績管理のために、品質経営活動の実績として実現した顧客満足の状態を監視し、評価しなければならない。
 
  組織は、狙いの顧客満足の状態の達成度に関係する情報の収集及び使用の手はずを整えなければならず、整えられた手はずに則って必要により適時に情報を収集し、実現した、又は、期末までに実現する可能性のある顧客満足の状態に関して分析、評価しなければならない。
 
(4) 実務の視点の解釈
  業界一の高品質を品質基本方針とする組織では、不良品を出さないという目標が業務手順として確立しており、申し立てを受けた苦情情報は速やかに関係部門に伝達されて必要な処置がとられ、前年並みを基準とする月別苦情発生率として整理されて月例業務検討会に報告され、期末には実績を営業活動による顧客情報に基づいて他社との優劣の観点で評価する。また、顧客での加工成績を業界一とする目標が、他社より優れた性能の製品を供給するための製造条件の設定と管理の手順と製品抜き取りによる性能試験の試験値の平均値とばらつき値の目標として確立しており、月間の試験値の水準と変動が、顧客から発表される月間供給者別品質成績と合わせて月例業務検討会に報告される。年度品質方針を顧客の新製品立上げに万全の対応を掲げ、新規な設計の部材の供給開始に当たっては、試作品の顧客による評価と認定を得て量産に移行し、当初の納入には詳細な部材品質調査を行い、顧客の使用に立ち会って顧客の評価を直接確認し、以降も製造、出荷、顧客使用結果に関して一定期間特別管理を行う。これら特別な処置は目標管理計画書に基づいて行い、実績は月例業務検討会に報告される。
 
(5) 改定版品質マニュアル(外部説明用)ひな型 ← 基本的に08年版の8.1項と同じでよい
  顧客からの苦情の情報は速やかに関連部門に伝達する。顧客との接点業務又は顧客との情報交換の機会、その他の機会や手段で得ることのできる製品・サービス、及び、顧客や市場に関する顧客満足追求に係わる情報は顧客情報書として文書化し、関連部門で共有する。顧客の来訪予定は必要な対応を含めて関係部門に明確にする。
 
  品質基本方針と年度品質方針及び品質目標(5.2項)に表される狙いの顧客満足の状態の確実な実現を図る業績管理のために、また、マネジメント レビュー(9.3項)による業績確定のために、必要な顧客満足の状態を表す指標と事実を決めて、月例業務検討会(7.4項と期末業績検討会(9.3項)のそれぞれの議事録書式に明確にする。
 
 
3. 必要な読み替え(規格の意図の正しい理解のために)
 ―
 
 
4. 改訂版の変更点(08年版規定からの変化)
  08年版と比較して顧客満足の意味が、定義では「顧客の要求事項が満たされている程度」から「顧客の期待が満たされている程度」と分かりやすくなる一方で、規定が「顧客要求事項を満たしているかどうか」から「要求事項が満たされた程度」と逆にわかりにくい表現になった。また、監視するべき顧客満足が「品質マネジメントシステムの業績の尺(JIS和訳は<成果を含む実施状況の測定>)」であるという規定表現がなくなったことも本条項の意図を不明確にしている。しかし、規格の目的と文脈から顧客満足と顧客満足の情報の監視の意味も意義も変わっていないと考えてよい
 
 
5. 改訂版への移行対応
➀ 品質経営体制の指針として規格を実践する組織
  何も変えることはない。
② 認証取得の条件として規格を認識し、負荷と効用に不満を持つ組織
  トップマネジメントや管理者にはその製品・サービスを顧客に気に入ってもらうために、製品・サービスの品質や顧客対応に関して何を注意し、考慮しなければならないかについての一定の考え方がある。これを、当面の売上又は取引量を維持又は必要により増加させるために、どのような業務結果や製品・サービスの機能性能と品質、顧客の評価結果に注目して、それらをどのような程度、水準に維持することが必要かの観点で整理して、具体的な管理の方法を決めるとよい。
 
 
6. 公表された改定版解釈
(1) 08年版から変わってないとする解釈
① 大きな変更はない*Q5
② 08年版の要求事項と変わらない*27
(2) 08年版から変わっているとする解釈
① 「顧客満足」の定義が変わり、監視の対象範囲が「顧客要求事項」から「顧客のニーズと期待」に拡がった*Q38*Q39
 
 
7. 予想される極端な審査要求
  ―
 
 
H27.2.18  修H27.12.17(2015年版)
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サニーヒルズ コンサルタント事務所