ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
24 ISO9001: 2015 改訂解説    7.1.1  資源 一般   - 変更点と移行対応 (24) - <31e-01-24>
 
 
0.1 概要   こちら

   
0.2 *実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応  (英語解釈 抜粋)
 
経営管理⇔マネジメント$19; 経営管理体制⇔マネジメントシステム$19-1-1; 品質経営⇔品質マネジメント$19-0;
   業務⇔プロセス$2; 要件⇔要求事項$1; 範囲⇔適用範囲$11品質業績⇔品質パフォーマンス$31
   
   
1. 規定条文 (SL共通テキストJIS仮訳又は山田秀・須田晋介の私訳; これらのない部分は筆者のJIS的和訳)
7. 支援
7.1
資源
7.1.1 
一般
組織は,品質マネジメントシステムの確立,実施,維持及び継続的改善に必要な資源を明確にし,提供しなければならない。
 
組織は,次の事項を考慮しなければならない。
 
a) 既存の内部資源の実現能力及び制約
b) 外部供給者から取得する必要のあるもの
[08年版 関連規定]
6.1 資源の提供
組織は、次の事項に必要な資源を明確にし、提供しなければならない。
a) 品質マネジメントシステムを実施し、維持する。また、その有効性を継続的に改善する。
b) 顧客満足を、顧客要求事項を満たすことによって向上する。
 
 
2. 条項の意図
(1) 趣意
  7章標題はJIS和訳「支援」であるが、規格の文脈では「基盤」の方が適当であり#72品質経営活動の効果的な実行を支えるのに必要な基盤という意味である。規格の品質経営活動は、狙いの顧客満足の状態の確実な実現を図るために、必要な手順が確立し、その実行に必要な資源の用意を含む基盤が確立した品質経営体制の下で各業務を体系的で組織的に行なうことを基礎としている。組織は、品質経営体制の計画(6章)の一環として、品質経営活動を効果的に行うために必要な資源を含む基盤を確立しなければならない。7章では確立が必要な基盤と、それぞれの確立のための要件を規定している。
 
  規格は各条項でそれぞれの業務に関してどのような資源が必要か、どのように管理すべきかを規定しているが、本項ではこの内の資源の充足の管理に関する要件をすべての資源にあてはまる共通的表現で規定している。引き続く7.1.2~7.1.6項では各条項に共通的なそれぞれの特定の資源に関してそれぞれに特有の表現で資源の在り方の要件を規定している。
   
(2) 論理及び用語
① 資源$21
  『資源』は経営用語としての経営資源(54)のことであり、事業活動で所定の結果を生み出すために投入されるものと定義され、普通は人的資源、物的資源、貨幣的資源から成り、近年ではこれに情報と企業文化、ワザと知恵が追加された概念も認められている。一般には、要員、設備や機械、資金の他、業務で用いる技術、技法、情報、文書や記録、依拠する体制や制度、仕組み、業務風土や職場環境等々が資源として例示される。
 
② 規格の意図の資源$21.2
  規格の資源としては例えば94年版指針規格では、人的資源、設計開発用設備、製造設備、検査、試験と調査のための設備、及び、計装及びコンピューターソフトウェアが例示(138)され、00年版指針規格では、人々、インフラストラクチャー、作業環境、情報、供給者、天然資源、財務資源、さらには、知的財産、組織構造、情報及び情報技術、要員の職務能力や管理者の指導力が例示(132)されている。
 
  また、規格では、品質経営を効果的に行なうための品質経営体制は顧客満足追求に関連する業務<JIS和訳:プロセス>の有機的集合体とみなさる。ここに、業務とは手順と資源を用いて入力を出力に変換する活動であるから、品質経営体制とは手順と資源の集まりとも捉えることができる。さらに、規格の表現では、品質経営体制を構成するそれぞれの業務を各条項の標題に対応させ、それら業務の在り方を狙いの結果を確実に出すための要件として表している。
 
  規格の意図における資源とは、規格の各条項に対応する業務の実行に必要な資源のことであり、7.1項に挙げられるものだけでなく、例えば、7.2~7.5項の要員に備わった職務能力ややる気、知識情報、情報伝達手段、文書や記録も資源であり、収集した組織の内外の事情の情報(4.1項)、マネジメント レビュー(9.3項)を中心とする品質業績管理の枠組みや外部供給者の管理の枠組み(8.4項)も資源である。すなわち、品質経営の業務実行に必要で用いられるものはすべて資源である。
 
③ 規格の規定における資源$21.2
  94年版も含めて『資源』を標題とする条項があり、ここで一般には各条項に共通の特定の資源が取り上げられているが、取り上げられている具体的な資源は各版で異なっている。具体的に何を取り上げるかについては多分に規格の規定記述上の都合が係わっていると見ることが出来る。15年版の7.1項の資源も08年版(6章)から大きく変わっているが、共通テキスト化による条項構成の変更が主因である。何が『資源』条項で取り上げられるかは、規格の意図の資源としての重要性や性格とは無関係で、規格の規定記述上の都合が係わっているとみてよい。
 
④ 資源の提供§21.3
  JIS和訳「資源を提供する」はその英文に照らすと、必要な時に必要なところで使用できるようにするという意図で「資源を用意しておく」ことである$37。業務が定められた通りに行なわれ。定められた通りの結果が出ることを確実にするには、業務実行で適切な資源が確実に使用又は適用されなければならない。このためにはその資源を必要な時に必要なところで使用できるように用意しておくことが必要である。
 
    
(3) 規定要旨
 条文は「必要な資源を特定し、用意しておく」と読むことが適当であり$37、これは必要な資源が業務で使用されることを確実にするための資源の充足をプロセスアプローチ/PDCAサイクルに則って管理することを意味している。
 
  組織は品質経営 活動の業務の実行によって、狙いの顧客満足の状態の実現に必要な狙いの業務 結果を出すために必要な資源を特定し、所定の能力又は機能を発揮して使用又は適用されることを確実にする手はずを整えなければならない。組織は、その手はずに則って必要な資源を用意し、必要な場所や場面で使用され、所定の能力または機能を発揮できるような状態にあるように管理しなければならない。さらに、資源の必要性を見直し、必要と判断される資源を充足しなければならない(9.3.3 c)項)。充足の必要を判断する際には a)を、また、充足の方法を検討する場合には b)を、それぞれ考慮しなければならない。
 
 
(4) 実務の視点の解釈事例
 文書という資源の充足管理のプロセスアプローチ/PDCAサイクルは、文書化の決定(7.5.1項)、作成(7.5.2項)、使用管理(7.5.3項)と更新(7.5.2項)であり、品質方針という資源は必要な内容(a)~c)項)、作成(5.5.1項)、伝達・理解(5.5.2項)、見直し(5.5.1項)であり、品質方針見直しのための情報という資源は、必要な内容(4.1/4.2項)、収集(4.1/4.2項) 、使用(9.3項)である。
     
  
(5) 改定版品質マニュアル(外部説明用)ひな型←08年版と同じ
 部門長は、担当業務に関して狙いの顧客満足の状態の実現のために必要な資源が常に充足されている状態を維持する責任を持つ。このために、必要を把握し、必要に関する問題提起を行い、不足を補い必要を充足し、それらが必要な能力又は機能を果たすように管理する。重要管理項目(6.2項)に関連する資源の必要に関する問題提起は、月例業務検討会(7.4項)を活用して行なう。
     
     
3. 必要な読み替え(規格の意図の正しい理解のために)
資源を提供する → 資源を用意する (単純な誤訳)    
     
  
4. 改訂版の変更点(08年版規定からの変化)
 表現の違いだけで規定の趣旨は08年版6.1項と同じ。
     
     
5. 改訂版への移行対応
➀ 品質経営体制の指針として規格を実践する組織
 品質マニュアル記述を含み何も変える必要ない。
② 認証取得の条件として規格を認識し、負荷と効用に不満を持つ組織
 改定を機に、必要な資源が間違いなく充足されている状態を維持する責任者と枠組みを明確にするとよい。
   
   
6. 公表された改定版解釈
(1) 08年版から変わってないとする解釈

(2) 08年版から変わっているとする解釈
① 08年版の6.1に対応。2点の考慮事項は新規の要求。現状理解の上で必要な資源の明確化を要求*Q38。
 
   
     
7. 予想される極端な審査要求

    

H27.4.30   修H27.12.6(2015年版)
禁無断転載  (個人的使用のための複写歓迎)
サニーヒルズ コンサルタント事務所