ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
25 ISO9001:2015 解説    7.1.3  インフラストラクチャー
- 変更点と移行対応 (25) -
<31e-01-25>
 
 
0.1 概要   こちら

   
0.2 *実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応  (英語解釈 抜粋)
 
業務実行 ⇔プロセスの運用$8-1;    顧客のニーズと期待 ⇔顧客要求事項$1-2-2;
  品質経営 ⇔品質マネジメント$19-0;    要件 ⇔要求事項$1;

   
   
1. 規定条文 (JIS Q 9001:2015)
7.1.3 インフラストラクチャー
  組織は,、プロセスの運用に必要なインフラストラクチャ、並びに、製品及びサービスの適合を達成するために必要なインフラストラクチャを明確にし、提供し、維持しなければならない。
 
注記 インフラストラクチャーとしては、次を含めることができる。
a) 建物、及び、関連するユーティリティ
b) 設備。これには ハードウェア及びソフトウェアを含む
c) 輸送のための資源
d) 情報通信技術 
[08年版 関連規定]
6.3 インフラストラクチャー
  組織は、製品要求事項への適合を達成するうえで必要とされるインフラストラクチャーを明確にし、提供し、維持しなければならない。インフラストラクチャーとしては、次のようなものが該当する場合がある。
a) 建物、作業場所及び関連するユーティリティ; b) 設備(ハードウェア及びソフトウェア); c) 支援体制(例えば、輸送、通信又は情報システム)
 
 
2. 条項の意図
(1) 主題
 本項は、品質経営の業務を効果的に行なうために必要な物的資源の充足の要件を規定している。
   
(2) 論理及び用語
① 物的資源
  「インフラストラクチャー」は“infrastructure”の和訳であり、これは「国や組織の円滑な運営に必要な一連の基礎的な施設又は必要を満たす手段であり、例えば、建物、輸送、水、電気」という意味である(101)。規格の定義は08年版と同じ「組織の事業活動に必要な一連の施設、設備及び付随関連手段」である#15。00年版で登場した用語であり、“infrastructure”という英語の意味を規格の文脈で捉えて「組織の事業活動に必要な、財務資源、人的資源、消費材以外のすべてのもの」とする解説(23j)や、物的資源のことであると説明する00年版執筆者のひとりの解説がある(21i)。ひとことで言って、ヒト、カネ、モノの内のモノであり、人的資源に対する物的資源のことである。
 
② 資源の提供§14.3
JIS和訳「提供する」は“provide”であり、誰かが使用できるようにするという意味(101)であるから、「資源を提供する」は必要な時に必要なところで使用できるようにするという意図で「資源を用意しておく」である$37。業務の実行によって必要な狙いの結果が出ることを確実にするには、業務 実行で適切な資源が確実に使用又は適用されなければならない。このためにはそのような資源を必要な時に必要なところで使用できるように用意しておくことが必要である。
 
    
(3) 規定要旨
  JIS和訳「プロセス運用」は英文から、品質経営に関連する一連の業務の実行のことであり、簡単には「業務実行」である$8-1。また、同「製品サービスの適合」は規格の文脈では、顧客のニーズと期待を満たす製品サービスを顧客に提供することを指す。条文は「業務実行により製品サービスの適合を図るのに必要なインフラストラクチャを、特定し、用意し、維持しなければならない」である$70-1
 
  組織は、品質経営に関連する業務が効果的に行われるように、それら業務の実行と管理のために必要な物的資源を特定し、必要な場所や場面で使用できるようにする手はずを整え、手はずに則って、必要な物的資源を用意し、それらが所定の機能、性能を発揮できる状態にあるように管理しなければならない。さらに、物的資源の必要性を見直し、必要と判断される物的資源を充足しなければならない(9.3.3 c)項)。
     
 
(4) 実務の視点の解釈
 必要な物的資源が充足されているかどうかは通常、狙いの業務結果が出なかった場合の原因として設備、装置、建物等の機能性能の不足、故障や事故の原因としての機能性能の劣化、他組織より劣る製品品質の背景としての機能性能水準の低さ、製品仕様の範囲拡大の制約となる機能性能範囲などの評価により、判断されている。すべての物的資源について充足管理の責任を、機能組織上及び階層別の役職者の責任権限として明確にしておくことが大切。
     
(5) 改定版品質マニュアル(外部説明用)ひな型←08年版(6.3)と全く同じ
 品質経営適用しない。 部門長は、その管理する又は使用する設備・装置、建物、付帯設備、電算機システム、自動車、通信機器など物的資源の取扱い説明書や仕様書、図面を保管し管理する(7.5.3項)。また、物的資源の機能、性能を維持するために、日常点検及び定期点検を含む必要な管理の方法を『設備管理台帳』に定め、物的資源の故障、性能や機能の不良、又は、その重要な兆候は、異常として記録し、処置を取る。設備管理実績の記録として、故障修理記録、定期点検記録、再発防止対策の記録を保管する(7.5.3項)。
 
  部門長は、管理又は使用する物的資源が必要な業務 結果を確実に出すという観点で問題点を把握し、必要な修理、機能性能の強化、新規導入に関する問題提起を行い、物的資源が必要な能力又は機能を果たすようにする。
     
     
3. 必要な読み替え(規格の意図の正しい理解のために)
資源を提供する → 資源を用意する (単純な誤訳)
     
4. 改訂版の変更点(08年版規定からの変化)
  08年版の主要な物的資源を例示する規定が15年版では記述汎用化のために注記に移されたこと以外は文面のわずかな表現上の変更だけであり、規定の趣旨は08年版6.3項と全く同じ。
     
     
5. 改訂版への移行対応
➀ 品質経営体制の指針として規格を実践する組織
  品質マニュアル記述を含み何も変える必要はない。
② 認証取得の条件として規格を認識し、負荷と効用に不満を持つ組織
 移行を機に、本項が設備一覧表作成の必要の規定とする少なくない組織の誤った認識を正すのがよい。
   
   
6. 公表された改定版解釈
(1) 08年版から変わってないとする解釈
① 08年版とほぼ等価の要求*Q39
② 08年版とほぼ変わらず*Q38
(2) 08年版から変わっているとする解釈
 
   
     
7. 予想される極端な審査要求

    
     
H27.5.5    H27.12.14(2015年版)
禁無断転載  (個人的使用のための複写歓迎)
サニーヒルズ コンサルタント事務所