ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
32  2015年版ISO9001 FDIS発行
-見掛けの変更多数だが趣旨不変の2015年版がほぼ確定
<31e-01-32>
0.1 概要   こちら
   
0.2 *実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応  (英語解釈 抜粋)
 
業務 ⇔プロセス$2; 業務実行 ⇔プロセス$2; 経営管理体制 ⇔マネジメントシステム$19-1;経営代行者 ⇔管理責任者;  
要件
⇔要求事項$1合否判定 ⇔検証;  業務実行の有用性判定 ⇔プロセスの妥当性確認;  規定 ⇔要求事項;  
顧客のニーズと期待
⇔顧客要求事項$1-2-2;  職務能力 ⇔力量$67;  品質経営 ⇔品質マネジメント$19-0;
品質経営体制
⇔品質マネジメントシステム$19-1-1;
   
0.3 付表   2015年版ISO9001 FDIS-DIS―08年版の比較
   
 
 
1. FDIS版の発行
 7月9日に賛否投票が始まったFDIS(最終国際規格原案)版の英語版を入手した。このFDIS版ではDIS版から規定や注記が追加され、規定文章や注記の文章が各所で修正されている。しかし、これから次の段階IS(国際規格)版までは変更は表記上の変更に限られるのが通例であり、また、FDIS版が投票で否決されることはまずあり得ないから、2015年版はこれで決まったと考えることができる。これまでのCD、DIS版の評価の延長線としてFDIS版のDIS版との違いを評価し、2015年版の2008年版から変更点を分析した。
   
 
2. DIS版との違い    付表( 2015年版ISO9001 FDIS-DIS-2004年版の比較)  参照
(2‐1) 全体 - 規定表現の変更だけ
 DISからさらに、条項(8.4項)の標題の変更もあり、多数の規定の追加と記述の修正が規格全体にわたっている。しかし、規格執筆者の想いの08年版からの変更点を表すものと思われる規格書末尾の付属書A(新たな構造、用語、概念の明確化)の中身はDISの同付属書と同じであり、少なくともDISからFDISへの変化においては規格の意図や規定の趣旨に変更のないと考えてよい。
   
(2‐2) 見掛け上の主要な違い
8.4項(外部から供給されるプロセス、製品・サービスの管理)の標題変更と規定表現の大幅変化
  08年版では、業務実行の結果が製品であると「製品」を定義し、「供給者」を供給者→組織→顧客という現実の供給連鎖の基本要素の中の組織にサービスを含む製品を提供するものと位置づけ、供給者と組織間の取引を組織が供給者から製品を受け取るという観点からは「製品の購買」、製品実現業務を供給者に委ねる観点からは「アウトソースする」と呼んで、7.4項(購買)は書かれている。これに対してFDISでは、業務実行の結果が製品であるとする定義が排され、「供給者」を製品・サービスの購入先、関連組織、業務や機能のアウトソース先の3種の形態の「外部提供者」と位置づけている。
 
  記述の変遷は、08年版の用語と論理で書かれた購買管理のあるべき姿としての規定を、この新しい用語と論理でどのように書き直すかという点に関する規格執筆者のその時々の議論を反映した規定文章の変更であるようにみえる。CDからDISで変えられた標題「外部から供給される製品・サービスの管理」が更に「外部から供給されるプロセス、製品・サービスの管理」に変えられ、アウトソース先の管理の方式と程度に関する英文で4行にも及ぶ規定が削除されたことなどは、この典型である。
 
8.3項(製品及びサービスの設計・開発)の規定表現の詳細化
  世界標準の設計開発管理の方法論を基礎とする08年版を根底から覆したCD版の簡略な条項構造と規定がDIS版で08年版の管理要素と規定があらかた復活し、FDISではこの方向でさらに規定や注記が追加されて詳しくなり、08年版と同じような規定に戻った。
 
2項、3項の記述の変化
  3項(用語及び定義)の用語の定義の記述がなくなり、それらがISO9000:2015に規定されているとの記述になった。項(引用規格)にもISO9000:2015が引用規格であると明記された。08年版と同様、ISO9001規格書と共にISO9000規格書を購入することが必要となった。
 
④ 品質マネジメントの原則の項が設置(0.2項)
  序文0.2項(品質マネジメントシステムのISO規格)が変更されて、品質マネジメントの原則の存在を説明する記述になった。
 
 
(3) 規格の意図の解釈に関連する規定表現の変化
  規定や注記の表現が各所で修正されているが、その中には、文言解釈しがちな認証業界の解釈に影響を及ぼす可能性のある規定表現の変更が幾つか見られる。
 
(3‐1) 規定の意図を明確にする規定表現の変更
⑤ 管理責任者の必要性
  08年版のJIS和訳「管理責任者」(正しくは「経営代行者」)に関して、「経営代行者」という役職名は不要だが、その役割を果す責任者を決める必要性には変化がないという規格の意図が明確になった。すなわち、5.3 c)項(組織の役割、責任及び権限)の トップマネジメントへの報告に関する英文がDISの“especially”から“in particular”に変わったことにより、規定の意図が「(他の人にも報告するが)とりわけトップマネジメントには報告する」から「(他の人ではなく)トップマネジメントに報告する」であることが明確になった。但し、JIS和訳はどちらの場合も「特にトップマネジメントに報告する」であるから、文字面解釈には影響しないかもしれない。なお、FDIS付属書A.1は「経営代行者」の機能の必要性を明確に述べている。
 
⑥ プロセス運用に関する環境の意義
  08年版の「作業環境」は15年版では「プロセス運用に関する環境」と呼ばれるが、7.1.4項の注記で、作業環境の意味に関する記述をDISの「物理的、社会的、心理的、環境上及び他の要素(温度、湿度、人間工学、清潔さなど)を含み得る」から更に一歩進めて「社会的、心理的、物理的要因のような人的及び物理的要因の組み合わせ」と変更したことにより、規格の意図の作業環境が汗で手が滑ってミスをするというような物理的な環境だけではなく、人々の職務に対する認識からやる気を醸成するための心理的な環境を意味することが更に明らかになった。
 
⑦ 検査なし出荷でも品質保証が可能
  8. 6項では、製品・サービスのリリースを行う前提条件をCD、DISは「整えた手はずによる適合性の判定が問題なく完了する」こととし、検査なし出荷が認められないとの誤った08年版規格解釈を強化するかの表現となっていたが、FDISで「整えた手はずの実行が問題なく完了する」と08年版の表現に戻された。規格は検査なしで不良品でないことを確実にする手はずのひとつとして「業務実行の有用性判定」を規定している(8.5.1 f)項)。
 
⑧ 検査記録の保存が必要
  DIS(8.7項)の「合否判定への適合の証拠を維持しなければならない」がFDIS(8.6 a)項)ではその証拠としての「文書化した情報を保持しなければならない」と変化した。このことにより08年版での「(4.2.4参照)」の位置の変化を以て検査記録の保管を不要とする今日の認証業界の文字面解釈が誤りであることが明確になった。
 
 
(3‐2) 規格解釈の混乱を助長しかねない規定表現の変更
⑨ 規定「ヒューマンエラーを防止するための処置」「文書化した情報の意図しない改変からの保護」
  8.5.1項(製造及びサービス提供の管理)の「管理された状態」のひとつとしてCDで加わり、DISで削除された「意図しない過ち及び意図的な規則違反のようなヒューマンエラー」の防止の規定が復活した。また、CD、DISになかった「適合の証拠として保持する文書化した情報は、文書化した情報の意図しない改変からの保護」が7.5.3項(文書化した情報の管理)に追加された。どちらも「管理」に係わる多くの基本要素のひとつであり、その一部だけをとりあげて規定化することは規格の規定の性格と記述の原則に照らして問題があり、実務の指針として規格の価値を毀損するだけで何の意味もない規定である。文字面解釈による形式主義の審査では格好の話題となるのであろう。
 
⑩ 「品質パフォーマンス評価」に係わる規定表現の変更
  9.1.1項(監視、測定、分析及び評価)等のDISのJIS和訳「品質パフォーマンス及び品質マネジメントシステムの有効性の評価」が、FDISの「パフォーマンス及び品質マネジメントシステムの有効性の評価」となり、9.3.1項(マネジメント レビューへのインプット)のJIS和訳「インジケーターを含む品質パフォーマンス」は「品質マネジメントシステムのパフォーマンス」に変わった。JIS和訳が英文の意味を必ずしも反映していないこともあり、文字面解釈によるパフォーマンスの改善かシステムの改善かという議論の混乱要因となる可能性が強い。
 
 
4. 2015年版の実体(2004年版からの変化): 付表( 2015年版ISO9001 FDIS-DIS-2004年版の比較) 参照
  わずかの表記上の変更はあってもFDISがこのままIS、つまり、2015年版となるとすると、2008年版からの変化の本質は、共通テキストの採用と製造業の業務手法に由来する方法論の規定の汎用的表現化という改訂作業方針のため、条項構造が大きく変わり、規定の条文の文章や用語、表現が大きく変わっているが、効果的な品質経営であるための必要条件、或いは、効果的な品質経営を行おうとする組織が満たすべき要件は何も変わらないということになる。
 
  ISO9001規格が何を規定しているかを示している規格の適用範囲の両版の記述(1.1/1項)はほとんど一字一句変わっていない。規定の文章の文字面解釈では様々な変更点としてのいわゆる要求事項或いは規格の要求の変化を抽出することが可能であるが、顧客満足の追求によって事業の健全な発展を図ろうとする組織に対する指針として規定の意味するところ、つまり、規格の意図或いは規格の趣旨は、08年版と何も変わっていない。
 
(4‐1) 規格執筆者の見解に基づく改訂評価
  例えば次の公表文書におけるTC176規格執筆者の改訂作業に関する見解では、2015年版には新しい構造、用語、概念が取り入れられて、規定が大きく変化しているが、いずれも規定表現の変更であり、規格の意図や規定の趣旨、つまり、効果的な品質経営であるための要件、或いは、効果的な品質経営を行うために組織が満たすべき要件は何も変化していないことになる。
 
① 改訂方針
  ISO発表の改訂作業方針*1では、①2000年以降の品質経営の手法や技法の変化及び複雑化など事業環境の変化を反映させるというISO規格定期改訂の一般原則と②共通テキストの適用との外、③品質マネジメント8原則は微修正のみ、④汎用規格という性格、狙いの結果を出すことに焦点を当てるという基本は変えない、⑤わかり易い表現にする、という5項目が挙げられていた。②~⑤は基本的に規定表現の変更であるから、①に係わる新規な方法論や手法の規定があれば、それが効果的な品質経営であるための要件の改訂点であるということになる。
 
② CDにおける主要な変更点*2
  CDの規格付属の文書では主要な変更点として6項目が挙げられている。その説明を読んでも、変更と言われるのはいずれもが本質的に記述の変更である。つまり、上記の改訂方針の①に係わる新規な規定はないということである。

主要な変更点

項目

説明

どのような変更かの筆者の考察

a) 規格をより汎用的に、また、サービス産業へより容易化に適用できるように書き直す

「書き直し」だから、正に記述上の変更。

b) 組織の置かれた状況

4.1, 4.2は共通テキストから導入された新条項である。4.2の利害関係者のニーズと期待の要件は08年版を越えるものでない。

品質方針、品質目標の見直し変更の検討のためにマネジメント レビューで評価することが規定されている「品質経営体制に影響を及ぼす可能性のある変化 (5.6.2 f)」に関する情報を決定し分析しなければならないという当然の要件が、共通テキスト化に伴って明示的に規定されるようになっただけ。条項は新規だが、新規な要件の追加ではない。

c) プロセスアプローチ

08年版で推奨したプロセスアプローチの適用の必要を4.4.2としてより明確にした。

「明確にした」だから正に記述上の変更。

d) リスク及び予防処置

リスクを取り扱う4.16.1で「予防処置」の概念を表している。

4.16.1項の「リスク」に係わる規定が08年版の「予防処置」であるとの説明であるから、記述上の変更。

e) 文書化された情報

他のマネジメントシステム規格と揃えるために、08年版の「文書」「記録」を「文書化された情報」に置き換えた。

用語の統一のための用語「文書」「「記録」の「文書化された情報」への置き換えだから、記述上の変更。

f) 商品・サービスの外部

  からの提供の管理

供給者からの購入、関連組織との手はず、組織の業務と機能のアウトソース又はその他の方法のすべての形態の外部からの提供を意味する。

08年版の「供給者」を「外部から提供者」と呼ぶことになったとの説明であるから、用語の変更。

 

③ DIS、FDISにおける主要な変更点
*3
  DISとFDISでは変更点という説明はなく、規格書末尾の付属書Aに「新たな構造、用語及び概念の明確化」と題してどちらの版も同じ8項目を取り上げて同じ説明をしているが、これが規格執筆者の想いにおける08年版からの変更点であると思われる。しかし、これらは次のように、表現上の変更ばかりで、上記の改訂方針の①に係わる新規な方法論や手法ではない。
 

新たな構造、用語、概念の明確化

項目

説明

どのような変更かの筆者の考察

A.1 構造及び用語

15年版の構造(すなわち、条項の順番)といくつかの用語の定義は、他の経営体制 規格と揃えるために、08年版と比較して変わっている。

記述上の変更

A.2 製品及びサービス

08年版ではすべての類別の業務結果(ハードウェア、サービス、ソフトウェア、素材製品)を合わせて「製品」と呼んだが、15年版では「製品及びサービス」を用いる。

呼び方の変更

A.3 利害関係者の ニーズと期待の理解

4.2項は、組織の品質経営体制に関係する利害関係者とそれら利害関係者に関する要件を規定している。品質経営体制に関係ない利害関係者を考慮しなければならないとは規定していない。

08年版の「顧客のニーズ及び期待を決定する」(5.2)と「製品に関連する法令・規制要求事項を決定する」(7.2.1)の言い換え。

A.4 リスクに基づく考え方

リスクに基づく思考の概念は08年版でも、計画、マネジメント レビュー、改善に関する規定によって暗黙に示されていた。

新規な概念ではない。明示的でなかった概念と用語が規定に明示的に用いられるようになっただけ。

A.5 適用可能性

4.2項は、組織がある規定をその品質経営体制の範囲内のどの業務にも適用できないと決めることができる条件を明確にしている。

適用除外は94年版のISO9001,2,33規格の選択制から00年版でISO9001に一本化された時に設けられた旧ISO9002,3適用組織に対する便宜的処置であったが、近年は規格適用の業種の拡がりに伴って新たな概念として明確化する必要が強まっていた。これを明確にしただけ。

A.6  文書化した情報

(上記のCDの主要な変更点と同様の説明)

呼び方の変更

A.7  組織の知識

15年版では、組織が製品及びサービスの適合性を確実に達成するために必要な知識を決めて、維持、充足することに言及している。

必要な知識の充足は、08年版でも、職務能力(6.2)、文書と記録(4.2)、設備(6.3)、マネジメントレビュー(5.6)など知識を体現し又は含蓄する諸媒体の管理の規定の形で明確にされている。これら知識の充足管理の要件を一般的に表しただけ。

A.8  外部から提供されるプロセス、製品  及びサービスの管理

(上記のCDの主要な変更点と同様の説明)

用語と用語の定義も変わっているが、趣旨は08年版の購買管理のことであり、7.4項の書き直しに過ぎない。

 
 
(4‐2) 改訂作業の流れからの改訂評価
  改訂作業の流れに照らすと、まず、共通テキストの導入と規定表現の製造業主体の規定表現の汎用化という改訂作業方針のために規定表現が08年版から大きく変わったCDが作成された。CD版は、効果的な品質経営の指針としてのISO9001規格の意図や規定の趣旨の変更を含まず、大きく変わった規定には用語「リスク及び機会」の乱用など様々な表現上の問題があった。DISにも08年版からの規格の意図と規定の趣旨には変更はなく、全体としては08年版の規定表現に戻るという方向で多数の条項配置や規定表現が修正された。FDISはこの流れのままにDIS文章が変更され、追加されて、更に08年版に近い表現となった。
 
  この改訂作業の流れにおいては、一度消えた表現が復活することを含み同じ規定の文章が二転三転し、一方で論理の整理不十分や言わずもがな表現というCDの問題点はあらかた放置されたままである。結局のところ、改訂作業は共通テキスト化と汎用表現化のために新たに導入した用語や論理の整理が不十分なまま、それらを08年版規定にどのように合わせて表現するかに腐心した規定文章いじりに終始した改訂作業であったということができる。2015年版には用語や規定表現の変更が無数にあり、文面解釈では様々な“規格の要求”の変更が抽出されることになろう。
 
 
(4‐3) 2015年で記述のない2014年版の規定
 

対象

考察

品質マニュアル

品質マニュアルは「品質経営体制を記述する文書」と定義される。これを例えば新規顧客に提出し、或いは、認証審査で使っており、2015年版では「品質経営体制の有効性に必要として組織が決めた文書化された情報」(7.5.1項)であると考えるなら品質マニュアルを維持するのがよい。なお、「文書化された情報」の定義には「文書化された情報には、関連する業務を含む経営体制を表すものがあり得る」との注記#6-2があるが、これは品質マニュアルのことである。

管理責任者

上記(3)(3-1)

予防処置

経営上の予防処置は「リスクと機会への取り組み」という枠組みに移行したと説明されているが、日常業務管理手法としての傾向管理に基づく予防処置(8.4 c))については何ら説明されていない。2015年版にその規定がないということは、規格執筆者の頭の中ではこの管理手法がすべての組織で必要とまでは思えないということである。であれば、この手法を活用している組織が2015年版適合化のためにこの管理を取りやめることは、改訂版規定の意図ではない。

 
 

  付表     2015年版ISO9001 FDIS-DIS―08年版の比較
(1) DISとの違い
同じ(文章も同じ、又は、微修正のみ)
違いあり
 
(2) 08年版からの変化
◆ 条項構造の変化
黒色:08年版と同じ条項
藍色:08年版と同じだが、標題が変わった条項
赤色:08年版には存在しない条項
SL :共通テキストにある条項
◆ 規定の変化
・ほぼ同文 (08年版の文章とほとんど同じ)
書き直し(08年版と比較して規定の文章が変わったが、趣旨や意図は不変)
明示的規定化(規格の論理や他の条項の規定から必要性が明確であった事項が規定として記述されることになっただけで、新規な要件の追加ではない)
新規・変更(規格の意図、規定の趣旨に変更がある)
   
(註) 実務の視点和訳 ⇔JIS和訳
    品質経営 ⇔品質マネジメント; 品質経営体制 ⇔品質マネジメントシステム; 要件 ⇔要求事項$1; 職務能力 ⇔力量

 

FDIS (ISO9001)

DISとの違い

8年版 (JISQ9001)からの変化

序文

序文の書き直し。新項目が追加されたが、いずれも08年版にあった概念の説明である。

 

0.1

一般

0.2

品質マネジメントの原則

()

0.3  プロセスアプローチ

(条項番号変更)

 

0.3.1

一般

0.3.2

PDCAサイクル

0.3.3

リスクに基づく考え方

0.4

他のマネジメントシステムとの両立性

品質マネジメントシステム-要求事項

(標題だけ)

1

適用範囲

1.(適用範囲)書き直し。趣旨不変

2

引用規格

(→③)

2.(引用規格)と同文。

3

用語及び定義

(→③)

3.(用語及び定義)と同文

4  組織の状況                 SL

              

(標題だけ)

4.1

組織及びその状況の理解SL

品質方針、品質目標の見直し変更の検討のためにマネジメント レビューで評価することが規定されている「品質経営体制に影響を及ぼす可能性のある変化 (5.6.2 f)」に関する情報を決定し分析しなければならないという当然の要件が、共通テキスト化に伴って明示的に規定されるようになっただけ。新規な要件の追加ではない。

4.2

利害関係者のニーズ及び期待の理解                 SL

4.3

品質マネジメントシステム適用範囲の決定                   SL

当然に決まっていることで、審査用品質マニュアルには明示することが普通のことが共通テキスト化に伴って明示的に規定されるようになっただけ。

4.4

品質マネジメントシステム 及びそのプロセス                      SL         

4.1(一般要求事項)書き直し

 
 

FDIS (ISO9001)

DIS

との違い

8年版 (JISQ9001)

からの変化

5 リーダーシップ                     SL

5.(経営者の責任)からの変更。  (標題のみ)

5.1  リーダーシップ及びコミットメント       SL

(標題のみ)

5.1.1

一般

(標題変更)

5.1(経営者のコミットメント)書き直し。トップマネジメントが品質経営の統括者であるとの定義は不変であり、その責任は不変。詳しく書いただけ。

5.1.2

顧客重視

5.2(顧客重視)書き直し

5.2  方針                      SL

(標題変更)

(標題のみ)

5.2.1

品質方針の策定

(標題変更)

5.3(品質方針)書き直し

5.2.2

品質方針の伝達

5.3

組織上の役割、責任 及び権限                               SL

(→⑤)

5.5(責任、権限及びコミュニケーション)5.5.1(責任及び権限)5.5.2(管理責任者)書き直し。但し、「管理責任者」という役職者名の指定はなくなった。  

6 計画                           SL

(標題変更)

5.4(計画)  (標題のみ)

6.1

リスク及び機会への取り組み                               SL

マネジメント レビューで内外の事情を評価して取り組むべき課題と処置を決め(5.6.3)、これに取り組むための手はずを整える(5.4.2)ことを、「リスクと機会」という用語を用いて表したもの。つまり、5.6.3(マネジメント レビューからのアウトプット)5.4.2(品質マネジメントシステムの計画 a))書き直したもの。

6.2

品質目標及びそれを達成するための計画策定       SL

6.2.1項は5.4.1(品質目標)書き直し6.2.2項は5.4.2(品質マネジメントシステムの計画 a))の内の実施計画の明示的規定化。

6.3

変更の計画                              

5.4.2.(品質マネジメントシステムの計画 b))書き直し

7. 支援                        SL

                  

(標題だけ)

7.1  資源                      SL

(標題だけ)

7.1.1

一般                  SL

6.1(資源の提供)書き直し

7.1.2

人々

6.2(人的資源)に内在する要員の員数としての管理の要件を一般的表現で明示的に規定したもの。

7.1.3

インフラストラクチャー

6.3(インフラストラクチャー)書き直し

7.1.4

プロセス運用に関する環境

(→⑥)

6.4(作業環境)書き直し

7.1.5  監視及び測定のための資源              

7.6(監視機器及び測定機器の管理)  (標題だけ)

7.1.5.1

一般

(2小条項に分割)

7.6(監視機器及び測定機器の管理)書き直し

7.1.5.2

測定のトレーサビリティ

7.1.6

組織の知識

必要な知識の充足は、職務能力(6.2)、文書と記録(4.2)、設備(6.3)、マネジメントレビュー(5.6)など知識を体現し又は含蓄する諸媒体の管理の規定の形で明確にされている。これら知識の充足管理の要件を一般的な形で明示的に表しただけ。

7.2

力量                  SL

6.2(人的資源)職務能力に関する部分の書き直し

7.3

認識                  SL

6.2(人的資源)の認識に関する部分の書き直し

7.4

コミュニケーション             SL

5.5.3(内部コミュニケーション)を、その関連条項と7.2.3(顧客とのコミュニケーション)7.4.3(購買情報)を合わせた内外情報交換の一般的要件として書き直し

7.5 文書化した情報            SL

4.2(文書化に関する要求事項)  (標題だけ)

7.5.1

一般                  SL

4.2.1(一般)4.2.2(品質マニュアル)4.2.3(文書管理)4.2.4(記録の管理)の規定をSLの条項に再配置し、書き直し

7.5.2

作成及び更新          SL

7.5.3

文書化した情報の管理  SL

 
 

FDIS (ISO9001)

DIS

との違い

8年版 (JISQ9001)

からの変化

8 運用                           SL

7(製品実現)   (標題のみ)

8.1

運用の計画及び管理     SL

7.1(製品実現の計画)書き直し。   

8.2  製品及びサービスの要求事項

(標題変更)

7.2(顧客関連のプロセス)   (標題のみ) 

8.2.1

顧客とのコミュニケーション

7.2.3(顧客とのコミュニケーション)書き直し

8.2.2

製品及びサービスに関する要求事項の明確化

7.2.1(製品に関連する要求事項の明確化)書き直し

8.2.3

製品及びサービスに関連する要求事項のレビュー

7.2.2(製品に関連する要求事項のレビュー)書き直し

 

8.2.4

製品及びサービスに関連する要求事項の変更

(8.2.3から分離)

8.3  製品及びサービスの設計及び開発

7.3(設計・開発)   (標題のみ)

8.3.1

一般

 

(→②)

8.3項全体のPDCAサイクルの規定であり、7.3項規定も含蓄していたものの明示的に規定。

8.3.2

設計・開発の計画

7.3.1(設計・開発の計画)書き直し

8.3.3

設計・開発へのインプット

7.3.2(設計・開発へのインプット)書き直し

8.3.4

設計・開発の管理

7.3.4(設計・開発のレビュー)7.3.5(設計・開発の検証)7.3.6(設計・開発の妥当性確認)書き直し

8.3.5

設計・開発からのアウトプット

7.3.3(設計・開発からのアウトプット)書き直し

8.3.6

設計・開発の変更

7.3.7(設計・開発の変更管理)書き直し

8.4  外部から提供されるプロセス、

製品及びサービスの管理

(標題変更)

7.4(購買)   (標題のみ)

8.4.1

一般                             

 

◎    (→①)

7.4.1(購買プロセス)書き直し

             

8.4.2

管理の方式と程度         

8.4.3

外部供給者に対する情報

7.4.2(購買情報)7.4.3(購買製品の検証)書き直し

8.5 製造及びサービス提供

7.5(製造及びサービス提供)   (標題のみ)

8.5.1

製造及びサービス提供の管理

(→⑨)

7.5.1(製造及びサービス提供の管理)7.5.2(製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認)書き直し

8.5.2

識別及びトレーサビリティ

7.5.3(識別及びトレーサビリティ)書き直し

8.5.3

顧客又は外部提供者

               の所有物

供給者の所有物への組織の不注意が狙いの顧客満足の状態の実現に悪影響を及ぼす事態は容易に思いつかないが、あるなら本項の規定を適用すればよい。実質的に7.5.4(顧客の所有物)書き直し

8.5.4

保存

7.5.5(製品の保存)書き直し

8.5.5

引渡し後の活動 

94年版の4.19(付帯サービス)書き直しであり08年版の7.5.1 f)の「顧客への引渡し後の活動の実施」に係わる要件の、どのような種類の活動にも適用できる形での明示的規定化。

8.5.6

変更の管理

品質マネジメントシステムの計画の変更管理(6.3)に対応する製造及びサービス提供(8.5)の計画の変更管理をこれに特有の表現で明示的に規定したもの。規定の方法論は08年版でも実質的に文書の点検と承認(4.2.3/7.5.2)である。

8.6

製品及びサービスのリリース

(→⑦)

(→⑧)

8.2.4(製品の監視及び測定)の製品及びサービスの検査、出荷に焦点を当てての書き直し。

8.7

不適合なプロセスアウトプット、製品及びサービス

業務の結果が「製品」という定義がなくなった状況で8.3(不適合製品の管理)書き直し。

 
 

FDIS (ISO9001)

DIS

との違い

8年版 (JISQ9001)らの変化

9 パフォーマンス評価                  SL

8 測定、分析及び改善  (標題だけ)

9.1  監視、測定、分析及び評価    SL

9.1.1

一般

(→⑩)

8.1(一般)8.2.3(プロセスの監視及び測定)8.2.4(製品の監視及び測定)書き直し    

9.1.2

顧客満足

8.2.1(顧客満足)書き直し

9.1.3

分析及び評価

8.4(データの分析)書き直し

9.2

内部監査                SL

8.2.2(内部監査)書き直し

9.3

マネジメントレビュー             SL

(3小条項に分割)

5.6(マネジメントレビュー)  (標題だけ)

9.3.1

一般

5.6.1(一般)書き直し

9.3.2

マネジメントレビュー インプット

5.6.2(マネジメントレビューへのインプット)書き直し

9.3.3

マネジメントレビュー アウトプット

5.6.3(マネジメントレビューからのアウトプット)書き直し

10 改善                          SL

8.5(改善)  (標題だけ)

10.1

一般

8.1(一般)の「改善」の部分を抜き出しての書き直し

10.2

不適合及び是正処置      SL

8.3(不適合製品の管理)8.5.2(是正処置)書き直して、ひとつの条項に記述した

10.3

継続的改善              SL

規格の「継続的改善」の意義と方法論の明示的規定化であり、8.5.1(継続的改善)書き直し




*1: ISO中央事務局News, Ref.:1663, 28 August 2012
*2: ISO/CD9001 Introduction to this Committee Draft, 0.3
*3: ISO/FDIS9001:2015 Annex A, Clarification of new structure, terminology and concept
 
H27.7.21(修7.24)
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