ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
33 ISO9001:2015  改定解説    7.5.2   作成及び更新
- 変更点と移行対応 (25) -
<31e-01-33>
 
 
0.1 概要   こちら

   
0.2 *実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応  (英語解釈 抜粋)
 
 品質経営 ⇔品質マネジメント$19-0;
   
   
1. 規定条文 (FDIS英和対訳版JIS和訳、SL共通テキストJIS仮訳又は山田秀・須田晋介私訳、筆者のJIS的和訳)
7.5.2 作成及び更新
  文書化した情報を作成及び更新する際,組織は,次の事項を確実にしなければならない。
 
a) 適切な識別及び記述(例えば,タイトル,日付,作成者,参照番号)
b) 適切な形式(例えば,言語,ソフトウェアの版,図表)及び媒体(例えば,紙,電子媒体)
c) 適切性及び妥当性に関する,適切なレビュー及び承認
 
[08年版 関連規定]
4.2.3  文書管理
品質マネジメントシステムで必要とされる文書は、管理しなければならない。ただし、記録は文の一種ではあるが、4.2.4 に規定する要求事項に従って管理しなければならない。次の活動に必要な管理を規定するために、“文書化された手順”を確立しなければならない。a) 発行前に、適切かどうかの観点から文書を承認する。; b) 文書をレビューする。また、必要に応じて更新し、再承認する。; c) 文書の変更の識別及び現在有効な版の識別を確実にする。
 
 
2. 条項の意図
(1) 主題
 本項は、品質経営 の業務の効果的実行を図る手段として文書と記録が用いられるために必要な、文書と記録の作成、更新に係わる要件を規定している。
   
(2) 論理及び用語
① 文書化した情報§7
  『文書化した情報』とは「組織が管理し維持する必要がある情報及びそれを含む媒体」と定義#6されるから、「情報及びそれを保持する媒体」と定義#6pされている08年版の『文書』そのものである。共通テキス解説FAQ (18)では、近年はデータや文書と記録が電子媒体に保持されていることが多いので用語「文書化した情報」を造語したと説明している。すなわち、「文書化した情報」は08年版の「文書」の共通テキス化に伴う言い換えに過ぎない。
 
  規格の『文書』とは、何かの物理的手段で保持されて、業務に使用する情報のことである。最も普通の文書は情報が紙の上に文章を主体に図表や絵や写真で表現されたものであるが、規格では紙の上でなく電子計算機の画面や投射スクリーン、キャンバス、看板、シールなどに表示された場合も文書である。製品見本や合否限界見本のように、ある物の情報が現物そのもので表される場合はその現物も文書である。電子計算機内ハードディスク、フロッピーディスク、CD、USBメモリも情報を保持している場合は文書である#6p-1。簡単に言えば、業務の情報が人間の頭脳以外に保持されている状態であれば、文書である。
 
② 文書と記録§7.2
  実務においては、文書は業務実行の指示或いは業務実行の方法や基準を示す指示書、手順書のような文書と業務結果或いは物事の実態を表す業務記録、報告書などの記録とも呼ばれる文書とに分けて認識され、使用されている。08年版では「記録」は「文書」の一部であり、「達成した結果を記述した、又は、実施した活動の証拠を提供する文書」である#8p。これ以外の『文書』すなわち狭義の「文書」については、それらを表す総称も、定義もない。
 
  15年版ではすべての文書(広義)が「文書化した情報」と表現されるが、これは共通テキスト採用による表現上の問題であり (11)、業務実行に係わる「文書(狭義)」と業務結果に係わる「記録」という文書類型の概念がなくなった訳ではない。TC176(12)は、15年版では08年版の「文書化された手順」と「記録」とが「文書化した情報を維持する」「文書化した情報を保持する」と言う規定表現によって区別したと説明している。
      
(3) 規定要旨
  組織は、業務情報の文書化の手はずを整え、手はずに則って、品質経営の各業務を体系的で組織的に行なうために必要な情報を文書化し、それら文書化した情報、実務的には文書や記録、を必要に応じて更新しなければならない。この手はずでは、文書や記録及びそれらの作成又は更新に関するa)~c)を決めておかなければならない。
 
  ここに、a)は、どのような文書化した情報であるかを見分けられるようにする識別表示をどうするかであり、b)は、文書や記録の態様をどうするかである。c)のJIS和訳「適切性」「妥当性」は英文に従うと、文書の使用目的に照らして適当$23で十分$24であるかどうかという意味であり、同「レビュー」は問題がないか、変更が必要かどうかの観点から物事を再評価する$22という意味である。従ってc)は、誰がどのようにして文書化した情報の内容が適当で十分であることを確実にするのかということである。
   
(4) 実務の視点の解釈
 内容の評価と判断は、内容が当該業務の狙いの結果が確実に実現できるだけでなく、他の関連業務とも整合し、品質方針及び組織の品質目標(5.2項)を踏まえており、他の分野経営管理の必要も満たし又は悪影響を及ぼさないことを含み、あらゆる要素を考慮して組織として最適なものであるかどうかである。文書の発行を承認するために行う内容の評価検討が規格のJIS和訳「レビュー」である。しかし、記録や決められた手順に基づき作成される文書記録に関しては、評価するにしても誤記入や抜けの点検程度であり、普通は責任者が「レビュー」するまでもない。この種の文書の発行又は記録の提出の責任は当該要員に委ねられて然るべきである。
     
(5) 改定版品質マニュアル(外部説明用)ひな型08年版の書き直し
 すべての文書と記録には、文書体系の文書種別毎、又は、個々の文書と記録別に書式を定める。書式によって文書又は記録がどういうものかがわかるように、また、文書の媒体、記述の形式と記述すべき事項が明確になるようにする。発行又は提出前に承認が必要な文書と記録の書式には、承認の責任者名を明確にした押印欄を設ける。
 
  書式の原本はすべて紙媒体で管理する。対外文書の場合は求められる書式を用いる。
     
     
3. 必要な読み替え(規格の意図の正しい理解のために)
     
     
4. 改訂版の変更点(08年版規定からの変化)
  08年版の4.2.3(文書管理)と4.2.4(記録の管理)の規定を合わせて、文書と記録の区別をなくし、規定を7.5.2項(作成及び更新)と7.5.3項(文書化した情報)に再編成して記述したものであり、規定表現は変わっていても文書と記録の管理の要件としては何も変わっていない。
     
     
5. 改訂版への移行対応
➀ 品質経営体制の指針として規格を実践する組織
 4.2.3(文書管理)と4.2.4(記録の管理)に係わる品質マニュアル記述を再編成して書き直せばよい。
② 認証取得の条件として規格を認識し、負荷と効用に不満を持つ組織
 移行を機会に、文書の作成、更新は、管理者がその職務としての業務結果を確実に出すための手段であるとの観点から、必要な文書の作成、更新を発案し、発行し、必要な結果を出す責任者を明確にするとよい。
   
   
6. 公表された改定版解釈
(1) 08年版から変わってないとする解釈
① 08年版と同じ*Q17
(2) 08年版から変わっているとする解釈
 
   
     
7. 予想される極端な審査要求
① 文書に審査(レビュー)と承認の2種類の押印又は署名欄が必要
    
   

H27.7.27、  2015年版(H28.1.20)
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サニーヒルズ コンサルタント事務所