ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
51 ISO9001:2015 改定解説    
8.4.1 外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理   一般
- 変更点と移行対応 (44) -
<31e-01-51>
 
 
0.1
概要   こちら

   
0.2 *実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応  
 
業務 ⇔プロセス$2; 業務実行 ⇔プロセスの運用$8-1; 顧客のニーズと期待 ⇔顧客要求事項$1-2-2;
  製品サービス ⇔製品及びサービス$8.1;   製品サービスの実現(活動) ⇔製品及びサービスの提供$41.4;
  製品サービス実現の計画 ⇔運用の計画$28-2;   品質経営 ⇔品質マネジメント$19-0;
   
   
1. 規定条文
 8.4 外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理
8.4.1 一般
  組織は、外部から提供されるプロセス、製品及びサービスが、規定要求事項に適合していることを確実にしなければならない。
組織は、次の事項に該当する場合には、外部から提供されるプロセス、製品及びサービスに適用する管理を決定しなければならない。
 
a) 外部提供者からの製品及びサービスが、組織自身の製品及びサービスに組み込むことを意図したものである場合
b) 製品及びサービスが、組織に代わって、外部提供者から直接顧客に提供される場合
c) プロセス又はプロセスの一部が、組織の決定の結果として、外部提供者から提供される場合
 
  組織は、規定要求事項に従ってプロセス又は製品・サービスを提供する外部提供者の能力に基づいて、外部提供者の評価、選択、パフォーマンスの監視、及び、再評価を行うための基準を確立決定し、適用しなければならない。組織は、これらの活動及びその評価によって生じる必要な処置について、文書化した情報を保持しなければならない。

[08年版 関連規定] 7.4.1 購買プロセス
組織は、規定された購買要求事項に、購買製品が適合することを確実にしなければならない。 組織は、供給者が組織の要求事項に従って製品を供給する能力を判断の根拠として、供給者を評価し、選定しなければならない。選定、評価及び再評価の基準を定めなければならない。評価の結果の記録、及び評価によって必要とされた処置があればその記録を維持しなければならない(4.2.4参照)。

 
2. 条項の意図
(1) 主題
 成約又は受注して顧客に引渡す製品サービス を組織の狙いの顧客満足の状態の実現に資するものとするためには、製品サービス実現の計画で決められた通りに製品サービス実現業務を行い、決められた通りの仕様と品質及びその他の事項の製品サービスを顧客に引渡すことが必要である。8.4項は全体として、組織が製品サービス実現の業務を行わないで、その業務を外部に委託し、又は、製品サービスを外部から購入して、それを組織の製品サービスに織込み、或いは、組織の製品サービスの実現の活動の一部として使用する場合の外部供給製品サービスの管理の活動の必要と、その要件を規定している。
 
  本項では、成約又は受注して顧客に引渡す製品サービスが組織の狙いの顧客満足の状態の実現に資するものとするために、外部提供の業務製品サービスが組織の外部提供委託条件(8.4.3項)を満たすことの必要と、これを確実にするための外部提供者の委託条件遵守能力の管理の枠組みに関する要件を規定している。
 
   
(2) 論理及び用語
① 外部提供者§37.3
  一般に事業を行なう組織は、自身では製品サービスの実現の活動を行うことができない、又は、行うことが効率的でない製品サービスを外部から調達して、それらを組織の製品サービスに織込み、或いは、自身の製造又はサービス活動の一部として使用して、付加価値をつけた組織の製品サービスとして顧客に引渡す。外部から製品サービスを調達することは実務的には役務の外注又は製品サービスの購入であるが、購買管理論ではどちらも「購買」であり、規格でも初版以来「製品の購買(purchasing)」であるが、15年版では「外部提供者より業務製品サービスが提供される」と表現される。これは、同一組織内の異なる経営管理体制にある下部組織の間で、或いは、資本的に関連する組織間で品質保証に係わる機能が分担され、「購買」では言い表されない状況が多くなったからと説明されている(12)。この説明では、外部提供者としては、製品の購入先としての供給者、業務のアウトソース先、関連組織が挙げられている。
 
② 購買管理§37.2
  組織の購買活動、購買機能とは一般に、必要なものを、必要とする時に、必要なだけ、適正な価格で購買し、時宜を得て又は適時に入手して必要元に引き渡すこと (81)である。この購買活動を管理する購買管理活動の狙いは、購買製品の適切な品質、所要の数量、必要な納期、適正な価格を確保すること、及び、これを可能とする製品供給能力を有する供給者を確保することであり、近年では供給者の安定供給能力や社会的責任確保能力の確保も購買管理活動の重要な要素となる傾向にある。
 
  規格はこの購買管理活動の意義について、15年版では本項で「外部から提供される業務製品サービスが要件に適合していることを確実にする」、08年版(7.4.1)では「規定された購買条件に、購買製品が適合することを確実にする」と、それぞれ規定されている。すなわち、組織が指定した条件を満たさない購買製品サービスを受入れることのないようにすることであり、組織の想いでない購買製品サービスによって組織の製品サービス実現の業務又は組織の最終製品サービスの品質が悪影響を受けることを通じて、組織の狙いの顧客満足の状態の実現に支障を来すことのないようにすることが目的である。
 
③ 外注と購買§37.1
  日本では購買管理と外注管理という言葉が存在するように、市販品や規格品など供給者が定めた仕様の製品を購入する『購買』と、組織の指定する仕様の製品を供給者に作らせ、購入する『外注』とが区別されてきた。実態的にも、前者は既存の製品の購入であるのに対して、後者は組織の業務の実行を外部委託することである。商取引としても法律上で、購買が民法の売買契約、外注は請負契約にそれぞれ該当する(82)という違いがある。
 
  このように、購買と外注とを区別することには一定の合理性があるが、実務の英語ではどちらも“purchasing”であり、規格でも初版~08年版では「購買(purchasing)」である。日本の購買管理論においても近年は、外注も購買の一態様であるとする取り扱いが拡がっており、「購買」と言う場合は広義の購買を指すことが多くなっている(81)。この場合は、購買を広義の購買と狭義の購買とに区別し、前者の購買は外注を含み、後者は、従来の意味の購買であるとして、論理の整合が図られている。
 
  15年版では、用語「購買管理」の代わりに「外部から提供される業務の管理」と「外部提供者される製品サービスの管理」という表現が用いられている。これは、の表現、呼称の変化は、同一組織内の、しかし独立した経営体制下にある下部組織の間で、或いは、関連組織間で品質保証に係わる機能が分担され、「外注」と「購買」では言い表されない状況が多くなったからと説明されている(12)。業務の結果が製品であるとする規格の伝統的な「製品」の定義#13pの変更に伴い、それまでの外注した役務としての業務の結果も購買製品であるという表現が出来なくなったためであり、「業務をアウトソースする」「供給者から購買する」という(12)、それぞれ外注と購買を区別する従来の日本の購買管理の概念に似た表現が用いられることになった。
 
④ アウトソース§37.1
  アウトソース(outsourcing)という言葉は、伝統的労働慣行に悩む1980年代初頭の米国製造業が、「製造作業を組織の外部、特に、外国の組織又は労働組合を持たない組織に下請負契約すること」を表す用語として創出された(102)。 これが1990年代の定義では「ソフトウェア開発など、本来は組織が自身の要員に実行させるべき業務を他の企業に対価を支払って委託すること」となっている(119)。これは、当時の米国で発展した ソフトウェア作成や コンピューターシステムの保守の専門業者への委託を始めとする新しい外注形態を反映したものである。
 
  この外注形態は、従来の外注が工場や建設現場の作業が中心で労働力購入の意味合いが強いのに対して、専門的、知識集約的な管理業務や事務所業務が供給者に委ねられ、組織にない高度な知識や専門性を持って供給者の業務実行に主導権を持つという点で、従来型の外注に対する違いが顕著であった。同時に、供給者が組織の全般的統制の下に加工や組立などの組織の製造業務を独立して分担するというようなアウトソース型外注への変化も進んだ。この中から組織の製品の電子機器の生産を専門に受託する組織に進化したEMS(Electronics Manufacturing Service)生産方式など、組織が製造設備を持たない ファブレス(fabless)の枠組みにまで発展することになる。他組織に作らせた製品に組織の商標を付けて販売するOEM (Original Equipment Manufacturer)や、計算機システムシステムの開発においてその要素システムの開発を海外の供給者に委託する オフショア開発(Offshore Development)や、国内に工場を持たず生産を海外子会社に委ねる方式など、供給者主導の様々な外注態様が拡がっている。
 
  この結果、今日では「アウトソース」 という言葉は一般辞書にも登場し、「組織外の誰かに仕事をさせる、又は、組織に物品、サービスを提供させる枠組みを整える」や(101)「~を外部委託、又は、外部調達する」を意味するようになった(109)。すなわち、今や「アウトソース」は、従来型の外注や下請けをも包含した業務委託全般を指し、かつ、物品やサービスの購買をも含む概念の用語であり、購買管理論の「購買」と同じことである。しかし、「下請負に出す」や「外注」と同様に、役務の結果を受け取るという前提で組織の業務たる役務を供給者に委ねているという観点で購買活動を表す場合に用いられることもある。
 
  規格でも94年版の「下請負契約する」が00年版では「業務をアウトソースする」という表現に変わった。これについてTC176指針(6)は、用語「下請負契約(subcontract)」と「アウトソース(outsource) 」とは相互に置き換えて用いる事が出来るし、同じ意味であると、市場の実態と用語の「下請負」から「アウトソース」への変化を反映した用語の変化であることを明確にしている。15年版では「アウトソース」は「外部提供者が組織の機能の一部を実施するという取り決めをすること」と定義#57される。JISは「外部委託」と和訳しており、購買活動の総称としてではなく、「製品サービスの購買」に対する「業務の外部委託」という意味で用いられている。
 
    
(3) 規定要旨
 製品サービス実現の計画 (8.1項)で顧客のニーズと期待に適うとして決めた仕様と品質及びその他の必要事項の製品サービスを確実に実現し顧客に引き渡すためには、外部提供者に委ねたa)~c)の業務 が組織の決めた委託条件(8.4.3項)を満たして行われ、外部提供の製品サービスが委託条件(同上)を満たしたものであることが必要である。組織はこれを確実にするための外部提供の業務及び製品サービスの管理の手はずを整え、手はずに則って外部提供者の業務実行と外部提供者から受け入れる製品サービスを管理しなければならない。
 
  この管理の手はずには、外部提供者が委託条件を確実に満たす業務実行管理能力を持っていることを確実にするよう、外部提供者を選定し、その業務実行管理能力の実績を監視し評価する手はず(9.1.3項)を含めなければならず、手はずに則って供給者の能力を管理し、その記録を保持しなければならない。
 
 
(4) 実務の視点の解釈
 業務の委託と表現されても委託先に期待するのは、指定した手順の通りに業務が行われることではなく、その結果としての組織の想いの仕様と品質及びその他の事項を満たす製品サービスがつくられ又は生み出されることである。対面業務の例えば商品説明サービス活動の委託でも同じであり、組織は説明マニュアルを渡し、言葉遣いを含み要員の応答方法を指定するが、求めるのは説明業務が商品への顧客の満足に繋がるように顧客の必要にきちっと応えるという結果の質であり、説明業務の結果は規格ではサービスという名の製品である。外注も購買でも、組織が供給者に求めるのは、供給者の業務の結果で組織が受け取る有形無形のもの、つまり、製品サービスが組織の想いの通りのものである。外注や購買で供給者の業務実行に対して条件を付けることがあるのは、組織が受け取る製品サービスが想いの通りであることを確実にするために必要であるからである。
     
(5) 改定版品質マニュアル(外部説明用)ひな型   ← 08年版の7.4.1項の記述を8.4.1と8.4.2項に分割記述
 最終製品の出来ばえに影響する購買品には、仕様と品質及び業務実行に関する必要条件(8.4.3項)を明確にし、この必要条件を満たす購買品のみを受け入れる。このために、購買管理要領書に基づいて購買先と購買品を管理する。
 
  購買品の購買先を決める場合は、指定の仕様と品質及びその他必要事項の購買品を間違いなく供給する能力のあることを、購買先選定基準書に則って評価し判断する。定常的な取引関係にある購買先については、購買先管理基準に従って、各購買先の品質実績に基づいて年度末に定期的に評価し、購買条件を満たす購買サービスが確実に提供されるように必要な処置をとる。
 
  営業部門は月次の代理店交流会を主宰して、代理店の営業活動に係わる問題検討と、代理店経由で販売する製品の顧客満足に係わる情報交換を行う。
     
     
3. 必要な読み替え(規格の意図の正しい理解のために)
     
     
4. 改訂版の変更点(08年版規定からの変化)
  08年版の購買、購買製品、供給者という表現が「外部からの提供」「プロセス、製品、サービス」「外部提供者」に変わっただけで、7.4.1項の規定と趣旨は、管理の方式と程度の規定が8.4.2項に独立したことを除き、全く同じであり、文章もほとんど変わっていない。
     
     
5. 改訂版への移行対応
➀ 品質経営体制の指針として規格を実践する組織
  品質マニュアル記述を分割するだけで、何も変える必要ない。
② 認証取得の条件として規格を認識し、負荷と効用に不満を持つ組織
 同上。
   
   
6. 公表された改定版解釈
(1) 08年版から変わってないとする解釈
① 外部から提供されるあらゆる形態が対象となる*Q35
② 再評価で実施の“パフォーマンスの監視”が明記された*Q36
(2) 08年版から変わっているとする解釈
 
   
     
7. 予想される極端な審査要求

    
     
H27.10.30
禁無断転載  (個人的使用のための複写歓迎)
サニーヒルズ コンサルタント事務所