ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
69 ISO9001:2015 改定解説    5.2.2   品質方針の伝達
- 変更点と移行対応 (61) -
<31e-01-69>
 
 
0.1
概要   こちら

   
0.2 *実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応  (英語解釈 抜粋)
 
実績評価 ⇔パフォーマンス評価$31;   製品サービス ⇔製品及びサービス$8.1;   製品サービスの実現 ⇔運用$8;
   品質経営 ⇔品質マネジメント$19-0;   品質経営体制の計画 ⇔品質マネジメントシステムの計画$19-1-1;
 
   
1. 規定条文
5.2.2 品質方針の伝達
品質方針は、次に示す事項を満たさなければならない。
 
a) 文書化した情報として利用可能な状態にされ、維持される。
b) 組織内に伝達され、理解され、適用される。
c) 必要に応じて、密接に関連する利害関係者が入手可能である。
事項に取り組む必要のあるリスク及び機会を決定しなければならない。
 
[08年版 関連規定]
5.3 品質方針
トップマネジメントは、品質方針について、次の事項を確実にしなければならない。 d) 組織全体に伝達され、理解される。;
4.2.1 文書化に関する要求事項 一般
品質マネジメントシステムの文書には、次の事項を含めなければならない。; a) 文書化した、品質方針及び品質目標の表明
   
 
2. 条項の意図
(1) 趣意
  本項は、あるべき顧客満足の状態に関する経営戦略を表す品質方針(5.2.1項)が、品質経営の業務実行の指針として組織の業務で活用されるよう、品質方針を取り扱うための要件を規定している。
   
(2) 論理及び用語
② 品質方針§3
  規格では マネジメントサイクル§33を、品質方針及び組織の品質目標(5.2項)―品質経営体制の計画(6.1項) ―製品サービス実現 (8章) ―実績評価(9.1項) ―マネジメントレビュー(9.3項)から成るPDCA/プロセスアプローチ サイクルとして表している。品質方針は組織の経営方針§35.5の一部であり、顧客満足追求に関する組織の経営戦略§35.2を表わす。顧客満足§10.1とは不良品を出さないことを含み、顧客に製品サービスを買ってもらう又は取引を続けてもらうために顧客に抱いてもらう必要がある組織と製品サービスに対する好感、満足感、安心感、信頼感等の状態や程度のことである。
 
  品質方針は、どのような製品サービス、どのような対応が期待できる組織として顧客の目に映らなければならないかということについてのトップマネジメントの想いと認識を反映したものである。品質方針は品質経営の業務実行に関する指針として、或いは、要員の行動規範として機能する。
 
  実務的には、顧客満足の追求に関して究極的にどのような組織であることを目指すのかの経営基本方針としての品質方針と、中、短期或いは年度の組織の事業収益の確保の必要のために実現すべき具体的な顧客満足の状態に関する経営実行方針としての品質方針があるが、規格の規定では両者を明確に区別して記述されていない。
 
  また、94年版では品質目標を含む品質方針には品質目標を含むと規定され(4.1.1項)、00年版指針規格(131)ではトップマネジメントの役割として「品質方針及び品質目標の設定と維持」が明記されているように、顧客満足の状態の狙いの到達点を表す組織の品質目標は品質方針と一体である。規格では、品質方針と一体で品質経営の業績目標である「品質目標」(5.2項)と、その実現のための各業務の業務目標としての「品質目標」(6.2項)が区別されずに記述されている。
 

② 文書化した情報§7
 『文書化した情報』とは「組織が管理し維持する必要がある情報及びそれを含む媒体」と定義#6されるから、「情報及びそれを保持する媒体」と定義#6pされている08年版の『文書』そのものである。共通テキス解説FAQ (18)では、近年はデータや文書と記録が電子媒体に保持されていることが多いので用語「文書化した情報」を造語したと説明している。すなわち、「文書化した情報」は08年版の「文書」の共通テキス化に伴う言い換えに過ぎない。
 
  規格の『文書』とは、何かの物理的手段で保持されて、業務に使用する情報のことである。最も普通の文書は情報が紙の上に文章を主体に図表や絵や写真で表現されたものであるが、規格では紙の上でなく電子計算機の画面や投射スクリーン、キャンバス、看板、シールなどに表示された場合も文書である。製品見本や合否限界見本のように、ある物の情報が現物そのもので表される場合はその現物も文書である。電子計算機内ハードディスク、フロッピーディスク、CD、USBメモリも情報を保持している場合は文書である#6p-1。簡単に言えば、業務の情報が人間の頭脳以外に保持されている状態であれば、文書である。
 
 
(3) 規定要旨
  品質経営の業務に関係するすべての要員が、品質方針を職務(5.3項)に応じて必要な程度に理解し、業務実行に活用しなければならない。トップマネジメントは、これを確実にする手はずを整え、手はずに則って品質方針を文書化し、要員が品質方針を理解し、品質方針を業務指針として品質経営の業務が効果的に行われる状況を維持しなければならない。
 
  また、利害関係者に品質方針が知られることができる手はずを整え、組織の狙いの顧客満足の状態の実現に必要、或いは、効果的な場合には、手はずに則って利害関係者に知らせなければならない。
 
(4) 実務の視点の解釈
  経営戦略としての品質方針は、社是、理念、基本方針の形で他の経営戦略と合わせて文書化する。基本方針は、過去の年度実行方針等の実績の積み重ねの結果で、より具体的な業務指針として組織内の共通認識となっている狙いの顧客満足の状態は、業務の手順や管理基準の形で実質的に文書化されている。年度実行方針としての品質方針は、組織の年度方針の一部として文書化し、組織内の情報連絡体制に従って要員に知らされ、要員の必要な理解が図られる。
     
   
(5) 改定版品質マニュアル(外部説明用)ひな型←実態を規定に沿って記述
  顧客満足追求に関する経営戦略は品質基本方針として文書化する。
年度品質方針とその実現のための重点的取組み事項は、年度会社方針と年度会社重点取り組み事項の中に含めて年度会社方針書の中に文書化する。方針書を社内に掲示し、また、所定の情報連絡体制(7.4項)を通じて、全要員にそれぞれ必要な程度に理解されるよう伝達する。トップマネジメントが年度品質方針を発表する場合は、その意義と背景を合わせて説明する。
 
  品質方針を外部利害関係者に説明する必要のある場合は、品質基本方針を基礎として個々に説明書を作成する。
   
     
3. 必要な読み替え(規格の意図の正しい理解のために)
― 
   
     
4. 改訂版の変更点(08年版規定からの変化)
  品質方針の文書化と要員の理解に関する規定は08年版(4.2.1, 5.3)にもあり、表現の違いだけ。利害関係者への伝達は新規な規定だが、実務ではあったことであり、規定に特別な意図が籠められているということでもない。
     
     
5. 改訂版への移行対応
➀ 品質経営体制の指針として規格を実践する組織
 品質マニュアル記述を分割、移動するだけで何も変えることはない。
② 認証取得の条件として規格を認識し、負荷と効用に不満を持つ組織
 同上。
   
   
6. 公表された改定版解釈
(1) 08年版から変わってないとする解釈

(2) 08年版から変わっているとする解釈
① 利害関係者が入手できる、文書化された情報であることに関する幾つかの追加要求事項がある*Q22
② 「利害関係者が入手できること」が追加された*Q38
 
   
     
7. 予想される極端な審査要求

    

H26.12.7(修H27.3.12)   H27.11.27(2015年版)  修(11.28)
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サニーヒルズ コンサルタント事務所