ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
72 ISO9001:2015 改定解説        9.3.1  マネジメント レビュー   一般
- 変更点と移行対応 (64) -
<31e-01-72>
 
 
0.1 概要   こちら
   
0.2 *実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応  
 
経営管理 ⇔マネジメント$19;    製品サービス ⇔製品及びサービス$8.1;  
  製品サービスの実現(活動) ⇔製品及びサービスの提供$41.4;   品質経営(活動) ⇔
品質マネジメント$19-0;
  品質経営体制 ⇔
品質マネジメントシステム$19-1-1;    品質経営体制の計画 ⇔品質マネジメントシステムの計画$19-1-1;
      
   
1. 規定条文
9.3  マネジメント レビュー
9.3.1  一般
トップマネジメントは,組織の品質マネジメントシステムが,引き続き,適切,妥当,かつ有効で更に組織の戦略的な方向性と一致していることを確実にするために,あらかじめ定めた間隔で,品質マネジメントシステムを レビューしなければならない。
 
[08年版 関連規定]
5.6 マネジメント レビュー
5.6.1 一般
  トップマネジメントは、組織の品質マネジメントシステムが、引き続き、適切、妥当かつ有効であることを確実にするために、あらかじめ定められた間隔で品質マネジメントシステムを レビューしなければならない。このレビューでは、品質マネジメントシステムの改善の機会の評価、並びに品質方針及び品質目標を含む品質マネジメントシステムの変更の必要性の評価も行わなければならない。マネジメント レビューの結果の記録は、維持しなければならない(4.2.4参照)。製品要求事項への適合に影響がある仕事に従事する要員は、適切な教育、訓練、技能及び経験を判断の根拠として力量がなければならない。
   
 
2. 条項の意図
(1) 趣意
  規格は、製品サービスの顧客満足§10の追求により組織の永続的な存続発展を図る品質経営§2.1の在り方を規定している。その基本要件は、あるべき顧客満足の状態に関する経営戦略§35.2を時代の変化に応じて適切に変更し、それを確実に実現させるという循環的活動§33として品質経営活動を行うことであり、規格の規定はこれを、品質経営製品サービス実現との2種類のプロセスアプローチ/PDCAサイクル§43.2の形で記述している。
 
  マネジメントレビューは、狙いの顧客満足の状態の確実な実現を図るマネジメントサイクル§33に倣った品質経営のプロセスアプローチ/PDCAサイクルの中核となる活動であり、顧客満足追求に係わる時代の変化を把握して、変化に対応するために品質経営の戦略の変更を含む品質経営の手はずの変更と必要な処置を決めるために、あるサイクルと次のサイクルとの間でトップマネジメントが行う活動である。
 
  本項は、組織を無限持続体として存続発展させるよう方向づけるというマネジメントレビューの意義を明確にし、その定期的な実行の必要を規定している。
   
(2) 論理及び用語
① マネジメントサイクル§33
  経営論では経営管理は事業組織を無限持続体として存続発展させる活動であり、組織を取り巻く外部環境に組織の有する潜在能力を適応させながら創業の目的を達成していく過程であるとされる。この過程は、経営戦略を策定し、その実現のための業務の手はずを整え、業務実行を管理して戦略の実現を図り、さらに変化する内外の事情に応じて戦略を見直し変更するという循環的活動として認識され、これにより時代に応じた経営戦略を常に維持することができると考えられる。この循環的活動はマネジメントサイクルと呼ばれ、様々な研究者により論理づけられている。
 
  規格はこれを、顧客満足の追求に関する経営戦略としての品質方針及び組織の品質目標(5.2.1項)の見直し変更を核とする、プロセスアプローチ/PDCAサイクルの循環的活動として表し、この繰り返しによって、いつの時代でも必要な狙いの顧客満足の状態を維持することができるとして書かれている。
 
② マネジメントレビュー§6
  一般的な経営用語には「マネジメントレビュー」は存在せず、その英文“management review”は“management”が「経営管理」の意味であるから、経営管理活動の過去を振り返って見直すことを意味する$22-1。規格のマネジメントレビューは、品質経営活動の実績たる顧客満足の状態の実現の程度(9.1.2項)を、その狙いの顧客満足の状態に照らして評価して品質経営活動の業績を確定するために、過去の一定期間の品質経営活動の実績を見直すことを意味する。
 
  マネジメントレビューは、品質経営活動の成果としての顧客満足追求に係わる業績目標の達成度を評価し判断する活動であるが、その目的は当該期間の業績を確定することだけでなく、この業績の達成に関係した業務実行の能力の実態を明らかにし、さらに、顧客満足追求に影響を及ぼした、或いは、その可能性が見込まれる組織の内外の現実及び潜在的な事情(4.1/ 4.2項)を把握し、これらに基づいて次の期間に重点的に取り組む課題と必要な経営施策(6.1項)を決めることにある。
 
  これは、実務的には、一般に1年を単位とする組織の経営管理活動の期末に行なわれる決算である。品質経営活動の決算は年度の業績目標たる狙いの顧客満足の状態の実現の程度を確定し、次年度の業績目標としての狙いの顧客満足の状態を決めるために行なわれる。すなわち、規格の品質経営のプロセスアプローチ/PDCAサイクルでは、管理/Cであり、その結論は継続的改善/Aに相当する活動である。
 
  すなわち、マネジメントレビューによって当該期間の品質経営の実績を確定し、同時に顧客満足追求に影響を及ぼす内外の変化を評価し把握して、引き続く組織の存続発展の観点から対応すべき経営課題を抽出し、課題取り組みのために品質方針及び組織の品質目標(5.2.1項)の変更をも含んで必要な経営施策たる処置(9.3.3項)を決め、これを次の期間の品質方針及び組織の品質目標に反映させて、品質経営体制の計画(6.1項)によりそれら処置の実行の手はずを、関連する業務の狙いとしての品質目標 (6.2項)の達成の手はずという形で整える。日常の業務実行では、各業務が手はずで決められた通りに行われ、決められた通りの結果が出るように管理して(9.1.1項)、狙いの顧客満足の状態の確実な実現を図り、さらに、これら実績を時代の変化と共にその期間の末のマネジメントレビューで評価する。
 
  マネジメントレビューは、経営論におけるマネジメントサイクルの組織目的の達成度評価と次のサイクルのための経営戦略見直しを行うことに相当し、顧客満足追求の観点から組織の永続的な存続発展を図る品質経営活動において、経営戦略たる顧客満足の状態の狙いを表す品質方針及び組織の品質目標を常に時代に合ったものに維持することが目的である。規格はこれをJIS和訳「組織の品質マネジメントシステムが,引き続き,適切,妥当,かつ有効で更に組織の戦略的な方向性と一致していることを確実にする」と表現している。
 
③ 品質マネジメントシステム§2
  JIS和訳「品質マネジメント」の英文は“quality management”であり、“品質に関する経営管理の意味の「品質経営」である#19-0である。ここに、規格では品質は顧客満足を意味するから(2)、規格の品質経営とは、組織の経営管理活動のひとつの側面、或いは、一部としての顧客満足の追求に係わる経営管理の活動である。
 
  JIS和訳「システム」の英文は“system”であり、「結びつけられている、或いは、一緒に機能している一連の物事や装置の部品など」の意味(101)であり、規格では「相互に関連する又は相互に作用する要素の集まり」と定義される#20。日本語では体制、体系、枠組みである#3から、JIS和訳「品質マネジメントシステム」とは、それに則って品質経営の活動が行なわれるように整えられた品質経営の体制のことである。
 
   この品質経営体制は、組織の全体の経営管理体制の中の品質経営に係わる部分のことであり、組織の経営管理体制に融合して含まれる顧客満足の追求に必要な一連の要素の集まりを指す。品質経営体制の要素とは実務的には、品質経営のための組織構造、要員の責任分担、業務手順、用いる文書、使用設備、情報伝達手段などであるが、 規格のプロセスアプローチ/PDCAサイクルの概念では、この要素を顧客満足の追求に関連する一連の業務とし、品質経営に必要な、相互に関係する業務と業務実行の手はずの有機的集合体と見做される。
 
  規格の規定は、組織が必要な顧客満足の状態の実現に向けて品質経営の活動を効果的に行うための要件を示しているが、規格の規定は品質経営をどのように行うのかではなく、品質経営体制がどのようでなければならないかという形で表されている。
 
      
(3) 規定要旨
  組織は、9.3.2項と9.3.3項の要件を満たす マネジメントレビューの活動の手はずを整え、トップマネジメントは手はずに則って決められた必要な間隔で、9.3.2項に規定の品質経営活動の実績を評価、検討し、引き続く組織の存続発展を図るために必要な9.3.3項に規定の事項を含む結論を出さなければならない。
 
 
(4) 実務の視点の解釈
  日常業務管理は業務が所定の通りに実行され所定の結果を出すことを確実することが目的であり、問題があれば結果の修正、又は、以降の業務実行が所定の通りとなるよう再発防止対策がとられる。しかし、本当の目的はそれによって組織の業績目標、規格の品質経営活動では狙いの顧客満足の状態の実現を確実なものとすることであるから、日常業務の監視と再発防止対策はそれで業績目標が達成できるかどうかの見通しと判断が基礎となる。
 
  一般に期末には業績目標の達成状況を直接的に評価し、業績を確定する。同時に、その達成結果に影響を与えた要因としての関係業務の実績を日常業務管理の当該期間全体の結果の形で評価する。評価の結果で抽出された問題は、組織の業務実行能力の問題として評価検討する。
 
  さらに、確定した業績と抽出した業務実行上の問題点を基礎とし、変化する組織の内外の事情に鑑みて、また、収益で表される組織全体の業績目標を支える観点を合わせて、次期の業績目標とその達成のための手段としての方針や目標、経営施策を必要に応じて決める。基本方針としての品質方針を変えるようなことは滅多にあるものではないから、これらは通常は実行方針としての品質方針及び品質目標と重点取り組み事項として表される。
     
   
(5) 改定版品質マニュアル(外部説明用)ひな型← 08年版の5.6.1項のままでよい
 トップマネジメントは、毎期末に期末業績検討会を主宰し、品質基本方針と年度品質方針(5.2.1項)に表された顧客満足追求に係わる業績目標の達成度を評価、判断し、これに関連する品質経営の業務能力の実態を評価して問題点を抽出し、また、変化する外部環境と業務能力に係わる事情(4.1、4.2項)を評価し、対応すべき課題を抽出する。
     
     
3. 必要な読み替え(規格の意図の正しい理解のために)

   
     
4. 改訂版の変更点(08年版規定からの変化)
   共通テキスト化により単一条項となったのを、08年版と同じ3つの二次条項に分けて記述されており、この外形もマネジメントレビューの意図もその規定の趣旨も変わっていない。
     
     
5. 改訂版への移行対応
➀ 品質経営体制の指針として規格を実践する組織
  何も変えることはない。
② 認証取得の条件として規格を認識し、負荷と効用に不満を持つ組織
 トップマネジメントには、組織の収益目標の達成のためにどのような顧客満足の状態を実現させなければならないかの想いがあり、それが実現するように人や設備を配置し、それが実現するのかどうかの観点で製品の品質水準や業務実行の出来ばえに関心を持ち、問題を指摘し必要な対策を指示している。トップマネジメントが行なっているこのような顧客満足追求の管理の中の業績評価と新業績目標決定の枠組みを本項規定に照らして整理すればよい。
   
   
6. 公表された改定版解釈
(1) 08年版から変わってないとする解釈
① 08年版の5.6に対応:Q5
② 品質マネジメントシステムの変更の推進、改善の優先事項を指揮するトップマネジメントの役割を踏まえた要求事項が構成されている*Q39
③ 趣旨は不変。アウトプット項目が変わり、より経営的な視点の意思決定が求められている*Q36。

 
(2) 08年版から変わっているとする解釈
 
   
     
7. 予想される極端な審査要求
    
     
H27.1.21(修3.12)  H27.12.19(2015年版)
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サニーヒルズ コンサルタント事務所