ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
74 ISO9001:2015 改定解説        9.3.3 マネジメント レビューからのアウトプット
- 変更点と移行対応 (64) -
<31e-01-74>
 
 
0.1 概要   こちら
   
0.2 *実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応  
 
業務 ⇔プロセス$2;   業務実行 ⇔プロセス$2;   事情 ⇔課題$65;
  所期の結果 ⇔意図した結果#1 ;   入力 ⇔インプット#1 ;  品質経営(活動) ⇔品質マネジメント$19-0;   要件 ⇔要求事項$1
       
   
1. 規定条文
9.3.3  マネジメント レビューからのアウトプット
マネジメントレビューからのアウトプットには,次の事項に関する決定及び処置を含めなければならない。
 
a) 改善の機会
b) 品質マネジメントシステムのあらゆる変更の必要性
b) 資源の必要性
 
組織は,マネジメントレビューの結果の証拠として,文書化された情報を保持しなければならない。
 
トップマネジメントは,組織の品質マネジメントシステムが,引き続き,適切,妥当,かつ有効で更に組織の戦略的な方向性と一致していることを確実にするために,あらかじめ定めた間隔で,品質マネジメントシステムを レビューしなければならない。 
 
[08年版 関連規定]
5.6.3 マネジメント レビューからのアウトプット
マネジメントレビューからのアウトプットには、次の事項に関する決定及び処置すべてを含めなければならない。
a) 品質マネジメントシステム及びそのプロセスの有効性の改善; b) 顧客要求事項にかかわる、製品の改善; c) 資源の必要性
     
 
2. 条項の意図
(1) 趣意
  本項は、品質経営の実績評価(9.3.2項)の結果として、組織を無限持続体として存続発展させるよう方向づけるという観点でトップマネジメントが出す結論に関する要件を規定している。
   
(2) 論理及び用語
① マネジメントレビュー§6
  一般的な経営用語には「マネジメントレビュー」は存在せず、規格のマネジメントレビューは、品質経営活動の実績たる顧客満足の状態の実現の程度(9.1.2項)を、その狙いの顧客満足の状態に照らして評価して品質経営活動の業績を確定するために、過去の一定期間の品質経営活動の実績を見直すことを意味する。
 
  マネジメントレビューは、品質経営活動の実績としての狙いの顧客満足の状態の達成度を評価し判断する活動であるが、その目的は当該期間の業績を確定することだけでなく、この業績の達成に関係した業務実行の能力の実態を明らかにし、さらに、顧客満足追求に影響を及ぼした、或いは、その可能性が見込まれる組織の内外の現実の及び潜在的な事情(4.1/ 4.2項)を把握し、これらに基づいて次の期間の狙いの顧客満足の状態とその実現に必要な経営施策(6.1項)を決めることにある。すなわち、経営論のマネジメントサイクルにおける組織目的の達成度評価と次のサイクルのための経営戦略見直しを行うことに相当する。
 
  マネジメントレビューは、実務的には、一般に1年を単位とする組織の経営管理活動の期末に行なわれている実績の総括活動であり、貨幣的実績の場合は「決算」と呼ばれる。規格の品質経営活動の決算では、当該年度の品質経営の実績と問題点を体系的に評価し、結論として次年度の品質方針及び組織の品質目標(5.2.1項)と、その実現のための取り組みを決める。評価すべき品質経営の実績がJIS和訳「マネジメントレビューへのインプット」、結論が同「マネジメントレビューからのアウトプット」である。このような品質方針及び組織の品質目標の見直し変更とその確実な実現の繰り返しにより、常に時代に合った顧客満足の状態を維持し、組織の永続的な存続発展を確かなものとする。規格は、このようなマネジメントレビューによる品質方針及び組織の品質目標の定期的な見直しの意義を、JIS和訳「組織の品質マネジメントシステムが,引き続き,適切,妥当,かつ有効で更に組織の戦略的な方向性と一致していることを確実にする」ことと表現している。
 
② マネジメントレビューからのアウトプット§9
  規格ではマネジメント レビュー も品質経営体制に必要な業務(4.4.1)項)であり、「業務」は「入力を使用して所期の結果を生み出す相互に関連する又は作用する一連の活動」と定義されるから#1、マネジメント レビューは「入力」たる品質経営の実績の情報(9.3.2項)を使用して、「所期の結果」たる結論を生み出す活動であると表される。JIS和訳「アウトプット」は「業務実行の結果」と定義されるから#39、「マネジメントレビューからのアウトプット」とは マネジメントレビュー活動の実行の所期の結果として結論のことである。
 
  マネジメントレビューの目的は、無限持続体として組織を維持発展させるために顧客満足の狙いと業務実行を方向づけることであるから、マネジメントレビューの所期の結果としての結論は、次期の狙いの顧客満足を表す品質方針及び組織の品質目標 (5.2.1項)と、その実現に必要な現状改善の経営施策でなければならない。
 
  マネジメントレビューで使用する入力は「マネジメントレビューへの入力」であり(9.3.2項)、これを評価する過程は「4.1に規定する事情及び4.2に規定する要件を考慮して、取り組む必要のあるリスク及び機会を決定する」であり(6.1.1項)、マネジメントレビューの結論は「リスク及び機会に取り組む処置」である(6.1.2項)。
 
      
(3) 規定要旨
  トップマネジメントは、マネジメントレビューによって、引き続く必要な顧客満足の状態の維持のために取り組むことが必要な課題を抽出し、そのためにとるべき経営施策を決めなければならない。この結論が組織の方向づけるものとして効果的であるためには、判断と決定は次のa)~c)の観点が含まれていなければならない。 ここに、a)は顕在又は潜在の問題への取り組みであり、b)は、品質方針及び組織の品質目標の変更を含む品質経営の業務実行の手はずの変更であり、c)は、資源の充足である。
 
  マネジメントレビューの記録は、組織の品質経営の歴史を表すものとして維持しなければならない。
 
 
(4) 実務の視点の解釈
  基本方針としての品質方針を変えるようなことは滅多にあるものではないから、マネジメントレビューの結論は通常、実行方針としての次年度の品質方針及び品質目標と重点取り組み事項として表される。
     
   
(5) 改定版品質マニュアル(外部説明用)ひな型← 08年版の5.6.3項のままでよい
 期末業績検討会での検討の結果により、次期の組織の収益目標を勘案して、次期に実現すべき顧客満足の状態を決め、その実現に必要な経営施策を決める。トップマネジメントは、この判断と処置を次期の年度品質方針及び重点取り組み事項(5.2項)に反映し、明確にする。
 
  トップマネジメントの判断と決定に関する議事録を、提出された文書と合わせて記録として保管する。
     
     
3. 必要な読み替え(規格の意図の正しい理解のために)

   
     
4. 改訂版の変更点(08年版規定からの変化)
  マネジメントレビューの結論が、08年版(5.6.3項)から表現を変えて規定されただけで、条文も似ており趣旨は全く変わっていない。
     
     
5. 改訂版への移行対応
➀ 品質経営体制の指針として規格を実践する組織
  何も変えることはない。
② 認証取得の条件として規格を認識し、負荷と効用に不満を持つ組織
  同上
   
   
6. 公表された改定版解釈
(1) 08年版から変わってないとする解釈
① マネジメントレビューの目的はその実施ではなく、a)、b)について必要な処置をとり、最終的に組織成功につなげること*Q39
 
(2) 08年版から変わっているとする解釈
― 
   
     
 
7. 予想される極端な審査要求
    
     
H27.1.21(修3.12)  H27.12.19(2015年版)
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サニーヒルズ コンサルタント事務所