ISO9001/14001 コンサルティング・研修
"著しい"環境影響、 "著しい"環境側面 とは
(JISQ14001; 3.3  環境側面)
組織の事業課題として"重要な"環境影響、"重要な"環境側面
の意
英語で読み解く ISO9000/14000  (12)
32-02-12
1. 著しい とは
    JISQ9001 5.3項ISO14001に基づく環境マネジメントは、「著しい環境側面」の管理が活動の中核である。 組織はその活動と製品又はサービスに付随する環境影響と環境側面を把握し、その中から管理の対象とする「著しい環境側面」を決定しなければならない。ここに、「環境側面」とは「環境影響」の原因となる活動と製品、サービスの要素のことであり、「著しい環境側面」とは「著しい環境影響」の原因の環境側面のことである。 この「著しい」は日本語では、「はっきりわかる」「顕著である」(広辞苑)の意味であるから、一般に公害型の「甚大な環境影響」が「著しい環境影響」と考えられている。 環境側面の評価に関する多くの解説書でも、影響の量的、質的、頻度上、時間的、空間的な「甚大さ」を尺度として「著しさ」を評価することを説いている。
   
  しかし、「著しい」は「significant」が原英語である。これは「効果がある或いは気付かれるに十分なほど、大きい又は重要な」とか、「影響又は効果がある、或いはありそうな(=重要な)」「目立つほどに又ははっきりと、量の多い」いう意味である。 つまり、「はっきりわかる」という著しさと共に「重要な」という意味で使用される英語である。 英語の解説書では「著しい環境側面」の説明の中で「important(重要な)」がしばしばが使われている。 また、「significance of an aspect」「environmental significance」など名詞形の「significance」がよく使われているが、「significance」となると「重要性」「統計的に有意」という意味であり、「甚大さ」の意味は見当たらない」(Merriam-Webster's)。
   
  「環境影響」に対する形容詞としての「著しい」は日本語としては自然であり、「甚大な」という意味でも通じる。 しかし、「甚大な環境側面」となると日本語としてははなはだ不自然である。これを「重要な」という言葉に置き換えると、環境影響の場合も環境側面の場合もすっきりする。 実際、「著しい環境側面というのは日本語としてどうも変である」と、ISO14001のJISへの翻訳の責任者の吉澤 正氏さえ指摘している(標準化と品質管理;2003.5月号)。 同氏はとその意味について、「著しいというより重大なとか重要なという形容詞の方がなじみやすい」と述べている。 やはり「重要な」である。
   
2.重要な環境側面 とは 
  そこで、「重要な」なら何にとって重要かということになるが、ISO14001は環境保全のための規格であるから当然、地球環境にとって「重要な」ということである。公害の垂れ流しでは組織は存立を許されないが、過度の環境貢献を求められても組織は存続に必要な収益を確保できない。ISO14001は、組織が環境と収益上の目標を両立させて存立、発展を図ることを地球環境保全に結びつける枠組みである。 組織はその環境影響に利害を有する顧客や地域住民など利害関係者のニーズと期待に応えるように、しかし、経済的技術的に可能な最大限の環境影響低減の取り組みを図ることで、組織の存続と発展に不可欠な利害関係者の支持を得ることができるというのが、ISO14001規格と審査登録制度の狙いである。組織の環境影響の低減への取組みが組織の存立、発展にとって必要不可欠であるかどうか、利害関係者の支持を得るのに必要不可欠であるかどうかが、「重要な」かどうかの判断基準である。 「甚大な環境影響」は大抵の場合「重要な環境影響」であろうが、甚大でなくとも利害関係者が求め、組織の存立に「重要な」環境影響がある。  例えば、顧客組織がグリーン購買を開始した場合には組織の製品のもつ環境影響はそんなに甚大でなくとも、供給者の地位を維持するためには製品のこの環境影響の改善に取り組むことが組織にとって重要な事業課題となるかもしれない。  なお、公害型産業で環境対策設備を導入して実際の環境影響は甚大でなくなっても、それが地域社会との共存にとって重要であることには変わりはない。
   
3.まとめ
   JIS翻訳の「著しい」は「重要な」の意味である。 それは、組織の事業課題として「重要な」である。 規格(4.3.1項)は「影響をもつか、もち得る環境側面を"特定(identify)"」し、「著しい環境側面を"決定(determine)"」することを求めている。 影響があるか或いは甚大かどうかは科学的な評価で答えが得らる。 しかし、重要かどうかはトップマネジメントの戦略的な判断であり、決定である。
   

JISQ14001
ISO14001 規格の意図
 3.3  備考
 著しい環境側面とは、
著しい環境影響を
もつ か もち得る
環境側面である
 3.3  NOTE
 A significant environmental aspect is
an environmental aspect that
has or can have
a significant environmental impact
 3.3  備考
 重要な環境側面とは、
組織にとって重要な環境影響を
もつ か もち得る
環境側面である 
 
< significant の意味 >
 
Oxford Advanced Learner's Dictionary
     効果がある或いは気付かれるに十分なほど、大きい又は重要な
       
(large and important enough to have an effect or to be noticed)
                                               ()
  Merriam-Webster's
   
影響又は効果がある、或いは、ありそうな(=重要な)
     
(having or likely to have influence or effect = Important)
   
目立つほどに又ははっきりと、量の多い
     
 (of a noticeably or measurably large amount)
 * (実)
   ・
影響・効果 のある、重要な、重大な、意義深い、著しい、甚大な、かなりの、大幅な
 
< 著しい の意味 >  (広)
  はっきりとわかる、顕著である
 
引用辞書:  (W) Webster's Encyclopedia of Dictionary;  (M-W) Merriam-Webster's;  
              (広) 新村:広辞苑;   (実) 海野:実用英語大辞典(日刊アソシエーツ); 
              (S) M.Swan/金子他:現代英語用法辞典(桐原書店);
翻訳: 英文辞書、ISO規格の翻訳は著者による。また、JIS規格の文章でも*印は、JISと異なる著者の翻訳
論点: (黒字) 著者の見解; (茶色) 著者の問題提起;  (青色) 規格の条文;  
(紫色) 文献(辞書)の引用 
H15.12.23(改 H16.1.26,H16.11.27))
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