ISO9001/14001 コンサルティング・研修
一般に品質方針は組織の総合的な方針と整合する
 
(JISQ9000  3.2.4)
      「一般に」 ではなく 「全体として」 の意味
英語で読み解く ISO9000/14000  (13)
32-02-13
1. 品質方針、環境方針、全体方針、全社方針、組織の目的
   マネジメ-ントとは「組織を指揮、管理する体系的活動」(JIS9000 3.2.6)である。 経営の目的に沿って組織の存立を確実なものとするよう、マネジメントを行なう層がトップマネジメントである。 組織全体のマネジメントは「全体マネジメント」とも呼ぶことができ、品質マネジメントも環境マネジメントもその一部である。
 
   トップマネジメントは、組織の置かれた状況の下で追求しなければならない事業(経営)課題を設定し、組織の関連する各部門をしてその実現に向けて取り組ませる。トップマネジメントは、これら事業課題がなぜ必要か、何が狙いか、何を目指すのかを、方針として明確にすることが必要である。 これは規格では、「組織の総合的な方針(overall policy)」(JISQ9000 3.2.4 参考1)、又は、「全社的方針(corporate policy)」(JISZ9001 参考-用語 3.1 参考)と呼んでいる。 その元となる経営(事業)の目的のことは「組織の目的(purpose)」(5.3 a))と呼ばれる。
   
   規格の「品質方針」の定義(JISQ9000 3.2.4)を流用すると、 「方針」とは「組織の全体的な意図及び方向づけ」である。従って、「総合的な方針」或いは「全社的方針」は「組織全体に関する組織の全体的な意図及び方向づけ」である。 ISO9001の「品質方針」は品質(顧客満足向上)に関する組織の全体的な意図及び方向づけであり、ISO14001の「環境方針」は環境保全に関する 組織の全体的な意図及び方向づけである。 共に、「総合的な方針」或いは「全社的方針」の一部を構成する。

   
2.Generally とは
    ISO9001:2000は、品質方針について、 「組織の目的に対して適切である」こと(5.3 a))を求めている。 これは「方針」の上記の性格から至極当然の要求事項である。 一方、品質方針の定義に関連して、「一般に品質方針は、組織の総合的な方針と整合している」(JIS9000 3.2.4 参考1.)と説明している。 「一般に」であるから、通常は整合しているが整合していなくともよいという意味になる。 これでは、 品質方針と「総合的な方針」或いは「全社的方針」との関係、あるいは、全体マネジメントにおける品質マネジメントの位置づけに関する上記の理解に反する説明となる。
   
  しかし、ここで「一般に」と和訳されている元の英語は 「generally」 である。これは 確かに「一般的に」を意味する単語であるが、  「個々には違いはあっても、全体としては」、「規則、法則としては」 という意味での 「一般的に」である(Merriam-Webster's)。 従って、総合的な方針と整合しない品質方針があり得るということではなく、部分的に、あるいは、枝葉末葉に係わる点では全体方針との食い違いはあっても、全体的な狙いや方向は一致していることでなければならないという意味である。「一般的に」ではなく「全体として」の日本語の方が規格の意図をより適切に伝えるのではないかと思われる。
   
  なお、「generally」は、品質目標の定義(JIS9000 3.2.5)において、「品質目標は、通常、組織の品質方針に基づいている」 と、「通常」 と和訳されている。 しかし、規格は「品質目標は品質方針との整合性がとれていること」(5.4.1)と明確に規定しているので、品質方針と無関係な品質目標があり得ないことはあきらかである。 「通常」では誤解を招き易いから、「全体として」を使った方がよい。
   
 
3.まとめ
  「generally」は、JISQ9001では「一般に」「通常」と和訳されているが、これには「全体として」という日本語を当てた方が規格の意図をより正確に伝えることができる。「品質方針は全体として、組織の総合的な方針と整合している」或いは「品質目標は全体として、組織の品質方針に基づいている」が、規格の意図の品質方針であり品質目標である。
JISQ9000
ISO9000 規格の意図
3.2.4 参考1
 一般に品質方針は、
組織の総合的な方針と整合している
 3.2.4 NOTE 1
  Generally the quality policy is consistent with the overall policy of the organization
 3.2.4 参考1
 品質方針は全体として、組織の全体方針と整合している
< generally の意味 >   (M-W)
   
一般に (in a general manner)
   
個々の問題ではなく、全体として
           (in disregard of specific instances and with regard to an overall picture)
   
規則として  (as a rule) 



<規格における各種方針>

★ 組織の全体方針
  * overall policy     [ISO9000 3.2.4 NOTE 1]
  * 組織の総合的な方針  [JIS9000 3.2.4 参考1]
★ 全社方針
  * corporate policy   [ISO8402 3.1 NOTE]
  * 全社的方針          [JISZ9001 参考-用語 3.1 参考)
★ 方針 = 組織の総体的な意図及び方向づけ
 
overall intentions and direction of an organization  [ISO9000 3.2.4 NOTE 1]
  * 組織の全体的な意図及び方向づけ
                   
 [JIS9000 3.2.4 参考1]

(註)
上記の筆者の「組織の全体方針」と「総体的な意図及び方向づけ」の「全体」「総体的な」
、JISでは、「総合的な方針」「全体的な意図づけ」と翻訳されている。どちらも原英語は「overall」である。どちらも「全体的」でよいが、前者が組織全体、後者は種々の要素を含む全体、という異なった意味で用いられていることを区別するために、「全体」と「総体的な」と異なる日本語を充てた。

引用辞書: (W) Webster's Encyclopedia of Dictionary;  (M-W) Merriam-Webster's;  
              (広) 新村:広辞苑;   (実) 海野:実用英語大辞典(日刊アソシエーツ); 
              (S) M.Swan/金子他:現代英語用法辞典(桐原書店);
翻訳: 英文辞書、ISO規格の翻訳は著者による。また、JIS規格の文章でも*印は、JISと異なる著者の翻訳
論点: (黒字) 著者の見解; (茶色) 著者の問題提起;  (青色) 規格の条文;  
(紫色) 文献(辞書)の引用 
H15.11.24(改H16.1.26)
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