ISO9001/14001 コンサルティング・研修
プロセスの妥当性確認 とは   (ISO9001:2000; 7.5.2)
所定の製品・サービスを生むという観点で
プロセスが妥当なことを明らかにすること
英語で読み解く ISO9000/14000  
(19)
32-02-19


1. プロセスの妥当性確認 (7.5.2項)
   ISO9001 7.5.2項の標題は 「製造及びサービス提供に関する『プロセスの妥当性確認』」であり、 同項では、「結果として生じるアウトプットが、それ以降の監視又は測定で検証することが不可能な場合には、その製造及びサービスの該当する『プロセスの妥当性確認を行う』こと」 が規定されている。
 
2. validation
(1) valid
   これら「妥当性確認」に係わる原英語は、前者が validation、後者はvalidate である。 この英語に関しては、形容詞が valid であり、これは、「論理的又は事実に基づいている」「法的に又は公的に受入れられる」、又は、「健全な又は根拠の十分な」「正当化可能な又は法に適った」の意味である。 つまり、根拠があり、又は適法であるが故に 「妥当な、有効な」という意味である。 例えば、「有効期間内の旅券(valid passport)」、「(提案反対の)正当な理由(valid reasons)」、「証明された理論(valid theory)」である。
 
(2) validate
   validate は 「valid にする (to make valid)」という意味の動詞であり、この意味で 「ある事が真実であることを立証する」 「ある事に法的効力を持たせる」、又は、「適正な又は権威ある根拠に基づいて裏書き又は立証する」 「適法化する」の意味を表す単語である。 例えば、「理論を証明する(to validate a theory)」、「契約を法的に有効なものとする(to validate a contract)」 である。 規格では validate は 「それを立証できるような形で妥当なもの、有効なものとする」、「妥当(有効)であることを明らかにする」という意味である。
   
(3) validation
   validation は名詞で 「valid にする行為、活動 (an act or process of validating)」[M-W]であるから、「妥当(有効)性の明確化」であろう。 JIS和訳の「妥当性を確認する」という解釈には問題がある。
 
3. 規格の定義
(1) validation
   また、規格の定義(ISO9000 3.8.5)によると、「妥当性確認(validation)」は 「客観的証拠を提示することによって、特定の意図された用途又は適用に関する要求事項が満たされていることを『確認』すること」 である。 日本語の「確認する」は普通「確かめる」という意味であるから、このJIS定義では 「特定の意図された用途又は適用」に対して「妥当又は有効( valid )であることを『確かめる』こと」 が validation という解釈になる。
   
(2) confirmation
   しかし、「確認」の原英語は confirmation であり、これは「とりわけ証拠を提示して、ある事が絶対に真実又は正しいということを述べるか示すこと」、又は、「真実又は事実であることの証拠を提示又は証言を行うこと」 である。 confirm は 「確認」と訳されることが多いが、「確認」と訳されても「確かめる」という当人の認識や理解に関する行為ではなく、証拠を示して他人に認識や理解を得る行為であり他人の認識や理解に関する行為である。 規格[TC176/N526R]でも confirm は、「公式合意によって valid にする (make valid by formal assent)」 「〜を実証する(ratify)」と定義されており、「確かめる」ではない。
   
   confirm の類義語には、verify(真実であることを実証する), authenticate(真正を証拠だてる), substantiate(実証する) と共に validate が含まれる。 confirm と validate は共に、「信頼できる声明又は争えない事実で以て」 ある事を実証することを意味し、confirm が 「疑いを除去すること」、validate が 「妥当であることを一般に承認させること」 に力点を置く場合にそれぞれ用いられるというだけの違いである。
 
4. 規格の意図
   従って、規格の validation は、「客観的証拠を提示することによって、特定の意図された用途又は適用に対して妥当又は有効であることを『明らかにする』こと」 である。 7.5.2項の「プロセスの妥当性確認を行う( validate any processes for …..)」とは、そのプロセスの結果の製品・サービスが監視、測定によって要求事項を満たしていることを実証出来ないのなら、「プロセスが間違いなくそのような製品・サービスを生むという観点で妥当(有効)なものにして、そうであることを客観的証拠で示す」 ということであり、その観点で 「プロセスが妥当(有効)であることを『明らかにする』こと」 である。
   
   同項は引続き、「validation は、これらプロセスが所定の結果を達成する能力を有することを実証することでなければならない(validation shall demonstrate the ability of these processes to achieve planned results)」と規定して、規格の意図する validation が 「確しかめる」ではなく、「証拠によって明らかにする(実証する)」であることを明記している。また、validationの定義(ISO9000 3.8.5)の「客観的証拠を『提示する』ことによって、・・・・・・を『確認』する」というJIS和訳も日本語として奇異であるが、これも confirm を「確かめる」と解釈した誤りの結果である。
 

JISQ9001
ISO9001 規格の意図
7.5.2  プロセスの妥当性確認
   製造及びサービス提供の該当するプロセスの妥当性確認を行うこと。
 
 
JISQ9000 3.8.5  妥当性確認
   客観的証拠を提示することによって、・・・に関する要求事項が満たされていることを確認する
7.5.2   Validation of processes
   The organization shall validate any processes for production and service provision
 

ISO9000 3.8.5  validation
   confirmation,  through the provision of objective evidence,  that the requirements ・・・have been fulfilled
7.5.2   プロセスの妥当性の明確化
   製造及びサービス提供のすべての該当するプロセスが妥当であることを明らかにすること
 
ISO9000  3.8.5  妥当性の明確化
   客観的証拠を提示することによって・・・に関する要求事項が満たされていることを明らかにすること
<valid の意味>
@ [OALD]
* 論理的又は事実に基づいている (based on what is logical or true)
* 法的に又は公的に受入れられる (that is legally or officially acceptable)
A [W]
* 適正な又は根拠の十分な (sound or well-grounded)
* 正当化可能な又は法に適った (capable of being justified)
 
<valid の用法>
* 有効期間内の旅券  (valid passport)
* (提案反対の)正当な理由 (valid reasons)
* 証明された理論 (valid theory)
 
<validate の意味>
@ [W]
* valid にする  (to make valid)
A [OALD]
* ある事が真実であることを立証する (to prove that something is true)
* ある事に法的効力を持たせる (to make something legally valid)
B [M-W]
適正な又は権威ある根拠に基づいて裏書き又は立証する
    (to support or corroborate on a sound or authoritative basis)
* 適法化する  (to make legally)
 
<validate の用法>
* 理論を証明する  (to validate a theory)
* 契約を法的に有効なものとする  (to validate a contract)
 
<validation の意味>  [M-W]
* validate する行為、活動、事例  (an act, process, or instance of validating)
 
<confirm の意味>
@ [OALD]
* とりわけ証拠を提示して、ある事が絶対に真実又は正しいということを述べるか示すこと
A [Merriam-Webster's Online Thesaurus]
* 真実又は事実であることの証拠を提示又は証言を行うこと
 
<confirm  規格の定義>    [TC176/N526R]
* 公式合意によって valid にする (to make valid by formal assent)
* 〜を実証する  (to ratify)
 
<confirm  の同義語>    [M-W]
@ 同義語
verify (真実であることを実証する)
authenticate (真正を証拠だてる)
substantiate (実証する)
validate
A validate と confirm の違い
validate ・・・ 権威ある声明又は議論の余地のない事実によって疑いを取り除く場合に用いられ
         (implies the removing of douts by an authoritative statement or indisputable fact)
confirm ・・・ 権威ある断定又は事実を裏付ける証拠によって妥当性を強固なものとする場合に用いられる
         (implies establishing validity by authoritative affirmation or by factual proof)
 
<確認  の意味>       [広辞苑]
* はっきり確かめること。確かにそうだと認めること
* 特定の事実又は法律関係の存否に争いや疑義のある場合に、これを判断認定する行為

引用文献:  (OALD) Oxford Advanced Learner's Dictionary;     (W) Webster's Encyclopedia of Dictionary;  
                (M-W) Merriam-Webster's;   (広) 新村:広辞苑;
               (実) 海野:実用英語大辞典(日刊アソシエーツ);   (S) M.Swan/金子他:現代英語用法辞典(桐原書店);
翻 訳:    英文辞書、ISO規格の翻訳は著者による。また、JIS規格の文章でも*印は、JISと異なる著者の翻訳
論 点:    (黒字) 著者の見解;  (茶色) 著者の問題提起;  (青色) 規格の条文;   (紫色) 文献(辞書)の引用 
2006.2.5(修 5.20, 6.25)
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