ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
§11 パフォーマンス評価 と
品質マネジメントシステムの有効性の評価
ISO9001:2015 ISO9001/14001
規格の論理と用語   
33b-02-11
ISO14001
SL共通テキスト
§0 概要   こちら
 
 *実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応:
品質経営、品質経営活動 ⇔品質マネジメント$19-0;
     品質経営体制 ⇔
品質マネジメントシステム
$19-1-1;  品質実績 ⇔品質パフォーマンス$31; 実績 ⇔パフォーマンス$31;
    実績評価 ⇔
パフォーマンス評価
$31; 品質実績評価 ⇔品質パフォーマンス評価$31;  製品サービス ⇔製品及びサービス$8.1;
    製品サービスの実現 ⇔
運用
$8;   要件 ⇔要求事項$1
 
 
§11.1 パフォーマンス

@ パフォーマンス
  JIS和訳「パフォーマンス」の英文は“performance”であり、何かがどれ位首尾良く又は首尾悪く行なわれたかという意味であり$31、日本語ではずばり「実績」であり、場合によっては「業績」「成績」が適当である。それ自身が優れていることを示唆する「功績、性能」やこれが類推される「パフォーマンス」は適当な日本語ではない。08年版では「成果を含む実施状況」と和訳されていた(8.2.1)。
 
  「実績」とは、単純には善し悪しの観点での業務の実行結果のことであるが、規格では「実績」は「測定可能な結果」と定義#54され、「目標#22」は「達成すべき結果」と定義され、達成度が測定可能(6.2.1 b)項)な形で表される。すなわち、規格の「実績」は、「目標」に対応する実績であり、「目標」に対する善し悪しの観点で表された実績である。「実績」とは、狙いの業務結果に対応する実際の業務結果の善し悪しの意味での実績であり、狙いの業務結果が出ているのかどうかの観点での「実績」のことである。「実績」は「目標」の達成度であり、「目標」と同じ指標又は表現で表されなければならない。
 
A 品質パフォーマンス
  規格では、品質経営における狙いの結果はすべて「品質目標」であり、狙いの結果の達成を目指して行った業務の結果たる業務の実績はすべて「品質実績 」である。JISはこれを「品質パフォーマンス」と和訳している。
 
規格の意図においては品質目標§4.1は、組織の存続発展のために必要な狙いの顧客満足の状態を表す品質経営の業績目標としての品質目標(5.2項)と、それら業績目標を達成するために必要な関連業務の狙いの業務結果を表す業務目標としての品質目標(6.2項)とに分けられる。従って、品質実績は、狙いの顧客満足の状態が実現したかどうかという品質経営 活動全体の業績と、この業績目標の達成のために決められた関連各業務が狙いの通りの結果を出したかというそれぞれの業務の実績との、2種類の品質実績に大別できる。
 
 
§11.2 パフォーマンス 評価
@ パフォーマンス評価
  JIS和訳「パフォーマンス評価」は英文が“performance evaluation”であり、「実績評価」の意味である$31。『実績評価 』は規格では、業務実績の情報を収集し、これを基準に照らして評価し合否を判定するという業務実行管理の方法論のことを指し、実務においても基本的で普遍的な管理の手法である。
 
  決められた通りに実務を行い決められた結果を出すようにする業務実行管理では、実際の業務結果を決められた結果を表す合否判定基準或いは管理基準と比較して、業務結果の適否或いは合否を評価判定する。規格では、上記§11.2@のように「実績」は元来、狙いの業務結果たる「目標」に対応する実績という意味である$11.1。規格の表現の実績評価とは、実際の業務結果の善し悪しを目標に照らして評価判定することであり、目標の達成度評価のことである。
 
A 品質パフォーマンス評価
  規格の表現の品質実績評価とは、品質経営の実際の業務結果の善し悪しを品質目標に照らして評価判定することであり、品質目標の達成度評価のことである。
 
  規格で「品質実績を評価する」ということは実質的に、品質経営の業務が決められた通りであるように管理する業務実行管理を行うことを意味する。品質実績は、狙いの顧客満足の状態が実現したかどうかという品質経営 活動全体の業績と、この業績目標の達成のために決められた関連各業務が狙いの通りの結果を出したかというそれぞれの業務の実績とに大別できるから、前者の品質実績評価は実務的には品質経営の業績管理、後者の品質実績評価は日常業務管理を意味する。
 
  品質経営の業務実行管理の中のこの実績評価の活動は規格ではPDCA/プロセスアプローチ サイクルの管理/Cの活動をことである。実績評価については08年版では表現が一定しないが、「監視、測定、分析の活動」などと表現され、08年版の8章の標題の「測定、分析」が15年版の9章の標題の「パフォーマンス評価」に相当する。ここに、監視、測定、分析等は08年版、15年版共、規格の意図の品質実績評価の要素業務の名称である§28.2
 
B 品質マネジメントシステムのパフォーマンス
  JIS和訳「品質マネジメントシステム」は「品質経営体制 」であり$19-1-1、「パフォーマンス」は上記§11.1@のように、狙いの業務結果が出ているのかどうかの観点での「実績」のことである。規格の概念では、JIS和訳「品質マネジメント」の「品質経営 $19-0」は組織の存続発展に必要な顧客満足を追求する経営管理活動の一部であり、この品質経営 活動は業務の手順や方法の明確化、要員の配置や設備の用意など狙いの顧客満足の状態を実現させるように整えられた手はずに則って行なわれる。規格では、このように品質経営のために整えられた一連の手はずのことを品質経営体制§22.2と呼ぶ。
 
  品質経営の業務は、品質経営体制を構成する手はずに則って行われ、その結果が品質実績である。「品質経営体制実績」とは、品質経営の活動の実績を総体的に表した表現であり、「品質実績 」とほとんど同義語である。「品質経営体制実績」は、狙いの顧客満足の状態の実現という品質経営の業績と、その実現に係わる個々の業務の実績の両方を包含する概念である。
 
 
§11.3 品質マネジメントシステムの有効性
(1) 品質マネジメントシステムの有効性
  規格の概念では、品質経営は組織の存続発展に必要な顧客満足を追求する経営管理活動の一部であり、この品質経営 活動は業務の手順や方法の明確化、要員の配置や設備の用意など狙いの顧客満足の状態を実現させるように整えられた手はずに則って行なわれる。規格では、このように品質経営のために整えられた一連の手はずのことをJIS和訳では「品質マネジメントシステム」である「品質経営体制」と呼び§2、手はずを整える活動は品質経営体制の計画(6.1項)と呼ぶ§5。
 
  品質経営体制は、組織の存続発展に必要な顧客満足の状態を一貫して実現させることを図る品質経営の実行体制であるから、その有効性とは狙いの顧客満足を実現させることができるかどうかの観点での有効性である。ここに、 規格の「有効性」は、どの程度に決められた通りに業務が行なわれ決められた通りの結果が得られたか#4という意味である。従って、「品質経営体制の有効性」とは、品質経営体制の手はずに則って行われた品質経営の業務がどの程度に手はずの通りに実行されたか、手はずの狙いの結果が得られたかという観点からの手はずの有効性を意味する。
 
  ある業務の実績が狙いの業務結果を満たしていないとすると、その業務のために整えた手はずが狙いの結果を出すという観点で有効でなかったということである。これは実務的には、手はずが狙いの業務結果を出すには技術的に適切でなかった、手はずの通りに業務が行われるようにする管理の手はずが適切でなかったという理由が考えられる。
 
(2) 品質マネジメントシステムの有効性の評価
  「品質経営体制の有効性の評価」とは、決められた通りに業務を行い、決められた結果を確実に出すようにする実務の業務実行管理の活動において、品質実績の評価に基づいて品質経営の手はずが狙いの結果を確実に出すという観点での適否或いは合否の評価、判定を行うことである。
 
  上記§11.2の「品質実績の評価」が、品質経営の業務実行の結果である実績が狙い業務結果を満たしているかどうかの観点での適否或いは合否の評価、判定を行うことであるのに対して、「品質経営体制の有効性の評価」とは、品質実績の評価に基づいて品質経営の手はずに問題があるのかどうかを評価、判定することである。実務的には、実績評価で検出した狙いを満たさない品質実績について、その原因となる手順や資源など業務実行の手はずの不備を見出すこと、或いは、品質経営の業務実行管理の手はずの問題点を検出することである。
 
  上記Cのように、品質実績には実現した顧客満足である品質経営の業績と個々の業務の実績の2種類があるから、品質経営体制の有効性の評価もこれら2種類の品質実績評価に関連する。
 
 
§11.4  有用性と有効性
(1) 品質マネジメントシステムの有用性
  品質経営体制の計画(6.1項)活動で整える手はずは、組織の業績目標たる品質目標を間違いなく達成できるものとなっていなければならない。つまり、定められた手順の通りに、また、用意された資源を定められた通りに使用して業務が行なわれれば、必ずその業務の狙いの結果たる品質目標が達成でき、それぞれの業務の総合結果として組織の品質目標が達成されることとならなければならない。このように計画した手はずが狙いの業務結果を出すことが確実であるという点で有効であるということは、規格では“valid”と表現される。
 
  “valid”は、有効であると考える根拠があるということであり、狙いの業務結果が確実に出ると考えてもよい根拠があるということであり$46、下記(2)の「有効性」と区別するためには「有用性」がよい。品質マネジメントシステムの計画活動の結果はどのような業務についても有用でなければならないが、規格では検査や試験で合否判定のできない製品サービスの製品実現の業務の管理に関してのみこのことに言及している(7.5.2項)。
 
(2) 品質マネジメントシステムの有効性
  規格の「有効性」は「活動が計画された通りに行なわれ、狙いの結果が得られた程度」と定義され#4、英文は“effectiveness”である$25。「品質経営体制の有効性」は、顧客満足追求に係わる経営管理体制の有効性であり、整えられた手はずに則って各業務が行なわれ、狙いの業務結果が確実に出され、その総合的結果として狙いの顧客満足が実際にどの程度達成できたかということを意味する。
 
  品質経営体制が実際に有効なものであるためには、品質経営体制が「有用」であり、かつ、整えられた手はずに則って狙いの結果が得られるように業務実行が管理されていなければならない。後者は規格では“be effectively implemented”であり、JIS和訳は『効果的に実施する』であるが、「効果的に履行する」が正しい。
 
 
 
 
注釈
§1 など:  論理及び用語                   こちら<sub33b>
*Q1など:  改定版解釈に関する引用資料  こちら <sub02>
$1など:  英文解釈                          こちら <sub03>
#1など:   用語の定義                       こちら <sub04>
(1) など:  引用文献                         こちら <sub05>

H27.9.30 
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