ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
§23
監視、測定のための資源 ISO9001:2015 ISO9001/14001
規格の論理と用語   
33b-02-23
ISO14001
SL共通テキスト
§0 概要   こちら
 
 *実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応:
監視測定用具 ⇔監視機器及び測定機器$58;
 
 
  『監視』『測定』は規格の業務実行管理の方法論における実績評価§11のための情報検知活動§28を意味し、『監視、測定のための資源』とはそのために用いる必要のある手段のことである。7.1.5項の『監視、測定のため資源』は製品・サービスの合否判定のための情報検知に用いる手段と明記されており、規定される要件は内容的に08年版の7.6項(監視機器及び測定機器) と変わらない。すなわち7.1.5項の『監視、測定のため資源』は、08年版では製品実現の管理の一環としての規定であったのが、15年版では規格全体に共通の資源という意味合いの7.1項(資源)に整理されて規定されることになったというだけの規定記述の便宜のための表現上の変更である。
 
  規格における製品・サービスの合否判定のための情報検知に用いる手段は、製造業を中心に書かれていた94年版(4.11)では「検査、測定及び試験装置」と表現されていたが、00年版ですべての業種業態の製品の合否判定に適用可能な概念に拡大されて「監視測定用具 」と表現されることとなり、さらに、08年版改定時に表現の共通化のためにISO14001に倣った『監視測定機器 」に変わった。
 
  JIS和訳は00年版、08年版共に『監視機器及び測定機器』であるが、00年版では『機器』の英文は“device”であり、規格の意図の“monitoring and measurement devices”は広く情報検知手段としての「監視測定用具 」の意味である$58p。08年版では『機器』の英文が “equipment”に変更されたが、これについて米国の国内委員会(32)は、用語“measuring equipment”が“measuring instrument”を含み、この“instrument”が “device”を含み得るという結論になったと、苦しい説明している。つまり、“monitoring and measurement equipment”と表現では「監視測定計器 」だが、意味は“device”であるから「監視測定用具 」のまま変わらないということである。
 
  また、00年版では、94年版の「検査、測定及び試験装置(inspection, measuring and test equipment)」に相当する「測定機器(measurement equipment)」が、監視測定用具の一部として位置づけられており、その管理の要件を94年版と同じく、計量管理論の計量確認活動に倣って規定している。すなわち、JIS和訳「監視機器及び測定機器」は「監視測定用具 」、「測定機器」は94年版と同じ計測器を意味する。
 
  00年版では、規格記述において、製品・サービスの合否判定を、監視測定によって検知収集した情報を用いて適合性を評価、判定する活動であると論理整理された上で、監視測定に用いる手段の概念が計測器から監視測定用具に拡大された。しかし、適切な計測器の使用の必要と計測器管理の要件は、表現は変わったが計量管理論の計量確認活動に倣った94年版規定がそのまま継承された。測定機器を含む監視測定用具とその管理の00年版のこのような概念と要件は、08年版でも変更されず、15年版にもそのまま引き継がれている。
 
@ 監視測定用手段
  15年版の監視測定用手段は、00年版では監視測定用具と表現されていたが、これについて規格執筆者のひとり(22)は、用具(device)は機器や装置(equipment)だけでなく「あらゆる用具と手はず(tools and arrangement)」を意味する広い概念であって、例えば アンケート調査票も含まれると説明している。ISO9004でも「監視測定」の活動には調査や シミュレーション が含まれると説明して(132)、計測器ではない監視測定用具の例を示唆している。TC176の商業本(20)も“device(用具 )”と“equipment(機器)”とが異なる概念であることを明確にしている。
 
  製造業の実務では、製品の合否判定のための情報を検知する監視測定用手段としては、計測用語の「計測器」とソフトウェアを中心とする94年版の「検査、測定及び試験装置」の他、人の視覚、触覚、味覚、嗅覚、聴覚の五感、これを助ける監視カメラ、顕微鏡、拡大投影器、拡声器、画像への変換装置が用いられている。或いは、画像解析やシミュレーション、演算などの ソフトウェア、また、抜取り検査のための チェックリストによって合否判定が行なわれる。その他の業種では、例えばサービス接客業の監視測定用手段には、顧客に記入を求める アンケート調査票、一連の事務手続によって提供される無形のサービスで用いる実行すべき各手続きと確認項目を予め記した帳票、教育研修業では筆記試験の質問や問題、実技試験の採点表、自動車修理業の点検項目及び基準を定めた帳票などが監視測定用手段となっている。
 
  7.1.5項の監視測定手段は、製品・サービスの合否判定のために用いられるものに限定されているが、実務では設備の機能性能を含む業務実行が定められた通りであることを監視測定(7.1.3項)する手段として、点検表などのチェックリスト、管理図や品質特性推移図が用いられており、点検ハンマーなど工具も用いられている。内部監査(9.2項)のチェックリストも監視測定用具である。さらに、顧客満足の監視測定(9.1.2項)のためには、クレーム一覧表、顧客での製品使用成績推移図、市場分析書が、供給者の業務能力の監視測定(8.4項)のためには、新規取引検討基準書や供給者実績管理表が監視測定用手段として用いられる。
 
 
A 測定機器
  規格では08年、15年版とも『測定機器(measuring equipment)』は「測定を行なうのに必要な測定計器、ソフトウェア、計量標準、標準物質又は補助装置、若しくは、それらの組合せ」と定義されており#37、計測用語(146)では「計器、測定器、標準器などの総称」を意味する「計測器」がこれに相当する。94年版の『検査、測定及び試験装置』は正にこれを意味していた。
 
  製品・サービスの合否判定に用いる「計測器」としては実務的には、各種の測寸器、秤量器、分析機器、機械試験機、速度計、電流計、温度計、圧力計、超音波探傷器、X線投影器等々があり、また、型、治具、分度器、定規、隙間ゲージ等々がある。不審者侵入の監視カメラと映像判別装置や製造工程の監視のための操業実績を表示するコンピューター画面なども「計測器」の一部と理解できる。
 
 
注釈
§1 など:  論理及び用語                   こちら<sub33b>
*Q1など:  改定版解釈に関する引用資料  こちら <sub02>
$1など:  英文解釈                          こちら <sub03>
#1など:   用語の定義                       こちら <sub04>
(1) など:  引用文献                         こちら <sub05>

H26.5.28 
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