ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
§24
製品及びサービスに関する要求事項のレビュー ISO9001:2015
 論理と用語   
33b-02-24
 
 
§0.1 概要   こちら
 
§0.2  実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応:
     
規定要件 ⇔ 規定要求事項$1-2-6p;   製品サービス ⇔製品及びサービス$92;
      製品サービスの実現(活動) ⇔ 製品及びサービスの提供
§9.3;  製品サービス要件 ⇔製品及びサービスの要求事項$1-2-4 ;
      顧客要件 ⇔顧客要求事項
$1-2-2;   必要条件(事項) ⇔ 要求事項$1品質要件 ⇔品質要求事項$1;
      要件 ⇔ 要求事項
$1

 
  
§0.3  目 次

§24.1 製品及びサービスに関する要求事項
§24.2 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー
 
 
§24.1 製品及びサービスに関する要求事項
(1) 製品サービス要件

  JIS和訳「製品及びサービスに関する要求事項」は、「製品及びサービスの要求事項」とも表されるが、英文では「要求事項」は「要件」であり
$1、「製品及びサービス」は事業商品の呼称としての「製品サービス」であるから$92、「製品サービス要件」である。「製品サービス要件」とは、組織が製品サービス に関して満たすべき必要条件という意味であり、規格では用語「製品サービス要件」はどのような製品サービスであるかということを意味するのに用いられている。
   
   また、規格における「製品サービス要件」は、組織の存続発展に必要な顧客満足の実現のために組織が満たさなければならない製品サービスに関する必要条件であり、製品サービスに関する顧客の想いである「顧客のニーズ及び期待」たる「顧客要件」を満たす製品サービスであるための必要条件である。これには8.2.3 a)項に規定されるように「引き渡し及び引き渡し後の活動」に関する必要条件を含む。
 
  08年版ではJIS和訳「製品関連要求事項」又は「製品要求事項」と表現されている。 94年版では、取引に当たって組織と顧客が合意した契約条件又は受注条件という意味で「契約又は注文要求事項」と表されていた。
 
  15年版の顧客要件も製品サービス要件も簡単には、どのような製品サービスでなければならないかということであるが、製品の具体的な機能や性能、それを具現化する製品の構造、使用部品、機構、寸法、形、色など製品の仕様と品質がどのようでなければならないかという形で表される場合から、「製品サービスはこのようなもの」というような概念的、抽象的に表わされる場合までの広い概念である。一般に、顧客要件の方が抽象的、概念的であり、製品サービス要件の方がより具体的、定量的である。また、顧客要件は製品サービスの機能や性能の必要条件が主体であることが多いが、製品サービス要件は最終的的には製品サービスの仕様や品質の形で明らかにしなければならない。
 
  ただし、8.1、8.2項の「製品サービス要件」は、製品サービス実現の狙いとしての製品サービスの仕様と品質の狙い又は合否判定基準で表されるか、それらを導くことができる程に具体的な形で決められていなければならない。このような製品サービス要件については、08年版の製品実現の計画(7.1)では、「製品に対する品質目標及び必要事項」と表現されている。
 
 
(2) 製品サービス要件の決定
  94年版は、不良品を顧客に引き渡すことを防止することにより組織の存続発展に必要な顧客満足の状態が実現するとの考えに立っており、顧客に引き渡す製品の仕様と品質は顧客の要求を下にして明示的に合意したものという意味でJIS和訳「契約又は注文要件」又は「規定要件」と表されている。これは、08年版(7.2.1 a))、15年版(8.2.3.1 a)項)の「顧客が規定した要件」に相当するものであるが、94年版では、これを満たさない製品が不良品である。
 
  00年版以降は、当時確立したマーケティング論に則って、不良品でないことは当然として顧客のニーズと期待を満たす製品サービスを供給することではじめて、組織の存続発展に必要な顧客満足の状態が実現するという考えになった。 製品サービスの取引において顧客は一定の目的で製品サービスを探しており、このような製品サービスがほしいということについて一定の想いをもっており、これを何らかの方法、何らかの表現で意思表示を行う。組織はこの意思表示を基にして、顧客のニーズや期待、つまり、顧客要件を推量してそれを満たす製品サービスとしての「製品サービス要件」を検討し決定することが必要である。
 
  引渡した製品サービスが契約内容として合意した製品サービス要件を満たしていなければ不良品であり、苦情申立を受けることにもなる。しかし、「顧客要件が顧客と合意され、満たされている場合でも、それが必ずしも顧客満足が高いことを保証するものではない」という結果#17-3にもなる。それに、顧客の言うままの製品サービスでは競合組織の製品サービスと同じであるから、市場競争には勝てない。00年版以降の規格では、顧客のニーズと期待を満たさなかった製品サービスは不良品でなくとも、顧客に次は買ってもらえなくなるから、組織の存続発展に必要な顧客満足の状態の実現を図るという観点では不良品と同じである。
 
  すなわち、契約又は注文に対してどのような製品サービスを提供するのか、つまり、どのような製品サービス要件が必要かは、顧客が表明した意向である「顧客が規定した要件」(8.2.3.1 a)項)、或いは、94年版の「規定要件」を越えた顧客の想いの真のニーズと期待を正しく推定して、組織が主体的に決めることが必要である。契約内容以外の顧客のニーズや期待をも慮って組織が独自に追加又は変更し、決定した「製品サービス要件」が顧客の真の想いと合致すれば、組織が期待するような組織と製品サービスに対する顧客の評価が得られる。このような製品サービス、或いは、その製品サービス要件が、組織の狙いの顧客満足の状態の実現に適う製品サービス、製品サービス要件である。また、そのような製品サービス、そのような製品サービス要件を満たす製品サービスを確実に実現し、顧客に引渡すことによって、組織の狙いの顧客満足の状態が実現する。
 
  規格では、このように正しく製品サービス要件を決定するために検討しなければならない4つの観点を規定している。4つの観点は、08年版では7.2.1項(製品に関連する要求事項の明確化)に一括明示的に規定されているが、15年版では規定表現の都合でCだけが8.2.2項(製品及びサービスに関する要求事項)に規定され、他は製品サービス要件がこれら観点で決められたかどうかを点検する必要という形で間接的に規定されている。
 
@ 顧客が表明した顧客の想いにある製品サービス要件 (顧客が規定した製品サービス要件)
A 顧客が表明しない顧客のニーズと期待を満たすための製品サービス要件
B 製品サービスに反映しなければならない法規制
C 組織自身の都合に基づく製品サービスに関する条件
 
   
§24.2 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー
(1) 製品サービス 要件の見直し

  『レビュー』 は英文“review”から、それでよいのかどうかを評価するという意味で「見直す」ことである
$22。規格では「あるものが所定の目標達成の観点で適当か、十分か、又は、効果的かを判定すること」と定義されている#11。従って「製品及びサービスに関連する要求事項のレビュー」は、製品サービス要件が顧客の想いの真のニーズと期待を満たし、狙いの顧客満足の状態の実現に適うように正しく決められているかどうかを見直す活動のことである。
 
  この活動は、94年版(4.3)では標題が英文で“contract review”、JIS和訳「契約内容の確認」である。これには定義が定められており、「品質要件が適切に規定され、あいまいさがなく、文書化され、組織によって実現可能であることを確実なものとするために、組織が契約締結前に実施する体系的な活動」と、その趣旨が明確にされている
(134)。 00年版では全業種業態に適用可能な汎用規格となり「製品に関連する要件のレビュー」と表現が変更され、15年版ではさらに「製品サービス要件のレビュー」に変わった。 しかし、趣旨は不変であり、規定文章もほとんど同じである。但し、上記§24.1のように、94年版の「品質要件」は顧客との合意の契約条件であるが、15年版の「製品サービス要件」は契約条件に加えて組織の狙いの顧客満足の状態の実現に適うよう組織の独自の判断による条件が含まれている。
 
  すなわち、いずれの版の「レビュー」も、間違っていないかどうかを点検するという意味の「見直し」である。また、このレビューは、94年版では見積仕様書の提出前若しくは契約又は注文の受諾前に行い、15年版では製品サービスを顧客に提供することをコミットメントする前に行うべきことが、それぞれ規定されているから、レビューの目的が顧客の意向や想いを間違って受けとめた製品サービスを顧客に提供することのないようにするという趣旨でも同じである。
 
 
(2) 顧客の意向把握の過誤の点検
  製品サービス要件のレビュー(8.2.3項)の必要の規定は、不適合製品サービス が成約や受注の際の顧客の意向の取り違えで生じることのないようにするためである。94年版では契約内容という顧客の意向を取り違えるという活動であったが、00年版以降はこれに加えて顧客の真のニーズと期待の推定の誤りの見直しを含む活動となった。しかし、大抵の業種業態の組織の日々の定常的契約又は注文の処理では、注文書記載の契約又は注文条件に、整えられた製品サービス要件の決定の手はずに則って、付加が必要な製品サービス要件が追加される。規格の「製品サービス要件の見直し」は、このような契約又は注文処理の活動として一般に行われている活動である。
 
H31.2.13 
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サニーヒルズ コンサルタント事務所