ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
§25
製造及び サービス提供 ISO9001:2015
 論理と用語   
33b-02-25
 
 
§0.1 概要   こちら
 
§0.2  実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応:

     
業務 ⇔プロセス$2; サービス活動(実行) ⇔サービスの提供$48-1; 製品サービス ⇔ 製品及びサービス$92;
      製造及びサービス活動 ⇔ 製造及びサービス提供
§25.1
; 品質経営(活動) ⇔品質マネジメント$19-0; 要件 ⇔ 要求事項$1
 
  
§0.3  目 次

§25.1 製造及びサービス提供
§25.2 製造及びサービス活動を構成する業務
 
 
§25.1 製造及びサービス提供
  JIS和訳「製造及びサービス提供」の「サービス提供」は英文“service provision”の直訳であるが、この場合は「製品の製造」に対応するサービスという事業商品を生み出す活動であり、「サービス活動」、「サービス活動の実行」がよい
§8.2。すなわち、「製造及びサービス活動」のことである。
 
  「製造及びサービス活動」は、組織の事業活動の根幹の活動であり、組織の日常業務の中心である。製品サービスの品質は製造及びサービス活動によって生み出されるから、その管理は品質経営にとっても最も重要な活動である。製造及びサービス活動の業務は、製品サービス実現の一連の業務の一部であり、一般に相互に関連する複数の業務から成り立っている。実務では、これら製造及びサービス活動の段階は「工程」と呼ばれ、製造及びサービス活動において決められた通りの製品サービスを生み出すようにする業務実行管理は「品質管理」と呼ばれる。
   
   
§25.2 製造及びサービス活動を構成する業務
  94年版は、製造業中心の規格であり、どの製品も幾つかの作業や活動を経て段階的につくりあげられるとの理解から、JISは00年版以降で「プロセス」と和訳することになる“process”を「工程」と和訳していた。そして、製品を直接的に生み出す工程には「製造、据付け及び付帯サービスの工程」の3種類があるとし(4.9)、更に、これら工程に関連する活動として「製品の取扱い、保管、保存及び引渡し」を取り上げていた(4.15)。
 
  全業種業態に適用可能な汎用規格となった00年版では、製品を直接的に生み出す一連の業務を「製造及びサービス活動」の業務と呼び、これに、合格品の「リリース活動」「引渡し活動」と「引渡し後の活動」が含まれる形になっている(7.5.1 f))。また、製造及びサービス活動の内の最終の製品サービスをつくりあげるまでの業務を「内部処理」と呼び、「製品の取扱い、包装、保管、保護」を内部処理の後の製品サービスの品質の保存のため業務として位置づけている。
 
  15年版も同様に製造及びサービス活動 は リリース、顧客への引渡しと引渡し後の活動を含む概念であるが、製品サービスの品質の保存の対象が内部処理の前後にわたるように記述が変更され、保存の方法の記述が「識別、取扱い、汚染防止、包装、保管、伝送又は搬送、保護」と広くなった
§26.2
 
@ 製造
  「製造」の英文は“production”であり、これには普通「生産、製造、製作、制作、産出、生成」などという日本語が当てられる
(108)。英文の“production”は、有形物である ハードウェア や素材製品のみならず、無形の製品のソフトウェアにも使用される(101)。日本語のアプリケーションソフトの作成、映画の製作、CDの制作、演劇の上演、書籍の出版、小説の創作も“production”である (109)。 15年版では、事業商品4類型§8.1の内の ハードウェア、ソフトウェア、素材製品を包括する15年版の「製品」を生み出す活動が「製造」である。
 
A サービス提供§8.2
   規格では サービス という事業商品を生み出す活動は“production”ではなく、“service provision”であり、JISは「サービス提供」と和訳している。すなわち、自動車修理業の故障部品の分解や補修、輸送業の荷分けや輸送、会計事務所の収支情報の計算や申告書の作成、更には、ホテルでの部屋への案内やベッドメイク、レストランでの応接や給仕、調度の整備などの活動を指す。
 
B リリース
  JIS和訳「リリース」の英文“release”は、日本語では「放つ、離す、放出する;放免する、開放する、公演を許可する、公表する」など様々であり
(110)、一般用語としては、例えば、ハードウェアや素材製品の「出荷」、ソフトウェア製品たる新聞の「発行」や書籍の「出版」、新作映画の「公開」、音楽CDの「発売」としても用いられている。
 
  規格では「業務の次の段階又は次の業務に進む許可」と定義されるが
#58、「あるものを保持されていた場所から出す」こと$57に関して用いられている。英国の00年版解説書(23)では「リリース活動は、所定の業務が完了したか、次の段階又は次の業務プロセスに移ってよいかどうかを判断する局面で行なわれる」と、その意義と特徴が説明されている。08年版7.3.3)では、設計開発から生産準備又は量産に移ることを「設計開発結果のリリース」と表している。
 
  「製品サービス のリリース」は、合否判定の活動に基づく活動としての、合否判定 により合格した製品サービス を合否判定 活動から外に出すことを許可するという意味であり、実務的には、顧客に引渡してもよい製品サービスと見做す、或いは、そのように取り扱うということである。しかし、「製品サービスの顧客へのリリース」は、そのような製品サービスを組織から外に出すことであるから、下記Cの製品サービスの引き渡し活動を行うことを許可することである。
 
C 引渡し
  英文は“delivery”であり、「物や手紙を宛先の人々のところに持っていく」という意味であり
(101)、日本語では「配達、配送、納品、引渡し、送り届け、発送、送付」などである(109)。 規格では、「リリース」が製品を組織から外に出すことであるのに対して、出した製品サービスを顧客に引渡し、顧客の使用に供することであり、日本語では「引渡し」でよい。例えば、商品の手渡し、配達、輸送などであるが、機械の据付けもこれに含まれる。「リリース」と「引渡し」が同時でなく、両者が異なる場所で実行される場合には、両者の間で製品を移動させる活動が介在する。更に 「引渡し」活動には「引渡しの準備としての包装、輸送、通関、目的地での受入れ、開梱」があるというような状況もある(23)。 これには、検査成績表の作成、発行や取り扱い説明書の添付なども含まれる。
 
  例えば、顧客の工場で据付け、試運転をした後にその機械設備を引渡す契約では、出庫、輸送、据付け、試運転は「内部処理」と見做すことができ、顧客の検収を得ての引渡しとなるから、「リリース」は、すなわち「引渡し」でもある。家具販売業で家具を購入者宅に運び据付ける契約では、販売して代金決済をした時が「リリース」で、据付けた時が「引渡し」である。小売業では商品の手渡しが「リリース」であり「引渡し」でもあり、両者は区別できない。
 
  接客サービス業ではほとんどの場合、サービス活動たる「内部処理」と「リリース」、「引渡し」の各活動がすべて同時に行なわれる。この場合、対面であれ電話であれ、言葉や態度を含み要員の顧客応対の行動が サービス活動であり、同時に顧客の要望を処理したという サービスが組織の外に出され、顧客に引渡されている。
 
D 引渡し後の活動
  「引渡し後の活動」の英文は“post-delivery activity”であり、製品サービスを顧客に引渡した後に組織が製品サービスの品質ないし狙いの顧客満足の状態の実現に関連して行う活動である。
 
  機械工業が主体の94年版では、製品サービスを顧客に供給する組織の事業活動を、製造、据え付け、付帯サービスの3つの活動から成るとしていた。「付帯サービス」の定義はなかったが、顧客に納入した製品の補修、設備保全、補給部品供給などのサービス活動を意味するものと受けとめられてきた。
 
  全業種業態に適用できる汎用規格となった00年版では、製品サービスを顧客に供給することに直接関係する一連の業務を「製品実現」の活動(7章)と呼び、94年版の製造、据え付け、付帯サービスの活動は一括して「製造及びサービス活動」と表されている (7.5)。そして、この製造及びサービス活動に引き続く活動として「製品のリリース、顧客への引渡し、引渡し後の活動」が挙げられている。
 
  「引渡し後の活動」の定義はないが、00年版が不良品を出さないだけでなく、顧客のニーズと期待を満たす製品サービスの提供を主意とするように拡大変化したことから、「製造及びサービス活動」によりつくり又は生み出された製品サービスが組織の狙いの顧客満足の状態の実現に資するものであることを支える手段としての活動であると考えるのが妥当である。
 
  このような引渡し後の活動について、00年版規格執筆者
(22)は、組織は製品サービスの実現の業務が組織の内外のどこで行われようと必要な仕様や品質の製品サービスを顧客に引渡すことに責任を持たなければならないという観点から、配達、輸送、据付け、試運転、部品補給、設備保全などを例として挙げているが、別の解説では94年版の付帯サービスとの違いを強調して、製品使用相談や要員訓練、技術支援、苦情の受付や処理、品質保証契約による求償への対応活動が例示されている (23)。15年版の注記(8.5.5項)では、製品品質の保証制度、保守サービス契約、製品の廃棄処理事業としての活動を挙げている。
 
  今日の個人向け製品サービスに関してよくある引き渡し後の活動としては、一般消費製品の製品使用電話相談窓口、一定期間の無償修理とその後の有償修理、製品据え付けと使用説明、買換え時の旧製品引き取り、サービス業では旅館の給仕した料理の説明、ホテル宿泊後の礼状はがき、宴会場無料送迎バス、食品スーパーの買物の有償配達などがある。
 
  以前は当たり前で、しかし、「売り放し」と揶揄された製品販売姿勢に対して、日本では1960年代から一般消費者製品を中心に、販売後の消費者の製品不良の申立てや使い勝手の不満を受けとめて対応する、いわゆる、「アフターサービス」の活動が拡がっていった。1980年代には欧米企業が、ISO9001に導入されたような日本製品の品質競争力の源としての品質経営の種々の方法論と合わせて、これを学び、“after sales activities”や“after sales service”として、製品の顧客満足の確立のための様々な販売後の活動を発達させ、今日“customer service”と呼ばれる活動が世界に拡がっている。この活動を規格に導入したのが、00年版の「引渡し後の活動」の必要の規定と考えるのがよい。
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サニーヒルズ コンサルタント事務所