ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
§41
要求事項 ISO9001:2015
 論理と用語   
33b-02-41
 
 
§0.1 概要   こちら
 
§0.2  実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応:

   
必要条件(事項) ⇔ 要求事項$1;  品質経営 ⇔ 品質マネジメント$19-0 ;品質経営体制 ⇔品質マネジメントシステム$19-1-1;       要件 ⇔ 要求事項$1
 
 
(0) 英文 ”requirement”の意味   
   JIS和訳「要求事項」の英文は“requirement”である。これは日本語では「必要とされるもの又は望まれるもの」という意味での「必要条件」、「必要事項」であり、規則や規格、契約上に関しては一般に「要件」、「条件」、「基準」などの日本語が当てられる
$1。この他、契約条件(contract requirement)、技術的要件(technical requirements)、査証発給要件(visa requirements)、卒業の要件(Graduation Requirements)などであり、また、入学資格(entrance requirement)、身長制限(height requirement)、メモリー必要量(memory requirements)のような和訳事例もある。 規格では、3種類の異なる意味のJIS和訳「要求事項」又は「要求する」の“requirement”又は“require”が存在する。
 
 
(1) 規格の規定という意味の「要求事項」
  ISO/IEC規格起草規則
(17)では、規格の規定(Provision)をその性格から“requirement”“recommendation”“statement”に分類し、それぞれに特有の規定の文章表現を定めている。これら規定表現をJISは「要求事項」「推奨事項」「記述事項」と、それぞれ和訳している。
 
  規定の“requirement”表現とは、「ある文書への適合を主張するなら満たさなければならず、それからの乖離が許されない合否判定基準を伝える文書の内容に関する表現」と定義されている。ここに「文書」は規格書のことである。つまり、規格の目的を達成するには規定の通りでなければならないという場合の規定表現のことであり、このような規定では“shall〜”“shall not〜”との英語が用いられることになっている。JISは、このような英文を、94年版までは「・・・すること」、00年版以降は「・・・しなければならない」と和訳している。
 
  従って、“requirement”表現の“requirement”とは、満たさなければならない「必要条件」、「必要事項」の意味であり、“requirement”表現の規定とは、物事の要件を定める規定ということである。日本語で「・・・しなければならない」という規定は、規格の目的の実現、すなわち、ISO9001の場合は組織の存続発展を図るのに必要な顧客満足を追求する品質経営活動が効果的なものであるためには、「・・・しなければならない」という意味である。
 
  00年版以降のISO9001規格の標題のJIS和訳「品質マネジメントシステム ― 要求事項」は、「品質マネジメントシステム」が「品質経営体制」であるから
§2.3、「品質経営体制要件」である。すなわち、ISO9001規格が、組織の存続発展のための顧客満足を追求する効果的な品質経営の在り方を、「品質経営体制に関して組織が遵守すべき必要条件」として規定していることを表している。
 
  また、ISO9001規格の条文でJIS和訳「この国際規格の要求事項に従って・・・」というような表現の規定は、ISO9001規格の規定が組織の満たすべき必要条件を定めた要件規定であり、そのような要件規定に従って・・・という意味である。実務的には、「規格の規定に従って・・・」である。
 
   因みに、他の2種類の規定表現の「推奨事項」「記述事項」は、英文では“recommendation”、“statement”であり、それぞれ、いろんな可能性の中でもこのひとつが特に適切である、単にある物事について述べるという意味の規定表現である。前者の規定は、英文では“should〜”、JISでは「・・・が望ましい」等と表されている。
 
   
(2) 修飾語付の「要求事項」
  規格の条文中には「顧客要求事項
#1-2-2」「製品及びサービスの要求事項#1-2-4」「購買要求事項#1-2-1p」など、「要求事項」に修飾語が付けられた用語が数多く用いられている。これら「xx要求事項」は、英語では“xx requirement”という文法上の群名詞であり、名詞の働きをするのは“requirement”であり、その前の名詞“xx”は“requirement”がどのようなものかを表す形容詞の役割を果たすから、「xxに関する要件」という意味である。
 
  この“requirement”を、規格は「明示されている、又は、一般に認められている、若しくは、当然のニーズや期待」と定義しているから
#18、簡単に言うと“requirement”は「ニーズと期待」の意味であり、正確には「必要とされるものと望まれるもの」である。従って、JIS和訳「xx要求事項」は、xxに関して満たすことが組織に必要とされるものと望まれるもの意味で、「xxのニーズと期待」又は「xxに関する要件」である。
 
 
(3)「要求する」
  JISが「この規格が要求する文書化した情報」などと和訳している「要求する」は、英文では“require”である。この“require”は「何かを必要とする」の意味
(101)の普通の英語であるから、「この規格が必要としている文書化した情報」である。
 
H29.7.6 
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サニーヒルズ コンサルタント事務所