ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
49 77.5.1項  製造及びサービス提供の管理 実務の視点による
ISO9001:2000の解説(新版) 
35-02-49
[第1文] 組織は、製造及びサービス提供を計画し、管理された状態で実行しなければならない。、
[第2文] 管理された状態には、次の事項のうち該当するものを含めなければならない。
a) 製品の特性を述べた情報が利用できる。
b) 必要に応じて、作業手順が利用できる。
c) 適切な設備を使用している。
d) 監視機器及び測定機器が利用でき、使用している。
e) 監視及び測定が実施されている。
f) 製品のリリース、顧客への引渡し及び引渡し後の活動が実施されている。
 
 
1. 要 旨
  本項は、製品実現の計画(7.1 a)項)で決めた仕様と品質及び付帯仕様の製品をつくり、顧客に引き渡すことに直接係わる業務である製造又はサービス活動の業務の管理についての要件を規定している。
組織は、個々の注文又は契約の製品を確実につくり顧客に引き渡す製造又はサービス活動の工程及び工程条件を決め、各工程の業務が決められた通りに実行されるよう業務の実行を管理しなければならない。この業務実行管理においては必要に応じてa)〜f)項の状態で各業務が行われることを確実にしなければならない。
 
 
2.背景 及び 関連事項
2-1. 製造及びサービス提供プロセス 
(1) 製造及びサービス提供
  『製造及びサービス提供』活動は、製品実現の一連の業務(7章)のひとつであり、組織が顧客に引き渡す製品を生み出す直接的な業務のことを指す。 規格では、製品を ハードウェア、素材製品、ソフトウェア、サービスの4つの種類に類型化しており#13-1、サービスも製品の一種である。組織の事業の製品のことを ISO14001は「製品及びサービス」と表現しているが、ISO9001は一貫して「製品」と表現している。ISO9001の条文で用語「サービス」が登場するのは、本項と次項の『製造及びサービス提供』という表現においてのみである。
 
@ 製造
  「製造」の原文は“production”であり、これには普通「生産、製造、製作、制作、産出、生成」などという日本語が当てられる(108)。“production”は、有形物である ハードウェア や素材製品のみならず、無形の製品のソフトウェアにも使用される(101)。日本語では、アプリケーションソフトの作成、映画の製作、CDの制作、演劇の上演、書籍の出版、小説の創作などである(109)。
 
A サービス活動
  規格では サービス という製品を生み出す活動は“production”ではなく、“service provision”であり、JISは『サービス提供』と和訳している。日本語では「サービス」とは奉仕、給仕、接待など、或いは、修理、輸送など、行為や活動を意味するが、英語や規格の『サービスの提供(service provision)』はこれらの行為や活動を意味する。これらの結果が『サービス(service)』である。すなわち、自動車が修理された、品物が届けられた、納税申告が代行されたという状態や事実、また、ホテル や レストラン で顧客が睡眠をとり、食事をし、時間を過ごすことを可能にしたことが『サービス』であり、この実現のために行った自動車の分解や補修、荷分けや輸送、収支情報の計算や申告書の作成、更には、案内や応接、調理や給仕或いは空間、調度の提供が、それぞれの『サービスの提供』である。この実態から『サービスの提供』ではなく「サービス活動」と呼ぶのが誤解がなく適切である$48-1。
 
  また規格では、顧客への製品の出荷又は引渡しに相当する製品たるサービス を顧客に引渡す活動は、“delivery of service”と呼ぶ。例えば、修理済の自動車を顧客に引き渡すこと、運んだ品物を依頼先に引渡すこと、作成した納税申告書を顧客に渡すことである。 JISはこれも『サービスの提供』と和訳しているが、英語の意味は「サービスの引渡し」であり、この方が日本語として誤解がない。なお、ホテル や レストラン、販売や営業、或いは、音楽会や演劇事業など顧客との対面で実行される サービス事業では「サービス活動」の実行と「サービスの引渡し」が同時である。
 
  規格の概念と表現では、「サービス活動」の実行の結果が「サービス」であり、「サービスの引渡し」によって顧客が入手する。サービス事業ではこのサービスという製品をつくり、顧客に引渡すことによって対価を得る。サービスの品質とは、自動車修理では迅速さ、技術的又は経済的的確さ、輸送では迅速さ又は期日遵守の程度、品質保持、会計事務所では遵法性、正確さ、ホテルやレストランでは快適さ、安穏さ、料理の味などに関係する。
 
(2) 製造及びサービス活動の業務
  製造及びサービス活動は、組織の事業活動の根幹の活動であり、組織の日常業務の中心である。 製品の品質は製造及びサービス活動によって生み出されるから、品質マネジメントにとっても最も重要な活動である。製造及びサービス活動の業務は、製品実現の一連の業務の一部であり、その実行の流れのなかのひとつの業務であるが、一般にこの製造及びサービス活動の業務もまた、相互に関連する複数の業務から成り立っている。
 
  94年版では製品を直接的に生み出す業務の実行管理を“process control”と呼び、『工程管理』と和訳されていた。製造業に限らず、どの製品も幾つかの作業や活動を経て段階的につくりあげられるが普通であるから、『製造及びサービス活動』の一連の業務の段階を「工程」と呼ぶのは00年版でも適当であろう。
 
  94年版(4.9, 4.15項)では、製品を直接的に生み出す業務(プロセス)を「製造、据付け及び付帯サービスの工程」と表現し、更に、これと重なる『製品の取扱い、保管、保存及び引渡し』の各工程を取り上げていた。 00年版では汎用表現となり、製品を直接的に生み出す工程を製品4分類に対応させて『製造及びサービス活動』の工程と呼び、これに合格品或いは検査済み品の『リリース活動』『引渡し活動』とこの製品に関係する『引渡し後の活動』(7.5.1 f)項)を含めている。また、この『製造及びサービス活動』の内の組織内での行われる活動、ないし、最終製品をつくりあげる活動を『内部処理』と呼んで、その後の製品品質の維持のための『製品の取扱い、包装、保管、保護』の活動と区別して規定している(7.5.5項)。規格作成者のひとり(22m)は、本7.5項が「7.2, 7.3, 7.4項で対応をされないすべての製品実現業務を対象としている」と説明している。
 
@ リリース
  JIS和訳『リリース』の“release”は、「あるものを保持されていた場所から出す」という意味(101)であり、日本語では「解放(解除、放出、放流)する、放す(はずす、ゆるめる)、公開(発売、公表)する」である(109)。 これは例えば、ハードウェアや素材製品の「出荷」、ソフトウェア製品たる新聞の「発行」や書籍の「出版」、新作映画の「公開」、音楽CDの「発売」に相当する。また、修理サービスでは修理済み品を顧客に引渡すことであり、小売業では商品を顧客に対面で引渡すことである。輸送サービスでは輸送先の相手に品物を引渡すことと考えてよいと思われる。 英国の解説書(23y)では「リリース活動は、所定の業務が完了したか、次の段階又は次の業務プロセスに移ってよいかどうかを判断する局面で行なわれる」と、その意義と特徴が説明されている。
 
A 引渡し
  原文は“delivery”であり、「物や手紙を宛先の人々のところに持っていく」という意味であり(101)、日本語では「配達、配送、納品、引渡し、送り届け、発送、送付」などである(109)。 規格では、『リリース』が製品を組織から外に出すことであるのに対して、出した製品を顧客に引渡し、顧客の使用に供することであり、日本語では『引渡し』でよい。例えば、商品の手渡し、配達、輸送などであるが、機械の据付けもこれに含まれる。『リリース』と『引渡し』が同時でなく、両者が異なる場所で実行される場合には、両者の間で製品を移動させる活動が介在する。更に 『引渡し』活動には「引渡しの準備としての包装、輸送、通関、目的地での受入れ、開梱」があるというような状況もある(23y)。
 
B 引渡し後の活動
  「引渡し後の活動」は“post-delivery activity”であり、製品を顧客に引渡した後に組織がこの製品の品質ないし顧客満足に関して実行する活動である。 94年版(4.15)が『付帯サービス』として規定していた顧客に納入した製品の補修、設備保全、補給部品供給などのサービス活動はこれに含まれる。また、製品使用相談や要員訓練、技術支援、苦情の受付や処理、品質保証契約による求償への対応活動もこれに相当する(23y)。規格執筆者のひとり(22m)は、組織は製品実現の業務が組織の内外のどこで行われようと必要な仕様や品質の製品を顧客に引渡すことに責任を持たなければならないという観点から、配達、輸送、据付け、試運転、部品補給、設備保全などが例として挙げている。
 
  例えば、顧客の工場で据付け、試運転をして後に製品の機械設備を引渡す契約では、出庫、輸送、据付け、試運転は「内部処理」と見做すことができ、顧客の検収を得ての引渡しとなるから、『リリース』はすなわち『引渡し』でもある。 しかし、家具販売業で家具を購入者宅に運び据付ける契約では、販売して代金決済をした時が『リリース』で、据付けた時が『引渡し』と見做すことができる。 家電販売業で、商品とは別料金で自宅まで配送し、配線、接続する場合は、販売と据付工事の2種類の事業を営んでいると見なすこともでき、据付けを「引渡し後の活動」と見なすことが出来る。
 
  多くの小売業では商品の手渡しが『リリース』で『引渡し』であり、両者は区別できない。 接客サービス業ではほとんどの場合、『サービス活動』たる『内部処理』と『リリース』『引渡し』の各活動がすべて同時に行なわれる。 この場合,対面であれ電話であれ、言葉や態度を含み要員の顧客応対の行動が サービス活動であり、同時に顧客の要望を処理したという サービスが組織の外に出され、顧客に引渡されている。 規格執筆者のひとり(7a)は、旅客航空輸送サービスにおいて航空機が ゲートを離れることを『リリース』に準えているが、この場合は飛行の提供というサービス活動が、ゲートを離れた時から飛行中を含み目的地空港のゲートに着くまで、連続して実行され、同時に各段階の『サービス』が『リリース』されているということであろう。
 
  『リリース』はともかくも、『引渡し』や『引渡し後の活動』に分類される業務が、それ自身が組織の事業の一環で場合には、大抵はサービス活動であるがそれらの業務は、組織の『製造及びサービス活動』として位置づけ、取り扱わな。ければならない。
 
 
2-2. 製造及びサービス提供の計画と管理 
(1) 製造及びサービス活動の計画
  英語で『計画する(planning)』とは、ある事を実行するために前もって手はずを整えることを意味し$28、規格では一般には手順を確立し必要な資源を用意することを指す。『製造及びサービス活動の計画』活動は、成約又は受注した個々の製品に関する製品実現の計画 活動(7.1項)の一部であり、定めた仕様と品質及び付帯仕様(同 a)項)の製品をどのようにつくるかの方法を具体的に決め、その実行の手はずを整えることである。実務的には、個々の契約又は注文に対して品質設計(7.1 a)項)により決められた所定の仕様と品質及び付帯仕様の製品をつくるための工程設計、日程設計である。
 
  規格の「特性」の定義#8に従うと、これら工程条件がどのようなものであるかは「プロセスの特性」として表される。また、工程条件を表すプロセスの特性の内、例えば作業や設備運転の温度や時間、速度、電流値など物の処理に係わる特性は94年版(4.9)では『工程パラメーター(process parameter)』とも呼ばれていた。
 
  『製造及びサービス活動』業務の工程設計で決める工程と工程条件には通常、次の事項が含まれる。但し規格では検査や試験は『製品の監視及び測定』の計画、業務実行管理は『プロセスの監視及び測定』の計画として別途(8.1項)、必要と要件が規定されている。
 
技術事項: 必要な工程とそれらの順番、及び、それらの実行の条件など各業務の方法及び管理基準、並びに、その実行を管理する方法。これには、適用する資源、使用する原材料、部品、資材に関する条件、基準を含む。
作業手順: 各工程の業務を実行する要員の作業の方法と基準。これにはその実績を監視測定する方法を含む。
  検査や試験: 所定の仕様と品質及び付帯仕様を満たした製品を識別する合否判定の方法と基準
記録:各工程の業務と製品の実績に関する必要な記録項目
 
   工程設計の結果の工程条件は、それに基づいて製造及びサービス活動を実行すれば間違いなく所定の製品仕様と品質及び付帯仕様の製品が得られるものでなければならない。狙いの製品を得るという観点からの工程条件と製造及びサービス活動を実行管理の適切さ、詳しさ、厳重さの程度は、発生する不良品の検出のし易さや、不良品による損失の大きさと釣り合いのとれたものでなければならない(21w) 。
 
  工程設計の結果の有用性の観点からの適切さの責任者による判断の必要は、規格では工程設計結果を表す文書の承認(4.2.3 a)項)として示唆されている。実務的には、決められた手順に基づいて工程設計が行われ、或いは、対面サービスのように要員が決められたサービス活動の種類を選ぶ場合には、改めての承認手続きはない。プロジェクト型事業や新規商品の工程設計など未知の要素の多い場合は、試作やシミュレーションによるなど客観的証拠に基づく有用性判定が行われる。
 
  日程設計は一般に、製品の納期を満たすことを目的に、また、製造又はサービス活動を初め関連業務の要員や設備能力からくる制約とその効率的活用の観点から行われる。日程設計の結果は実務では、サービス業では休日に要員の配置を増やし、製造業では生産量に応じて過勤務を増減させるなど日々の要員の職場配置や職場の業務の割り当てあるいは業務実行の基礎となる。
 
(2) 製造及びサービス活動の実行管理
  個々の製品の『製造及びサービス活動』において、常に所定の仕様と品質及び付帯仕様の製品をつくり顧客に引渡すためには、それによって間違いなく所定の製品を得ることができるとして決められた工程と工程条件に則って『製造及びサービス活動』を実行しなければならない。これを確実にする管理の活動が、規格の『製造及びサービス提供の管理』である。
この『製造及びサービス活動』の実行管理は、実務では事業組織の日常管理業務の中心をなし、品質の観点からは品質管理と呼ばれる。実行管理には、日程設計の結果の業務実行の時間的な又は日程的な要素、及び、数量や規模の要素も含まれ、実務ではそれぞれ、工程管理、生産管理とも呼ばれる。
 
@ 実行管理
  業務が定められた通りに実行され所定の業務結果の半製品、製品を得ることを確実にする『製造及びサービス活動』の業務の実行管理は、PDCA/プロセスアプローチ サイクルでは、P/計画(製造及びサービス活動の計画)、D/実施(製造及びサービス活動の実行)に続く、C/管理及びA/継続的改善に相当する。規格ではこのC/管理に『監視及び測定』『分析』の活動を、また、A/継続的改善を『改善』の活動を当てている。『製造及びサービス活動』の実行管理には『プロセスの監視及び測定』(8.2.3項)、『データ分析』(8.4項)、『是正処置』(8.5.2項)、『予防処置』(8.5.3項)の活動が関係する。
 
  ここにTC176指針(6)では、『監視(monitoring)』は「観察、監察、監視下におくこと、又は、一定時間間隔で測定又は試験すること(特に規制や制御の目的で行う場合)」であり、『測定(measure)』は「あるものの空間的大きさ又は量を確定又は決定すること、又は、寸法や容量が既知のものを適用するか又は一定の単位物と比較することによって確定又は決定すること」である。『監視』も『測定』も業務実行状況に関する情報を検知する活動であり、これが決められた通りかどうかの判断がこの情報を『データ分析』することであり、問題を起きないようにする処置が『是正処置』『予防処置』である。規格では『製造及びサービス活動』の業務の実行管理は、『監視』『測定』『データ分析』『是正処置』『予防処置』を合わせて各工程の業務が決められた通りに行われるようにすることであるが、しばしば『環視及び測定』が業務実行管理の全体を表す言葉として用いられている。本項の『環視及び測定』も『製造及びサービス活動』の業務実行管理を意味している。
 
  要員の作業、設備の作動、購入物品やサービスの品質などいずれに起因するにせよ、業務の実行にはばらつきが付きものである。 製造及びサービス活動の計画活動で定める工程条件には一般には製品の合否判定基準を満たすという観点からのばらつきに対する許容範囲が明確にされていなければならない。この許容範囲は実務では管理基準とも呼ばれ、00年版では『判断基準』(4.2.1 c)項)又は『合否判定基準』(8.2.4項)である。製造及びサービス活動の実行管理においては例えば、材料の加熱到達温度、処理液の濃度、半製品の工程間移送時間、要員の視力、お辞儀の角度などが、狙い値と共に許容範囲が決められなければならない。
 
  工程条件の許容範囲である管理基準は、当該工程業務に不可避の固有のばらつきを把握し、それを基に決めることが合理的である。品質管理分野では、特定の工程作業に不可避の固有のばらつきは、それが影響を及ぼす製品の特性のばらつきの大きさを意味する工程能力指数Cpで表される。製品の特性のばらつきは、それに影響する各工程業務の固有のばらつきの総合的結果であり、製品の合否判定基準はこの製品に不可避の固有のばらつきに照らして決めることが必要である。製品品質の向上は、製造及びサービス活動の各工程業務の不可避の固有のばらつきを低減する、つまり、工程能力指数を小さくし、製品特性のばらつきの下限を引き上げることによっても実現できる。
 
  工程条件が管理基準を逸脱した場合には、その原因を調査して再発の防止を図ることが必要である(8.5.2項) 。また、製品の所定の品質の確保を目的とする実行管理では、業務実行状況の監視測定データを分析して、予想される製品不良の未然防止が図られる(8.4 c)項)。このために用いられる品質管理手法が管理図法である。94年版(4.20)では、日本製品の優れた品質の背景に製造現場の品質管理に広く用いられていた統計的品質管理手法があるとの考えから、統計的品質管理手法の適用の必要が規定されており、工程能力や管理図の必要が指摘又は示唆されていた。
 
  『製造及びサービス活動』が定められた工程条件の通りに、つまり、管理基準を満たして実行されているかどうかの監視測定には、各工程業務の状況を直接監視測定する方法とその結果の半製品、製品を監視測定することによる間接的な方法がある。半製品や製品の特性の合否判定が容易な場合や不良の発生の可能性が小さい場合には後者によることが多い。逆に半製品や製品の特性の監視測定が困難な場合には工程業務の実行実績を直接監視測定し、管理基準に照らして合否判定を行う(7.5.2項)。製造及びサービス活動の実行管理の方式と程度は、業務の実行が定められた管理基準を逸脱する可能性とそれが結果の半製品、製品に及ぼす影響の大きさに見合うものでなければならない(21w)。
 
A 管理された状態
  定められた工程条件に則って『製造及びサービス活動』の業務が確実に行われるためには、要員が決められた通りに業務を行うことが出来る状況に置くことが必要であり、これを規格は『管理された状態』と呼んでいる。要員が業務を行う状態は『作業環境』(6.4項)であるから、この『管理された状態』もその一種である。要員が決められた通りに業務を行うことが出来る状況とは、視点を広げると規格に従って確立した品質マネジメントの業務の枠組みそのものであるが、『製造及びサービス活動』に限って、かつ、直接的な要素に絞り込むと、例えば次のような状態と言うことが出来る。
 
 @ 要員にどのように業務を行ってどのような半製品、製品をつくるのかが明確に伝えられていること
 A 要員が作業方法、設備運転条件などの工程条件を記した文書を必要により使用できること
 B 要員が業務実績の必要な記録をつけるための用紙や用具が用意されていること
 C 要員が必要な工程能力を持った設備、必要な機能と精度を持った計測器を使用できること
 D 要員が必要な仕様と品質及び付帯仕様を持った購買物品、サービスを使用できること
 
  規格では一般に、計画活動(planning)の結果である業務実行の手はず、或いは、手順と資源で代表される業務実行の体制、枠組みを「計画された手はず(planned arrangement)」と表現する。 これに則って所定の結果を出すように業務を行なうことは、プロセスや システムを『効果的に実施する』と表現される。 計画活動により適切な手はずが整えられても、それに則って業務が行なわれない限りは所定の仕様と品質及び付帯仕様の製品を得ることができない。定められた工程条件に則って製造及びサービス活動の業務が行われることが『効果的実施』であり、業務が効果的に業務が行なわれることを確実にするために整えなければならない「計画された手はず」が『管理された状態』である。
 
 
3. 規格要求事項とその真意
  規格では『サービス』は製品であり、『サービス提供』は「サービス活動」を実行することを意味するから、『製造及びサービス提供』は「製造及びサービス活動」と表現する方が理解しやすい。「製造及びサービス活動」は、個々の契約又は注文のサービスを含む製品を直接的につくりあげる一連の業務のことであり、製品実現活動の中心である。また、本項の『製造及びサービス提供の管理』は、製品実現の計画で定められた仕様と品質及び付帯仕様の製品をつくり上げ顧客に引き渡すことを確実にする製品実現業務の実行管理を指し、実務では事業組織の日常管理業務の中心をなす管理業務である。
 
  組織は、製品実現の計画(7.1項)の一環として、「製造及びサービス活動」の各業務の実行及び管理の手はずを整えなければならない。 この手はずに則って、成約又は受注した個々の製品に定められた仕様と品質及び付帯仕様の製品を作り上げるための工程と工程条件を決め、それを満たして製品実現諸業務が効果的に実行されるように管理しなければならない。所定の製品が間違いなくつくられ顧客に引き渡されるよう、この管理が効果的に行われるためには、「製造及びサービス活動」の各業務は必要により規定a)〜f)の要件を満たす『管理された状態』で実行されなければならない。
 
  機械産業中心の94年版(4.9)では、標題『工程管理(process control)』の下に、この『管理された状態』を次のように規定していた。
 a) 製造、据付及び付帯サービスの方法を明確にした手順書
 b) 製造、据付及び付帯サービスのための適切な設備の使用、並びに、適切な作業環境
 c) 引用された規格・基準、品質計画書及び/又は手順書への適合
 d) 適切な工程パラメーター及び製品特性の監視、並びに、これらの管理
 e) 必要に応じて、工程及び設備の承認
 f) 作業の出来栄えの基準
 g) 工程能力を継続的に維持するための設備の適切な保全
 
  00年版では、あらゆる業種に適用する汎用規格という規格の性格から表現が一般的、抽象的なものとなり、また、条項配置の都合上、 b)項の一部(作業環境)と g)項(設備の保全)が資源マネジメントの一環として6.4項、6.3項に、e)項(工程及び設備の承認)が『特殊工程』の管理の規定と共に7.5.2項に移動した。規定が簡素化された感もあるが、これに関して規格執筆者のひとり(21x)は、趣旨には大きな変化はなく、例えば製造業が94年版で定めた業務要件を緩和してよいということではないと釘を刺している。
 
(1) 組織は、製造及びサービス提供を計画し、管理された状態で実行しなければならない [第1文]
 
『製造及びサービス提供』は「製造及びサービス活動」の意味であり、所定の製品をつくり出し、顧客の用に供するまでの直接的な活動を指す。 この活動は、組織内部の活動としての『内部処理』(7.5.5項)と顧客に直接係わる活動としての『リリース、引渡し及び引渡し後の活動』から成る。また、プロセスの監視及び測定 (8.2.3項)の活動を含み、関連する『製造及びサービス活動』の工程以外の業務との接点の活動も含む。規格執筆者 のひとりは(22m)「7.2 、7.3 、7.4の各項では対応されないすべての製品実現業務を包含する」と述べている。
 
@ 製造及びサービス提供を計画しなければならない
 規格の『計画』は手はずを整えること$28であり、『製造及びサービス活動を計画する』とは成約又は受注した個々の製品について、顧客のニーズと期待を満たすと判断して決定された『製品に対する品質目標及び要求事項』(7.1 a)項)を満たす製品を効果的に、効率的につくりあげる製造又はサービス活動の手順を確立し、必要な資源を用意することである。 どのようなことを決め、何を用意しなければならないかは、製品実現の計画活動の要件(7.1 b)〜d)項)として一般的に明らかにされている。実務的には製品実現業務の工程設計活動のことであり、品質設計で決められた仕様と品質及び付帯仕様を確実に満たす工程と工程条件を、確立した作業手順と用意された文書、設備から選ぶことである。
 
  計画活動の結果の製造及びサービス活動の工程及び工程条件は、所定の製品仕様の製品を間違いなくつくり出し、顧客に引渡すことを可能とするものでなければならない。本項にはこれを直接的に表す記述はないが、規格は定められた業務方法に則って業務を行うことにより必要な業務結果を出すことを確実にするという体系的で組織的な業務実行管理を基礎としているから、業務方法を決める場合はそれが確実に所定の結果を出すようなものでなければならないことは当然である。この原則は、すべての計画活動を包含する品質マネジメントシステムの計画に関して「品質目標を満たすように計画活動が実行される」こと(5.4.2 a)項)と明確にされている。この観点で決めた業務方法或いは工程条件が適切であることを確実にする管理は、業務方法を記述する文書の『発行前に適切かどうかの観点から文書を承認する』(4.2.3 a項)である。

 
A 製造及びサービス提供を管理された状態で実行しなければならない
 
製造及びサービス活動の工程で所定の製品を確実につくり出し顧客に引渡すためには、上記@の製造及びサービス活動の計画活動で定めた工程と工程条件に則って、各業務が実行されるよう管理しなければならない。組織は、上記@の製造及びサービス活動の手はずを整える活動の中で、各業務が決められた通りに行われ 、決められたかが確実に出るように管理する手はずを整えなければならない。これは規格では『プロセスの監視及び測定』(8.2.3項)である。この管理には、各工程業務の実行状況を直接監視測定する方法とその結果の半製品、製品を監視測定することによる間接的な管理の方法がある(21z)。
 
  この管理の目的は業務実行の監視測定によっても決められた方法や条件を逸脱する状態のない業務実行状況を実現し維持することであるから、この管理には各業務が所定の手はずに則って効果的に行なわれることを確実にするのに必要な状態、つまり、『管理された状態』を確立し、その状態で業務が行われることを確実にする管理を前提としなければならない。

 
(2) 管理された状態には、次の事項のうち該当するものを含めなければならない [第2文]
  『管理された状態』とは、次のa)〜f)の要件が満たされている状態である。組織は、a)〜f)の状態をつくり出し、間違いなく維持されるように管理しなければならない。
 
   『該当するもの』は「可能ならば」であり$44、これによりすべての『製造及びサービス活動』にa)〜f)のすべてを満たす管理された状態が必須ということではないことを明確にしている。一方、規格執筆者のひとり(21x)によると規格は同じ要件の重複した記述を避けることを意図しており、この『管理された状態』の要件もすべてではなく、『管理された状態』であるためには、文書化(4.2項、7.1項)、監視測定(8.2.3項, 8.2.4項)、資源マネジメント(6章)など他の条項に規定されている要件をも満たさなければならないと説明している。

 
(3) 製品の特性を述べた情報が利用できる [ a)項]
 
規格で「特性」とは「際立った/顕著な特徴/特質」と定義され#26、この場合の『製品の特性』とはどのような製品であるかと言う意味であり、製品実現の各業務の狙いの結果である半製品又は最終製品の仕様や品質或いは付帯仕様のことである。規格では『製品に対する品質目標及び要求事項』(7.1 a)項)のことである。
 
 業務を行う要員は、個々の業務でどのような結果を出さなければならないのかを理解し、そのための業務の方法や基準を知っておかなければならない。業務が『製造及びサービス活動』である場合の結果は半製品又は最終製品であり、それを顧客に引渡すことである。要員或いは職場のそれぞれに特定の業務の実行を指示し或いは委託する場合には、その結果の半製品又は最終製品、顧客への引渡しに関する仕様又は要件を伝達し、或いは、要員或いは職場がわかる状態にしておかなければならない。この情報の詳しさ又は内容表現は、それによって要員が適切な工程と工程条件を選択することができる程度でなければならない。
 
  この情報は、製造業では一般に生産計画書、生産指示書、輸送業では運搬指示書、工事やプロジェクト事業では日程業務計画書のような形をとる。レストランでは顧客の注文の調理場への指示は口頭で、又は、注文伝票で行われる。これらの『製品の特性』の情報では、製品略号や製品番号、輸送先、メニュー名と寸法や納品期限、例えばステーキの焼き具合などの主要仕様だけであり、詳細は製品図面や製品仕様書、現品見本、組立図として表されることが一般的である。このような場合は、要員は前者の情報は業務実行の都度入手し、後者の情報は文書化されており予め職場で保管されているという形が多い。前者の情報の文書化の要否は、正しく情報が伝達され理解されるという観点から業務の効果的実行に必要かどうか(4.2.1項)で判断することが必要である。
   
  本項は94年版(4.9)では作業の出来ばえ基準の明確化の必要(f項)として規定され、「例えば基準書、標準見本、図解など実際的に最も明瞭な方法で規定しなければならない」と付記され、これを「製造要員は作業実行の基礎として製品の見本又は詳細な仕様を持っていなければならない」と説明する解説があった(28a)。

 
(4) 必要に応じて、作業手順が利用できる [ b)項]
 
JIS和訳『作業手順』の原文は“work instruction”であり、規格では「任務をどのように実施し、記録するかについて詳細に記述した」文書(137g)を指す。条文は『作業手順が利用できる』ではなく「作業手順書が利用できる」である。
 
  規格の「作業手順書」は、「手順書(documented procedure)」が品質マネジメントシステムの手順、実務的には部門横断的な業務の手順を定めているのに対して、個々の作業の方法や条件の詳細を規定する文書であり、実務では「作業手順書」「作業標準書」「作業要領書」などと呼ばれる文書である。このような規格の意図の「作業手順書」は、文章で記述されるだけでなく、フローチャートや図面、図面に記入した技術数値、見本、写真、チェックリストなど多様な形をとる(137g)。
 
  本項は94年版(4.9 a))の『手順書がなければ品質に有害な影響を及ぼす可能性のあるものについて、製造、据付け及び付帯サービスの方法を明確にした手順書』を用意しなければならないとする規定に相当する。94年版では上位文書である「手順書」を用意するように記述されていたが、00年版ではより実務的表現として「作業手順書」を用意すると表現されたものであろう。
『手順書がなければ品質に有害な影響を及ぼす可能性のあるもの』は、00年版では「業務の効果的な計画、実行及び管理を確実にするために必要な」という文書化の原則の規定に集約して表されおり(4.2.1 d)項)、本項ではこれを『必要に応じて』と表している。
 
  この「作業手順書」は、上記(3)で指示され又は示される狙いの業務結果としての製品をどのようにつくるかの作業方法や条件を規定する文書である。要員は、この作業方法や条件に則って業務を行い所定の半製品又は製品を確実につくると言う職務能力(6.2項)を持っていなければならず、作業方法や条件を熟知していなければならない。しかし、例えば詳細な数値で表される作業条件は要員の記憶に依存するのではなく、作業の都度要員が参照できるような形がとられなければならない。特に重要な作業、複雑な作業、間違いを冒し易い作業については、要員は頻繁に「作業手順書」と内容を参照することが必要であり、しばらくの間なかった製品をつくるような場合には作業方法や条件の記憶が正しいかどうかを前もって「作業手順書」で確認することが必要である。
 
  このように業務が定められた通りに実行されるためには、必要に応じてその作業方法や条件を「作業手順書 」に文書化することが必要であり、要員が「作業手順書」を使用する、或いは、内容を参照する必要に応じて適当に、「作業手順書」を配付し保管し、或いは、内容の要員への提示を行わなければならない。
 
  本項は、確立した業務実行の手順の内の効果的業務実行に必要な手順は文書化しなければならず、必要な文書が「必要な時に、必要なところで使用可能な状態にあること」を確実にしなければならないとする文書化(4.2.1 d)項)と文書管理(4.2.3 d)項)の汎用的要件が、製造及びサービス活動という特定の業務に関する要件として改めて規定されたものである。

 
(5) 適切な設備を使用している [ c)項]
 
JIS和訳『適切な』は“suitable”であり、「特定の目的や状況に対して正しい又は適当である」の意味$24である。「適当な設備」とは、上記(3)の指示され又は示される狙いの業務結果としての製品をつくるのに必要な能力を持つ設備のことであり、工程設計たる製造又はサービス活動の計画の決められた設備を指す。
 
 これは94年版(4.9 b))でも『製造、据付及び付帯サービスのための適切な設備の使用』と同じ表現で規定されていた。このJIS和訳規定の『適切な設備』も英語では「適当な設備(suitable equipment)」である。「設備」は両版とも“equipment”であるが、00年版では物的資源としての『インフラストラクチャー』を指し、具体的には『建物、作業場所、電気・ガス・給水設備、製造及びサービス活動用設備(ハードウエア及びソフトウェア)、郵送、通信又は情報システム』などである。
 
 所定の仕様と品質及び付帯仕様の製品をつくるために工程設計活動で決定する工程と工程条件には、使用すべき設備が含まれていなければならない。幾つかのつくり方の中で特定のつくり方を選ぶという観点から使用設備を特定するという場合の他、同種機能を持つが性能や能力の異なる幾つかの機械を有している状況で所定の製品を最も効果的或いは効率的につくることができるという観点から特定の機械を使用するという場合がある。上記(3)の指示され又は示される製品を確実につくりあげるためには、こうして指定された設備を間違いなく使用することが必要である。

 
(6) 監視機器及び測定機器が利用でき、使用している [ d)項]
(7)監視及び測定が実施されている [ e)項]
 
業務が定められた工程条件で実行されることを確実にする管理は規格では、『監視』『測定』『分析』と表現される。『監視』『測定』は情報の検出方法のことであり、TC176指針(6)では『監視』は観察、監視すること、或いは、 一定時間間隔で測定することであり、『測定』は空間的大きさ又は量を確定、決定することであると説明されている。ここでは『監視』と『測定』の違いに特段の意味がなく、管理のための情報検出活動を意味している。更に規格では『環視及び測定』を情報検出活動に基づき、決められた通りに業務が実行され或いは決められた通りの結果が得られるように管理することの意味でしばしば用いられている。本f項の『環視及び測定が実施されている』は、実質的に『製造及びサービス活動』の実行が管理されているという意味である。
 
  また、JIS和訳『監視機器及び測定機器』は、00年版の英文では“monitoring and measuring devices”であり、08年版で意味に変更はないとして“monitoring and measuring equipment”に表記変更になったものであり、規格の意図では「監視及び測定の用具」である。この「用具」とは、計測器や監視カメラのような機器だけでなく、目視、嗅覚など人の五感や、データの計算や分析法、設備稼働状態のチェックリストや顧客満足度調査アンケートの書式などを含む広い監視測定の手段を意味する。
 
  『製造及びサービス活動』によって所定の製品を確実につくりあげ、顧客に引渡すためには、そのために必要な工程(4.1 a),b)項)と工程条件(同 c)項)、必要な資源と情報(同 d)項)を決め、その業務の実行を監視し(同 e)項)、管理(同 f)項)しなければならず、工程設計ではこのPDCA/プロセスアプローチ サイクルに沿って一連のすべての業務の方法と基準を決めなければならない。
 
  組織は、『製造及びサービス活動』の各業務が工程設計で決められた工程条件と管理基準に則って行われているかどうかを監視測定するための用具が、工程設計で決められた通りに用意され、又は、使用されていることを確実にしなければならない。また、監視測定のために用意された用具が決められた通りに使用され、必要な情報が検出され、それに基づいて、決められた通りの半製品、製品が確実に得られるように管理しなければならない。
 
  この監視測定は規格ではプロセスの監視及び測定 (8.2.3項)である。同項の規定に従って監視測定の方式と程度は『業務が計画通りの結果を出す能力があることを実証する』と言う観点から適当で十分でなければならない。また、監視測定の結果で『計画通りの結果が出ない』と思われる場合に必要なら『修正及び是正処置』をとらなければならない。
これら製造及びサービス活動の業務の実行管理について94年版(4.9 d)項)は『適切な工程パラメーター及び製品特性の監視、並びに、これらの管理』と『引用された規格・基準・品質計画書及び/又は手順書の適合』と、製造業の実務に即した表現で規定していた。

 
(8) 製品のリリース、顧客への引渡し及び引渡し後の活動が実施されている [ f)項]
 
94年版では製品品質に直接影響をする工程として『製造』と共に『(機械の)据付け』及び『付帯サービス』を取り上げ、これらを合わせた『工程管理』の要件(4.9項)を規定していた。加えて、部品補給や機械の保全サービなど、製品を顧客に引渡した後の製品の機能や品質の維持のための業務を『付帯サービス』として、別個に管理要件(4.18項)を規定していた。00年版では、組織内部での製品をつくることに関係する業務を『内部処理』と一括し、これに引き続く製品に関係する業務を『リリース、顧客への引渡し及び引渡し後の活動』と整理している。
 
  『リリース』の英文は“release”であり、保持していたものを外に出すことを意味し$57、94年版(4.10.5)では「検査責任者が製品の“release of product”に責任を持つ」との表現があったことから、何かを物理的に外に出すことに加えて、その決定や承認を含蓄する言葉として使われていると考えられる。つまり、内部処理の結果の最終製品を顧客に引き渡すために組織から外に出すこと、ないし、それを決める活動である。94年版ではこの“release of product”が『次工程の引渡し又は出荷』を和訳され、00年版では本項の『リリース』に対してJIS独自の括弧つき注釈『次工程への引渡し』が付されていたが、08年版では条文が“product release”になり、注釈はなくなった。
 
  『リリース』活動に引続き、製品を顧客の手元に引渡すための活動が『引渡し』活動である。94年版(4.9)の『据付け』はこれに含まれる。製品によっては『リリース』と『引渡し』は同時に行なわれ、また、内部処理とこれらが同時に行なわれる場合もある。
 
  『引渡し後の活動』は、顧客の手元に渡った製品に対するサービス活動であり、94年版(4.9)の『付帯サービス』に相当する。
 
  製品に所定の顧客満足を得るためには、内部処理で所定の仕様と品質及び付帯仕様の製品を間違いなくつくるだけでは十分ではない。内部処理の後から顧客の手元に渡るまでの製品の機能や品質の毀損、劣化を防ぐことが必要であり(7.5.5項)、 リリース活動や引渡し活動に関しては、例えば発売時期や納期が顧客のニーズと期待に合致しなければならず、対面活動においては要員の応対の礼儀や態度が大切である。さらに、所定の機能、性能を発揮するように顧客が製品を使用できなければならず、必要によってはこれを支援する製品使用相談、装置の据付け、故障の修理などの体制が必要である。
 
  組織は、狙いの顧客満足を実現する製品をつくりあげる『製造及びサービス活動』の中に、その製品で狙いの顧客満足を実現するのに必要な内部処理活動以外の顧客に対する活動を含めて、その実行の手はずを整え、手はずに則って実行されるように管理しなければならない。また、この管理が効果的に行われるために、それら活動の業務が上記(3)〜(7)の規定a)〜f)の要件を満たす『管理された状態』で実行されるように管理しなければならない。

   

 
 
H25.8.25
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