ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
51 7.5.3項  識別及びトレーサビリティ 実務の視点による
ISO9001:2000の解説(新版) 
35-02-51
[第1節] 必要な場合には、組織は、製品実現の全過程において適切な手段で製品を識別しなければならない。
[第2節] 組織は、製品実現の全過程において、監視及び測定の要求事項に関連して、製品の状態を識別しなければならない。
[第3節] トレーサビリティ が要求事項となっている場合には、組織は、製品について一意の識別を管理し、記録を維持しなければならない。
 
 
1.要旨

  本項は、製品実現の業務の効果的実行のために製品及びその適合/不適合が常に見分けられるようにしておく必要、及び、製品実現の経過を遡って追跡できるための要件を規定している。
 
  間違った又は不合格な購買製品、半製品を使用し、間違った又は不合格な製品を顧客に引渡すことのないよう、原料や部品等の購買製品、半製品、製品がそれぞれ何であるかを見分けられるように、また、合格品か不合格品かを見分けられるようにしておかなければならない。製品実現の履歴を事後に遡って追跡する必要がある場合は、特定の製品の履歴を他の製品のそれと識別できるような表現で把握し、記録しなければならない。
 
 
2. 識別とトレーサビリティ  (背景及び関連事項) 
(1) 識別
@ 識別できるようにすること
  JIS和訳『識別する』の英文は“identify”である。これには「特定」「発見」「区別」の3つの意味があり、この場合は「区別」の「見分けることができるようにする」である$14。TC176の用語の指針(6)で“identify”は「物事が何であるかをはっきりさせる」こととされている。すなわち、ある物事を他の物事と区別して見分けられるようにするという意味であるから、日本語で「見分ける」ことを意味(113)する『識別する』ではなく、「識別できるようにする」である。規格の文脈では何が何物かを見分けて特定することである。
 
  多数の人々が協働する場での業務の実行には意思疎通が不可欠であり、意思疎通を可能にする共通の認識、共通の理解の存在が不可欠である。何が何物であるということに関する一貫した認識は個人としての業務実行の基本要件であるが、協働の場ではこの認識が関係者の共通理解となっていることが必要である。規格の「識別できるようにする」とは、業務実行に係わる物事に関して、関係者が同様の複数の物事の中からある特定の物事を区別し、他の物事から見分け、特定することができるようになっているということである。
 
  例えば、業務実行指示で指すもの、例えばある特定の機械の使用の指定が業務実行者に誤って受け取られて異なる機械が使用されたなら業務指示で意図した業務結果を得ることができない。複数の同種の機械には例えば1号機、2号機等の名称を付け、当該機械にもこの名称を表示することで、このような問題を防ぐことができる。「識別できるようにする」とは簡単にはこのようなことである。
 
A 識別活動の類型
  ある物事を同種の他の物事ものごとと区別して見分けられるようにするという意味では、「識別できるようにする」との表現が用いられていないものも含めて、規格では効果的な品質マネジメントの実行の観点から様々な物事にその必要を明確にし、或いは、示唆している。これらは次のa)〜c)に大別できる。本項の『製品の識別』は@、『製品の状態の識別』はBの意味で「識別できるようにする」である。また、用語「識別できるようにする」が用いられているのは、*1(4.2.3 c)項); *2(4.2.3 f)項); *3(4.2.3 g)項); *4(4.2.4項); *5(7.5.4項); *6(7.5.5項); *7(7.6 c)項); *8(8.3項); *9(本項); *10(7.3.7項)である。
 
a) 同種のものの中から特定のものを見分け、特定する(どの○○か)
 ◆ 契約・注文、購買品・半製品・製品*9
 ◆ 文書、記録*4、要員、設備(インフラストラクチャー)、
 ◆ 手順、方法、基準、合否判定基準
 ◆ 責任及び権限、要員の力量、供給者の製品供給能力、
 ◆ 記録の保管場所、製品保管場所、計測器保管場所、不適合製品・廃棄物隔離場所
 ◆ 製品リリースの許可者
b) 同種のものを性格により見分け、区別する(○○か△△かのどちらか)
 ◆ 適合製品/不適合製品*8 製品/廃棄物、内部処理中製品/引渡し前製品*6/引渡し後・使用中の製品
 ◆ 内部文書/外部文書*2、有効文書/廃止文書*3、組織の所有物/顧客所有物*5
 ◆ 品質マネジメントシステムの業務か否か、品質保証方式(工程保証/検査)
c) 物事の状態や履歴を見分けられるよう明確にする(どんな状態か、状態だったか)
 ◆ 工程の進捗、設計開発の段階、内部処理中/保管中/引渡し中/顧客の手元、試験検査の前/途中/済み、校正期限内/期限切れ
 ◆ 試験検査に対する合否*9、出荷や引渡しの可否、使用可/保留/使用禁止、校正の合否*7
 ◆ 文書の変更*1、品質方針・目標の変更、契約・注文の変更、設計開発活動の変更
 ◆ 不適合修正の有無、特別採用品かどうか、
 
B 識別指標
  同様の複数の物事の中からある特定の物事を見分けるためには、特有の名称ないし識別指標を決め、業務の実行指示や結果の記録の書類や帳票、伝票で用い、実物に表示することが基本である。
 
  識別指標は、上記Aの類型a)の識別活動では文書名、記録表題、文書発行年月日、設備名、製品名、契約名、計算機ソフトウェアの分野の識別子などであり、手順に関係する業務名、合否判定基準を適用する工程名などであり、責任権限に係わる部門名や役職名、配置職場名などであり、更には、保管庫名や置場名である。類型 b)やc)の識別化活動では通常ではない物事や状態、例えば不適合製品、顧客所有物、再発行文書のみを識別できるようにし、識別指標がなく、識別表示がないものは適合製品であり組織の所有物であり通常の文書とみなすようなことが普通である。識別指標は名称だけでなく、略号、番号、記号でも表される。
識別指標の表示では、有形物では実物への刻印、マーキング、ラベル貼付、荷札取り付け、或いは、実物を収容する容器や置き場などに看板表示する。この表示では識別指標のそのものの表示の他、○×の表示、色別の表示、『異常』『使用不可』など見分けを容易にする工夫が広く採り入れられている。類型 c)の工程の進捗、設計開発の段階など識別指標の現物表示を必要としない場合もあり、無形の製品には現物への物理的な識別指標表示はできない。
 
(2) トレーサビリティ
  『トレーサビリティ』は“traceability”であり、「由来や原因をたどって調べる(101)(110)」の“trace”から、今日では工業製品の製造履歴の追跡というだけでなく サービス や ソフトウェア製品をも含む製品実現の履歴を遡及追跡できるという意味で広く使用されている。「トレーサビリティ」と呼ばれることが多いが、「履歴追跡性」「追跡可能性」という言い方もある。
 
  この「トレーサビリティ」について、解説書では「ある一連の業務に関する何かについて、その業務のある段階を基準にしてそれより先、又は、それまでを追跡し、その何かの起源、履歴、供された状態を明らかにすること」とか(23aa)、「ある事物又は活動の来歴、適用、仕様、所在を、それらを見分けることのできる記録によって遡及追跡できる可能性」と (30c)説明されている。規格では「ある物事の履歴、使われ方又は所在を追跡できること」と定義され、製品のトレーサビリティについて、材料や部品の入手先、製品実現工程の履歴、配送方法や引渡し後の製品の所在を明らかにすることを含むと説明されている#33。なお、規格では『国際又は国家計量標準にトレーサブルな計量標準』という表現もある(7.6 a)項)が、この『トレーサブル』とは意味が違う。
 
  トレーサビリティと「識別できるようにする」とは異なる問題ではあるが、トレーサビリティ の確立には物事が識別できるようになっていることが不可欠であるという意味で両者には関連がある(21ab)。 トレーサビリティが例えば、ある製品がどんな購買製品を使用して、どのような製造及びサービス活動実行の工程で、どのような要員が、どの設備を使ってどの工程条件で製品を実現し、どのような検査や試験で合否判定されて……というように履歴を追跡できることであるとすると、このためにはまず、組織で多数使用され又は存在する購買製品や設備のそれぞれを他と見分け識別できるようになっていること、また、それらの適用、工程条件や検査、試験の実績の多数の記録のそれぞれが何物であるかが見分けられるようになっていることが必要である。トレーサビリティの確保には、このようにそれぞれが何物であるかを識別できるようになっているだけではなく、それらがその特定の製品とつながりがあるかどうかが見分けられるようになっていなければならない。
 
  トレーサビリティがあるということは、何物であるが見分けられるようになっている記録(4.2.4項)を個々の単位製品を核としてつなぎ合わせることによって特定の単位製品の製造実現の履歴を遡及追跡できるようになっていることを意味する。製品の来歴、履歴、顧客の使用状況をどの程度詳しく遡及追跡し、調査する必要があるのかによって、必要な「識別できるようにする」ものの範囲や詳しさが異なり、記録のあり方も変わる。
 
 
3.規格要求事項の真意  
  JIS和訳『識別する』『識別』は、何が何物かを「見分けられるようにする」の意味であり、正しい和訳は「識別できるようにする」「識別できるようにする活動」である$14。また『トレーサビリティ』は「履歴追跡性」「追跡可能性」とも言われ、製品実現の履歴を遡及追跡できるという意味で主に広く使用されている実用管理用語である。
 
  本項では、製品を「識別できるようにする」ことの要件を規定しているが、規格が取扱う「製品」と言う場合は、顧客向けの製品に限定され、不適合製品及び廃棄物や汚染物質のようなものは含まない(1.1項 注記1)。不適合製品を「識別できるようにする」ことの必要と要件は不適合製品の管理 (8.3項)の要件として別途規定され、また、顧客所有物である製品、及び、引渡し前の製品の「識別できるようにする」ことの必要性はそれぞれ、顧客の所有物 (7.5.4項)、製品の保存 (7.5.5項)でも規定されている。
 
  本項は、94年版の4.8項(製品の識別及びトレーサビリティ)と4.12項(検査・試験の状態)の規定がひとつの条項にまとめられたものであり、条文は94年版の両条項のそれぞれを引き継いだ表現となっている。
 
  組織は、品質マネジメントシステムの計画(5.4.2項)の一環として製品を「識別できるようにする」手はずと、それと関連して製品の必要な トレーサビリティを確保する手はず、及び、製品の合否判定活動に関係する状態を「識別できるようにする」手はずを、下記(1)〜(3)に従って整えなければならない。
 
(1) 必要な場合には、組織は、製品実現の全過程において適切な手段で製品を識別しなければならない。 [第1節]
  『識別しなければならない』は正しくは「識別できるようにしなければならない」である$14。「製品実現の計画」(7.1項)で定めた製品を間違いなくつくり出し、顧客に引渡すことを可能とする管理のためには、指示された半製品や製品が何物であるか、そこにある半製品や製品が何物であるかが、間違いなく理解され、見分け、特定されることが可能な状況になっている必要がある。 例えば、作業の対象の半製品や購買製品を誤った判断で取り違え、しかし指示された工程条件が適用されれば、不適合製品が生み出され、また、使用した設備が損傷を受けることもある。誤って、指示されたのと異なる最終製品を顧客に引渡した場合は、それなりの機能を持っている正常な製品であったとしても、顧客にはその必要と期待を逸脱する不良品である。
 
  「製品を識別できるようにする」とは簡単には、同種の他のものと区別し見分けることが必要な半製品、製品に組織で共通の名前、つまり、識別指標を決め、これを業務指示と業務結果報告で用い、かつ、現品に表示することである。
 
  識別できるようにする必要のある製品を規格は『製品実現の全過程において』と表現している。これは、例えば、原料、資材、部品、或いは、外注製品などの購買製品(7.4項)から、製造及びサービス活動実行の各工程(7.5.1項)の半製品、そして、最終製品、或いは、保存中の製品や顧客への引渡しまでの間の製品(7.5.5項)、更には、引渡し後活動の例えば保全業務の対象の製品(7.5.1 f)項)などを含むという意味である。
 
  どの製品を、どの程度で、どの方法、態様で識別できるようにしなければならないかを、規格は『適切な手段で』と表現している。 それは製品の種類や性格、業種、業態に応じた必要な内容で効果的な方法でなければならず、下記(3)の必要なトレーサビリティの範囲と程度とも関係する。
 
  製品のひとつずつが識別できるようにする必要がある場合もあるが、大量生産では製造及びサービス活動実行の時間や区切りに対応する、或いは、担当要員に対応するロット又はバッチ毎に区別するのが普通である。識別指標としては、製品の名称や規格名のみの場合から、製品品種や種類、仕様、特徴まで識別指標に加えたり、或いは、受注や納期の単位、製造及びサービス活動実行の日時、担当した要員名、ロット又はバッチ番号など、そして、それらの組み合わせた形や、製品の構成要素の明細や使用した部品の明細などを含めるような場合もある。 また、これらは、文字や記号で表されることも多い。
 
  半製品、製品の現物を見分けるための識別指標の表示は、 有形の製品では、製品に直接、又は、箱や容器へ識別子を マーキング、ラベル貼付、名札取付けを行なうか、識別指標を表示した識別票や工程随伴カードを添付することが一般的である。 しかし、形や色など外観で見分けることが簡単な場合もあり、製品の置場の管理で識別指標の表示に代えることもある。 無形の製品の場合は、サービス作業計画や作業結果を示す帳票へ識別指標たる特定のサービス実行名称や番号を表示すること、或いは、ソフトウェア製品の構成管理の場合のように製品を現す文書に版名を含む識別指標が表示されることもある。
 
(2) 組織は、製品実現の全過程において、監視及び測定の要求事項に関連して、製品の状態を識別しなければならない。
                                                                         
[第2節]
  『製品の状態を識別する』は「製品の状態を識別できるようにする」が正しい条文和訳である$14。 これは、94年版の4.12(検査・試験の状態の識別)と同じ趣旨であり、同項ではこの『検査・試験の状態』とは『実施された検査、試験についての製品の適合又は不適合を示す』ものであると明記されていた。『検査・試験』が00年版で『監視及び測定』と全業種業態に適用できる汎用表現に変わっただけであり、条文の趣旨は製品の監視及び測定 (8.2.4項)の結果に基づく製品の合否の判別、つまり、適合か不適合かの判別が見分けられるようになっていなければならないという意味である。
 
  94年版ではこの合否の判別を識別できるようにする目的を『規定された検査・試験に合格した製品だけを出荷し、使用し、又は、据え付けることを確実にするため』として条文で明らかにしていた。これは、4.10(検査・試験)の『受入検査・試験』『工程内検査・試験』『最終検査・試験』の要件のいずれにも、合格と判定されたものしか次工程に送ってはならないとする規定があったことと対応する。半製品、製品の合否の判別を見分けられるようにするのは、合格品しか次の工程に送り、又は、次の業務で使用することはないことを確実にし、以て合格品だけを顧客に引渡すことを確実にする管理のための手段である。
   
  組織は、製品実現の計画 (7.1 c)項)で個々の製品が所定の仕様と品質及び付帯仕様(7.1 a)項)を満たしていることを判定するために必要な『検証、妥当性確認、監視、測定、検査及び試験活動、並びに、合否判定基準』を決め、そのすべてに合格した製品のみを顧客に引き渡すような手はずを整えなければならない。この一環として、それぞれの合否判定活動において各製品の合否の判別が識別できるようにしなければならない。
 
  どのような段階、対象の製品を監視測定するかは、個々の製品について製品実現の計画 (7.1 c)項)で決められる。一般にはこの合否判定には、製品の監視測定 (8.2.4項)に基づく合否判定の他、プロセスの監視及び測定(8.2.3項)による業務実行の有用性判定(7.5.2項)の結果に基づく製品の合否判定、製品の保管から顧客へ引渡す際(7.5.1 f)項)の合否判定、また、機械の据えつけなど引渡し後の活動(同)に関しての合否判定、及び、原材料や部品、外注品などの合否判定の意味である購買製品の検証 (7.4.3項)の場合の合否判定が該当する。
 
  合否の判別のための製品の単位は通常は上記(1)の製品を見分ける単位であり、合否の判別は製品実現のための書類、帳票に表され、単位製品毎に現物に表示される。合格品しか次の業務に適用しない管理が書類や帳票を用いて確実にするようになっている場合には現物表示は行われないことが多い。また、現物表示では一般には、合否判定済の表示や合格の表示は行わない。
 
(3) トレーサビリティ が要求事項となっている場合には、組織は、製品について一意の識別を管理し、 記録を維持しなければならない。     [第3節]
  JIS和訳『製品について一意の識別』の英文は“unique identification of the product”である。ここに“unique”は00年版までは『固有の』と和訳されていたが、単一の物事に属し又は結びつけられるという意味であり(101)、日本語では(109)「一意の」では理解困難なので「唯一無二の」がよい。“identification”は「識別できるようにする行為」であり、規格ではそのような業務の活動(プロセス)を意味する$14。すなわち、「製品を唯一無二の形で識別できるようにする活動」という意味である。
 
  この条文は、製品のトレーサビリティの確保、つまり、製品実現の履歴を遡及追跡できるようにするには「製品を唯一無二の形で識別できるようにする活動」を管理し、その結果の記録を維持することが必要であるということを表している。この表現は、初版の「唯一無二の形で識別できるようにする活動」の「文書化された手順を確立し維持する」から00年版、08年版では「〜を管理し、記録する」「〜を管理し、記録を維持する」と微妙に変化しており、規格執筆者がその意図の表現のしかたに苦心していることが窺われる。
 
   「唯一無二の形で識別できるようにする」とは、ある識別指標が指す物事がその物事だけであり、また、他の物事を指すのにその識別指標が用いられることはないという状況のことである。例えばラインを順番に流れる本体に種々の部品を取り付ける業務では、準備された部品が何物であるかは大きく異なる形状で見分けることができるので部品を取り違えることはないが、事後に履歴を遡るためには例えば、最終製品と本体、部品のそれぞれを系統的な製品番号、本体番号、部品名称・番号のそれぞれの番号体系に基づいて見分けられるようにしておき、製品番号と関連づけて本体番号、部品番号を記録しておかなければならない。これらの各番号は当該の製品、本体、部品のみを指す唯一無二のものでなければならない。
 
  『トレーサビリティが要求事項となっている場合には』は「トレーサビリティが必要となる製品では」という意味に受け止めるのがよい。規格では、苦情(8.3 d)項)と不良計測器の発生(7.6項)の場合に製品実現履歴の遡及追跡が必要になることを示唆しており、契約条件として特定の製品実現履歴の遡及追跡性の可能なことが定められることがある(7.2.1 a)項)。医薬品や食品など トレーサビリティの確保と商品への表示が法規制となっている場合もある(7.2.1 c)項)。また、是正処置の手順の製品不適合の原因の特定(8.5.2 b)項)のためには製品実現履歴の遡及追跡が必要になることが多い。トレーサビリティのある製品実現履歴の情報は、業務手順や技術の改善、開発のためにもが大切である。
 
  どのような程度、内容、詳しさ、観点での製品のトレーサビリティの確保が必要かは、組織の製品の種類や業種、業態によって異なる。 トレーサビリティの確保のためには、各要素の識別体系、実績把握と記録、記録維持の手間、そのための設備や計算機システムなどの資源が必要であるから、トレーサビリティの必要性や利益を勘案した最適な遡及追跡性とすることが大切である。
 
  組織は、必要なトレーサビリティを確保するために、製品毎に把握すべき製品実現の履歴を決定し、履歴に係わる購買製品、半製品、工程条件など製品実現業務の実績を他の製品のそれらと識別できるような表現で把握し、記録するような手はずを整え、それに則って履歴が把握、記録されるよう業務実行を管理しなければならず、その記録を維持しなければならない(4.2.4項)。
 
 
 
H25.10.27
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サニーヒルズ コンサルタント事務所