ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
59 8.2.4項    製品の監視及び測定 実務の視点による
ISO9001:2000の解説(新版) 
35-02-59
8.2.4  製品の監視及び測定
[第1節]
 [第1文] 組織は、製品要求事項が満たされていることを検証するために、製品の特性を監視し、測定しなければならない。 
 [第2文] 監視及び測定は,個別製品の実現の計画(7.1参照)に従って、製品実現の適切な段階で実施しなければならない。
 [第3文] 合否判定基準への適合の証拠を維持しなければならない。
[第2節] 顧客への引渡しのための製品のリリースを正式に許可した人を,記録しておかなければならない(4.2.4参照)。
[第3節]
 [第1文] 個別製品の実現の計画〈7.1参照)で決めたことが問題なく完了するまでは、顧客への製品のリリース 及び サービスの提供は行ってはならない。
 [第2文] ただし、当該の権限をもつ者が承認したとき、及び、該当する場合に顧客が承認したときは、この限りではない。
 
 
1.要旨

  本項はその品 本項は、8.2.3項と合わせて品質マネジメントの管理業務の基本要素を取り上げており、顧客に引き渡される製品が決められた通りのものであることを確実にする製品管理の要件を規定している。
 
  組織の存続発展に必要として品質方針及び組織の品質目標(5.3項)に決めた狙いの顧客満足を確実に実現させるために、決められた通りの製品(7.1 a)項)だけが顧客に引き渡されるよう、製品の特性に関する情報検知、合否判定、顧客への引渡許可、その責任者、記録に関する手はずを整えなければならず、手はずに則って製品を管理しなければならない。
 
 
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 製品の監視及び測定
(1) 製品の監視及び測定
  規格の意図においては 8.2.3項(プロセスの監視及び測定)との一対の管理業務であることが、標題「製品の監視及び測定」から伺える。本項は、94年版(4.10)の『検査・試験』が、全業種業態、特にサービス業に適用し易いように汎用的表現で書き直されたたものである(21aj)(22t)。 製造業を想起させる『検査・試験』の代わりにJISで『検証』と和訳される品質管理用語である「合否判定(verification)」という一般的な表現が用いられている。また、検査試験の在り方や実行に係わる詳細な要求事項がほとんど削除された。
 
  規格では『要求事項を満たしていること』が『適合(conformity)』であり#5、決められた仕様と品質及び付帯仕様(7.1 a)項)を満たしている製品、つまり、決められた通りの製品は「適合製品」である。適合の程度は「適合性」と表現され、製品が決められた通りかどうかを判定する活動は「製品の適合性判定」である。これは、実務的には「合否判定」である。規格の『製品の監視及び測定』とは、製品の合否を判断するために必要な製品の情報を検知する活動のことである。
 
(2) 製品の監視及び測定の方法論
  『製品の監視及び測定』とは、個々の製品に決められた狙いの製品の特性の監視及び測定のことであり、合否判定のために必要な製品の特性の情報を検知する活動である。監視及び測定プロセス(8.2項)の内のひとつのプロセスであり、品質マネジメントシステムを構成する独立したプロセス(4.1 a)項)のひとつである。 しかし、単一のプロセスではなく、94年版が規定していたような製品実現の各段階の試験や検査とその他の活動を含み、製品と業種業態によって異なる様々な方式、方法の 各種のプロセス の総称である。
 
  しかし実務では、例えば製造業で製品の全数、全長又は全面の製品特性の情報を直接的に検知して合否判定をすることは少なく、抜き取り的に監視測定が行なわれているに過ぎない。一般に大量生産では、工程業務が所定の一定の条件範囲で実行されているどうかの情報から工程実行条件と製品特性との技術的因果関係を利用して「製品の特性」を推定し、この情報が製品の合否判定の基本となっており、抜き取りで行なう検査や試験は実質的にこのような合否判定の適切さの確認である。
 
  規格の用法における『製品の特性の監視及び測定』も、試験や検査などで製品の特性の情報を直接的に検知することだけでなく、把握してある工程実行条件と製品特性との技術的因果関係を利用して、工程実行状況の情報から製品の特性を推定する形での間接的な製品の特性の情報の検知を含むと考えるのがよい。規格が『プロセスの妥当性確認』(7.5.2項)のためとして、製品の特性の情報を直接的に検知できない場合の間接的な検知方法としての『プロセスの監視及び測定』に関する必要条件を詳細に規定しているのは、この左証である。
 
(3) 監視及び測定の対象となる製品
  用語の定義#13上では プロセスの結果はすべて『製品』であるが、ISO9001規格で『製品』という場合は組織の事業としての顧客向けの製品に限られる。 普通には、製造又はサービス提供で生み出される最終製品のことであるが、中間工程の半製品、最終製品に組み込まれる部品、半製品、原料、資材など購買製品、更には、保管中又は輸送中の製品 、引渡し後活動で使用される製品や半製品、部品なども含まれる。 また、これら組織の事業目的の製品ではなくとも、組織が意図した顧客満足に関係するサービスなど関連する活動の結果も本項対象の『製品』である(1.1項 注記1 b))。 例えば、営業活動、受注処理業務、製品使用相談業務、苦情受付業務、補償活動、製品の保管や輸送業務などの質が製品の顧客満足に影響を与えるとすれば、それら活動、業務の結果は『製品』である。
 
  『製品の監視及び測定』の『製品』は事業として、又は、事業に関連して顧客に引渡す製品であり、製品実現の関連するプロセスの結果としての『製品』に限られる。 規格は、他のプロセスの結果としての『製品』、つまり、製品実現に直接関係しない業務結果の出来ばえについては、監視測定する必要に直接的には言及していない。 しかし、業務実行管理のために必要なプロセスの特性の情報を検知する『プロセスの監視及び測定』(8.2.3項)を規定しており、この中に業務の出来ばえの監視測定を含ませていると受けとめることができる。すなわち、『プロセスの監視及び測定』は、業務実行結果を所定の通りとすることが目的であり、プロセスアプローチの考えで規格を書く都合上「プロセスの特性」の監視測定と言っているが、実際には業務結果の出来ばえである製品の特性の管理が目的で問題である。規格の用法におけるプロセスの特性の情報には、業務実行状況を直接的に監視測定して得るものと、製品の特性の情報から推定して得るものとがある。 規格では製品に関係しないプロセスの結果の監視測定は『プロセスの監視及び測定』である。
 
(4) 監視及び測定の用具
  製品や業務実行が所定の通りであることを確認する合否判定のための監視測定の活動には、試験機、計測器が使用され、人の五感、知識と認知力や洞察力、或いは、チェックリストや質問票、ソフトウェアなどが用いられる。 これらは、規格では『監視及び測定の用具(monitoring and measurement device)』(7.6項)と呼ばれていた$58が、08年版では原文が“equipment”に変更された。 JIS和訳では両版とも「監視機器及び測定機器」である。
 
 
2-2. 製品の検証
(1) 製品の検証
  製品の適合性判定の活動に関連して00年版では『製品の検証』という用語が用いられている。『検証』は英文では“verification”であり、ある事が「正しいかどうか調べる」と「正しいと言う」の2種の意味がある$48が、規格では後者の意味で用いられている。 すなわち、定義#28によると「規定要求事項が満たされていることを客観的証拠によって証明すること」である。 日本語では『検証』は“verification”の前者の意味であり、規格の定義の事実による証明を強調する日本語は「実証」である。日本語の『検証』が適合かどうかを判断することであるのに対して、規格の「検証」は適合であることを実証することと、意味にずれがある。
 
  規格では、情報検知の活動が『監視及び測定』であり、『試験』はこの一種である。製品に関する情報を定められた合否判定基準に照らして比較することが、製品の『適合性の判定』の活動であり#65、『検査』はこの一種である。 この結果を客観的証拠として製品の適合性を確定し、示すことが『製品の検証』である。
 
  この製品の検証では、定義にある『規定要求事項』は所定の製品仕様のことであり、これは規格では『製品要求事項』(7.2.1項)である。製品仕様は、関連する製品の特性で表されるが、『要求事項に関連する製品の特性』は規格では「品質特性」と呼ばれる#2-3から、製品の監視及び測定により検知するのは、生み出された製品の各種の品質特性である。製品実現に当たっては、『製品要求事項』を『製品に対する品質目標及び要求事項』(7.1 a)項)の形の製品実現業務の狙いとして表し、実現した製品は『製品合否判定基準』(7.1 c)項)に照らして適合性の判定を行う。製品の狙いの仕様も実現した仕様も合否判定基準も品質特性で表されている。用いた情報と適用した合否判定基準が、製品の適合性を証明する客観的証拠として『製品の検証』に供される。この結果は、この客観的証拠と適合性を判定したという事実で表され、これが「検証の記録」となる。
 
   
(2) 検査と試験
  00年版で標題から消えても検査や試験という活動が規格から消えたわけではない。製品実現の計画の中で実施すべき『検査及び試験活動』を決める必要が規定されており(7.1 c)項)、また、購買製品の受入れ検証活動の例として『検査又はその他の活動』が規定されている(7.4.3項)。
 
  「検査」とは「(基準に照らして)調べ検めること」であり(113)、英語“inspection”は「特にすべてが所定の通りであることを確かめるために、物事を詳細に調べること」である(101)。本来、製造業での製品の外観検査や寸法検査だけではなく、広い対象に適用される概念である。 規格の『検査』は、94年版では「あるものの特性を測定、試験又は計測し、その結果を規定要求事項と比較して特性の適合性を決定する活動」と定義#31されており、 00年版では「必要な測定、試験、計測結果から形成した所見及び判断による適合性評価」の活動である#30。 なお有形の製品が主体の表現であるが、「観測」や「測定」を広義の情報検知活動として捉えることにより、「検査」を無形の製品や業務実行状況にも適用できる。
   
  一方、『試験』は『手順に従って特性を決定すること』#31である。規格では、試験はどちらかと言えば測定の範疇の情報検知の活動であり、検査は試験を含む監視測定で得た情報を用いて適合性を判定する活動である。 規格の『検査』『試験』は日本の品質用語のそれらとは必ずしも一致しないが、規格理解に影響することはない。
 
(3) プロセスの実行管理への活用
  製品の適合性判定の結果は、製品実現の業務(プロセス)の実行が所定通りかどうかを反映している。『プロセスの監視及び測定』(8.2.3項)は 業務実行管理のための情報を検知する活動であるが、とりわけ製造及びサービス提供プロセス(7.5項)の実行管理には「製品の検証」の結果の情報が主として用いられる。 規格では、「製品の検証」の結果の情報をプロセスの実行管理に活用する場合として、製造及びサービス提供プロセス(7.5項)に関する工程能力の管理(8.2.4 b)項)と、工程変動要因の管理(同c)項)とを規定している。
 
   
2-3. 製品の合否判定
(1) 合否判定の活動
  規格の「製品の監視及び測定」とその「製品の特性」による製品の適合性判定は、実務では製品の合否判定の活動であり、製造業では検査や試験を行なうことを指す。 また、規格の「製品の検証」は、合格品であること証明することであり、実務的には、合否判定を客観的証拠によって行い、その記録を残すという合否判定活動の在り方を表すものと受けとめることができる。従って実務的には、この適合性判定と「製品の検証」は同じ合否判定活動のことである。
 
  合否判定基準は製品が満たすべき製品仕様の水準であり、合格した製品は組織が顧客のニーズと期待を満たすとして決定した種類と水準の製品仕様を満たす。 合格した製品だけを顧客に引渡すように製品を管理することが品質保証の要諦であり、これは、不良品の出荷防止を図る94年版の品質保証でも、それに加えて顧客のニーズと期待を満たす製品を一貫して供給することを図る2000年版の品質保証でも同じである。 品質作り込みを基礎とする品質保証でも、その作り込みの計画が適切であり、実行が所定通りでなければ所定の製品は得られないから、出来上がった製品の出来ばえを合否判定基準に照らして合否を判定する活動は不可欠である。 また、製品実現の工程のPDCAサイクルを廻すという点でも実績の製品特性を監視測定して合否判定することを必須である。
 
@ 最終製品で
  製品の合否判定は、顧客に引渡す状態の製品に対して行なうことが基本である。 しかし実際には、必要な製品特性の合否判定を製品実現の工程の種々の段階に分けて行なう方が合理的である。これに関して94年版(4.10)では、受入検査・試験、工程内検査・試験、最終検査・試験と3種の合否判定活動を規定していた。 00年版は「製品実現の適当な段階で」と規定としている。 また、最終製品を顧客に引渡すまでの間に、梱包や包装、保管、移動や輸送など品質毀損の可能性のある業務や工程が付加される場合には当然、それらの業務ないし工程の後の製品についても合否判定を行なうことが必要である。
 
A すべての製品特性について
  製品の合否判定は、当該製品についてニーズと期待に応えるという観点で顧客に保証しなければならないすべての種類の性能や機能など製品特性について行なわなければならない。 しかし、保証すべき製品特性の合否判定をすべて一律の詳しさや精度で行なうことは合理的でない。 製品の合否判定は、組織の目指す顧客満足の実現、或いは、当該製品の狙いの顧客満足の確保にとってのそれぞれの製品特性の重要さに応じたものとすべきである。この重要さとは、不合格品が発生する可能性の高さと、不合格品が顧客に引渡された場合の顧客満足への悪影響の深刻さとの観点で判断される。人命に係わりわずかな不良も許されない製品や製品特性がある一方、大量生産品や素材製品を初め、契約条件として、或いは、取引習慣として、一定の不良品の混入が許容されることもある。 製品実現の手順遵守により不良となる可能性の極く低い製品特性や、その軽微の不良が製品全体の顧客満足にほとんど影響しないような製品特性などには、特定の合否判定活動を適用しないのが普通である。 これら特性の品質保証は、日常の業務実行管理(8.2.3項)の中での品質管理活動の役割である。
 
B 適当な段階で
  不良品を顧客に引渡さないことを確実にするための合否判定であるから、製品を顧客に引渡す前に行なわないと意味がない。 これを94年版は「当該製品が所定のすべての検査・試験に合格していることを確認してからでないと製品を出荷してはならない」と表現していた#7。 しかし、実務では、これが不可能であり、或いは、品質保証の観点で必ずしも適切でない場合がある。 例えば サービス提供とサービス引渡しが同時であるような サービス 製品では、サービス引渡し前に製品たるサービスの合否判定は出来ない。 これらに該当する、対面販売、電話相談窓口サービス、手術などの治療サービス、テレビのニュース報道、演劇などの事例では、事前の合否判定による不良サービス引渡しの防止の代わりに、始業前手順確認や試行訓練、或いは、出来ばえの事後評価と即座の対策など方法により、不良サービス引渡し機会の継続的減少を図る管理が行なわれる。 機械設備製造や設備保全サービスの場合には、顧客の使用環境を借りての試運転、試験使用により所定の機能の発揮を確認することで最終的な合否判定が行なわれる。 金型製品や ソフトウェア製作では顧客が試用して問題ないことの確認を以て合格判定とする。
 
C 抜取り
  製品合否判定は、生み出した製品の中から不良品を見出して除去するために行なうものであり、このためには当該製品の全数、全面、全長、全量について関連する製品特性の情報を検知する必要がある。 しかし一般に、各種製品特性の情報をこのように検知することは経済的、技術的に困難である。とりわけ、分析や機械試験など破壊試験で測定する製品特性は、全体製品から抜取ったサンプルについてしか行なうことができない。 94年版では製造業の大量生産で普通に適用されている抜取り検査を受入検査に適用する規定が存在した(4.10.2.2)。 しかし、厳密に言うと、実際の合否判定はすべて、抜取り採取の、部分的な情報に基づいた、いわゆる、抜取り検査である。
 
  抜取り検査の場合、一定の条件で継続的に製造される製品に関しては一般に、無作為抽出サンプルの特性や合否結果を統計的方法で評価して当該特性の製品全体としての合否判定が行なわれる。 工程実行の変化や変動に一定の傾向がある場合には、この傾向を考慮して必要な情報検知が行なわれる。いずれの場合も工程実行の変動を監視測定し、工程実行が所定の工程条件の許容範囲内にあることが確かめられている状態であることが前提である。 情報検知の頻度など情報抜取り採取の程度は、顧客満足の実現に及ぼす当該製品特性の重要性と不良品を見逃す可能性の高さとに応じたものでなければならず、工程実行の安定性又は管理の確実さが高い程、情報抜取りの程度を緩和することができる。
 
D 工程保証
  上記Cの極致が、判明している技術的な因果関係に基づき、工程実行の状況から製品特性を推定して、これによって製品の合否判定を行なう方法であり、一般に工程保証と呼ばれるのはこれを活用する品質保証のことを指す。規格では、製品特性の情報検知が出来ない場合に、このような合否判定を活用する「製品の検証」を行なうべきことを規定している。また、製品の寿命や耐久強度などのように、個々の製品について、また、抜取った製品についても、製品特性を試験で求めて合否判定をすることが実際に不可能な製品仕様がある。これらの製品仕様或いは製品特性は、一般に設計品質と呼ばれ、所定の原材料や所定の部品の適用を確かめることで、製品の合否判定が行なわれる。規格ではこれも、工程保証のあり方の一種として取り扱われていると考えるとよい。
 
(2) 合否判定の方式
  合否判定のための情報を検知し、定められた合否判定基準と比較評価し、合否を判定する活動は、日本の品質用語では一般に検査や試験と呼ばれる。 検査は、有形の製品に関して目視など五感により検知される情報に基づく合否判定である外観検査、寸法検査が一般的であり、試験は機械試験、分析など無形の特性を試験装置で計測した試験値を用いる合否判定の方式である。 しかし、検査は、服装検査、身体検査、衛生検査、視力検査、決算の検査(会計検査院)、銀行検査(日銀、金融庁)をなど広い事物、事象を対象とした合否判定の方式を表す言葉として用いられている。また、例えば、演劇の最終リハーサル、催し会場つくりの最終事前点検も製品の合否判定活動の一種と考えることができる。 この他にも、鑑定、査定、査閲、査読、校閲、確認、監査、比較検定、模擬実験、総見、オーディション 等々、製品の合否判定の方式を表す言葉が数多くある。関連する用語として、検査、試験、監視、分析、シミュレーション、観察、実演を例示する解説書もある(23ag)。 このように業種業態と製品の性格に応じて様々な合否判定の方式が組織の実務で用いられている。
 
(3) 合否判定の記録
   品質マネジメントにおいて製品の合否判定の活動の記録はとりわけ重要である。 この記録は、合否判定の方法、使用した「製品特性」の情報、適用した合否判定基準を明確にするものでなければならない。その「製品特性」の直接的な監視測定ができないため、関連する業務の実行が所定の許容範囲と比較してどうであるかによって推定される「製品特性」を用いて合否判定を行なう場合の合否判定記録は、実際には例えば「工程パラメーター」のような業務実行の実績を表す情報であり、業務実行条件の許容範囲として表される合否判定基準である。この合否判定記録は、そこから製品実現の履歴(7.5.3項)を遡ることができるようになっていなければならない。
 
  記録の範囲や詳しさは、事後における記録の使用の目的に合ったものであることが大切である。 記録は第一に、苦情など事後に製品に問題が生じた場合の対応に使用される。組織は、当該製品が、顧客のニーズと期待或いは顧客と合意した製品仕様を満たすことに必要な配慮と処置をとりつつ生み出され、適切な方法で合格と判断されたものであることについて顧客の理解を得ることが大切である。 この拠り所が合否判定の記録である。原因の追求と再発防止対策の検討にも合否判定の記録は重要なデータ を提供する。また、同様の問題がどの範囲に生じる可能性があるか、範囲内の各製品にどのような問題発生防止処置をとる必要があるかを判断するためにも合否判定記録が使用される。 合否判定記録の効果的な記録の使用によって、迅速、効果的に問題の再発防止と問題拡大の防止をすることができ、問題発生に起因する顧客満足の深刻な毀損を防ぐことができる。
 
  合否判定の記録はまた、校正や検証などで計測機器の不良が判明した場合に、誤った計測値によって不合格品を合格と判定していなかったか過去の合否判定記録の計測値を評価する(7.6項)のに不可欠である。
 
  更に、合否判定活動の中で検知した製品特性の情報や不適合製品の情報は、合否判定での不合格を減らし又は適切な水準に維持することを図る品質改善や品質管理の活動に必要である。 合否判定記録の分析で得られる工程能力のデータ は、新製品の品質設計や工程設計にも活用できる。各記録の保管の方法や維持の期間は、これら記録の使用の各種目的に応じたものでなければならない。
 
(4) 最高検査責任者
  欧米の製造業の伝統的な品質保証活動の中では、検査業務は製造諸業務の実行を監視するものと位置づけられる。 定められた手順を実行するだけの製造作業者と比較して、検査員には判断能力を含む高い技量が必要と考えられ、また、厳正な合否判断のために検査部門が製造部門から独立しているのが普通であった。この検査優位の品質保証活動においては“最高検査責任者(Chief Inspector)”の署名なしには製品を出荷することができない仕組みが普通であり、これを不良品出荷の防止の歯止めとしていた (31b)。 インターネットの求人情報には航空機修理会社の品質保証部門を統括し、修理済み機体の通常運航への復帰の最終判断をする“Chief Inspector”職などの求人情報があり、特定の産業界では今日でもこの方式が機能していることが窺える。
 
  日本でも検査部門の独立が一般的であったが、1960年代にはすべての関係者が品質に係わるべきとする品質作り込みの考え方から製造部門に属する検査員によって行なわれる“自主検査”が導入され、やがてこれが品質管理上だけでなく、品質保証のための検査としての主流ともなっていった。 1980年代以降のこの全社的品質管理の考え方の欧米への拡がりによって、検査部門独立の必要は今や世界的に過去のものとなった。 しかし、大型プリジェクト事業では、製品実現の工程での各種試験や検査に加えて、完工検査や引渡し検査など特定の責任者による総合的な合否判定の活動を適用するのが普通であり、この方式は不良絶無を必要とする製品には不可欠である。
 
  ISO9001規格の初版では、検査、試験に合格した製品だけが出荷されるようにする手順(4.12)に関連して、“最高検査責任者(Chief Inspector)”を暗示する「製品のリリースに責任をもつ検査権限者*(inspection authority)」が規定されていた。 この初版では人的資源としての訓練された要員の配置の必要を検査・試験など検証活動にのみに限定していた(4.1.2.2)が、これと合わせて、初版が1980年前後の欧州の品質保証活動の実態を色濃く反映したものであったことを窺わせる。
 
  94年版では、この条文は同じ内容のまま、検査・試験の記録の条項(4.10.5)に移され、合格品のみの出荷のための管理としての位置づけがあいまいになった。 更に00年版では本項の「製品のリリースを正式に許可した人」という表現になり、「製品のリリース」に責任をもつ特定の役職者の必要という考えは読み取ることができない記述になった。 しかし、「検査権限者*」を合否判定記録から特定できるようにする規定は、00年版でも「製品のリリースを正式に許可した人」として残り、08年改訂でも生き残った。
 
 
3.規格要求事項の真意  
  不適合製品(8.3項)を顧客に引渡すことのないよう、定められた合否判定基準(7.1 c)項)に照らして当該製品の合否を判定し、製品を「検証」し、合格品のみを顧客に引渡すようにしなければならない。 組織は、製品実現の計画の一環として、「製品の特性」を監視測定し「検証」する手はず、及び、「製品のリリース」の手はずを整え、それに則って諸業務を効果的に実行しなければならない(8.1項)。これらの手はずは、本項に規定される要件を満たさなければならない。購買製品の受入れ検証(7.4.3項)の手はずの確立と関連業務の実行に関しても、それらが不合格品を確実に除外する効果的なものであるためには、本項の関連する要件を満たさなければならない。
各製品にどの段階でどのような情報検知を行い、合否判定を行なうかは、製品実現の計画(7.1 c)項)で定めておかなければならない。また、「製品の監視及び測定」に使用する人の五感や計測器などの用具は、7.6項に規定される要件を満たさなければならない。
 
(1) 組織は、製品要求事項が満たされていることを検証するために、製品の特性を監視し、測定しなければならない。
                                                                                                  [第1節][第1文]
  組織は、製品実現の適当な段階で、製品の特性の情報を検知し、これを客観的証拠として、それぞれ定められた合否判定基準に照らして製品が所定の製品仕様を満たしているかどうかの合否判定を行い、不合格品を除外しなければならない。
 
  この『検証する』は、製品実現の工程で生み出した製品が所定の製品要求事項を満たしていることを客観的証拠によって証明することであり#28、実務的には客観的証拠に基づいて合否判定を行なうことと受けとめるのがよい。検査や試験などの合否判定の活動を、規格が「適合性判定(conformity evaluation)」$65と言わずに『検証』と言うのは、合否の判定の実行そのものより、合格品を除外して製品実現から顧客に引渡すまでの製品がすべて合格品であるように管理することが製品、半製品の合否判定を行なう目的であるからと受けとめるとよい。 ここに『製品要求事項』は、顧客満足向上の狙いに基づいて決定した製品仕様 (7.2.1項)のことであり、製品が購買製品である場合には『購買要求事項』(7.4項)のことを指す。これらは、製品実現の工程の目標として『製品の品質目標及び要求事項』(7.1 a)項) とその許容範囲としての『製品合否判定基準』(同c)項)として表されている。
 
  製品の合否判定を行なうために、必要な製品の特性を検知する監視測定を行なわなければならない。この製品の特性の情報は、製品の試験や検査等で得ることができるが、製品の特性を直接監視測定できない場合は工程実行が所定通りかどうかに関する業務実行(プロセス)の特性から推定する。これは工程実行条件たる「プロセスの特性」と「製品の特性」との技術的因果関係が把握されている場合に可能である。 製造及びサービス提供の管理に係わる『プロセスの妥当性確認』(7.5.2項)は、業務実行(プロセス)の特性から推定した製品の特性で製品を『検証』するような場合を指している。 実際には、監視測定した実績の工程実行条件を許容される工程条件の範囲に照らして、当該製品の合否を判定することである。 どちらの方法の検証も本項の『製品の検証』である。
 
  規格は、製品実現の計画(7.1 c)項)で手はずを整えるべき事項のひとつとして『検証、妥当性確認、監視、検査、試験の活動』を挙げているが、この規定には、各活動の定義に鑑みて観点の異なる活動や相互に重複した活動が無秩序に羅列されている感がある。 その上に本項は、製品の監視測定や『検証』に関する具体的方法は何も規定していない。 組織は、7.1 c)項の言葉にとらわれず、製品と業種業態に応じた適当な、独自の「監視及び測定」「適合性判定」「検証」の方法を決めることが必要である。
 
(2) 監視及び測定は,個別製品の実現の計画(7.1参照)に従って、製品実現の適切な段階で実施しなければならない。
                                                                                                                   [第2文]
  製品の特性の情報の検知とその合否判定は、それぞれの製品の特性に合った製品実現のそれぞれの段階で行なうことが必要である。 どの段階でどの特性の情報を検知し合否判定を行なうかは、製品実現の計画(7.1 c)項)で定めておかなければならない。
 
  JIS和訳『適切な段階で』の原文は“at appropriate stage”であり、「適当な段階で」の方がよい。 「適当な」とは、必要なすべての製品の特性の合否判定を効果的に行なうことが出来、所定の製品仕様を逸脱する不合格品が顧客に引渡されることを防ぐという観点から「適当な」という意味である。これに関連しては94年版では、受入検査・試験(4.10.2項)、工程内検査・試験(4.10.3項)、最終検査・試験(4.10.4項)の3種の段階を取り上げていた。00年版では購買製品の受入れ段階での検証 (7.4.3項)を規定しているだけである。
 
(3) 合否判定基準への適合の証拠を維持しなければならない。                    [第3文]
 
製品の特性の情報合否判定の結果の記録は維持しなければならない。 『適合の証拠』とは『検証』に用いられる客観的証拠のことであり、実務的には『検証』の記録のことでもある。この証拠には、用いた製品の特性の情報、適用した合否判定基準、及び、合格と判断したという事実を表すものが含まれていなければならない。
 
  『客観的証拠』とは「物事の存在や真実を裏付けるデータ」
#13であり、この『データ』はその意義からして人の頭の中にあってはならない。証拠は本質的に文書に表されなければならず、この文書は「達成した結果を記述した、又は、実施した活動の証拠を提供する文書」#14であるから規格では『記録』である。また、この記録は「要求事項への適合の証拠を示す記録」(4.2.4項)であるから、その管理には規格の「記録の管理」の要件(4.2.4項)を適用することが必要である。
 
  合否判結果定の記録或いは適合の証拠の記録は、@顧客に引渡した個々の製品が合格品であることの証拠を示し、A個々の製品がどのような製品仕様のどのような水準であったかを示す。 また、全体として、B製品の不合格発生の水準を表し、C製品実現の工程の工程能力の水準を表す。 この記録は、事後に発生する種々の問題に効果的に対応するために使用される。合否判定結果の記録を使用する必要がある場合として規格は、苦情対応(8.3 d)項)、異常計測器対応(7.6項)、品質管理(8.4 b),c)項)、工程設計(7.1項)を示し、又は、示唆している。
 
 
合否判定記録の範囲と詳しさ、形態は、記録の使用目的に適うものでなければならず、製品の性格や「製品の特性」の特徴によっても異なる。 単に合格したという記号だけの場合もあり、不合格品に関する記述だけの場合もあり、測定値の詳細の記述の場合もあり、また、紙や電子媒体に書かれた文、文字、記号、図形の場合、図面、写真や 実物である場合もある。一定の方法で採取した製品サンプル、また、実施した試験の試験片や分析試料、計算機シミュレーションの途中データを記録として維持することもある。合否判定に顧客の承認を受ける場合は、それに関係する データも証拠として残すことが必要である。合否判定者名を以て合格と判断した証拠とすることが多い。これらを単一の記録として作成又は管理することは必ずしも必要でない。 必要事項を網羅した特定の記録を作成するのではなく、例えば合否判定基準は手順書や外観見本に、用いた計測器の精度は計測器校正記録にというように関連する文書や記録から合否判定記録として必要な情報が特定できるようにする方法もある。 データによっては合否判定記録ではなく、別の他の目的の記録の一部として管理する方が適切なこともある。
 
(4) 顧客への引渡しのための製品のリリースを正式に許可した人を,記録しておかなければならない(4.2.4参照)。  [第2節]
  組織は、合否判定されないで、又は、合否判定で不合格になった製品が、或いは、当該製品に所定の業務が完了しないまま顧客に引き渡されてしまうことのないよう、個々の製品を顧客に引渡してもよいと最終的に判断する責任者を決めておかなければならない。この責任者による判断が確実に行なわれる歯止めとして、実際に最終的に判断した人の名を合否判定に関係する記録に含めるようにしなければならない。
   
  『リリース』は「あるものを保持されていた場所から出す」
(101)の意味であり、『製品のリリース』とは顧客に引渡すために組織から外に出すことである。例えば、製造業では、出荷、蔵出しなどを意味するが、配達業で輸送品を顧客に届ける、小売業で商品を顧客に手渡す、修繕済み品を顧客に返すことも本条文の意図の『リリース』である。また、JIS和訳『許可した人を、記録しておかなければならない』は、英文では「記録は、許可した人を示さなければならない」であり$67、記録から許可した人が判別できるようにしておく必要を規定している。 この記録は文脈から、製品の合否判定に関係する記録のひとつである。
   
 
『製品のリリースを正式に許可した人』は、初版(4.12)の『製品のリリースに責任のある検査権限者』を継承するものであり、製造部門から独立した検査活動や“最高検査責任者”による出荷許可判断など旧来の品質保証の考えの名残である。 しかし、製品実現の計画で意図した通りの製品仕様であることが確認された製品だけを顧客に引渡すことが品質保証の要諦であり、定められたすべての業務が実行され定められたすべての合否判定に合格した製品であることを確実にする手順が必要であることには変わりはない。 この手順として、検査部門の独立や“最高検査責任者”の設置の必要の有無にかかわらず、誰が製品のリリース」の最後の判定者であるかを明確にし、間違いない製品だけが顧客に引渡されることに関して必要なその業務の手順を決めておかなければならない。 この業務が確実に行なわれる歯止めが、この判定を誰が行なったかを記録に残すという手順である。
 
  一般に、ひとつの製品の合否判定は、複数の製品特性に関するそれぞれの合否判定が異なる段階で異なる人によって行なわれている。普通はこの最後の合否判定の責任者が「製品のリリースを正式に許可する人」ということにもなる。 この責任者の役割には当該の合否判定の実行だけでなく、それ以前に行なわれた他の合否判定結果や次の(4)の完了を確かめることが含まれ、特定の産業分野では製品の総合的合否判定を担う状況にもなる。 この場合、所定の工程又は業務が所定の通りに実行されたことが確かめられて初めて次工程に送られる又は次の業務に移ることができるという業務実行管理の枠組みにより、この責任者の業務負荷を軽減し、同時に、良品リリース管理をより効果的なものとすることができる。
 
  なお、00年版JIS条文には『製品のリリース』に対して「次工程への引渡し又は出荷」とのJIS独自の註釈を付していたので、製造業の製造工程間の製品の受渡しに関しても本要求事項の適用が必要と解釈されていたが、08年版ではこの註釈がなくなった。
   
(5) 個別製品の実現の計画〈7.1参照)で決めたことが問題なく完了するまでは、顧客への製品のリリース 及び サービスの提供は行ってはならない。
                                                             [第3節][1]  
   
製品組織は合格品のみが顧客に引渡されることを確実にするために、製品は所定の製品仕様及び関連する必要事項がすべて満たされたことを確かめてからでないと顧客に引渡してはならない。製品の性格や業種業態によって所定の業務の一部の所定通りの実行が完了する前に、又は、一部の製品仕様の「検証」が完了する前に顧客に引渡す必要がある場合、また、サービス提供とサービス引渡しが同時のサービス業などの場合は、顧客が知らないまま不合格品を受取ることのないことを確実にする「製品のリリース」の管理を確立しなければならない。
 
  JIS和訳「サービスの提供」は英文が“delivery of service ”であるから、「サービスの引渡し」である$48-2-2。 規格では「製品」を サービス、ソフトウェア、ハードウェア、素材製品に分類しており、サービス も「製品」の一種である#13-1。 「サービスの引渡し」とは、『サービス提供』
$48-1 (7.5項)で生み出された無形の製品たる サービス を顧客に引渡すことであり、「製造」(7.5項)で生み出された有形製品を顧客の手元に引渡すこと同じ意味である。
 
 
規格では『製造及びサービスの提供』のように表現上やむを得ない場合を除き、用語「製品」で サービス を含み一括表現している。 本条文では『製品のリリース』と『サービスの引渡し』とに分けて表現したのは、サービスには「製品のリリース」という活動が存在しないとの考えによるものであろう。 ただし、それなら上記(3)の第2節の「製品のリリース」も「製品のリリース 又は サービスの引渡し」でなければならないが、規格にはこの種の表現の不統一が少なくないから、目くじらをたてる必要はない。
 
  94年版(1章)は、製品実現のすべての段階で不適合を防止することによって顧客の満足を得ることを第一の狙いとする品質保証活動を規定していたが、試験・検査の項(4.10.4)では不適合製品の出荷を防ぐ歯止めとして、当該製品が所定のすべての検査・試験に合格していること、及び、関連文書の作成など必要なすべての活動が問題なく完了したことを確認してからでないと製品を出荷してはならない旨、規定していた。この「必要なすべての活動」とは、梱包、梱包表示、取扱説明書添付、顧客に提出する検査・試験成績表の作成などを意味すると考えられてきた。00年版でもこの必要は変わらないが、検査や試験など汎用的でない用語を使用せずに、すべての業種業態に適用できるよう表現が変更されたのが本条文である。 組織は、各製品について製品実現の計画で整えた手はずに則ってすべての所定の業務を所定の通りに実行し完了するまでは、製品を顧客に引渡してはならない。

   
(6) ただし、当該の権限をもつ者が承認したとき、及び、該当する場合に顧客が承認したときは、この限りではない。
                                                                                                        [第3文]

  英文では本文(6)は上記(5)とでひとつの文章であり、「……により承認されない限りは、顧客への製品のリリース……は行なってはならない」である。 (5)対する例外を認める(6)の趣旨は、94年版では受入検査・試験(4.10.2)と工程内検査・試験(4.10.3)に関して、後に不合格と判明した場合に回収や交換が出来るような手順の下で、緊急時などで検査や試験が完了する前でも受入れた製品を使用に供することができるという規定を継承している。
 
   しかし、00年版の本規定は、この管理を製品の顧客への引渡しに適用するようにしたものであり、緊急時の処置というよりは定常的な製品リリースや引渡しの管理として規定されている。このことにより、品質保証に必要なすべての事項が完了しない状態で製品を顧客に引渡さなければならないような製品や業種業態における品質保証の方法を明らかにしている。製品実現の計画で必要として決めたすべての業務を所定の通りに実行し完了する前に製品を顧客に引渡す必要があるような製品や業種業態の組織は、そのことを原因とする不良品が顧客の了承なしに又は顧客が知らないまま、顧客に引渡されることのないことを確実にする手順を確立し、その手順の実行に責任をもつ者を決めておかなければならない。
   
  例えば、電話相談窓口や演劇など サービス提供とサービス引渡しが同時であるような事業では、全サービスの出来ばえの合否判定の前にサービスが順次引渡されるが、このことについては顧客の暗黙の了解があると考えてよい。また、製品の特性試験と合否判定に時間を要する場合では、これにより不合格となる可能性が低いという品質管理状態と、もし不合格となっても当該製品を回収したり、顧客で必要な処置をとることができるという状況の下で、製品をこの試験結果の判明前に顧客に引渡すことを定常の手順とするような場合がある。この製品出荷管理の方式に顧客の同意があれば、万一の不合格の発生による顧客満足への悪影響は更に小さいものとなる。別途試験による特定の性能保証書など顧客に提出する製品に関する文書を製品出荷の後に作成し顧客に提出することを契約や商慣習とする事業もある。

 
 
 
H23.11.7(修 H27.3.19)
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サニーヒルズ コンサルタント事務所