ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
60 8.3項  不適合製品の管理 実務の視点による
ISO9001:2000の解説(新版) 
35-02-60
8.3 不適合製品の管理
[第1節]
  [第1文]  組織は、製品要求事項に適合しない製品が誤って使用されたり、又は引き渡されることを防ぐために、それらを識別し、管理することを確実にしなければならない。  
  [第2文] 不適合製品の処理に関する管理及びそれに関連する責任及び権限を規定するために、“文書化された手順”を確立しなければならない。 
[第2節] 該当する場合には、組織は、次の一つ又はそれ以上の方法で、不適合製品を処理しなければならない。
a) 検出された不適合を除去するための処置をとる。
b) 当該の権限をもつ者,及び該当する場合に顧客が,特別採用によって、その使用、リリース、又は合格と判定することを正式に許可する。
c) 本来の意図された使用又は適用ができないような処置をとる。
d) 引渡し後又は使用開始後に不適合製品が検出された場合には、その不適合による影響又は起こり得る影響に対して適切な処置をとる。
[第3節] 不適合製品に修正を施した場合には,要求事項への適合を実証するための再検証を行わなければならない。
[第4節]  不適合の性質の記録,及び不適合に対してとられた特別採用を含む処置の記録を維持しなければならない (4.2.4参照)。
 
 
1.要旨

  本項は、発生した不良品を顧客に引き渡してしまわないための、また、不良品による顧客の迷惑や損害を最小化するための不良品の取り扱いに関する要件を規定している。
  
 製品の監視測定(8.2.4項)に基づく合否判定により不合格となった不良製品の取り扱いと処置の手はずを整えて、手はずに則って発生した不良品がそのまま顧客に引き渡され又は使用されることのないように管理しなければならない。この手はずには、組織内で発生した不良品だけでなく顧客で見つかった不良品の取り扱いと処置も含めなければならない。手はずが効果的であるためには、a)〜d)項の処置の手はずが含まれていなければならない。
 
  
2. 不適合製品の管理 (背景及び関連事項)
(1) 不適合製品
 『不適合』とは『要求事項を満たしていないこと』である#5-2。『不適合製品』は、製品要求事項(7.2.1項)、実務的にはこれを反映した『製品に対する品質目標及び要求事項』を満たしていない製品を指す。 製品が購買製品である場合には、購買要求事項(7.4項)を満たしていない製品である。 製品には、製造又はサービス提供で生み出される最終製品、中間工程の半製品、最終製品に組み込まれる部品、半製品、原料、資材など購買製品、更には、保管中又は輸送中の製品も含まれる。 また、これら組織の事業目的の製品ではなくとも、組織が意図した顧客満足に関係する営業活動や受注処理業務(7.2.2項)、製品使用相談業務や苦情受付業務(7.2.3項)、補償活動や保全サービス(7.5.1 f)項)、製品の保管や輸送業務(7.5.5項)などの結果も製品である。多くは サービスに相当するが、これら業務の結果が所定の仕様を満たさない場合は、不適合製品である。
 
 不適合製品とは実務的には基準を満たさない不良品、不合格品である。これを判定することは「製品の適合性判定」であり、実務的には合否判定である。製品の適合性判定は『製品要求事項が満たされていることを検証する』こととも表現され (8.2.4項)、製品の監視測定(8.2.4項)により検知した製品の特性の情報を合否判定基準に照らして行なわれる。不適合製品は、製品、半製品及び購買製品の検証によって発生し、また、プロセスの妥当性確認(7.5.2項)などプロセスの監視及び測定(8.2.3項)により検知した業務実行(プロセス)特性の不適合により発生し、更に、製品を顧客に引渡した後に、或いは、顧客が製品を使用してから不適合製品であることが判明し、又は、申立てられることがある。
 
(2) 不適合製品の管理
 品質保証活動は、所定の製品仕様が必ず満たされる、つまり、不適合製品を引渡されることはない、との顧客の安心感を確立する活動である#43。 94年版では「不適合の防止によって顧客満足を得ること」が第一の狙いであった(1章)から、不適合製品とは顧客と合意の或いは契約の製品品質に反する品質不良の製品であり、検査・試験(4.10)の不合格品を指していた。
 
 00年版の品質マネジメントは顧客のニーズと期待を満たす製品であることの保証を意図するものであるが、検査不合格品質が顧客のニーズと期待を満たす製品であるはずはないので、不適合製品が誤って顧客に引き渡されることを防がなければならないことには94年版と同じである。一方、組織の決めた製品要求事項を満たしていたとしても、自らの想いのニーズと期待を満たすと顧客が受けとめない製品は不適合製品である。この観点からは「売れない製品」は一般に不適合製品である。しかし、組織の品質方針と品質目標に表される狙いの顧客満足を実現させるように決めた製品仕様と品質及び付帯条件(7.1 a)項)の製品が、実際には顧客のニーズと期待を満たしていなかったため売れなかったという状況は、組織の品質マネジメント活動にあってはならないことである。規格はこのような不適合製品をどのように取り扱いかを想定していないが、このようなことが起きないのが規格の意図する効果的な品質マネジメント活動であるからである。
 
 顧客に引渡し後に発見された不適合製品への対応の規定は94年版にはなかったが、全業種業態への適用の観点から書かれた00年版で部品、素材や一方消費製品の製造業等の慣行を念頭に追加されたものと思われる。
  
 
8.規格要求事項の真意
  組織は、品質マネジメントシステムの計画の一環として、発見された不適合製品を管理する業務の手はずを整え、それらを効果的に実行しなければならない。 この管理は、製品の合否判定の結果の不合格品がそのまま顧客に引渡されることのないように、また、顧客に引渡してから発見された、又は、顧客に不具合を申立てられた製品によって組織の狙いの顧客満足が毀損するのを最小限に留めるようにすることが目的である。 このための不適合製品の管理を効果的なものとするためには、関連する諸業務が不適合製品の処置に関するa)〜b)項を含み本項が規定する要件を満たさなければならない。
 
(1) 組織は、製品要求事項に適合しない製品が誤って使用されたり、又は引き渡されることを防ぐために、それらを識別し、管理することを確実にしなければならない。                                                        [第1節][第1文]
  組織は、製品実現の各段階で所定の製品仕様を満たさないと判定された製品が、そのまま次の工程に送られ、又は、顧客に引渡されることを防止するために、不合格製品を確実に識別できるようにし、管理しなければならない。これら不合格製品の処理に関する管理と関連する責任及び権限を示す手順を確立し、文書化しなければならない。第1節条文には含まれていないが、第2節の不適合製品の処理方法に顧客で検出された不適合製品の処置が含まれているから、こちらの不適合製品の識別、管理の手順も確立、文書化しなければならない。
  
 『製品要求事項』は所定の製品仕様のことを指し、必要な顧客満足の実現を図るように決定され (7.2.1項)、製品実現の計画で『製品の品質目標及び要求事項』として表される(7.1 a)項)。 不適合製品は、製品実現の種々の段階で行なわれる製品の適合性判定(8.2.4項)によって検出されなければならない。 条文の『誤って使用(unintended use)』は組織内の次工程送りを、『誤って引渡し(unintended delivery)』は顧客への引渡しを意味する。JIS和訳『識別する』の英文は“identify”であるから、識別できるようにするという意味である。規定の趣旨は。不適合製品であることが他の適合製品から見分けられるようにするということである$14-2。 94年版(4.13.1)では不適合製品の管理の内容として、識別、文書化、評価、隔離、処置、関係部門への通知を挙げていた#6。 『識別』は、不合格製品自身への表示や置場の隔離などにより、また、文書や帳簿上、コンピュターシステム上で行なうこともできる。
 
 不適合製品の処理には下記(2)の方法が含まれなければならず、処理を含む管理の手順には、それぞれの業務や作業を行なう要員を明確にしておかなければならない。この手順は、不適合製品を組織の外に出さないことを主要な狙いとする品質マネジメントにとって特に重要であり、その関連する業務の効果的な実行を確実にするめに文書化することが必要である(4.2.1 c)項)。
 
 製品引渡し前の適合性判定或いは検証が不可能な製品では、不合格品もそのまま顧客に引渡されるが、そのような組織にも「不適合製品が顧客に引渡されることを防ぐ」必要があることには相違ない。引渡し前検証に代わる不合格品引渡し防止の方法や、不合格品を引き渡した場合に組織の狙いの顧客満足の実現への支障を最小化する処置を含む効果的な不適合製品の管理の手順を確立しなければならない。
 
(2) 不適合製品の処理に関する管理及びそれに関連する責任及び権限を規定するために、“文書化された手順”を確立しなければならない。                                                                      [第2文]
  製品の合否判定の結果の不合格品がそのまま顧客に引渡されることのないように、また、顧客に引渡してから発見された、又は、顧客に不具合を申立てられた製品によって組織の狙いの顧客満足が毀損するのを最小限に留めるように、発生した不適合品を処理する手はずを、その責任権限の在り処を含み確立し、手順を文書化しなければならない。
 
(3) 該当する場合には、組織は、次の一つ又はそれ以上の方法で、不適合製品を処理しなければならない。[第2節]
  『該当する場合は』の英文“where applicable”は「適用可能ならば」の意味$44-1であり、条文の趣旨は「適用可能な次のひとつ又はそれ以上の方法で、不適合製品を処理しなければならない」である。08年版でa)〜d)項の処理の必要性が実務に合わせて柔軟に受け止められる表現になった。どの方法も適用できないような製品や業種業態もあるという事実から、規定の意図を明瞭にするために追加することになったと、改訂規格執筆者のグループ(32)によって説明されている。
 
  上記(2)の不適合製品の処理の手順には、不合格と判定された製品をどのように処置するのかについての方法を決めておくことが必要である。 それにはa)〜d)項の方法を含めるとよい。
 
@ 検出された不適合を除去するための処置をとる。                  [ a)項]
  不適合を除去する処置は規格では「修正」と呼ばれる#40。これは94年版(4.13.2)では、手直し(rework)、」「修理(repair)」と表現されていた。 有形製品では再加工や疵取りなどで不適合の状態をなくすることを意味し、ソフトウェア製品では文章校正、再録音、書籍への正誤表の挿入、プログラムの修正など、サービス製品では修繕自動車の再修理、商品販売での包装やりなおしなどが相当すると考えられる。 
 
A 当該の権限をもつ者,及び該当する場合に顧客が,特別採用によって、その使用、リリース、又は合格と判定することを正式に許可する。                                    [ b)項]  
  当該の権限をもつ者、及び、必要なら顧客の許可の下に、不合格品をそのまま次工程に送り、又は、組織から出し、或いは、合格品とする。 当該の権限をもつ者とは基本的に、その製品要求事項を決めた者である。 部品や半製品の一部仕様が所定の通りでなくとも全体最終製品の製品特性の合否に影響しないような場合、又は、修正の技術的余地や時間がない一方で、契約や狙いの製品仕様に変更の余地がある場合などでは、不合格製品をそのままで特別採用することがある。

 
B 本来の意図された使用又は適用ができないような処置をとる。   [ c)項]  
 
その製品の予定の使用先、適用先に振り向けることのないようにする。 94年版(では他の用途に振り代える(regrade)、廃棄する(reject, scrap) と表現されていた(4.13.2)。 00年版では『廃棄することを含む』とのJIS版のみの訳注が付されている。
 
C 引渡し後又は使用開始後に不適合製品が検出された場合には、その不適合による影響又は起こり得る影響に対して適切な処置をとる。                                                                          [ d)項]  
 
JIS和訳『不適合による影響に対して適切な処置をとる』の英文の趣旨は「不適合のもたらす影響に合った処置をとる」である$68。 影響そのものを緩和したり解消したりする処置という意味ではなく、顧客満足の毀損を最小限に留めるための処置のことであり、この処置が不適合による影響に見合った内容と程度でなければならないという意味である。組織は、顧客に引渡され、又は、顧客での使用が開始された後に不合格製品が検出された場合には、それが組織の狙いの顧客満足のや実現の支障とならないよう、この不合格品のもたらす影響に見合った処置をとらなければならない。
 
  本条文は00年版では、本項末尾の第5節として記述されており、第2節の箇条書きa)〜c)項が組織内にある状態で発見された不合格品の処置であるのに対して、顧客の苦情など製品の引渡し後に発見された不合格品への対応に関する規定であると受けとめられてきた。 08年版でこの規定が d)項に移動したのは、この規定を不合格品を処置するひとつの方法と位置づけることによって、顧客に引渡す前に製品たるサービスの合否判定ができないような サービス業の不合格品の処置としても適用できるようにするためであったと、説明されている(32)。
 
  顧客から製品不良の申立てを受け、又は、引渡し済みの製品に不合格品が発見された場合は、顧客の不満や顧客満足の毀損を最小限に抑えるために必要な処置をとらなければならない。 組織は不合格品であるかどうかの判断と原因の調査によって、当該製品の処置及びそれが顧客に与えた影響に対応する処置を速やかにとらなければならない。また、同じ問題を起こす可能性のある製品を特定し、それらへのそれぞれ適当な処置をとらなければならず、この処置によって顧客が被る悪影響に対しても適当な処置をとらなければならない。処置には、不良品や不良懸念品の回収、引取り再検査、代品納入、リコール、製品修繕、製品使用に対する注意の呼びかけ、製品使用方法の変更の要請等がある。
 
  不適合による影響に処置をとるのは当たり前であり、どんな処置でもいいということではないのはもちろん、顧客の要求に応じているだけでも十分とは限らない。顧客満足の向上を目指す効果的な品質マネジメントでは、その処置が不適合による影響に合った処置、つまり、不適合製品によって顧客が被った損害の状態やその大きさ、或いは、損害の拡大の防止や必要な損害回復の速さや程度に見合う処置であることを確実にしなければならない。規格の意図では、『適切な処置』とはこのような処置を意味する。顧客で不適合製品が検出された場合、顧客の再検査や引取りの要求に応じているだけでは十分ではなく、それも含めて不適合製品が検出されたことにより生じた、また、これから生じるかもしれない顧客への影響を最小限にするように必要な処置を自主的にとらなければならない。これが顧客重視を社是とし、顧客満足向上を追求する組織がとるべき行動である。
 
(4) 不適合製品に修正を施した場合には,要求事項への適合を実証するための再検証を行わなければならない。[第3節]  
 製品の不良を修正しても、必要な程度にまで修正されたとは限らない。 修正された製品は、所定の製品合否判定基準に照らして改めて合否判定を行なわなければならない。修正によって当該の不良を除去することが、他の製品仕様ないし製品特性に影響を及ぼすことは珍しくない。合否判定は関係するすべての製品仕様に関して行なわなければならない。この製品を合格品とするためには、合否判定に使用した客観的証拠によって製品を再検証しなければならない。
  
(5) 不適合の性質の記録,及び不適合に対してとられた特別採用を含む処置の記録を維持しなければならない (4.2.4参照)。                                                                                 [第4節]  
  どのような不合格品が発生したか、また、それらにどのような処置をとったかに関する記録を作成し、維持しなければならない。本項の意図の記録は、不適合製品の再発防止を図るために必要な情報としての記録ではなく、顧客に引渡される製品の品質保証のための記録である。 製品の合否判定の記録(8.2.4項)は、どちらの記録としても有用である。
 
  すなわち、94年版(4.13.2)では不適合製品の処置方法のひとつとして『修理して、又は、修理しないで特別採用する』があり、このように処置する許可を顧客に申請することと、この『不適合の実際の状態を示す記述を記録しておくこと』が規定されていた。 この記録の目的は、後日に製品に問題が生じた場合に、その一部の構成要素又は一部の製品仕様が不合格であったものであり、また、それを修正、又は、特別採用、又は、他の向先から変更されたものであることがわかるようにしておくことにあると考えられる。
 
  『不適合の性質の記録』とは、どのような不適合でありどの程度に合否判定に不合格であったかを示す記録であり、『とられた処置の記録』とは、どのような処置によりどのように合格したかや、特別採用された場合は誰のどのような判断で、誰のどのような承認を得たかがわかるような内容の記録である。
 
 
4. 製品不良の実務
  不適合は実務では不良、不具合などと呼ばれる。不良、不具合のある製品はその性格や原因によって、不合格品、不良品、異常品、異品、欠陥品、苦情品、など種々の名称で呼ばれる。
 
(1) 組織内の製品不良
  組織内で所定の合否判定基準を満たさないと判定された製品は一般に、不合格品と呼ばれる。不合格品をそのまま次工程に送ったり、顧客に引渡すことはできないから、合格品となるように手を加えるか、特別採用を顧客に求めるか、廃棄など顧客に引渡さないよう処置する。顧客に引渡し済みの場合は当該不合格品を引き取るか、顧客との合意の下に同様のいずれかの処置をとる。
 
  不合格品には一般に、管理されて発生する所定の不合格品と、製造及びサービス提供の工程など製品を生み出す業務が所定の通りでなかったことを原因とする所定外の不合格品とがある。 品質管理では一般に前者を不良品、後者を異常品と呼んで区別する。 多くの事業の製品では、製品を生み出すための費用と不合格品発生による損害との均衡を図るため、製造及びサービス提供など工程条件を製品が合否判定基準に100%合格するようには決めない。 このような製品では、合否判定で不合格と判定されても、それが所定の通りに業務が行なわれなかった結果とは限らない。品質管理は、不合格品が単なる不良品であるのか、或いは、あってはならない異常品であるのかに峻別することから始まる。
 
  不良品は所定の処置手順に則って、そのまま次工程や顧客に引渡されないように管理する。再発防止対策はとらない。不良品については、その発生を一定の水準に維持するために、それらの製品仕様ないし製品特性に関係する製造及びサービス提供の工程の要因を特定し、その変動を管理することが必要である。異常品については、それが不合格品のまま顧客に引渡されないように管理するのは当然であるが、その一方で、所定の業務実行の原因を調査し、再発の可能性や再発した場合の損害の大きさと必要な費用とを勘案して再発防止対策の必要を検討することが必要である。
 
(2) 顧客で検出された製品不良
  苦情品は、契約ないし合意事項を含む顧客の意向の製品仕様と異なると顧客が受けとめて苦情を申し立ててきた製品を指し、幾つかの類型に分けることができる。
 
@ 合否判定業務が効果的に実行されずに、不合格品が顧客に引渡された (不良品)
  これには、合否判定手順の単純な不履行の場合と、合否判定の方式や方法、手順、合否判定基準が不十分、或いは、技術的に不適切である場合がある。
A 契約や製品の識別上の誤りや錯誤によって異なる製品仕様の製品が顧客に引き渡された (異品)
B 製品仕様に顧客の製品使用のために不可欠な事項や条件が欠けていた (欠陥品)
 
  いずれもの場合も、再発の可能性の高さ、再発した場合の顧客満足への影響の深刻さに応じた適当な再発防止対策をとらなければならない。この再発防止対策では、製品の設計変更に踏み込む必要のあることもある。また、苦情申立てを受けた場合は、当該製品の引取り、不良の選別、代品の引渡しなどにより顧客の製品使用に支障を生じないようにする処置をとらなければならない。とりわけ大量生産品の場合では、同じ問題を生じる可能性のある製造及びサービス提供済みの製品を特定又は推定して、実際に発生した場合の深刻さに応じた適当な程度に問題発生の防止を図る処置をとることが大切である。この場合には、製品の製品実現の履歴の記録(7.5.3項)、及び、合否判定の記録(8.2.4項)が有力な情報源となる。
 
(3) 許容される製品不良
  電話相談窓口や演劇など サービス提供とサービス引渡しが同時であるような事業では、全サービスの出来ばえの合否判定の前にサービスが順次引渡されるが、このことについては顧客の暗黙の了解があると考えてよい。また、設備建設工事では、顧客立会いの下での全体試運転で顧客の細かい要望を聞き入れて仕様や配置を微修正、調整することが商慣習であり、金属鋳造用金型の製作では、顧客が実際に使用して所定の鋳造物が得られることを確認することが製品の合否判定とされるが、合格するまでに何度かの試用と金型修正を行なうことが商慣習であることが多い。 このような製品や業種業態では顧客は、事前の合否判定による合格品だけが組織の外に出され又は顧客に引渡されるという品質保証の一般原則が適用されないことを暗黙に又は契約上で了承しており、一定の不合格サービスを引渡される可能性や一定の不具合のある製品を提示されることを理解している。
 
  これらは定義上では「不適合製品」であるが、この種の不良や不具合は直ちに顧客満足の毀損には繋がらない。この場合は、組織内で検出された不合格品として処置される。 しかし、不良や不具合の程度やその修正の的確さや迅速さの程度によっては、顧客の不満を生み、組織の狙いの顧客満足に打撃を与えることにもなる。 この場合は、顧客で検出された不合格品として処置しなければならない。 組織は、あってはならない不良や不具合を明確にし、その発生を防止する製造及びサービス提供の手順を確立すること(7.1項)が必要である。例え製品全体の事前合否判定が出来ないとしても、特定の不良や不具合に関係する製品と工程の要素の事前合否判定が可能な場合もある。 また、予想される不良や不具合を発生させ、認識し、又は、指摘された場合にとるべき処置を決め、その手はずを整えておくことが必要である。
 
  この例には、対面サービスでの謝罪とやり直し、延着特急の特急料金払戻し、誤ったニュース報道に対する訂正放送や訂正記事、不通となった鉄道路線の乗客に対する代替輸送手段の提供、購入者が開梱して発見した不良品に対する代品提供などがある。
 
 
H27.31.21
禁無断転載  (個人的使用のための複写歓迎)
サニーヒルズ コンサルタント事務所