ISO9001/ISO14001
コンサルティング・研修

解説
   規格要求事項の解釈  − 実務の視点
このセクションでは、ISOマネジメントシステム規格( ISO9001/ISO14001 )の要求事項を
"実務の視点"で読み解き、解説します。
目  次
MSS 共通テキスト
定義・上位構造
13
2015年改定の要点
ISO9001
14 2015年改定の要点
ISO14001
英語で読み解く
ISO9000/14000
規格の論理
ISO9000/14000
実務の視点による
ISO9001の解説
よく見られる
誤った取組み
ISO9001/14001
この方がよくわかる
ISO14001:2004
実務の視点による和訳
規格と認証の利用
ISO9001/14001 事例研究
改定の要点
ISO14001:2004
10 改定の要点
ISO9001:2000
11 改定の要点
ISO9001:2008


 
 
実務の視点による ISO9001:2008 要求事項の解説          
   ISO9001規格に関する国内の解説は、ほとんどすべてが認証審査に合格するために何をしなければならないかの説明であり、規格を組織に対する"要求"を定めたものとの考えで、誤訳を含む不適切な和訳を少なからず含むJIS9001条文の日本語に基づいて"要求"に対応する業務の形式を導き出している。
   このような解釈、解説は、審査合格への早道を求める組織にとっては好都合だが、結果として誰もが効用を実感できない規格取り組みの現状を生み出している。
   ISO9001は、1980年代に品質で世界を席巻した日本製造業の経営管理(マネジメント)を下敷きに世界の企業の成功体験を反映した論理の体系である。 規格は組織を発展に導く効果的な経営管理(マネジメント)たるに必要な条件を示している。このページでは、規格が経営管理の実務を規定しているとする”実務の視点”から、規格の論理に立脚した規格解釈を展開する。
                                          詳しくはこちら <35-01-00>
全編統一解説  改訂執筆 完  (H27.4.5)
★ 記述や表現を統一し、読みやすく、利用し易い、全編解説書に変えた。
★ 加えて、
  □ 要求事項適用の実例を挙げてわかり易くした。
  □ 引用規格条文を 2008年版とした。
  □ 規格や要求事項の解釈の未熟さを改めた(基本は不変)。
  □ 文中で引用している文献、英語解釈、定義を資料編としてまとめた。

ISO9001:2008 解説
  実務の視点による   規格要求事項の解釈

プリントアウト版  A4  全310ページ  有償頒布
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資料編 67  引用文献
66  英語解釈  

65  用語の定義
 8章 64   8.5.3項  予防処置
63  
8.4項    是正処置
62  
8.5.1項   継続的改善
61  
8.4項     データ分析
60  
8.3項     不適合製品の管理
59  
8.2.4項   製品の監視及び測定
58  
8.2.3項   プロセスの監視及び測定
57.  
8.2.2項  内部監査
56.  
8.2.1項  顧客満足
55.  
8.1項    測定,分析及び改善  一 般
旧版 その64
旧版 その63
旧版 その62
旧版 その61
旧版 その60
旧版 その59
旧版 その58
旧版 その57
旧版 その56
旧版 その55
7章 54.  7.6項    監視機器及び測定機器
53.  
7.5.5項  製品の保存
52.  
7.5.4項  顧客の所有物
51.  
7.5.3項  識別及びトレーサビリティ
50.  
7.5.2項  製造及びサービス提供に関する
                   プロセスの妥当性確認
49.  
7.5.1項  製造及びサービス提供の管理
48. 
7.4.3項  購買製品の検証
47. 
7.4.2項  購買情報
46. 
7.4.1項  購買プロセス
45. 
7.3.7項  設計・開発の変更管理
44. 
7.3.6項  設計・開発の妥当性確認
43. 
7.3.5項  設計・開発の検証
42. 
7.3.4項  設計・開発の レビュー
41. 
7.3.3項  設計開発からの アウトプット
40. 
7.3.2項  設計・開発への インプット
39. 
7.3.1項  設計・開発の計画
38. 
7.2.3項  顧客との コミュニケーション
37. 
7.2.2項  製品に関連する要求事項のレビュー
36. 
7.2.1項  製品に関連する要求事項の明確化
35. 
7.1項    製品実現の計画
旧版 その54
旧版 その53
旧版 その52
旧版 その51
旧版 その50

旧版 その49
旧版 その48
旧版 その47
旧版 その45
旧版 その45
旧版 その44
旧版 その43
旧版 その42
旧版 その41
旧版 その40
旧版 その39
旧版 その38
旧版 その37
旧版 その36
旧版 その35
6章 34.  6.4項    作業環境
33. 
6.3項    インフラストラクチャー
32.  
6.2.2項  力量、認識及び教育・訓練
31. 
6.2.1項  人的資源  一般
30. 
6.1項    資源の提供
旧版 その34
旧版 その33
旧版 その32
旧版 その31
旧版 その30
5章 29.  5.6.3項  マネジメントレビュー からの アウトプット
28.  
5.6.2項  マネジメントレビュー への インプット
27.  
5.6.1項  マネジメントレビュー  一般
26.  
5.5.3項  内部コミュニケーション
25.  
5.5.2項  管理責任者
24.  
5.5.1項  責任及び権限
23.  
5.4.2項  品質マネジメントシステムの計画
22.  
5.4.1項  品質目標
20.  
5.3項    品質方針
19.  
5.2項    顧客重視
18.  
5.1項    経営者のコミットメント
旧版 その29
旧版 その28
旧版 その27
旧版 その26
旧版 その25
旧版 その24
旧版 その23
旧版 その22
旧版 その20
旧版 その19
旧版 その18
4章 174.2.4項  記録の管理
16
4.2.3項  文書管理
15
4.2.2項  品質マニュアル
14
4.2.1項  文書化要求事項 一般
13
4.1項    一般要求事項
旧版 その17
旧版 その16
旧版 その15
旧版 その14
旧版 その11〜13
初版のまま 
規格構造 その10  要求事項の構成
品質
マネジメント
原則
その9   品質マネジメントの原則 (マネジメント活動の方法)
その8   品質マネジメントの原則
(マネジメント活動の実行主体)
その7   品質マネジメントの原則
(マネジメント活動の方向)
その6   品質マネジメントの原則
(その意図)
用語 その21  品質マネジメントシステム の計画
その5   顧客要求事項
その4   継続的改善
その3   プロセスアプローチ
その2   品質マネジメント
その1   顧客満足


 64.   8.5.3項  予防処置
<条項の要旨>
  本項は8.5.2項と共に、品質マネジメントの業務実行における問題の解決のための処置としての『予防処置』の実行と、それが効果的であるための処置の実行と管理の要件を規定している。
 
  決められた通りに業務を行い決められた結果を確実に出すための業務実行管理の活動における業務実行と結果の監視測定(8.2項)によって、将来に決められた通りではない業務実行と結果又は製品が生じる可能性が検出された場合には、必要に応じてその発生を未然に防止する『予防処置』をとらなければならない。その予防処置が問題の発生の確実な防止という点で効果的であるためには、予防処置はa)〜e)項が含まれなければならない。予防処置の手順は文書に明確にし、手順の通りに是正処置を実行し管理しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 是正処置と予防処置
(1) 不適合への対応処置
(2) 改善の処置
2-2. 是正処置と修正
(1) 予防処置
(2) 修正処置

3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-64>

 63.   8.5.2項  是正処置
<条項の要旨>
  本項は8.5.3項と共に、品質マネジメントの業務実行における問題の解決のための処置としての『是正処置』の実行と、それが効果的であるための処置の実行と管理の要件を規定している。
 
  決められた通りに業務を行い決められた結果を確実に出すための業務実行管理の活動における業務実行と結果の監視測定(8.2項)によって、決められた通りではない業務実行と結果又は製品が検出された場合には、必要に応じてその再発を防止する『是正処置』をとらなければならない。その是正処置が問題の再発の確実な防止という点で効果的であるためには、是正処置の手順にはa)〜f)項が含まれなければならない。是正処置の手順は文書に明確にし、手順の通りに是正処置を実行し管理しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 是正処置と予防処置
(1) 不適合への対応処置
(2) 改善の処置
2-2. 是正処置と修正
(1) 是正処置
(2) 修正処置
3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-63>

 62.   8.5.1項  継続的改善
<条項の要旨>
  本項は、品質マネジメントの業績を継続して向上させていくための方法論を規定している。
 
  組織が顧客満足の追求を基礎として永続的に存続し発展し続けるには、あるべき顧客満足の状態を品質方針に明確にし、その確実な実現を図るプロセスアプローチ/PDCAサイクルに則った品質マネジメントの活動を繰り返すことが必要であり、これを通じて品質マネジメントシステムを改善し、必要な顧客満足を確実に実現させる品質マネジメントの業務能力を継続的に強化していかなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 継続的改善 (背景及び関連事項)
(1)改善 
(2)品質マネジメントシステムの有効性の改善 
3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-62>

 61.   8.4項  データ分析
<条項の要旨>
  『分析』は『監視及び測定』(8.2項)により検知した情報に基づく評価、判断の活動であり、情報検知と共に品質マネジメントの管理業務の基本要素である。本項では、品質マネジメントにおける判断や意思決定を関連する情報を分析した結果に基づいて行なうことの必要を規定し、効果的な品質マネジメントであるためにデータ分析が必須の事項を取り上げている。
  
 組織の存続発展に必要として品質方針及び組織の品質目標(5.3項)に決めた狙いの顧客満足を確実に実現させるために、品質マネジメントの各業務がそれぞれの狙いの結果を出しているかどうかの業務実行状況、及び、狙いの顧客満足が実現するか又はしているかどうかに関して検知した情報(8.2.1, 8.2.3, 8.2.4項)及びその他品質品マネジメントに関係する情報を分析し、評価する手はずを整え、手はずに則って正しい判断と意思決定をしなければならない
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. データ 分析 (背景及び関連事項)
(1) データ分析 
(2) 統計的手法 
3. 規格要求事項の真意
4. データ分析の実務
(1) テータ分析 
(2) 統計的手法
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-61>

 60.   8.3項  不適合製品の管理
<条項の要旨>
  本項は、発生した不良品を顧客に引き渡してしまわないための、また、不良品による顧客の迷惑や損害を最小化するための不良品の取り扱いに関する要件を規定している。
 
  製品の監視測定(8.2.4項)に基づく合否判定により不合格となった不良製品の取り扱いと処置の手はずを整えて、手はずに則って発生した不良品がそのまま顧客に引き渡され又は使用されることのないように管理しなければならない。この手はずには、組織内で発生した不良品だけでなく顧客で見つかった不良品の取り扱いと処置も含めなければならない。手はずが効果的であるためには、a)〜d)項の処置の手はずが含まれていなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 不適合製品の管理 (背景及び関連事項)
(1) 不適合製品
(2) 不適合製品の管理
3. 規格要求事項の真意
4. 製品不良の実務
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-60>

 59.   8.2.4項  製品の監視及び測定
<条項の要旨>
  本項は、8.2.3項と合わせて品質マネジメントの管理業務の基本要素を取り上げており、顧客に引き渡される製品が決められた通りのものであることを確実にする製品管理の要件を規定している。
 
  組織の存続発展に必要として品質方針及び組織の品質目標(5.3項)に決めた狙いの顧客満足を確実に実現させるために、決められた通りの製品(7.1 a)項)だけが顧客に引き渡されるよう、製品の特性に関する情報検知、合否判定、顧客への引渡許可、その責任者、記録に関する手はずを整えなければならず、手はずに則って製品を管理しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 製品の監視及び測定
(1) 製品の監視及び測定
(2) 製品の監視及び測定の方法論
(3) 監視及び測定の対象となる製品
(4) 監視及び測定の用具

2-2. 製品の検証
(1) 製品の検証
(2) 検査と試験
(3) プロセスの実行管理への活用
2-3. 製品の合否判定
(1) 合否判定の活動
(2) 合否判定の方式
(3) 合否判定の記録
(4)最高検査責任者
3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-59>

 58.   8.2.3項  プロセスの監視及び測定
<条項の要旨>
  本項は8.2.4項と合わせて品質マネジメントの管理業務の基本要素を取り上げており、業務が決められた通りに実行され、決められた結果が確実に出るようにする業務実行管理の要件を規定している。
 
  組織の存続発展に必要として品質方針及び組織の品質目標(5.3項)に決めた狙いの顧客満足を確実に実現させるために、品質マネジメントの各業務がそれぞれの狙いの結果を出しているかどうかの業務実行状況を、それぞれ必要で適当な方法で監視測定する手はずを整え、手はずに則って業務実行を監視測定し、問題があれば正さなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. プロセス の監視及び測定(背景及び関連事項)
(1) 業務実行の監視及び測定
(2) プロセスの監視及び測定の目的
(3) プロセスの監視及び測定の方法論
(4) 監視及び測定の対象となる プロセス
3. 規格要求事項の真意
4. プロセスの監視及び測定の実務
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-58>

 57.   8.2.2項  内部監査
<条項の要旨>
  本項は、狙いの顧客満足の実現を図る トップマネジメントによる統制活動としての内部監査の必要を指摘し、内部監査がその狙いに沿って効果的なものであるための計画、実行とその管理に関する要件を規定している。
 
  組織の品質マネジメントに係わる業務が、その業績目標たる組織の品質目標(5.4.1項)の狙いの顧客満足が実現するように、また、その狙いに反することが起きないように、決められた通りに実行されているかどうかを、当該業務と独立した第三者に体系的に調査させる内部監査の活動の手はずを、本項の規定に則って整え、手はずに則って内部監査を定期的に実行しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 監査
(1) 監査の特質
(2) 各種の監査

2-2. 監査の手順
(1) 監査の規範
(2) 監査の目的
(3) 監査目標
(4) 監査要点
(5) リスク アプローチ
(6) 二重責任
(7) 監査の計画
(8) 監査の結論

2-3. 品質マネジメントの内部監査
(1) 品質マネジメントの内部監査の必要性
(2) 品質マネジメントの内部監査の意義
(3) 品質マネジメント の内部監査の手順
(4) 品質マネジメントの内部監査員の能力

3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-57>

 56.   8.2.1項   顧客満足
<条項の要旨>
  本項では、品質マネジメントの実績の尺度としての狙いの顧客満足の達成度を評価し、必要な改善に結びつけるための情報の収集の必要と、その要件を規定している。
 
  組織は、顧客満足に関する業績目標として定めた組織の品質目標(5.4.1項)を確実に達成するように、その実績を管理しなければならない。管理のために必要な情報の収集と、それに基づく組織の品質目標の達成度の評価の手はずを整え、それに則って狙いの顧客満足の確実な達成を管理しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 経営管理の枠組み

(1) マネジメント サイクル
(2) 業績評価
(3) 組織の業績
2-2. 顧客満足
(1) 顧客要求事項
(2) 顧客満足の意義
(3) 品質マネジメントの業績としての顧客満足
(4) 顧客満足の管理
3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-56>

 55.   8.1項    測定, 分析及び改善   一 般
<条項の要旨>
  規格の各章各条項のどの業務も狙いの結果を確実に出すように効果的に行われるためには、規定に明示されているか否かを問わず業務実行を管理する必要がある。 8章は、品質マネジメントに必要な管理業務をその目的や機能で8種類の管理業務として類型化し、それぞれが効果的であるための基本的な要件を定めている。規格のどの業務も本章の類型のいずれか又は複数の管理業務の要件を満たして実行管理しなければならない。
 
  本項は、狙いの顧客満足を確実に実現させる効果的な品質マネジメントであるために必要な業務実行管理の視点を示し、それらの管理業務の手はずを整え、手はずに則ってそれぞれの管理業務を行うべきことを一般的表現で規定している。
 
  効果的な品質マネジメントでは、a)〜c)の観点から経営活動及び日常業務の実行を管理しなければならない。このための管理業務の手順には、必要な統計的手法など科学的な分析手法の適用を含めておかなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 8章について
(1) 管理業務
(2) 8章の意義
(3) 8章の実体
2-2. 測定、分析及び改善
(1) 監視及び測定
(2) 分析
(3) 改 善
3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-55>

 54.   7.6項   監視機器及び測定機器の管理
<条項の要旨>
  本項は、製品の合否判定のための情報を検知する監視測定活動で使用する計測器を含む監視測定用具が、必要な情報検知能力を有し、維持し、そのような監視測定用具が使われることを確実にする管理の必要と、そのための要件を規定している。
 
  組織は、製造及びサービス活動(7.5.1項)の一連の業務の結果の半製品や製品の合否判定を行うために必要な製品の監視測定の方法を決め(7.1 c)項)、それに必要な監視測定用具を用意しなければならない。監視測定用具はそれぞれの監視測定の必要を満たす機能、性能を持つものでなければならず、その機能、性能を維持するよう監視測定用具を管理しなければならない。監視測定用具が計測器である場合は、国際標準の計量確認手法に準拠したa)〜e)の機能、性能の維持管理を行わなければならない。また、不良計測器を用いて製品の合否判定を行ったことが事後に判明した場合は、それに起因する不良品が顧客に引渡され又は使用されないよう適切な処置をとらなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 監視及び測定
(1) 監視測定
(2) 特性
2-2. 監視機器及び測定機器
(1) 監視測定用具
(2) 計測器
2-3. 計量確認
(1) 計量確認
(2) 校正と検証
(3) 校正と調整
(4) 校正と較正
(5) 校正の種々の方式
2-4. 計量標準
(1) 計量標準
(2) 計量 トレーサビリティ
(3) 校正機関の認定制度
3. 規格要求事項の真意
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 53.   7.5.5項  製品の保存
<条項の要旨>
  本項は、所定の仕様と品質の製品をつくり顧客に引渡すことを確実にするためには、その一連の業務の各段階で、それまでの決められた通りの業務結果である製品の状態が損なわれることのないようにする管理が必要であることを指摘し、その要件を規定している。
 
  購買製品の受け入れから製品の顧客への引渡しの完了までの間の業務に関連して半製品、製品の状態が損なわれて不良品となることのないよう、規格が規定する5種の活動が必要に応じて確実に行われるように管理しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 製品の保存 (背景及び関連事項)
3. 規格要求事項の真意
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 52.   7.5.4項  顧客の所有物
<条項の要旨>
  本項では、品質マネジメントに必要な資源が顧客の所有物である場合の、その使用や取り扱いに関する要件を規定している。
 
  支給され又は貸与され又は預かった顧客所有物を紛失、損傷又は使用に適さない状態にして顧客に迷惑や損害を与えることのないよう、顧客所有物を大事に扱わなければならない。組織は顧客所有物の使用や取り扱いの手はずを整え、それに則って管理し、問題が発生すれば顧客に報告しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 顧客所有物の管理 (背景及び関連事項)
(1) 顧客財産の棄損
(2) 論理的根拠
(3) 管理すべき顧客所有物
3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-52>

 51.   7.5.3項  識別及びトレーサビリティ
<条項の要旨>
  本項は、製品実現の業務の効果的実行のために製品及びその適合/不適合が常に見分けられるようにしておく必要、及び、製品実現の経過を遡って追跡できるための要件を規定している。
 
  間違った又は不合格な購買製品、半製品を使用し、間違った又は不合格な製品を顧客に引渡すことのないよう、原料や部品等の購買製品、半製品、製品がそれぞれ何であるかを見分けられるように、また、合格品か不合格品かを見分けられるようにしておかなければならない。製品実現の履歴を事後に遡って追跡する必要がある場合は、特定の製品の履歴を他の製品のそれと識別できるような表現で把握し、記録しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背識別とトレーサビリティ (背景及び関連事項)
(1) 識別
(2) トレーサビリティ
3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-51>

 50.   7.5.2項 製造及びサービス提供に関する妥当性確認
<条項の要旨>
  本項は、製造又はサービス活動の業務(7.5.1項)の内で、その結果の半製品又は製品に問題がないことを引き続く合否判定活動(8.2.4項)で確実にすることができないような業務の実行の管理(7.5.1項)の要件を追加規定している。
 
  組織は、個々の注文又は契約の製品が製品実現の計画(7.1 a)項)で決めた通りの仕様と品質及び付帯仕様であることを確実にするための半製品や製品の合否判定活動(8.2.4項)を行うことができない場合には、それに関連する工程の業務が決められた通りに実行されたことを確実にする管理の活動、つまり、業務実行の有用化の管理を行わなければならない。組織はこのような製造又はサービス活動の業務については、7.5.1項の要件を満たす手はずに加えて、業務実行の有用化の管理のために必要によりa)〜e)項の手はずをも整え、これらに則って業務実行を管理しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 妥当性確認

(1) 用語『妥当性確認』
(2) 有用性の実証
(3) 有用性と有効性
2-2. プロセスの妥当性確認
(1) 工程保証による製品の品質保証
(2) 製品の品質確認としての業務実行有用性判定
(3) 業務実行有用性判定の意義
(4) 用語「業務実行有用性判定」
(5) 特殊工程
3. 規格要求事項の真意
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 49.   7.5.1項  製造及びサービス提供の管理
<条項の要旨>
  本項は、製品実現の計画(7.1 a)項)で決めた仕様と品質及び付帯仕様の製品をつくり、顧客に引き渡すことに直接係わる業務である製造又はサービス活動の業務の管理についての要件を規定している。
 
  組織は、個々の注文又は契約の製品を確実につくり顧客に引き渡す製造又はサービス活動の工程及び工程条件を決め、各工程の業務が決められた通りに実行されるよう業務の実行を管理しなければならない。この業務実行管理においては必要に応じてa)〜f)項の状態で各業務が行われることを確実にしなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 製造及びサービス提供プロセス 
(1) 製造及びサービス提供
(2) 製造及びサービス活動の業務
2-2. 製造及びサービス提供の計画と管理 
(1) 製造及びサービス活動の計画
(2) 製造及びサービス活動の実行管理

3. 規格要求事項の真意
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 48.   7.4.3項   購買製品の検証
<条項の要旨>
 本項は、購買製品が購買情報として供給者に伝達した購買条件を満たしたものであることを確実にするための購買製品の受け入れに関する要件を規定している。
 
  組織は供給者から受け取った購買製品が、規定した購買条件(7.4.2項)を満たしているかどうかの合否判定を行い、合格品のみを受け入れることでなければならない。合否判定の方法は、組織による受入検査の他、購買製品の管理の方式と程度(7.4.1項)に応じた実行可能で効果的な方法でなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 購買製品の検証
(1) 検証
(2) 購買製品の品質確認としての適合性判定
2-2. 購買製品の合否判定方法
(1) 受入検査
(2) 業務委託現場での検査
(3) 無検査で受入れ
(4) 無条件で受入れ
3. 規格要求事項の真意
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 47.   7.4.2項  購買情報
<条項の要旨>
 本項は、購買製品が組織の必要を満たすものであることを確実にするために、購買情報として供給者に伝達にすべき購買条件に関する要件を規定している。
 
  組織は、購買製品に関して供給者が満たすことを必要とするすべての必要条件を明確にし、購買条件として購買情報の形で供給者に伝達しなければならない。組織の必要を残らず含む購買情報であるためには、a)〜c)の観点から購買製品に関する組織の必要を考慮しなければならない。購買情報には抜けがないことを確実にしなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 購買情報 (背景及び関連事項)
3. 規格要求事項の真意
4. 購買情報の実務
 
(1) 購買情報の承認
 (2) 購買情報の伝達
(3) 購買文書の管理
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 46.   7.4.1項  購買プロセス
<条項の要旨>
  7.4項は全体として、購買条件を満たす購買製品を確実に受取ることを図る購買管理の必要とそれぞれの購買管理業務の要件が規定されている。本項では購買製品が購買条件を確実に満たすための購買製品と供給者の管理の要件が規定されている。
 
  製品実現の計画(7.1項)で定めた製品仕様と品質及び付帯仕様の製品を実現し顧客に引き渡すためには、購買製品が製品実現の計画の通りの仕様でありその他の必要条件を満たしたものであることが必要である。組織はこれを確実にするために、受入れる購買製品が購買条件(7.4.2項)を満たすよう管理しなければならない。加えて、供給者が購買条件を確実に満たす業務管理能力を持っていることを確実にするよう、供給者を選定し、業務管理能力を監視し、管理しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 購 買
 (1) 購買
 (2) 購買と外注
 (3) 下請負契約
 (4) アウトソース

 (5) 供給網(サプライチェーン)
2-2. 購買管理
3. 規格要求事項の真意
4. 購買管理の実務
 (1) 購買管理の対象
 (2) 購買製品の管理の方式
 (3) 特殊な供給者に対する評価
 (4) 供給者の評価方法と基準
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 45.   7.3.7項  設計・開発の変更管理
<条項の要旨>
 本項は、設計開発目標(7.3.2項)の又は既存の製品の仕様或いは機能や性能(7.1 a)項)の変更の必要性と変更内容が、顧客のニーズと期待に適う製品という観点で適切であることを確実にするための要件を規定している。
 
  設計開発の途中、又は、製品実現活動の開始後に製品の仕様或いは機能や性能の変更の必要が生じた場合は、その必要性と内容の適切性について、及び、製品を構成する部品や顧客で使用又は適用中の製品に対する必要な処置について、評価、検討して、責任者による承認の後に、必要な変更を行わなければならない。
 
  組織は、設計開発活動を管理する手はずの中に、設計開発製品に係わる変更を明確にし、必要性と内容の適切性を評価し検討する手はずを含めておかなければならず、必要に応じて手順に則って必要な設計開発目標又は既存製品の仕様或いは機能や性能の変更を決めなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 設計・開発の変更管理 (背景及び関連事項)
 (1) 設計開発活動に関連する変更
   @ 設計開発活動中の設計開発目標の変更
   A 設計開発活動後の製品仕様の変更
 (2) 設計管理要素としての設計変更管理

3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-45>

 44.   7.3.6項  設計開発の妥当性確認
<条項の要旨>
 本項は、『設計開発の妥当性確認』が、設計開発活動の結果(7.3.3項)の製品が顧客に実際に使用された時に顧客の想いの通りに機能し性能を発揮することを確実にする活動であることを明確にし、その在り方に関する要件を規定している。
 
  組織は、設計開発の実行計画(7.3.1項)に定めた段階と方法で、設計開発結果の製品が顧客の実際の使用環境や条件で機能し性能を発揮し、或いは、顧客の予期しない問題を起こす可能性がないかどうかを評価する『設計・開発の妥当性確認』、つまり、顧客のニーズと期待を満たす製品を設計開発するという目的に照らしての有用性の判定を行わなければならない。有用性判定活動で問題が見つかった場合は必要な処置をとって問題を正し、設計開発結果の製品が顧客のニーズと期待を満たして使用されることを確実にすること、すなわち、設計開発結果を有用化しなければならない。
 
  組織は、設計開発活動を管理する手はずの中に設計開発活動の有用性判定を行い、設計開発結果を有用化する手順を含めておかなければならず、設計開発活動の実行計画に従って手順の通りにこれを実行しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 設計・開発の妥当性確認 (背景及び関連事項)
 (1) 妥当性確認
   @ 有用性の判定
   A 有用化
 (2) 適合性判定と有用性判定
 (3) 設計管理要素としての有用性判定
   @ 機械設計の有用性判定
   A ソフトウェア設計の有用性判定
 (4) 設計開発結果の品質確認としての有用性判定

3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-44>

 43.   7.3.5項  設計・開発の検証
<条項の要旨>
  本項は、『設計開発の検証』が、設計開発活動の結果(7.3.3項)が設計開発目標(7.3.2項)を満たしたものであることを確実にする「適合性判定」活動であることを明確にし、その在り方としての要件を規定している。
 
  組織は、設計開発活動が必要な結果を所定の期限までに確実に出すことができるよう、設計開発の実行計画(7.3.1項)に定めた通りの段階で『設計・開発の検証』、つまり、設計開発目標(7.3.2項)を合否判定基準として設計開発の結果の合否を判定しなければならない。この合否判定で問題が見つかった場合は必要な処置をとって問題を正し、すべての目標を満たした設計開発結果とすること、すなわち、設計開発結果を適合化しなければならない。
 
  組織は、設計開発活動を管理する手はずの中に設計開発結果の適合性判定を行い、設計開発結果を適合化する手順を含めておかなければならず、設計開発活動の実行計画に従って手順の通りにこれを実行しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 設計・開発の検証 (背景及び関連事項)
 (1) 検証
   @ 適合性判定
   A 適合化
 (2) 設計開発結果の品質確認としての適合性判定

3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-43>

 42.   7.3.4項  設計・開発のレビュー
<条項の要旨>
 本項は、『設計・開発の レビュー』 が、設計開発活動が必要な結果を出すように設計開発活動を方向づける活動であることを明確にし、その在り方としての要件を規定している。
 
  組織は、設計開発活動が必要な結果を所定の期限までに確実に出すことができるよう、設計開発の実行計画(7.3.1項)に定めた通りの段階で設計開発活動をそのまま計画の通りに進めてもよいかどうかを評価する『設計・開発のレビュー』活動、つまり、デザイン・レビュー を行って、設計開発活動を適切に方向づけなければならない。この活動には、その設計開発段階に関連する各部門の代表者が参画し、問題が体系的に検討され適切な判断が下されるような評価が行われなければならない。
 
  組織は、設計開発活動を管理する手はずの中に設計開発活動の方向づけのための デザイン・レビュー の手順を含めておかなければならず、設計開発活動の実行計画に従って手順の通りにこれを実行しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 設計・開発の レビュー (背景及び関連事項)
 (1) 設計開発活動の方向づけ
(2) デザインレビュー(設計審査)
3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-42>

 41.   7.3.3項  設計・開発からのアウトプット
<条項の要旨>
  本項は、設計開発の結果に関する要件及び設計開発結果の取扱いに関する要件を規定している。
 
  設計開発の結果は設計開発活動の目標(7.3.2項)を満たしているだけでなく、b)〜d)項をも含んでいなければならない。組織は、設計開発活動の結果を評価(7.3.4〜7.3.6項)し、問題のないこと確実にした後に、内容を正式に確定しなければならない。設計開発活動の結果は、これらの評価、判断ができるような情報として表されていなければならない。
 
  組織は設計開発活動を管理する手はずの中に、設計開発の結果をどのように表すのかを決めておかなければならず、個々の契約又は注文の設計開発の結果をこれに則って表し、必要な評価の後に内容を確定しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 設計・開発への アウトプット (背景及び関連事項)
 (1) 設計開発の結果
 (2) 設計開発結果の確定
3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-41>

 40.   7.3.2項  設計開発へのインプット
<条項の要旨>
  本項は、設計開発活動によって決めた製品の仕様が顧客のニーズと期待を満たしたものであることを確実にするように、設計開発の目標を決めるための要件を規定している。
 
  組織は、製品要求事項(7.2.1項)から設計開発の結果の製品に必要な具体的な機能や性能を含む製品が満たすべき必要条件、つまり、設計開発の目標を的確に決めなければならない。このために組織は、それらの必要条件をa)〜d)項に規定される観点から検討し、抜けなく適切に決めなければならない。この決定は『設計・開発のレビュー』(7.3.4項)を経なければならない。この『レビュー』と決定した設計開発の目標は文書化し、記録として設計開発活動で参照できるよう維持しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 設計・開発への インプット (背景及び関連事項)

 (1) 設計開発条件
 (2) 設計開発条件の決定
  @ 設計開発の目標
   A 設計基準
3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-40>

 39.   7.3.1項  設計・開発の計画
<条項の要旨>
 7.3項は、顧客のニーズと期待、ないし、製品に関する必要条件(7.2.1項)を製品の具体的な製品仕様と品質及び付帯仕様として決定する活動である設計開発活動が、所定の設計開発結果を間違いなく所定の期間や予算で達成できるように設計開発活動を管理する必要とその要件を規定している。本項では、設計開発活動の効果的な実行管理の基礎として、設計開発の計画を策定する必要、及び、その要件を規定している。
 
  設計開発活動は、必要な設計開発結果を所定の期限までに確実に出すことができるような実行計画の下で行わなければならない。この実行計画では、目標、手段、日程、責任者、及び、進捗管理の方法を明確にし、それぞれの業務実行の手順を決め、必要な資源を割当て使用できるようにしなければならない。設計開発活動は、この定められた手はずに則って実行し、活動の進行により目標の達成のために必要が生じれば手はずを変更しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 設計・開発
 (1) 設計開発
 (2) 特性
 (3) 設計と開発

2-2. 設計管理
 (1) 設計管理の意義
 (2) 設計管理の方法論
 (3) 規格の設計管理論
2-3. 7.3項の適用除外
 (1) 成約又は受注した製品に対する設計開発
 (2) 新商品企画における設計開発
 (3) プロセスの設計開発

3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-39>

 38.   7.2.3項  顧客コミュニケーション
<条項の要旨>
  本項では製品への顧客満足を確実にするために、顧客の意向を受けとめ、必要な情報を顧客に伝える情報交換の活動の必要、及び、情報交換活動を行うべき3つの分野を規定している。
 
  組織が製品に対する顧客ニーズと期待を把握し、そのニーズと期待を満たして製品が使用されることを確実にするために、組織は顧客の意向を把握し、これに対応する情報交換の活動の手はずが整え、必要に応じて手はずに則ってそれぞれの顧客との接点業務を行わなければならない。情報交換活動の手はずの中には、顧客の製品に対する受けとめ方にとりわけ大きな影響を及ぼすa)〜c)項の接点業務の手はずを含めなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 顧客との コミュニケーション (背景及び関連事項)
 (1) 製品に関する情報交換
 (2) 顧客満足
 (3) 製品

3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-38>

 37.   7.2.2項  製品に関連する要求事項のレビュー
<条項の要旨>
 本項は、成約又は受注した個々の製品について、顧客の想い、意向を正しく受けとめるための要件を規定している。
 
  組織は、顧客との取引において製品に関する顧客の意向を誤って受け取り、顧客の想いと異なる製品を引き渡すことのないようにしなければならない。組織は、個々の製品の成約又は受注する際に、顧客の想いを満たすための「製品に関する必要条件」、つまり、製品仕様と品質及び付帯仕様に関する必要条件を正しく、抜けなく、錯誤なく把握する手はずを整え、この手はずに則って顧客の意向を把握し、顧客と合意しなければならない。この手はずには、顧客の意思表示の「製品に関する必要条件」が正しいことを確認する手順、これを顧客と合意する手順、及び、以後の顧客の意思表示の変更に対応する手順を含んでいることが必要である。

<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 製品に関連する要求事項のレビュー (背景及び関連事項)
 (1) 契約内容の確認
 (2) 契約内容
 (3) 顧客の意向把握の錯誤

3. 規格要求事項の真意
4. 製品要求事項の把握の実務
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-37>

 36.   7.2.1項  製品に関連する要求事項の明確化
<条項の要旨>
  本項は、成約又は受注した製品について、組織の狙いの顧客満足を間違いなく実現するよう、満たすべき顧客のニーズと期待を製品に関する必要条件として展開するために必要な観点を規定している。
 
  組織が事業の維持発展に必要な顧客満足を確実に実現させるためには、成約又は受注した個々の製品に対する顧客のニーズと期待を把握し、どのように満たすべきかを「製品に関する必要条件」として決めなければならない。これは実務的には製品仕様と品質及び付帯仕様がどうあるべきかの必要条件であり、これらを狙いの顧客満足が実現するよう適切に決めるためには、製品に関する顧客のニーズと期待をa)〜c)項に規定される観点から評価することが必要である。更に、この製品に関する必要条件が組織の維持発展に真に効果的であるためには、組織にとっての必要条件としてのd)項をも考慮することが必要である。
 
  組織は品質マネジメント システムの計画 (5.4.2項)の一環として、成約又は受注した個々の製品が満たすべき顧客のニーズと期待を評価して「製品に関する必要条件」として展開し決定する手はずを整え、この手はずに則って個々の契約又は受注に対して「製品に関する必要条件」を決定しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 製品要求事項
 (1) 顧客要求事項
 (2) 製品に関する必要条件
 (3) 特性

2-2. 顧客満足
 (1) 顧客満足の意義
 (2) 94年版の顧客満足
 (3) 00年版の顧客満足

3.規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-36>

 35.   7.1項  製品実現の計画
<条項の要旨>
   7章では、製品を作り或いは実現し、顧客に引き渡すのに直接関係する業務を取り上げ、製品が事業の維持発展に必要な顧客満足の実現に資するものであることを確実にするようにそれらの業務を行うための要件が規定されている。
 
  本項は、個々の契約又は注文に対して、製品仕様と品質を決め、これを創り或いは実現させ顧客に引き渡すことに関係する業務の方法を決める活動、つまり、『製品実現の計画』活動の必要を指摘し、その要件を規定している。
 
  顧客満足の追求により事業の維持発展を図る組織では、顧客に引き渡す製品は狙いの顧客満足の実現に確実に沿う製品仕様と品質でなければならない。組織は、個々の契約又は注文に対して、そのような製品であることを確実にするように製品仕様と品質を決め、その製品仕様と品質を持った製品を確実に創り出し顧客に引き渡すことのできるように「製品実現関連業務」の方法や条件を決めなければならない。この方法や条件とは、実行すべき業務とその順序や相互関係、及び、その手順と適用する資源、或いは、使用設備を含む各業務の実行の方法や基準等を指す。
 
  組織は、品質マネジメントシステムの計画活動(5.4.2項)の一貫として、この『製品実現の計画』活動をどのように行うかの手はずを確立し、この手はずに則って個々の契約又は注文に対して『製品実現の計画』活動を行わなければならない。決めた通りに業務を行った場合に狙いの顧客満足の実現に資する製品を確実に創り出し顧客に引き渡すことができる効果的な『製品実現の計画』活動であるためには、a)〜d)項について必要な事項を決めなければならない。『製品実現の計画』活動には、業種業態に応じて様々な態様があり得る。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1 製 品
 (1) プロセス の結果
 (2) 製品の類型

2-2. 製品実現のプロセス
 (1) 製品実現プロセス群
 (2) 製品実現関連業務

2-3. 製品実現の計画
 (1) 計画活動
 (2) 製品実現の計画活動
 (3) 製品の品質目標
 (4) 品質計画書

2-4.製品タ現の計画活動の手はず
3. 規格要求事項の真意
4. 製品実現の実務
 (1) 日常業務
 (2) 日常管理
(3) 管理の縦串と横串
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-35>

 34.   6.4項  作業環境
<条項の要旨>
  本項は、品質マネジメントの業務の効果的な実行を図り、狙いの顧客満足の実現のために必要な作業環境を整備し、業務がその作業環境の下で行われるようにする作業環境マネジメントの要件を規定している。
 
  組織は必要な作業環境を特定し、整備し、維持し、その下で要員が業務を行うようにする手はずを整え、手はずに則って所定の作業環境の下で要員が業務を行うことを確実にするよう作業環境を管理しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1 作業環境

 (1) 作業環境
 (2) 作業環境 マネジメント

2-2 企業文化
 (1) 経営資源としての作業環境
 (2) 人間尊重の組織文化

3. 規格要求事項の真意
4. 作業環境マネジメントの実務
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-34>

 33.   6.3項  インフラストラクチャー
<条項の要旨>
  本項は、品質マネジメントの業務の効果的な実行を図るために、必要な物的資源を常に利用できるようしておく物的資源マネジメントの要件を規定している。
 
  組織は品質マネジメントに必要な物的資源を特定し、必要な機能を発揮させて使用できるようにする手はずを整え、手はずに則って必要な物的資源を投入し、必要に応じて使用できるようその機能と性能を維持しなければならず、また、各業務に所定の物的資源が確実に使用されるよう管理しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. インフラストラクチャー (背景及び関連)
 (1) 物的資源
 (2) 物的資源の マネジメント
3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-33>

 32.   6.2.2項  力量、教育・訓練及び認識
<条項の要旨>
  本項では、品質マネジメントの業務の効果的な実行を図るために、必要な人的資源を間違いなく用意する人的資源マネジメントの要件を規定している。
 
  組織は品質マネジメントの各業務に、定められた手はずに則って実行し所定の結果を確実に出すことができる職務能力を持つ要員を割当てることが必要である(6.2.1項)。このために、必要な職務能力を組織内に維持し、日々の業務をそれぞれの職務能力を有する要員に行わせるよう、職務能力の充足と配置を管理しなければならない。組織は将来にわたって必要となる又は不足する職務能力を常に把握し、時宜を得て充足しなければならない。また、要員のやる気の醸成の手段のひとつとして要員の職責意識の涵養に努めなければならない。個々の要員の持つ職務能力を把握するのに必要となる学歴、組織内教育訓練歴、専門能力、職歴の記録を維持しなければならない。
 
  組織は、品質マネジメントシステムの計画の一環として、職務能力の観点からの要員の充足を管理する手はずを整え、これに則って日々の業務に必要な職務能力を持った要員を配置しなければならない。また、要員の職務の認識を確実するための要員への働きかけを各階層の部門の管理者の職務として明確に規定しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1. 人的資源マネジメント
2-2. 認識
 (1) 職務の認識
 (2) やる気
 (3) やる気の醸成の方法論

2-3. ISO9001規格への"認識"の導入
 (1) 人間尊重の経営の品質保証規格への採り入れ
(2) 日本的経営
 (3) 人間尊重の経営
 (4) 人間尊重の経営の実際の効用(米国の事例)

3. 規格要求事項の真意
4. 人的資源マネジメントの実務
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-32>

31.   6.2.1項  人的資源  一般
<条項の要旨>
1.要 旨
  本項では、経営資源のひとつである人的資源に関する基本的な要件を規定している。
 
  品質マネジメントの業務の効果的実行を確実にするには、人的資源を整えることが必要である。人的資源としての要員は、員数を揃えればよいのではなく、委ねる業務を手順に則って実行し所定の結果を確実に出す職務能力を持つ要員でなければならない。必要な職務能力がどのようなものか、要員がその職務能力を持つかどうかは、要員の学校教育歴、組織内教育訓練歴、職業上の専門能力、職歴によって表し、また、判断すればよい。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 力量
 (1) 職務能力
 (2) 職務能力の意義
 (3) 規格の意図の職務能力の特質

 (4) 職務能力と教育訓練
 (5) 資格認定
3. 規格要求事項の真意
4. 職務能力の管理の実務
 (1) 職務能力
 (2) 採用
 (3) 資格、免許
 (4) 管理者の職務能力
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-31>

 30.   6.1項  資源の提供
<条項の要旨>
 本項は、効果的な品質マネジメントのためには必要な経営資源が確実に使用できる状態を維持するための資源マネジメントが必要であることを明確にし、すべて資源に共通の資源マネジメントの基本的な要件を規定している。
 
  組織は品質マネジメントに必要な資源を特定し、必要に応じて所定の機能を発揮させて使用できるようにする手はずを整え、手はずに則って必要な資源の投入と機能発揮を管理しなければならない。資源の内、すべての業務に必要となる人的資源、物的資源、作業環境に限って6.2〜6.4項にそれぞれの個別の資源マネジメントの要件を規定している。他の資源ついては、本項に基本的な要件が規定されている他、それぞれの資源を使用する業務の実行の要件の中にそれらの資源マネジメントの要件が含まれている。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1.資源
 (1) 経営資源
 (2) 規格の意図の資源
 (3) プロセスと資源

 (4) 品質マネジメント システムの計画と資源
2-2.資源の運用管理
 (1) 資源マネジメント
 (2) 品質マネジメントと資源マネジメントの関係

3. 規格要求事項の真意
4. 資源マネジメント の実務
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-30>

 29.   5.6.3項  マネジメント レビューからのアウトプット
<条項の要旨>
  本項は、本項は、効果的なマネジメント レビュー であるために、トップマネジメントが下すべき結論に関する要件を規定している。
 
  マネジメント レビュー の結論は、a)〜c)項に関するトップマネジメントの経営判断ととるべき経営施策を含んだものでなければならない。また、結論は品質方針、目標(5.6.3項)の必要な変更に触れることが必要である。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
(1)プロセスとしてのマネジメント レビュー
(2)マネジメントレビューの結論

3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-29>

 28.   5.6.2項  マネジメント レビューへのインプット
<条項の要旨>
  本項は、効果的なマネジメント レビュー であるために評価することが必要な事項を規定している。トップマネジメントが評価することが必要な、品質マネジメントの実績と実体及び狙いの顧客満足に関連する外部環境の変化に係わる事項を規定している。
 
  マネジメント レビュー によって事業が継続して存続発展するため取組むべき経営課題を抽出し、必要な経営施策を正しく決めるためには、品質マネジメントの業務の実績とその結果から判断される業務能力の実体、及び、変化する事業環境を表す少なくともa)〜g)に関して評価、検討を行なわなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
(1)プロセスとしてのマネジメント レビュー
(2)マネジメントレビューで評価する情報
3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-28>

 27.   5.6.1項  マネジメント レビュー  一般
<条項の要旨>
  本項では、トップマネジメントが一定期間毎に品質マネジメントの実績と実態を体系的、総合的に評価し、問題を検出して、品質方針、目標(5.3項)の変更を含む必要な経営管理上の取組みを決めることの必要を規定している。
 
  トップマネジメントは、品質マネジメントのサイクルに合わせて、狙いの顧客満足の実現の程度と生じた問題、及び、その原因を体系的に総合的に見直し、検討しなければならない。その上で変化する事業環境と合わせて、事業の継続的な維持発展のために次の品質マネジメントのサイクル以降で取組むべき課題を抽出し、必要により品質方針、目標(5.3項)を変更しなければならない。
 
 組織は品質マネジメントシステムの計画 (5.4.2項)の一環として、実績の評価と問題の抽出(5.6.2項)、及び、必要な問題対応の方向づけ及び処置の決定(5.6.3項)を含む品質マネジメントのマネジメントレビューの手はずを整え、手はずに則ってマネジメントレビューを行わなければならない。
  
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1 経営管理の枠組み
(1) マネジメントサイクル
(2) 経営戦略の見直しと変更

2-2.マネジメント レビュー
 (1) 経営管理の定期総合業績評価
 (2) 品質マネジメントの期末業績評価
2-3. マネジメント レビューの特質
 (1) 品質マネジメントの実績管理
 (2) 品質マネジメントシステムの継続的改善
 (3) 非日常的活動
3. 規格要求事項の真意
4. 品質マネジメントのマネジメント レビューの実務
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-17>

 26.   5.5.3項  内部コニュニケーション
<条項の要旨>
  本項では、品質マネジメントの業務の実行と結果に関する必要な情報が組織内で確実に伝達され或いは交換される手はずの必要と、そのことに関するトップマネジメントの管理責任が規定されている。
 
  品質マネジメントの業務は多数の人々によって分担されており、定められた顧客満足の実現には人々が連携してそれぞれの業務を行なうことが必要である。人々が協働し、個々の業務が連携して効果的に行なわれるには、人々、業務間、工程間、部門間、階層間、及び、それら内部において業務実行と結果についての情報交換が確実に行なわれることが不可欠である。トップマネジメントは、必要な情報交換の手はずが確立し、それに基づいて情報交換が確実に行なわれているよう管理しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. コミュニケーション

 (1) 情報交換
 (2) 情報交換活動

3. 規格要求事項の真意
4. 情報交換の実務
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 25.   5.5.2項  管理責任者
<条項の要旨>
 本項では、トップマネジメントが品質マネジメントの代行者を指名すべきこと、及び、その代行者の責任権限が規定されている。
 
  経営全般を担う多忙なトップマネジメントは、事業維持発展に必要な顧客満足を確実に実現するために、日常的な品質マネジメントを自身に代わって遂行する「品質マネジメント代行者」を指名しなければならない。「品質マネジメント代行者」は、品質マネジメントの日常業務が手はずの通りに実行され、所定の結果を出すように指揮、管理する。更に、狙いの顧客満足の実現を図るという観点から重要な事項や異常や問題をトップマネジメントに報告し、必要な処置についての判断や指示を仰ぐ。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 管理責任者

 (1) 品質マネジメント代行者
 (2) 必要性

3. 規格要求事項の真意
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 24.   5.5.1項  責任及び権限
1. 要旨
  本項では、品質マネジメントの各業務が定められた手はず(5.4.2項)に則って効果的に実行されるよう、各業務の実行の責任と権限が、抜けなく明確に各要員に割り当てられていることの必要と、そのことに関するトップマネジメントの管理の責任が規定されている。
 
  一定規模以上の組織の品質マネジメントは、トップマネジメントの統率の下で多数の管理者の協働で行われる。品質マネジメントが効果的に行なわれるためには、必要な管理業務のすべてが各管理者に抜けなく明瞭な形で割り当てられていなければならない。更に、各管理者は自部門の要員の業務分担を明確にし、理解させなければならない。トップマネジメントは、品質マネジメントに必要な業務が抜けなく効果的に実行されるよう、各要員の責任と権限の範囲を明確にする手はずとその履行を管理しなければならない。トップマネジメントは、すべての要員の責任権限の範囲が明確にされ、理解されて業務が行われるよう管理しなければならない。
 
2. 責任及び権限
3. 規格要求事項の真意
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 23.   5.4.2項  品質マネジメントシステムの計画
1. 要旨
  本項では、必要な顧客満足についての組織の品質目標、及び、それを展開した品質マネジメントの各業務の狙いの結果たる品質目標(5.4.1項)が確実に達成されるような業務実行の手はずの在り方の要件、及び、これを満たすことを確実にするトップマネジメントの責任が規定されている。
 
  組織が事業の維持発展に必要な顧客満足の実現を図るには、品質マネジメントの各業務及び全体で、それぞれの品質目標(5.4.1項)たる狙いの業務結果を確実に出すことができるように業務実行の手はずが整えることが必要である。狙いの顧客満足を品質方針及び組織の品質目標(5.3項)として定めた トップマネジメントは、これが確実に実現するように組織の業務が行われるよう、業務実行の手はずの在り方を管理しなければならない。業務実行の手はずはa)を満たさなければならず、また、b)のように手はずの変更を管理し、変更による混乱で顧客満足に齟齬をきたすことのないようにしなければならない。
 
2.背景及び関連事項
2-1.経営管理の枠組み

 (1) マネジメントサイクル
 (2) 経営計画

2-2. 品質マネジメントシステムの計画
 (1) 品質マネジメントシステム計画活動
 (2) 品質マネジメントシステムの計画の様々な性格

2-3. 品質マネジメントシステムの有効性
3.規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-23>

 22.   5.4.1項  品質目標
<条項の要旨>
 本項では、経営目標としての品質目標が確実に達成できるように関連する業務を管理する方法、及び、そのような管理に対するトップマネジメントの責任が規定されている。
  
 組織の品質目標は品質方針の実現のための特定時点の到達点を表し、実務的には特定期間の顧客満足に関する業績目標である。これは、品質マネジメントの関連する業務の実行目標としての品質目標に展開され、それらの達成の総合結果として達成される。トップマネジメントは、業績目標たる品質目標をその達成に必要な品質マネジメントの業務とその狙いの結果つまり業務目標たる品質目標に展開してそれら業務実行を管理しなければならない。これら業務目標の達成によって業績目標が確実に達成されるためには、これら管理すべき業務と業務目標が関連する経営機能上及び管理の観点で適切に決められなければならない。

<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1 経営管理の枠組み
(1) マネジメント サイクル
(2) 経営目標
2-2 品質目標
(1) 顧客満足追求に関する経営目標
(2) 品質目標の設定、見直し
(3) 品質目標の文書化
3. 規格要求事項の真意
4. 品質目標の実務
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-22>

 20.   5.3項  品質方針
<条項の要旨>
 本項では、5.1 b)項でトップマネジメントが設定すべきことが規定された品質方針に関する要件がa)〜e)項に分けて規定されている。この内 a)〜c)項は、品質方針がどのようなものでなければならないのかの内容、d)、e)項は設定した品質方針の取扱いに、それぞれ関する。
   
 トップマネジメントは、組織の事業の維持発展のためにどのような顧客満足の実現を図るべきかを、その特定時点の到達点の顧客満足の姿と合わせて品質方針又は品質方針及び組織の品質目標として定め、情勢の変化に対応して見直さなければならない。品質方針の内容は、これを実現するよう各部門、階層で業務目標としての品質目標(5.4.1項)が設定できる程度に明瞭で具体的に表現されて、文書に記述されていなければならない。品質方針はまた、業務実行に係わる規範や指針として各要員にそれぞれ必要な程度に理解されなければならない。
   
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1 経営管理の枠組み
(1) マネジメントサイクル
(2) 経営理念
(3) 経営方針
2-2 品質方針
(1) 顧客満足追及に関する経営方針
(2) 継続的改善の指標
(3) 品質方針の文書化
3. 規格要求事項の真意
4. 品質方針の実務
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 19.   5.2項  顧客重視
<条項の要旨>
  本項では、製品に対する顧客満足の追求により事業の存続発展を図る品質マネジメントの日常業務の実行に関して、トップマネジメントが自身で行なわなければならない管理のひとつが規定されている。
 
  トップマネジメントは必要な顧客満足の実現に向けて組織を方向づける(5.3項)だけでなく、その実現を図らなければならない。トップマネジメントは、受注又は契約から製品をつくり、顧客に引渡すまでの日常業務の実行管理に関して、製品に対する顧客のニーズと期待の把握(7.2.1項)、及び、製品に対する顧客の受けとめ方の監視測定(8.2.1項)の両日常業務が品質マネジメントの業績目標の狙いの顧客満足が実現するよう所定通りに実行されるように管理しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1 顧客満足
(1) 顧客要求事項
(2) 顧客満足の意義
(3) 品質保証と顧客満足
2-2 顧客重視
(1) 顧客本位経営
(2) 品質マネジメントと顧客満足
(3) 顧客満足の追求
3. 規格要求事項の真意
このページの先頭へ 本文はこちら<sub35-02-19>

 18.   5.1項  経営者のコミットメント
<条項の要旨>
  5章では、経営責任という標題の下にトップマネジメント の責任を記述する形で、7章の品質マネジメントの日常的業務とは異なる経営管理(マネジメント)の周期のPDCA/プロセスアプローチ サイクルで行なわれる品質マネジメントの業務が取り上げられている。本項では、トップマネジメントの職務責任としての品質マネジメントへの取組みに関する要件が規定されている。
 
  組織が顧客満足向上を通じて事業の維持発展を図るためには、トップマネジメントはその職を賭してISO9001規格に則って品質マネジメントを行なわなければならない。トップマネジメントは、そのような経営責任を遂行するため、及び、遂行にかける不退転の決意の証として、a)〜e)項を実行しなければならない。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 経営者の責任  (背景及び関連事項)
(1) トップマネジメント
(2) 経営責任
(3) 経営公約
(4) 品質マネジメントの各業務に対するトップマネジメントの責任
3. 規格要求事項の真意
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 17.   4.2.4項  記録の管理
<条項の要旨>
 本項は、品質マネジメントに必要な記録文書の範囲を明確にし、その管理の要件を規定している。
  規格では記録は業務実行と結果を表す文書であり、使用する人が必要な時に使用できるようになっていなければならない。このために記録文書は、不鮮明になったり色あせたり変質などさせてはならず、何の記録であるかが難なくわかり、必要な迅速さで取り出すことが出来る状態で必要な期間保管しなければならない。記録文書をこの状態で保管するために組織は、組織は品質マネジメントシステムの計画 (5.4.2記録文書項)の一環として、本項の要件を満たす記録文書管理の手はずを確立し、文書化し、この文書に規定された手はずに則って記録文書を管理しなければならない。対象となる記録文書は、該当条文に註釈『4.2.1参照』が付されている。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 背景 及び 関連事項
2-1 記録
(1) 記録文書
(2) 記録の意義
2-2 記録文書の管理
3. 規格要求事項の真意
4. 記録管理の実務
(1) 記録文書の保管
(2) 記録文書の機密保持、非常持出し
(3) 情報ネットワーク上の記録の管理
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 16.   4.2.3項  文書管理
<条項の要旨>
  本項は、品質マネジメントに使用する文書を管理することが必要であることを明確にし、業務実行に使用する文書の管理の要件を規定している。業務実行実績及び結果を表す文書である記録については、4.2.4項に管理の要件が規定されている。
 
  品質マネジメントの業務を効果的に実行するために使用する文書は、文書の内容が適切で正しくなければならず、必要な人が、必要な時に、必要な場所で、必要な文書が利用できるようになっていなければならない。文書を常にこの状態に置くために組織は、組織は品質マネジメントシステムの計画 (5.4.2項)の一環として、a)〜g)項を含む文書管理の手はずを確立し、文書化し、文書に規定された手はずに則って文書を管理しなければならない。対象となる文書は4.2.1項で品質マネジメントに必要と規定されている文書であり、この内の業務実行に使用する文書である。
 
<解説本文 目次>
1. 要旨
2. 文書管理  (背景 及び 関連事項)
(1) 業務の実行に使用する文書
(2) 文書管理の目的
3. 規格要求事項の真意
4. 文書管理の実務
(1) 文書管理の観点
(2) 情報ネットワーク上の文書の管理
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 15.   4.2.2項  品質マニュアル
1. 要旨
  本4.2.2項では、品質マニュアルを作成し、維持することの必要と、その内容についての要件を規定している。
 
  品質マニュアルは組織の品質マネジメントの業務体系がどのようなものかを表す業務要覧である。品質マニュアルが作成の目的に適う適切な業務要覧であるためには、品質マネジメントの対象の事業と製品を明確にし、品質マネジメントに関係する各業務の手はずと業務間を関係づける手はずとを概括することが必要である。このことがa)〜c)項の3つの要件として規定されている。組織は、a)〜c)項を満たす品質マニュアルを作成し、維持しなければならない。
 
2.品質マネジメント  (背景及び関連事項)
 (1) 品質マネジメント業務要覧
 (2) 品質マニュアルの意義
 (3) 品質マニュアルの様式
3. 規格要求事項の真意
4. 品質マニュアルの実務
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 14.   4.2.1項 文書化要求事項  一般
1. 要旨
  本項は、4.1項に規定される規格の品質マネジメントの実行の基本要件のひとつである『品質マネジメントシステムの文書化』に関する要件を規定している。
  
 品質マネジメントの業務を効果的に実行するためには、資源の適用方法を含む業務実行の手順を文書に表し、文書を使用又は参照して業務を行い、実績を文書に表し、保持することが必要である。組織は品質マネジメントシステムの計画 (5.4.2項)の一環として、a)〜d)項に照らして必要な文書を作成し、それら文書に規定された手順に従って、或いは、文書を使用して業務を行わなければならない。
 
2.背景及び関連事項
2-1.文書化の意義
 (1) 文書
 (2) 文書化の意義
 (3) 文書化の範囲
2-2.規格に現れる文書
 (1) 文書と記録
 (2) 文書化された手順
 (3) 文書体系
 (4) 品質マネジメントシステムの文書類
3. 規格要求事項の真意
4. 文書化の実務
 (1) 組織の経営管理(マネジメント)の文書
 (2) 文書体系
 (3) 文書化のあり方 

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 13.   4.1項 一般要求事項
1.要旨
  規格は事業の維持発展のために必要な顧客満足を追求する効果的な品質マネジメントの規範であり、本項はその品質マネジメント活動のあるべき姿を、品質マネジメントの実行と管理の要件として総合的に規定している。そして、次項以下の各条項で、品質マネジメントのそれぞれの業務のあるべき姿を、その実行と管理のそれぞれの固有の要件として規定している。
 
  事業の維持発展のために顧客満足の向上を目指さんとする組織、又は、現に顧客満足の製品を一貫して供給する能力を有することを証明せんとする組織は、この規格が定める要件を満たして品質マネジメントを行なわなければならない。規格が規定する品質マネジメントは、トップマネジメントにより明確にされた狙いの顧客満足の実現に向けて、関連するすべての業務が人々の協働により実行されるという体系的で組織的な活動である。組織は、a)〜f)項に規定されるように、顧客満足の追求に必要な業務を特定し、それぞれの業務が相互に連携して実行されるよう、それぞれの業務の実行の手はずを整え、その手はずの通り業務が実行されるように管理しなければならない。
 
  4.2〜8.5.3項は、これら業務のそれぞれを標題として、条文でその実行と管理の固有の要件を規定している。組織が、体系的で組織的な業務実行を基礎として、これら各条項の要件を満たすことによって、それぞれの業務に必要な結果を確実に出し、この総合結果としての狙いの顧客満足を確実に実現することができる。これには、各条項に規定される業務を外部委託した場合でも、その要件が満たされるよう管理することが不可欠である。
 
2. 背 景
2-1. 品質保証規格
 (1) 94年版以前
 (2) 00年版以降
2-2.要求事項
 (1) 規格の要求事項
 (2) 修飾語付の要求事項
2-3.品質マネジメントシステム
 (1) 品質
 (2) プロセス
 (3) マネジメント
 (4) マネジメント システム
 (5) 品質マネジメントシステム
2-4.プロセス アプローチ
2-5.適用除外
2-6.規格の条文記述
 (1) 条項の構成
 (2) 条文の記述
 
3.規格要求事項の真意
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 その64.   8.5.3項  予防処置
<[8.5.3項]の概要>
  本項では、品質マネジメントの諸業務に関して発生することが予見される問題を未然に防ぐ処置のあり方、及び、その未然防止処置が効果的であるために必要な手順を規定しており、更に、組織が、それら手順の効果的な実行に必要な事項を織り込んで未然防止処置の手順を確立し、文書化すべきことを規定している。
 
<是正処置と予防処置>
  「是正処置」「予防処置」は94年版では事実上は不適合製品の発生と顧客への引渡しを防止する観点の処置として規定されていた。00年版では必要な顧客満足の実現に関係するあらゆる業務実行と業務結果の支障或いは問題に対応する処置を指す。00年版の「是正処置」「予防処置」は「改善」の処置であり、それら処置をとることと、プロセスや製品の改善、或いは、品質マネジメントシステムの継続的改善とは同義語である。また、「是正処置」「予防処置」をとる活動もそれ自身が プロセスであり、規格の品質マネジメントシステムを構成するそれぞれ独立したプロセスでもある。しかし、単一のプロセスではなく、様々な業務実行と結果の支障や問題を解決するための様々なプロセスの総称である。
 
  不適合による悪影響を除去又は緩和するように不適合を処理することは規格では「修正処置*」である。この処置だけでは同じ問題が繰り返される可能性が残る。 再発を防止するためには、問題発生の原因に対応する処置が必要であり、「是正処置」は生じた問題の原因に対応する処置であり、「予防処置」は起きることが予見される不適合に対応する処置である。両処置とも問題を二度と発生させないことを確実にする処置であり、問題を解決し、或いは、組織からその問題をなくする処置でなければならない。
 
<業務実行管理−問題対応>
  品質マネジメントの実行上の不適合とは、実務では業務実行や結果に生じる異常、支障、問題などのことである。 これを抽出し、その解決を図るべく問題に対応する活動が業務実行管理であり、規格では「プロセスの監視及び測定」である。問題解決には基本的にその原因を取り払うことが必要であるが、実務においては業務実行管理の手順の強化によって問題の再発や表面化の防止を図ることがしばしばある。問題対応には一般にコスト増を伴い、他の事項に悪い影響を及ぼし、又は、他の問題を生むことも多い。個々の未然防止対策及び各種未然防止対策の無秩序な積み重ねが、組織の全体の経営管理(マネジメント)の実行と結果に悪影響が生じることのないよう、一定期間毎に調査し評価することも大切である。
 
<規格要求事項とその真意>
  組織は、品質マネジメントのすべての業務が定められた通りに実行され、所定の結果が確実に得られるよう、業務実行を管理し、所定外の業務実行や結果が検出された場合には、「計画どおりの結果を得るため、かつ、継続的改善を達成するために必要な処置をとる」ことが必要である。組織は、品質マネジメントシステムの計画の一環として、予見される所定外の問題を未然に防止する対策処置のための手はずを、整えなければならない。
 
問題対応の重要性に応じた未然防止処置: 「予防処置」をとるかどうかやどの程度の処置をとるかは、問題発生の可能性の強さとその場合に被る可能性のある品質マネジメント上の損害、或いは、狙いの顧客満足実現に対する支障の深刻さで判断することが必要である。
未然防止活動の手順を確立し、文書化する: 原文は「次の手順に関する必要事項を明確にした文書化された手順を確立する」の意味である。「予防処置」が効果的で意図したように問題を解決することができるためには、a)〜e)項の手順のすべてが踏まれなければならない。これら各手順を効果的なものとするために必要な事項をそれぞれの手順に含めなければならない。
起こり得る問題とその原因を特定する: 放置すると現実のものとなってしまう可能性のある問題を抽出し、予見することが必要であるが、このためには未然防止処置をとる必要のある問題を明確にし、その原因に係わる事項に関する情報を監視測定することが必要である。 原因の追求の深さはとるべき未然防止処置の程度に見合ったものでよい。問題が起きる可能性の評価と原因の判断は、データに基づいた客観的なものでなければならない。
未然防止処置が必要かどうかを判断する: 予見される問題と特定した原因に鑑みて、未然防止処置をとる必要があるかどうかを評価し判断しなければならない。これは、必要な未然防止対策が抜けなく行なわれるために、また、発生の可能性の小さい又は影響の小さい問題などに無駄な処置をとることを避けるために欠かせない手順である。
とるべき未然防止処置を決定し、実行に移す: 未然防止処置が必要と判断された問題については、必要な処置を決め、実行に移さなければならない。 未然防止処置の決定と承認は、その処置によって問題の原因がなくなり、将来に問題が発生することはないということが客観的証拠によって確かめられた上で行なわれなければならない。
未然防止処置の実行を監視測定し、結果の記録を維持する: 「とった予防処置を レビューする」は94年版の「予防処置が効果的であることを確実にするための管理を適用する」に相当する手順であり、問題が狙いの通りに発生することのないように、とった処置の実行を管理することである。 この管理では、未然防止処置として定めた業務や手順が定められたように実行され、その結果が狙いの通りであるかを監視測定し、所定外の結果が検出されれば、問題として表面化する前に未然防止処置たる業務や手順又はその実行を正さなければならない。 未然防止処置の実行管理は、その処置により以降も問題再発はないだろうということが客観的に判断されるまでの間だけ続けられる。 未然防止処置としての管理が終わった後には、未然防止処置として定められた業務や手順は品質マネジメントシステムの通常のプロセスや手順のひとつとなり、監視測定などそれぞれ所定の方式により管理されることになる。特別な管理が終わったのちの一連の未然防止処置は、品質マネジメント全体の業績のひとつの指標として評価に供されることが必要である。
このページの先頭へ 詳しくは<sub35-01-64>

 その63.   8.5.2項  是正処置
<[8.5.2項]の概要>
  本項では、品質マネジメントの諸業務で発生した問題の再発防止を図る処置のあり方、及び、その再発防止処置が効果的であるために必要な手順を規定しており、更に、組織が、それら手順の効果的な実行に必要な事項を織り込んで再発防止処置の手順を確立し、文書化すべきことを規定している。
 
<是正処置と予防処置>
  「是正処置」「予防処置」は94年版では事実上は不適合製品の発生と顧客への引渡しを防止する観点の処置として規定されていた。00年版では必要な顧客満足の実現に関係するあらゆる業務実行と業務結果の支障或いは問題に対応する処置を指す。00年版の「是正処置」「予防処置」は「改善」の処置であり、それら処置をとることと、プロセスや製品の改善、或いは、品質マネジメントシステムの継続的改善とは同義語である。また、「是正処置」「予防処置」をとる活動もそれ自身が プロセスであり、規格の品質マネジメントシステムを構成するそれぞれ独立したプロセスでもある。しかし、単一のプロセスではなく、様々な業務実行と結果の支障や問題を解決するための様々なプロセスの総称である。
 
  不適合による悪影響を除去又は緩和するように不適合を処理することは規格では「修正処置*」である。この処置だけでは同じ問題が繰り返される可能性が残る。 再発を防止するためには、問題発生の原因に対応する処置が必要であり、「是正処置」は生じた問題の原因に対応する処置であり、「予防処置」は起きることが予見される不適合に対応する処置である。両処置とも問題を二度と発生させないことを確実にする処置であり、問題を解決し、或いは、組織からその問題をなくする処置でなければならない。
 
<業務実行管理−問題対応>
  品質マネジメントの実行上の不適合とは、実務では業務実行や結果に生じる異常、支障、問題などのことである。 これを抽出し、その解決を図るべく問題に対応する活動が業務実行管理であり、規格では「プロセスの監視及び測定」である。問題解決には基本的にその原因を取り払うことが必要であるが、実務においては業務実行管理の手順の強化によって問題の再発や表面化の防止を図ることがしばしばある。問題対応には一般にコスト増を伴い、他の事項に悪い影響を及ぼし、又は、他の問題を生むことも多い。個々の再発防止対策及び各種再発防止対策の無秩序な積み重ねが、組織の全体の経営管理(マネジメント)の実行と結果に悪影響が生じることのないよう、一定期間毎に調査し評価することも大切である。
 
<規格要求事項とその真意>
組織は、品質マネジメントのすべての業務が定められた通りに実行され、所定の結果が確実に得られるよう、業務実行を管理し、所定外の業務実行や結果が検出された場合には、「計画どおりの結果を得るため、かつ、継続的改善を達成するために必要な処置をとる」ことが必要である。組織は、品質マネジメントシステムの計画の一環として、発生した所定外の問題の再発を防止する対策処置のための手はずを、整えなければならない。
 
問題対応の重要性に応じた再発防止処置: 「是正処置」をとるかどうかやどの程度の処置をとるかは、再発の可能性の強さとその場合に被る可能性のある品質マネジメント上の損害、或いは、狙いの顧客満足実現に対する支障の深刻さで判断することが必要である。
再発防止活動の手順を確立し、文書化する: 原文は「次の手順に関する必要事項を明確にした文書化された手順を確立する」の意味である。「是正処置」が効果的で意図したように問題を解決することができるためには、a)〜f)項の手順のすべてが踏まれなければならない。これら各手順を効果的なものとするために必要な事項をそれぞれの手順に含めなければならない。
発生した問題を調査する: 不適合に対して「是正処置」を行なう必要があるかどうかを判断するために、その不適合の内容を調査しなければならない。
問題の原因を特定する: 原因追求と決定は「是正処置」の程度に応じたものでよいが、データに基づいた客観的なものでなければならない。
再発防止処置が必要かどうかを判断する: 特定した原因に鑑みて、再発防止処置をとる必要があるかどうかを評価し判断しなければならない。これは、必要な再発防止対策が抜けなく行なわれるために、また、再発の可能性の小さい問題や再発しても影響の小さい問題などに無駄な処置をとることを避けるために欠かせない手順である。
とるべき再発防止処置を決定し、実行に移す: 再発防止処置が必要と判断された問題については、必要な再発防止処置を決め、実行に移さなければならない。 再発防止処置の決定と承認は、その処置によって問題の原因がなくなり、問題が再発することはないということが客観的証拠によって確かめられた上で行なわれなければならない。
再発防止処置の実行を監視測定し、結果の記録を維持する: 再発防止処置を実行に移した後には、その実行結果を監視測定しなければならない。この データ は、次の再発防止処置の実行管理に用いられる。 また、事後に問題が再発した場合の原因追求のために、この データ の記録を維持しなければならない。
再発防止処置の実行を管理する: 「とった是正処置を レビューする」は94年版の「是正処置が効果的であることを確実にするための管理を適用する」に相当する手順であり、問題が狙いの通りに再発することのないように、とった処置の実行を管理することである。 この管理では、再発防止処置として定めた業務や手順が定められたように実行され、その結果が狙いの通りであるかを監視測定し、所定外の結果が検出されれば、問題として表面化する前に再発防止処置たる業務や手順又はその実行を正さなければならない。 再発防止処置の実行管理は、その処置により以降も問題再発はないだろうということが客観的に判断されるまでの間だけ続けられる。 再発防止処置としての管理が終わった後には、再発防止処置として定められた業務や手順は品質マネジメントシステムの通常のプロセスや手順のひとつとなり、監視測定などそれぞれ所定の方式により管理されることになる。特別な管理が終わったのちの一連の再発防止処置は、品質マネジメント全体の業績のひとつの指標として評価に供されることが必要である。
このページの先頭へ 詳しくは<sub35-01-63>

 その62.   8.5.1項  継続的改善
<[8.5.1項]の趣旨>
  本項では、4.1項に規定される「品質マネジメントシステムの有効性の継続的改善」に関する規格の意図が明確にされている。
 
<継続的改善>
  8.5項には品質マネジメント のPDCAサイクル の“A”に相当する業務が規定されている。“A”は、“C”で検出された問題ある状況に対してその問題を正す処置をとることであり、問題を正すとは、より良いものにすることであるから「改善」である。 この「改善」は、PDCAサイクルが繰返し廻される中で繰り返し行なわれ、積み上げられるから、「継続的改善」と呼ばれる。
 
  規格の意図における改善には2種類の処置がある。 ひとつは、業務実行と業務結果が所定の通りでないという不適合への対応であり、この再発を防止する処置をとることである。 この改善を品質方針による統制の下で、異なる種々の不適合が発生する度に繰り返し行なうことによって、組織は所定の通りに業務が実行され、所定の通りの業務結果を確実に得る業務能力を向上させる。規格ではこの方式の改善の処置を「是正処置」(8.5.2項)と呼ぶ。 もうひとつの改善の方式は、業務実行と業務結果に潜在する問題を検出し、表面化する前に対応処置をとって不適合の発生を未然に防止する処置をとる方式である。 組織はこの繰り返しによって問題予知の業務能力を高め、環境変化によらず安定して必要な業績を上げることができる。規格ではこの方式の改善の処置を「予防処置」(8.5.3項)と呼ぶ。
 
<品質マネジメントシステムの有効性の改善>
  規格では「有効性」#3は「活動が計画された通りに実行され、結果が計画された通りになった程度」$1である。品質マネジメントシステムの有効性とは、品質マネジメントの諸業務が必要な顧客満足を決め、かつ、それを実現する能力を有しているかどうかという意味である。 この有効性は最終的には実際に必要な顧客満足が実現しているかどうかで判断される。 端的に言えば狙いの売上を達成しているかどうかである。 品質マネジメントシステムの有効性の継続的改善の活動によって組織は、「顧客要求事項や適用される規制要求事項を満足させる製品を一貫して提供する組織の能力」を確保し続けることができる。
 
<経営管理(マネジメント)>
  経営管理(マネジメント)とは、トップマネジメント 以下の各層管理者が担う業務であり、生産や販売、営業、購買、経理等々、組織の事業遂行に係わる諸業務の実行を統制管理する業務である。この統制は、事業の維持発展を図る観点からの業務の有効性と効率性の追求が目的であり、現行の業務手順や業務能力が適当、十分、有効でない場合は必要な改善を図り、また、定めた業務実行や結果に問題が生ずれば問題を解消し、再発防止対策をとるという形で業務手順や業務能力の改善を行なう。 経営管理の必要性は組織の目標達成の業務能力の「改善」の実現であり、その本質は「改善」の繰返しである。 規格の品質マネジメントシステムの継続的改善は、品質マネジメント の実務の実態を表現していると受けとめることができる。
 
<規格要求事項の真意>
  組織は、事業維持発展のために必要な顧客満足を一貫して実現するために、品質マネジメント の業務能力を継続的に向上させること、すなわち、品質マネジメントシステム の有効性を継続的に改善することが必要である(4.1項)。 この継続的改善は、品質マネジメント の諸業務を規格要求事項に則って行なうことによって、とりわけ、品質方針、品質目標、内部監査、データ の分析、是正処置、予防処置、及び、マネジメント レビュー の各業務を相互に関連をもたせて実行することによって、達成を図らなければならない。 規格において改善の具体的な対象は、業務手順、製品仕様、資源である(5.6.3項)。
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 その61.   8.4項  データ分析
<[8.4項項]の概要>
  本項では、品質マネジメントにおける判断や意思決定を、関連する情報を データ分析した結果に基づいて行なう必要を規定し、データ分析が必須として4つの事項を取り上げている。
 
<データ 分析>
  本項は、品質管理活動への統計的手法の使用の必要を規定していた94年版の4.20項(統計的手法)を、すべての業務の実行管理における意思決定を科学的に行なうための「データ分析」の必要に拡大された。 この「データ分析」は、品質マネジメントのPDCAサイクルの“C”と“A”との間、プロセスアプローチ(計画-実施-管理-継続的改善)の「管理」と「継続的改善」との間をつなぐ活動であり、監視測定などで得た情報から問題を抽出して、必要な対応処置に結びつける機能を果たす。 この対応処置は規格では「修正処置*」「是正処置」「予防処置」である。
 
  「データ 分析」は、関連する種々の情報の中から物事の本質、事実、真の姿を探し出す活動である。何事であれ判断や決定、つまり、意思決定が正しく効果的なものであるためには、データ 分析で見出した事実に基づいて行なわれなければならない。 94年版では、統計的手法の使用を「工程能力及び製品特性の水準の明確化*とその管理、検証」に限定していたが、00年版では、すべての業務と結果に関してばらつきの概念を基礎とする問題解決と改善に寄与することがその役割として期待されている。
 
<問題抽出と問題解決>
  組織のマネジメントの中の業務実行管理とは実質的に、業務実行と結果の問題点を抽出して必要な対応をとることである。業務の実行と結果には不確定要素があり、ばらつきがある。 ひとつひとつの情報は「生データ」であり、それぞれの問題を断片を表すに過ぎない。問題に関連する様々の情報が表す様々な事実を総合して、ひとつの正しい事実を導き出すのが、データ 分析である。情報収集と意思決定は管理者の業務の主要な一部であり、「データ分析」は管理者に不可欠な技量である。データ 分析とは、問題抽出の方法論ではなく、証拠で裏付けられた事実に依拠する思考形態を指し、「生データ」で以て物事を単純に、或いは勘で判断することを戒める言葉である。
 
<規格要求事項とその真意>
データ 分析の実行: 業務実行管理において、狙いの顧客満足の実現に向けて諸業務が所定の通りに実行され、所定の結果を得ているかどうか、また、諸業務の全体の結果として事業維持発展に必要な顧客満足が実現しているかどうかを判断し、更に、問題点と改善の必要性又は可能性について意思決定を行なう場合は、データ 分析によって抽出した事実に基づいて行なわなければならない。「改善」は、業務実行又は結果に問題がある場合に対応処置をとって問題解決することを意味する。 この対応処置は規格では「是正処置」(8.5.2項)又は「予防処置」(8.5.3項)である。 これを品質マネジメントのPDCAサイクルの繰り返しによって繰り返し行なうことが「継続的改善」である。
データ 分析に使用するデータ: データ 分析は、「監視及び測定」(8.2項)の結果の情報 だけでなく、その他の関連情報源から得る情報をも対象としなければならない。 前者は8.2.1〜8.2.4項の各管理業務のために検知することが定められた情報であり、後者は新聞報道、各種専門誌記事、同業者間情報などがあり、意図的、定常的に収集するのではなく随時、突発的に入手する情報のことである。
データ 分析の対象: データ分析の程度は費用対効果の観点も入れて、必要に応じたものでよい。 しかし、a)〜d)項に関しては、必要な対応に関する意思決定が的確に行なわれるように、データ分析によって問題点と対応策を抽出しなければならない。 94年版の「工程管理」に関連しての統計的手法の適用の規定は、00年版では本項のb)、c)項に係わる データ 分析を必要とする規定に継承されている。
  顧客満足: 8.2.1項(顧客満足)で収集する情報をそれぞれの狙いに目的に照らして データ分析し、個別の観点から及び総体として顧客満足の実績が狙いの通りであったか、事業維持発展のための必要を満たしてしるかどうかを明らかにし、実績における問題点、将来に顕在化する可能性のある問題点を抽出し、更に、各問題にどのように対応すべきかを明らかにしなければならない。この情報は マネジメントレビュー の最も重要な情報であり、トップマネジメントが他の関連する情報と合わせて分析し、品質マネジメント上の対応に関する戦略を含む意思決定の基となる。
製品要求事項への適合:「製品要求事項への適合」は、製品の合否判定で合格していることを意味し、この データ 分析 は、不合格の発生を製品実現の計画で目標とした水準内に維持する品質管理の一環であり、不合格の発生が所定の水準又は範囲を逸脱していると判断される場合は、原因を明確にし、問題解消のための必要な処置を明らかにしなければならない。
プロセス と製品の特性及び傾向: 要因とその影響度の意図しない変動による製品の特性の許容できない変化を管理するために、関連する プロセス と製品の特性の時系列的変化とその傾向に関して データ 分析をし、問題点を抽出し、変化の原因を特定して、問題解決のために必要な処置を明らかにすることが必要である。このデータ 分析ではとりわけ、将来に起きるかもしれない問題を見出し、その発生を防止する「予防処置」を明らかにすることが大切である。
供給者: 組織が必要とする購買製品・サービスを間違いなく供給者から受け取ることができるよう、供給者と製品・サービスを管理する一環として、供給者が個別又は全体として、組織の必要を満たす能力を有しているかどうかをデータ分析により定期的に評価し、必要な対応処置の要求と共に個々の供給者に伝えることが必要である。また、供給者の能力と実績の組織全体としての問題と対応処置については、マネジメントレビューに供され、 必要なら購買戦略や購買施策としての判断と決定が行なわれる。
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 その60.   8.3項  不適合製品の管理
<[8.3項]の概要>
  本項では、狙いの顧客満足の実現の観点から、組織の内外で発見された不適合製品を処理し、管理するための要件が規定されている。
 
<不適合製品の管理>
  「不適合製品」は「製品要求事項」(7.2.1項)を満たしていない製品を指し、製品が購買製品である場合には「購買要求事項」(7.4項)を満たしていない製品である。また、事業目的の製品ではなくとも、組織が意図した顧客満足に関係する諸営業活動や受注処理業務(7.2.2項)、製品使用相談業務や苦情受付業務(7.2.3項)、補償活動や保全サービス(7.5.1 f)項)、製品の保管や輸送業務(7.5.5項)などの結果も製品である。
 
  00年版の品質保証は実質的に顧客満足の保証であるが、不合格品を顧客に引渡すことはどのような組織の顧客満足の狙いにも反するから、不適合製品を顧客に引き渡さない管理の必要は94年版と同じである。 そして、不適合製品が顧客で検出された場合には、それによる顧客満足の毀損が更に深まらないような対応処置が必要である。
 
<規格要求事項とその真意>
  組織は、品質マネジメントシステムの計画の一環として、発見された不適合製品を管理する諸業務の手はずを整え、それらを効果的に実行しなければならない。 この管理は、不合格品がそのまま顧客に引渡されることのないように、また、顧客に引渡してから発見された、又は、顧客に不具合を申立てられた製品によって組織の狙いの顧客満足が毀損するのを最小限に留めるようにすることが目的である。これら不適合製品の管理を効果的なものとするためには、本項が規定する要件を満たさなければならない。
 
不適合製品の管理の手順: 不合格製品を確実に識別し、必要な処理をする管理と関連する責任及び権限を示す手順を確立し、文書化しなければならない。製品引渡し前に合否判定が不可能な製品では不合格品もそのまま顧客に引渡されることにもなるが、不適合製品の処理の手順には、そのような不適合製品に気づき又は指摘された場合の即座の対応を含めて、引渡された不合格品による組織の狙いの顧客満足の実現への支障を防止する効果的な方法を含めなければならない。
不適合製品の処理の方法: 不適合製品の処理の手順には、不合格品を次の4つの内の適用可能なひとつ又はそれ以上の方法で処理することを含めなければならない。
不適合を除去する: 94年版で「手直し(rework)」「修理(repair)」と表現されていた。
特別採用: 当該の権限をもつ者、及び、必要なら顧客の許可の下に、不合格品をそのまま次工程に送り、又は、組織から出し、或いは、合格品とする。
向先変更: 94年版では他の用途に振り代える(regrade)、廃棄する(reject, scrap) と表現されていた。
不適合の影響に見合う処置をとる: 原文の趣旨は「不適合のもたらす影響に合った処置をとる」である。顧客満足の毀損を最小限に留めるための処置のことであり、この処置は不適合による影響に見合った内容と程度でなければならない。組織は、顧客に引渡され、又は、顧客での使用が開始された後に不合格製品が検出された場合には、それが組織の狙いの顧客満足の維持や実現の支障とならないよう、この不合格品のもたらす影響に見合った処置をとらなければならない。また、顧客に引渡す前に製品の合否判定ができない サービス提供とサービス引渡しが同時のような事業の組織では、発生する可能性のある サービスの不良や不具合を特定し、それらが顧客の深刻な不満を生み出すことにならないような対応処置を決めておくことが必要である。
修正された製品の再検証: 製品の不良を修正しても、必要な程度にまで修正されたとは限らない。 修正された製品は、所定の製品合否判定基準に照らして改めて合否判定を行なわなければならない。
不適合製品の記録: どのような不合格品が発生したか、また、それらにどのような処置をとったかに関する記録を作成し、維持しなければならない。本項の意図の記録は、不適合製品の再発防止を図るために必要な情報としての記録ではなく、顧客に引渡される製品の品質保証のための記録である。 製品の合否判定の記録(8.2.4項)は、どちらの記録としても有用である。
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 その59.   8.2.4項   製品の監視及び測定
<[8.2.4項]の概要>
  本項では、所定の製品仕様を満たす合格品のみを顧客に引渡すための、製品の合否判定とそのための製品の特性に関する情報検知の活動、及び、製品の顧客への引渡しの管理に関する要件が規定されている。
 
<製品の監視及び測定>
  94年版の4.10項(検査・試験)が、全業種業態、特にサービス業に適用し易いように汎用的表現で書き直され、「検査・試験」の代わりに「検証」という一般的表現が用いられ、また、標題が8.2.3項との表現の統一性のため「製品の監視及び測定」になっている。情報検知の活動が「監視及び測定」であり、製品に関する情報を定められた合否判定基準に照らして比較することが「適合性の判定*」であり、この結果を客観的証拠として製品の適合性を確定し、示すことが「製品の検証」である。実務的には製品の合否判定活動のことである。このデータは、プロセスの実行管理にも様々に活用される。「製品」は事業としての顧客向け製品であるが、営業活動、製品使用相談業務、製品の保管など組織が意図した顧客満足に関係するサービスなど関連する製品も含む。
 
<製品の合否判定>
  合格した製品だけを顧客に引渡すようにすることが必要であり、合否判定は、顧客に引渡す状態の製品に対して行なうこと、顧客に保証しなければならないすべての種類の性能や機能など製品特性について行なうこと、製品を顧客に引渡す前に行なうこと、当該製品の全数、全面、全長、全量について行なうことが基本である。実際には、狙いの顧客満足の実現に支障を来なさい程度と範囲で行なえばよい。合否判定の方式にも試験や検査の他、製品と業種業態に合った種々の方法がある。合否判定の記録は様々の目的にとって重要であり、管理されなければならない。
 
<規格要求事項とその真意>
  不適合製品(8.3項)を顧客に引渡すことのないよう、定められた合否判定基準(7.1 c)項)に照らして当該製品の合否を判定し、製品を「検証」し、合格品のみを顧客に引渡すようにしなければならない。製品実現の計画の一環として、この手はずを本項の要件に沿って整え、諸業務を効果的に実行しなければならない(8.1項)。
 
製品の特性を検証する: 組織は、製品実現の適当な段階で、「製品の特性」の情報を検知し、これを客観的証拠として、定められた合否判定基準に照らして製品が所定の製品仕様を満たしているかどうかの合否判定を行い、不合格品を除外しなければならない。
合否判定基準への適合の証拠を維持する: 合否判定の結果の記録は維持しなければならない。この証拠には、使用した「製品の特性」の情報、適用した合否判定基準、及び、合格と判断したという事実を表すものが含まれていなければならない。
製品のリリースを正式に許可した人が特定できる: 合否判定されないで、又は、合否判定で不合格になった製品が、或いは、当該製品に所定の業務が完了しないまま顧客に引き渡されてしまうことのないよう、個々の製品を顧客に引渡してもよいと最終的に判断する責任者を決めておかなければならない。この責任者による判断が確実に行なわれる歯止めとして、実際に最終的に判断した人の名を合否判定に関係する記録に含めるようにしなければならない。
合格した製品、サービス のみを引渡す: 合格品のみが顧客に引渡されることを確実にするために、製品は所定の製品仕様及び関連する必要事項がすべて満たされたことを確かめてからでないと顧客に引渡してはならない。製品の性格や業種業態によって所定の業務の一部の所定通りの実行が完了する前に、又は、一部の製品仕様の「検証」が完了する前に顧客に引渡す必要がある場合、また、サービス提供とサービス引渡しが同時のサービス業などの場合は、顧客が知らないまま不合格品を受取ることのないことを確実にする「製品のリリース」の管理を確立しなければならない。
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 その58.   8.2.3項  プロセスの監視及び測定
<[8.2.3項]の概要>
  本項は、4.1 e),f)項に 「プロセスの監視、測定、改善」として規定されている品質マネジメントの諸業務の実行を管理する諸活動を「プロセスの監視及び測定のプロセス」と総称し、それらプロセス に関する要件を明確にしている。
 
<プロセス の監視及び測定>
  「プロセスの監視及び測定」は、4.1 e)項の「品質マネジメントの諸プロセスを監視、測定する」、同 f)項の「計画通りの結果及び継続的改善を達成するために必要な処置をとる」に相当する活動であり、本項はそのための要求事項を規定している。「プロセスの監視及び測定」とは各種のプロセスの実行管理のための情報検知活動を意味し、プロセスの実行が所定の通り、つまり、計画の通りであるように管理し或いは改善をすることが目的である。監視測定の方法論には94年版の「工程パラメーター」のような「プロセスの特性」の監視測定と プロセスの実行結果の監視測定との2種類がある。
 
  「プロセスの監視及び測定」自身も プロセスであり、規格の品質マネジメントシステムを構成する独立したプロセス(4.1 a)項)のひとつである。しかし、単一のプロセス ではなく、プロセスの実行に関する情報を検知する多様なプロセス の総称である。 規格には「内部監査」「マネジメント レビュー」など幾つかの「プロセスの監視及び測定プロセス」が規定されており、各条項における「レビューする」「承認する」「評価する」「維持する」「更新する」「確実にする」「校正する」「改善する」も「プロセスの監視及び測定プロセス」を示唆している。
 
<業務実行管理>
  規格の「プロセス」は組織の業務のことであり、「プロセスの監視及び測定のプロセス」は業務実行を管理する活動ないし業務のことである。 業務実行管理は一般に、諸業務が所定の通りに実行され所定の業務結果を確実に得るように管理、改善することが目的であり、業務実行状況や実績の観察や計測による情報の検知、及び、その情報に基づく必要な処置の決定と実行から成る。 このための方式、方法には、@ 管理者の日常監視活動、A 記録の確認、B 文書の承認、C 実行計画、D 定期的実績評価、E 監査、F 業務実行の指標化等がある。
 
  品質保証のための業務実行管理は所定の結果を得ることが目的で、そのために業務が所定の通りに実行されるよう管理する。従って、業務結果が問題なく監視測定できる場合には、業務実行状況自体を監視測定することは必ずしも必要ではない。しかし、業務結果の監視測定が困難であり、又は、業務結果の監視測定だけでは、所定の結果を必要な程度に安定して確保するという管理に支障を来す場合もある。このような場合には、業務が定められた通りに実行されていることを直接的に監視測定することが必要である。例えば、@ 業務結果の監視測定が技術的、経済的に困難、A 業務結果の監視測定が効率的でない、B 業務に判断を伴う、C 業務実行に長期間、長時間を要する、D 業務結果が不合格となった場合の損害が著しい等の場合である。
 
<規格要求事項とその真意>
   組織は、品質マネジメントのすべての業務が定められた通りに実行されるよう、業務実行を監視測定、管理し、必要な処置をとらなければならない。組織は品質マネジメントシステムの計画の一環として、業務実行の管理のために必要な情報を検知する活動を含む業務実行管理の活動の手はずを、本項の要件を満たすよう整えなければならない。
 
監視及び測定の方法: JIS和訳「適切な(suitable)」は目的に合っているという意味である。監視測定の方法や方式は、その目的にあった「適当な方法」でなければならない。「監視、及び、可能な場合に行なう測定」との記述は計らずも、検知する情報が94年版の「工程パラメーター」のようなものだけではないことを明瞭にしている。また、第2文は「これらの方法は、計画された結果を達成するプロセスの能力を表すことができるようなものでなければならない」であり、監視測定の方法は、検知した情報によって当該業務実行が所定の結果を出すことができるかどうかを判断できるような「適当な」ものでなければならないという意味である。
監視及び測定に基づく プロセス の管理: 業務実行の監視測定により所定の結果が出ない可能性が認められる場合、また、実際に出ていない場合は、必要に応じて、原因となる業務実行に関して製品の適合性を確実にする「修正」や「是正処置」をとらなければならない。JIS和訳「適宜(as appropriate)」は「必要に応じて」である。 業務結果に問題が生じた場合は、問題の重要性や再発の可能性に応じて適切な「修正」と「是正処置」のいずれか又は両方の処置をとらなければならない。
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 その57.   8.2.2項  内部監査
<[8.2.2項]の概要>
  本項は、狙いの顧客満足の実現を図る トップマネジメントによる統制活動としての内部監査の必要を指摘し、効果的な内部監査とするための計画、実行とその管理に関する要件を規定している。
 
<監査>
  監査は、社会的活動の信頼性や公正さを維持する管理統制手段として歴史的にも古く、今日でも広く活用されている。 その特徴は、業務委任者、業務受任者及び第三者の三者関係の存在において、第三者が下位者の行動や結果を検証、評価して、上位者に報告するという枠組みにある。 内部監査では、業務の委任者はトップマネジメントであり、受任者は各部門の管理者、監査人は組織の要員又は外部の専門家の内部監査員である。 組織の規模が拡大し、権限の分化が拡がり、直接的な監視や監督が希薄になる状況において、トップマネジメントは内部監査員に組織内の諸業務の実行状況を体系的に調査、評価させ、報告を受けて、経営の目標達成を図るべく組織の業務実行を統制する。
 
<品質マネジメントの内部監査>
  規格に関連する「監査」に関してその計画や実行と管理の指針を定めた規格 ISO19011が定められており、本項の内部監査の要件はこれに則っている。ISO19011では監査は「監査証拠を収集し,それを客観的に評価して、監査基準が満たされている程度を判定する体系的で,独立し,文書化されたプロセス*」であり、監査の関係者を監査依頼者、被監査者、監査員と呼び、三者共が同じ組織内の関係者である内部監査は第一者監査とも呼ばれる。ISO19011は基本的に、また、種々の実務面に関して、財務諸表監査を中心とする一般の監査の考え方や手順に準拠しており、本項の内部監査はISO9001に特有の活動ではなく、トップマネジメントによる効果的な内部統制手段として確立し広く活用されている「内部監査」が品質マネジメントの実行管理手段として採り入れられたものと理解される。
 
  規格の内部監査は、品質マネジメントの諸業務の遂行状況が、経営目標の内の狙いの顧客満足の実現が可能かどうかの観点で適切か否かを評価し、支障となる問題を明らかにすることである。 この適否の判断基準が「監査基準」である。 内部監査員は、諸業務が「監査基準」を満たして効果的に実行されているかどうかを評価することを通じて、品質マネジメントの狙いの顧客満足の実現に支障がないないかどうかを判定する。
 
<規格要求事項とその真意>
  組織は、品質マネジメントシステムの計画の一環として、品質マネジメントの内部監査に関する手順を確立し、文書化しなければならない。 また、手順を管理された状態で効果的に実行しなければならない。 手順は、内部監査によって狙いの顧客満足の達成の確実さ、又は、それに反する問題の起きる危険性に関する判断を効果的、効率的にできるものでなければならず、次の各要件を満たさなければならない。
 
a),b)項が満たされているか否かを明確にするために、あらかじめ定められた間隔で内部監査を実施する: 組織はa),b)項を監査要点とする内部監査を定期的に行なわなければならない。定期内部監査の間隔は、品質マネジメントのサイクルに合致し、その マネジメントレビューの間隔に合致させることが必要である。内部監査で、狙いの顧客満足の実現に向けて品質マネジメントの諸業務が効果的に行なわれているとの判定を下すには、a)項の品質マネジメントの業務体系の適合性とb)項のそれら諸業務の実行の適合性を立証することが必要である。
プロセス及び領域の状態と重要性、過去の監査結果を考慮して、監査プログラムを策定する: どの監査対象にも一律の監査時間を配分するのでなく、その時点において狙いの顧客満足の実現に影響の大きい、或いは、狙いを逸脱する恐れの大きい業務や部門、拠点に重点をおいて、時間を配分し、適切な内部監査員をあてることが必要である。 監査プログラム」はそれぞれの個別監査の狙いと日程、担当監査チームなど大枠を示す全体計画を意味する。
監査の基準、範囲、頻度及び方法を規定する: 監査プログラム では、それぞれの個別監査について「監査基準」「監査の範囲」「監査頻度」「監査方法」を明らかにしていなければならない。「監査基準」は、収集した監査証拠をこれに照らして判断する合否判定基準のことであり、「監査の頻度」は特定の「監査プログラム」の中で同じ監査対象の監査を複数回繰り返す場合の頻度である。「方法」は、最終会議など関連事項を含む監査の時間割、監査員の配置など個別監査の実行の詳細のことと考えればよい。
監査員の選定及び監査の実施において、監査プロセスの客観性及び公平性を確保する: 内部監査員は トップマネジメントに代わって組織内の業務実行状況を調査するのであり、その活動や判断は客観的で、公正な、正しいものでなければならない。 同じ状況の中で監査が行なわれる限りは、監査員が異なっても同じ監査結論となることが必要である。
監査員は自らの仕事は監査しない: 小規模な組織では、監査対象の部門や人々又はその業務実行に何の利害関係を有さない内部監査員を選定し指名することは実際問題として困難である。 管理者が自らの責任範囲の部門や業務の監査を行なうこともやむを得ない場合もあるが、せめて自分自身が手を下す業務については監査しないようにしなければならない。
計画及び実施、結果の報告、記録の維持に関する責任、要求事項を“文書化された手順”の中で規定する: 品質マネジメントシステムの内部監査の手順を確立し、文書化しなければならない。 これには、@内部監査の実行管理の責任者の決定、A監査プログラムと個別監査の監査計画書の策定を含む監査活動の計画の手順、Bチェックリストを含む監査実行の手順、C監査所見と監査結論のまとめ方、被監査側との合意形成を含む監査の結果を取り扱う手順、D監査報告書を含む監査結果の報告の手順、E監査の指摘への対応の決定を含む監査後活動の手順、F何を残すかを含む記録の維持の手順が含まれていなければならない。
発見された不適合及びその原因を除去するために遅滞なく処置がとられることを確実にする: 指摘された不適合を処理するのは、被監査側の管理者である。対応処置は不適合が品質マネジメントの狙いの顧客満足の実現に悪影響を及ぼす可能性と程度に見合うものでなければならない。指摘された不適合が、品質マネジメントの目標である狙いの顧客満足の実現に支障を来す恐れがあれば、或いは、顧客の評価や信頼に深刻な打撃を与えかねない不良品や品質事故の発生させる懸念があれば、予想される問題が起きる前に遅滞なく「修正」又は「是正処置」が実行されなければならない。
フォローアップには、とられた処置の検証及び検証結果の報告を含める: ISO19011規格の監査活動は、監査報告書の承認と配付によって完了し、監査の指摘に対応する活動は「フォローアップ(follow-up activities)」つまり「監査後活動」である。「とられた処置」は、監査の指摘に対して被監査側がとった是正処置のことである。 監査後活動は、指摘に対応する処置を決め、実行するだけでなく、それが効果的であるかどうかの検証を行い、その検証結果の記録を維持することを含んでいなければならない。
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 その56.   8.2.1項  顧客満足
<[8.2.1項]の概要>
  本項では、品質マネジメントの実績の尺度として、狙いの顧客満足の達成度を評価し、必要な改善に結びつける管理業務の必要と、その要件を規定している。
 
<顧客満足>
  「顧客満足」とは、組織の製品が顧客のニーズや期待を満たしているとの顧客の受けとめであり、顧客満足度のことである。 組織が、所定の販売量を達成し、又は、供給者として所定の地歩を固めるには、相応の顧客満足度を達成しなければならない。 品質マネジメントは、事業の維持発展を顧客満足向上の観点から追求する活動であるから、達成した顧客満足度は品質マネジメントの実績の尺度である。
 
<顧客満足の監視及び測定>
  顧客満足度の評価を行なう真の目的は、過去の顧客満足の実績を評価することで、現在から将来における顧客満足を予測することであり、顧客満足度の低下が予測される場合には必要な改善の処置をとるためである。
 
  顧客満足度の実績評価と変化する顧客のニーズや期待の把握は、関連する諸動向を分析することによって可能となる。これには、 @ 現状製品に対する顧客の受けとめ方、A 製品のニーズや期待に関係する顧客や、消費者、社会の動向、B 競合組織や市場の動向、C 製品に関連する技術の動向、D 製品や製品実現業務に関係する法規制、規格化の動向が含まれる。
 
  顧客満足度の評価及び顧客のニーズや期待の変化の把握に必要な情報には、組織として能動的に収集しなければならないものと、外部からもたらされるものとがある。 これらの多くは、他の様々な目的にも使用されるものであり、また、他の目的で収集又は入手する情報の中にも顧客満足関連情報が含まれている。
 
  品質マネジメント の実績としての顧客満足度の評価と判定は、品質マネジメント の実行のサイクル に合わせた一定の間隔で行なわなければならない。この顧客満足度は、個々の製品の顧客満足度ではなく、品質マネジメント の実績の尺度としての全体的な顧客満足度のことである。 顧客満足関連情報の分析の結果は一般に、狙いの顧客満足の達成の程度を判定したものであり、起きつつある又は起きる可能性のある顧客のニーズや期待を明らかにし、以降の顧客満足の確保のための課題を明確にしたものでなければならない。
 
<規格要求事項とその真意>
   品質マネジメントシステムの計画(5.4.2項)の一環として、顧客満足に関連する情報を収集し、分析し、評価する手順を確立しなければならない。
品質マネジメントシステム の成果を含む実施状況の測定の一つとして、顧客要求事項を満足しているかどうかに関して 顧客がどのように受けとめているかについての情報を監視する: この分析と評価は、実際の顧客満足度を狙いの顧客満足度と比較して、狙いの通りの顧客満足度が得られたことを確認し、又は、問題を見出すことである。 後者には変化しつつある顧客のニーズと期待が含まれていなければならず、以降も必要な顧客満足を確保するための製品及び業務の手順と資源の改善に関する戦略的判断に供し得るものでなければならない。また、分析と評価は、結果が品質マネジメント の実績の尺度となるよう、組織の業績に影響する全体的な顧客満足度に関して行なわなければならない。
この情報の入手及び使用の方法を決める: 収集する情報は(1)の分析、評価に必要であり十分なものでなければならず、情報の使用は(1)のような結果を出すことのできるような方法でなければならない。情報の分析と顧客満足度の評価は、品質マネジメント の実行のサイクル に合わせた間隔と時期に行なうことが大切である。顧客満足の評価の結果は、品質マネジメントの マネジメントレビュー (5.6項)のための最も重要な情報である。
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 その55.   8.1項  測定,分析及び改善  一 般
<[8.1項]の概要>
   8章は、品質マネジメント の諸業務の効果的実行のために不可欠な8種類の実行管理業務とそれらの要件を規定している。 本項は、これらを含む実行管理業務の手はずを整えることの必要、及び、必要な管理の観点について規定している。
 
<監視、測定、分析、改善>
  規格では、品質マネジメントシステムを構成する業務とは、規格の各条項の標題として表されている諸業務を指す。 これら諸業務が、顧客満足向上というひとつの狙いに向けて相互に関連をもって実行される枠組みが、規格の品質マネジメントシステムである。 プロセスアプローチは、品質マネジメントシステムを構成する各業務毎に、そして、品質マネジメントシステム全体にPDCAサイクルを模した、計画、実施、管理、改善のサイクルを回し、顧客のニーズと期待を満たす業務能力を継続的に強化する、という品質マネジメントへの取り組みの方式である。本項では、PDCAサイクルの“C”“A”、プロセスアプローチの「管理」「継続的改善」に対応する実行管理業務を規定している。「監視」「測定」「分析」「改善」は、種々の実行管理業務において使用されている共通的な業務の要素である。
 
<独立した実行管理業務>
  規格には、当該業務の手順に実行管理業務を織り込むべきことを要求事項として明示している条項があり、必要な特定の実行管理業務を具体的に規定している条項もある。 8章は、この他の、品質マネジメントシステム全体に関する、又は、多くの業務に共通する、独立した実行管理業務を取り上げ、それらを他の条項の諸業務と同等の品質マネジメントシステムを構成する業務として位置づけている。 また、これら実行管理業務を、「監視及び測定」「不適合製品の管理」「データ分析」及び「改善」の各業務に類型化し、8.2.1〜8.5.1項の合計8種類の実行管理業務とその要件を規定している。
 
<規格要求事項とその真意>
次の事項に必要な監視、測定、分析及び改善のプロセスを計画し、実施する: 組織は、品質マネジメントシステムの計画及び製品実現の計画の一貫として、各業務に共通する或いはシステム全体に適用する、独立した実行管理業務の手はずを整えなければならない。 それら実行管理業務には8.2.1〜8.5.1項の各業務を含めなければならない。 それら実行管理業務によって、組織の諸業務及びシステム全体業務が、次のa)〜c)項を確実に満たすようにしなければならない。8.2.1〜8.5.1項の各業務の他にどのような実行管理業務が必要か、また、各実行管理業務が行なう管理の程度や、管理の方式や方法は、組織がその必要に応じて決定しなければならない。 更に、これらの実行管理業務は、計画された手はずに則って実行されなければならない。 また、これら各実行管理業務が効果的に実行されるよう、監視測定が行なわれ、必要な改善の処置がとられなければならない。
製品の適合性を実証する: 「製品の適合性」は、7.2.1項の製品関連要求事項に対する適合性である。 この製品関連要求事項とは、組織が顧客のニーズと期待を満たすものとして定めた製品仕様のことである。 不良品や欠陥品でないことを明確にすることが「適合性の実証」である。
品質マネジメントシステムの適合性を確実にする: この場合の「品質マネジメントシステム」とは、組織の必要と規格要求事項を満たして確立され、実行されている品質マネジメントシステムを指す。 「品質マネジメントシステムの適合性」とは、組織の諸業務が確立した手順に則り、用意された資源を利用して効果的に実行されているかどうかという意味である。
品質マネジメントシステムの有効性を継続的に改善する: 「品質マネジメントシステムの有効性」とは、品質マネジメントの手順や資源などの業務実行の枠組みが必要な顧客満足を実現するのに十分であるかどうかである。 実務的には、必要な程度に手順や資源が優れたものか、或いは、それに則った組織の業務能力が優れたものかどうかの問題である。 社会経済情勢や顧客のニーズや期待の変化にもかかわらず一貫して製品が顧客に受け入れられるには、常に製品を改善し、手順や資源を強化し、業務能力を向上させていくことが必要である。 このことが「品質マネジメントシステムの有効性の継続的改善」である。
これには、統計的手法を含め、適用可能な方法、及びその使用の程度を決定することを含める: 上記(1)の実行管理業務の手はずの中には、各実行管理業務をどのように行なうかの手順が含まれていなければならない。 この手順では、使用する管理の手法や方式、その適用の対象や範囲、詳しさなどを明確にしておかなければならない。 管理の手法として、統計的解析手法の必要性を考慮するとよい。
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その22.  5.4.1項  品質目標
<全般>
  本項は、効果的な品質マネジメントのために品質目標がどうあるべきかに関して、内容及び設定、また、これに関するトップマネジメントの責任に関する必要条件を規定している。
 
<品質目標>
  事業に関する意図、方向が「方針」で、その到達点或いはある時点の通過点が「目標」である。規格では「追求するもの、狙うもの*」である。品質目標は、品質方針が意図する顧客満足の向上を図る上で、何をどのような状態、状況にしなければならないかを表す。
品質目標の達成を図る品質マネジメントの実行と管理のための諸業務つまりプロセスが特定され、順序と相互関係並びに実行と管理の手順及び管理の判断基準が定められ、資源が準備された(4.1 a)〜d)項)ものが品質マネジメントシステムである。各プロセスにはそれぞれの目的、役割があり、その期待される結果が品質目標であり、この各プロセスの実行、管理の総合的な結果として品質マネジメントシステムの品質目標が達成される。
 
  プロセスの結果は何であれ「製品」と呼ぶが、製品実現プロセスの結果の製品は顧客に提供する最終製品であり、このプロセスの狙いは最終製品の特定の品質であるから、特にこれを「製品の品質目標」と呼ぶことがある。
 
  海外では「システム全体、各プロセス、システムのアウトプット(製品)」の各品質目標、「製品要求事項を満たすための及びシステムの有効性の継続的改善と整合する品質目標」と2つの品質目標、或いは、「組織全体の、各業務の、製品・サービスの、部門に展開された、個人の力量の」各品質目標がそれぞれ必要とするというような理解が主流である。すなわち、「品質目標」は単なる改善活動の目標ではなく、広いかつ実務に密着した概念であることを物語っている。
 
<種々の視点の品質目標>
  経営目標は、組織の最終到達点に至る一定の時点での到達点であり、通常は長中期や短期の経営計画や業務実行計画など下位の目標に展開される。これら各目標はそれぞれの関係する各部門の方針や目標に展開され、関係する業務の目標、手順、資源を決め、達成が図られる。これらの内、顧客満足向上に関係する目標はすべて「品質目標」である。
 
  プロセス のアウトプットの狙いをプロセス実行の到達点として表現したものが、その品質目標である。すべてのプロセスには品質目標があり、これらを総合して品質マネジメントシステムの品質目標となる。規格では製品は「プロセスの結果」(ISO9000:3.4.2)であるから、品質目標は製品の特性で表現される。従って、「プロセスの品質目標」は「製品の品質目標」と同義語である。
 
  品質方針は一般に課題に言及するものであり、対応する品質目標達成の業務は一般に改善のプロセスである。これ以外のプロセスは経営理念や基本方針に沿って、又、これまでの通りに実行するべきことが暗黙の了解事項である。例えば前者は新製品の実用化などの開発活動、後者は製品実現の場における日常管理活動に相当する。後者の維持管理プロセスにも品質目標があり、組織の品質業績はこれら2種類の品質目標の総合的な結果である。
 
<規格要求事項とその真意−品質目標に関する要件−>
それぞれの部門及び階層で品質目標が設定される:   組織の品質目標は、関係する各プロセスの品質目標に展開されて取り組まれる。実務的には各機能部門が、組織の品質目標に係わる自部門の責任の業務とその到達目標を決めて実行することに相当する。重層構造の組織では、上位部門の品質目標は関係する各下位部門の目標に分解される。これは改善活動でも維持管理活動でも同じである。   トップマネジメントは品質方針を決めるだけではなく、その実現の基礎となる各業務の品質目標の在り方も自ら管理することが必要である。要求事項は「品質目標が確立している*」であり、トップマネジメントは、改善の目標の設定だけでなく、各部門、階層に委ねたすべての業務が自身の意図する結果を出せるようになっているかどうかを直接管理しなければならない。
製品要求事項を満たすために必要な品質目標を含める:   原英文では「製品に関する要求事項を満たすのに必要なものを含む品質目標が確立される」である。「7.1.a)参照」が付記されているから、これは製品実現の計画で決定すべき「製品に関する品質目標」である。組織が提供せんとするどの最終製品も、狙いの品質特性を明確にして、製造・サービス提供を行わなければならない。
達成度が判定可能:   各業務で何を達成するのかが明確になっていないと、組織の品質目標の達成はおぼつかない。また、達成の実行管理は結果を監視、測定して分析し(4.1 e)項)、計画通りの結果が得られるように必要な処置をとる(4.1 f)項)というPDCAによる。定量的表現がよいが、判断基準(4.1 c)項)が設定でき、監視、測定で結果を読み取ることができる表現であればよい。
品質方針と整合している:   品質目標は、品質方針をいつまでにどのように実現するのかを示すものであり、その規定する枠組み(5.3 c)項)の中で設定されなければならない。
文書化する (4.2.1 a)項)   品質目標が確立しているとは、その存在と内容が関係者の共通認識、共通理解になっており、所定の業務が実行されている状況のことである。文書化は、確立を促進し、確認する最も効果的な方法である(4.2.1 d)項)。品質目標はその性格によって様々な形で文書化される。例えば、業務方針書に品質方針と併記され、また、経営計画書や業務実行計画書又は開発計画書に、或いは、関係する手順書に管理基準として、また、検査基準書などに合否判定基準として、更には、製品の品質目標は契約書や顧客図面、品質計画書などに文書化される。
 
<品質目標の設定、見直し>
  規格に沿って品質マネジメントシステムを確立し、業務を行っている組織では、すべての業務に品質目標が確立している。しかし、品質方針が変更になった場合(5.3 c)項)や、品質方針が変わらなくとも個別業務の狙いや到達速度を変更する必要が生じた場合には関係する業務の品質目標を変更し、これを満たすように手順を変更しなければならない。例えば、マネジメントレビューの結果(5.6.1項)、また、是正処置(8.5.2項)、予防処置(8.5.3項)や新製品の製造開始、新技術や新設備の使用開始(7.1項)などで業務を変更或いは新業務を開始する場合である。
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その21.  品質マネジメントシステム の計画
<計画>
   「計画」の原英語は planning であるから「計画すること」「計画活動」に相当し、「将来やりたい事を詳細に手配すること」の意味であり、規格も「(活動、予定の行動の)手はずを予め整えること」と定義している。日本語の「物事を行うに当たって、方法、手順などを考え企てること」だけでなく、いつでも実施に移せるように準備することまで含む。
 
<品質マネジメントシステム の計画>
   規格は「品質計画」について、「品質目標を達成するのに必要な資源を計画する」(DIS版)、「品質方針と整合する品質目標及び要求事項を満たすのに必要な プロセスを明確にする*」(ISO9004)、「品質目標の設定及び必要な事業プロセスと資源の明確化*」(ISO9000)と規定している。一方「品質マネジメントシステムの計画」については格段の説明がないから、マネジメントシステムの定義「方針及び目標を定め、それら目標を達成するシステム」(同)をも勘案すると品質マネジメントシステムの品質目標達成を計画することであり、「品質計画」と同義語と受けとめることができる。
 
   規格では「資源」は、プロセス、手順を含み、マネジメントの実行に必要なすべてのものを意味するが、規格の記述ではこれら用語の使い方は一定しない。しかし単純に言えば、資源はプロセスの実行の手段であり、資源の使用を含むプロセスの実行の方法が手順であるから、品質目標の達成のためのプロセスや資源を明確にするとは目標達成の手順を確立することに他ならない。「品質マネジメントシステムを計画する」とは、品質目標を達成する業務の手順を確立することであり、手順を定めるだけでなく、関係者への周知を含む必要な資源を用意し、その業務が必要によりいつでも実行される状態にすることである。
 
<品質目標>
  品質マネジメントシステムは、品質マネジメントシステムに必要として特定した諸プロセス(4.1 a)項)から成り、順序と相互関係を決められて(4.1 b)項)システムとなっている。それらプロセスは品質方針の実現に関係するから、それぞれに目的や果たすべき役割があり、従って プロセスの実行、管理及び結果に関する方法と合否判定基準(4.1 c)項)が決っている。各プロセス実行の到達点が品質目標であり、合否判定基準がその達成の尺度である。
 
   品質方針を各部門、階層で品質目標に展開し実行計画により改善に取組む活動も4.1 a)項のプロセスのひとつである。これ以外のプロセスは現状品質水準の維持と問題発生防止に焦点を当てた品質目標を設定し、品質方針の実現を目指している。マネジメントの改善の方法論には現状の向上を図る改善と現状維持の管理の2種類があり、品質マネジメントシステムが両種のプロセスをバランスよく含むのが効率的、効果的である。
 
   品質目標は「品質に関して追求し目指すもの」(ISO9000)という定義が示すように、品質方針に沿ってその狙いを実現するように行う各業務の目標という広い概念である。改善活動の目標は品質目標であるが、そうではない日常業務にも品質目標があり、日々に製造・提供する製品・サービスの狙いの品質も品質目標である(5.4.2項)。
 
<品質マネジメントシステム の計画のアウトプット>
   品質マネジメントシステムの計画活動の結果、つまり規格では「アウトプット」は、計画活動で確立させた手順である。ISO14001では手段、日程を明確にした「環境マネジメントシステム プログラム(2004年版では実施計画)」が アウトプットである。特定の製品の製品実現の計画の アウトプットは規格では「品質計画書」と呼ぶ(7.1項 参考1)。品質マネジメントシステムの計画活動は、特定目的の新たな手順の確立や既存の手順の変更だけでなく、既存の関係する手順をどのように適用するかを明確にすることでも行われる。品質マネジメントシステムの計画のアウトプットは一般に、既存の手順の引用を含んだ新たな又は変更された手順書であり、これにインフラストラクチャー(6.3項)の新設、改造や手順の関係者への周知などを伴ったものである。
 
<品質マネジメントシステム の変更の計画>
   手順を変更し、それを正式の手順として確立する作業が、品質マネジメントシステムを変更することを計画する活動に相当する。これは、新たな品質目標が設定された場合、品質目標を変更する場合、品質目標は不変だが手順を改善する場合などに必要となる計画活動である。
 
<結言>
   品質マネジメントシステムを計画するとは、組織が品質マネジメントシステムに必要として特定した諸プロセスの品質目標を達成するための手順を確立することである。実務的には、品質マネジメントの各業務をその目的、役割を果たすためにどのように遂行するのかを決め、文書、設備、要員など必要なものを整え、手順を関係者に周知させ、方針に沿う業務実行を可能にすることである。この計画活動は体系的業務遂行に不可欠な要素であり、組織の品質方針を効果的に実現させるために行うものである。
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その20.   5.3項  品質方針
<品質方針に関する必要条件>
  本項では、トップマネジメントが設定(5.1 b)項)する品質方針に関して、内容と性格(a)〜c)項)及び取扱い(d),e)項)についての必要条件をそれぞれ規定している。
 
<経営方針>
   どの組織も創業の目的を追求する事業を行い、多くは活動の指針となる経営理念を持っている。この目的と理念は、事業展開の在り方を使命、最終到達点を経営目的、その実現を図る活動の指針、指導原則を経営方針として具体化され、更に各時点での到達点の経営目標とその達成活動の経営計画に展開して経営或いはマネジメントが行われている。計画は不確実性への対処として中期や短期の計画に分けられ、これらにも大元の方針を受けての下位の方針や目標が定められる。これらは成文化されておらずとも トップマネジメントの認識として存在しており、年度単位で マネジメントを行う組織では年度方針や重点取組み事項の形で反映される。今日のマネジメントは一般に、起業目的、理念、経営目的、方針、目標、計画という枠組みに基づいている。
 
<品質方針>
   規格での方針は、組織の「行動指針又は原則」、「全体的な意図及び方向付け」と定義されるから、経営方針のことである。また、規格の品質とは顧客満足度のことである。品質方針は組織全体の業務を律する全般的方針の一部であり、顧客満足の向上を追求する業務に係わる機能別方針である。
   
   また規格は、すべての業務と全体業務体系に継続的改善のPDCAサイクルを適用するプロセスアプローチに依拠しているが、品質方針はそのPである。品質方針は、品質目標の設定と目標達成計画の基礎となり、業務の実行を方向づけ、実行と管理の基準となる。 品質方針は、品質マネジメントシステムの継続的改善の道しるべであり、その変遷は改善の歴史であり、変更の実績が改善の証である。
 
<品質方針の設定>
   品質マネジメントを効果的に実行せんとするなら、その指針たる品質方針が必要である。大元の経営方針に顧客満足向上を図る方針を織込むだけでなく、年度方針でマネジメントが行われる場合にはその一部として、当面の顧客満足向上の重要課題に対応する品質方針を設定しなければならない。登録証の維持のためには、事業に困窮し又他に重要な課題があったとしても、品質方針を定めて顧客満足向上を図る取組みを行うことが必要である。
 
<規格要求事項 (品質方針に関する要件)>
   a)〜c)項のいずれの項も品質方針を経営方針として、また、顧客満足向上の活動に係わる指針、指導原則を規定する機能別方針としての必要条件を規定している。 トップマネジメント は、品質方針を設定した場合、それが真に効果的なものであることを、a)〜c)項に照らして検証することが大切である。
組織の目的に対して適切 (a)項): 組織の目的(purpose)とは組織の創業、存立の目的のことであり、このために実現せんとする事業の在り方に関してそれに至る活動の指針、指導原則が経営方針である。経営方針の一部たる品質方針は、組織の目的の追求に対して顧客満足向上の観点から、かつ、他の経営方針と協調して貢献するものでなければならない。
コミットメントを含む (b)項): 5.1項は トップマネジメントが品質マネジメントシステムの構築と実施及びその有効性の継続的改善に コミットメントし、証拠として品質方針を設定する必要を規定している。このコミットメントは、「顧客のニーズと期待を満たす製品を一貫して提供する」ような マネジメントを行うという公約である。品質方針はこのような顧客満足向上の取組みの道筋を示すものでなければならない。
品質目標の設定及びレビューの枠組みを与える (c)項):品質方針は品質目標の設定や変更の道しるべである。品質方針は考え方や方向感ではあるが、取組む課題を明確にし、どのように問題解決を図るのかを示す具体性が伴わなければ用をなさない。しかし品質方針は日々の業務遂行の指針、指導原理でもあるから、総合的、包括的なものでもなければならない。品質方針は、経営目的や最終到達点を示唆し、品質理念や顧客満足追求の コミットメントを含み、かつ、当面の業務の改善目標と業務実行の指針を明確にしたものである必要がある。

<規格要求事項 (品質方針の取扱いに関する要件)>
組織全体に伝達、理解される (d)項): 諸業務は品質方針に則って行われるから、その人々による理解が効果的な業務遂行のために不可欠である。しかし、必要な理解の範囲と深さは各人の業務の分野と階層によって異なるから、品質方針の伝達の方法も人々の必要に応じた適切な方法でなければならない。伝達と理解のため、また、その確認のため、トップマネジメントは、5.1 a)、5.5.2 c)、5.5.3、6.2.2 d)の必要条件を活用することができる。
適切性維持のためにレビューする (e)項): 事業の持続的発展は事業環境の変化への対応が鍵であり、変化を予測し把握して経営目的、従って経営方針を見直し修正することが経営者や トップマネジメントの最も重要な責任である。とりわけ顧客のニーズと期待は技術革新と市場競争にも後押しされて変わり易いから、中短期計画の方針としての品質方針の変更は頻繁なものとなる。規格はマネジメントレビュー(5.6項)を品質方針見直しの機会としている。年度方針の下でマネジメントを行う組織ではマネジメントレビューは年度末に行う業務実績の検分の機会であるが、この究極の目的は品質方針の変更要否の評価である。
文書化する (4.2.1 a)項): 文書化の効用は情報の明確化と共有化である。トップマネジメントがその意図、考え方として品質方針を掲げ人々に遵守を求めるなら、それを文書にして明確にしなければならない。組織には様々な品質方針が定められており、方針の元となった品質理念もある。品質方針を文書化してどのような目的に使用するのかによって、それぞれに適当な形式や表現で文書化することが大切である。
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その19.   5.2 項  顧客重視
◆ 顧客満足向上を図るPDCAサイクル
   本項は、組織の提供する製品、サービスが必要な顧客満足を確保するためのPDCAサイクル の方法論と責任を規定している。
 
◆ 品質保証と顧客満足
   96年版は品質保証の規格と言われ、「製品が規定要求事項に適合することを確実にする手段」である品質システムで「不適合を防止することによって顧客満足を得る」のが狙いであった。しかし今日では不良がないのは当たり前で、機能や性能が優れていても売れるとは限らない。また、食品のような製品或いは各種の サービス では品質は単純に良い悪いでは済まされない。 これらの背景から2000年版は「製品の品質保証に加えて、顧客満足の向上をも目指す」規格になった。
 
   ただ、審査登録は「システムが規定要求事項を満たしているという十分な安心感を与える」ものであり、海外取引で初めての相手を選び、供給系列の取引先を選ぶ指針となることが目的であるから、顧客満足向上というよりは品質保証の意味合いが強い。しかし、顧客は各組織の製品を比較して最も気に入った製品と組織を選んで「規定要求事項」として契約したはずであるから、組織は顧客満足の視点を疎かにはできない。
 
◆ 顧客要求事項
   「顧客要求事項」は customer requirement であり、「顧客に関連する必要事項」の意味である。 また、規格は「要求事項」を「ニーズ若しくは期待」と定義し、「顧客はそのニーズと期待を満たす特性の製品を必要としており、これらニーズと期待は製品仕様の形で表現され、その全体は顧客要求事項と呼ばれる」とも説明しているから、顧客要求事項とは供給者としての組織が満たすべき顧客のニーズと期待が仕様として具体化されたものである。 DIS版では「顧客のニーズと期待が決定され、要求事項に変換され、・・・」と、はっきりしない想いや希望のような「ニーズと期待」とこれを仕様に展開され具体的な形になった「要求事項」の概念の区分があったが、2000年版では「要求事項」自体が「ニーズと期待」であると定義され両者が同じとなった。ただし実際にはそれぞれの概念の「要求事項」として考えた方が理解し易い場合が少なくなく、2つの概念をひとつの用語で表すようになったと考えるのがよい。
 
◆ 顧客満足
   「顧客満足」は「顧客の要求事項が満たされている程度に関する顧客の受けとめ方」である。この「顧客の要求事項」は customer’s requirement であり、「顧客が必要とする事項」の意味であるから、顧客自身の想いや希望である「ニーズと期待」のことである。 「顧客要求事項」は「顧客の要求事項」を組織が推し量ったものであり、それが「顧客の要求事項」を満たせば、顧客は自身のニーズと期待が満たされたと感じる。 つまり、顧客満足度が高く、或いは、組織の顧客満足向上の狙いが満たされたということであり、組織が適切に顧客要求事項を決定したということである。
 
◆ 規格要求事項
   組織が将来にわたって事業を継続することを望むなら、その製品、サービスに関して必要な程度の顧客満足を確保し続ける必要がある。 このために組織は、受注、販売する製品、サービス に関する顧客のニーズ、期待が何であるかを推し量り決定した上で、それらに沿う製品、サービスを出荷、引渡すことが必要である。そして、出荷、引渡した製品、サービス が本当に顧客に受け入れられ満足を得たのかどうかを評価、検討し、十分でなければ顧客満足の更なる向上のために必要な要素を次に出荷、引渡す製品、サービス に反映させる。この絶え間ない製品、サービスの改善のPDCAサイクルを通じて、組織は顧客のニーズと期待の把握能力と製品、サービスに必要な顧客満足を確保する能力を身につけるようになる。
 
   「7.2.1及び8.2.1参照」との註釈は、この方法論の内、顧客のニーズと期待を把握し製品の仕様に反映させる手順及び顧客の受けとめ方を把握する手順が、7.2.1項、8.2.1項にそれぞれ規定されていることを知らせている。
 
   トップマネジメント は、品質マネジメントシステム の最も根幹的業務であるこの PDCAサイクルに必要な諸業務が明確にされ、手順が確立され、文書化され、諸業務が効果的に実行されるように、組織の活動を方向づけ、制御しなければならない。管理責任者(5.5.2項)を任命した場合でも、これら業務の実行管理を委ねることはできない。
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その18.   5.1項   経営者のコミットメント
◆ 経営責任
5章では「経営責任(management responsibility)」という標題の下に、 トップマネジメント の責任を記述する形で規格の意図における品質マネジメントに関する責任が明確にされている。
品質マネジメントは全管理層の責任であるが、トップマネジメント が中間管理層(ミドルマネジメント、ロアマネジメント )の業務遂行を管理しつつ全体を指揮し制御し、すべてに最終責任を有する。
規格は品質マネジメントシステムの業務を、トップマネジメントの実行管理上の責任に関して3種に分類し、「トップマネジメントは」『〜すること』及びその他の表現を当てている。
トップマネジメント が直接的に手を下すことが必要な業務 : 『トップマネジメントは〜すること』
中間管理層を指揮しその業務遂行を管理しつつ行なわしめる業務 : 『トップマネジメントは〜を確実にすること』
マネジメント代行者(管理責任者:5.5.2項)を通じて管理することでよい業務: その他の業務
 
◆ コミットメント (経営公約)
[5.1項]は、組織が規格を適用して顧客満足向上を図るためには、品質マネジメントシステム の構築、実施とその有効性の改善に対するトップマネジメント の コミットメント が必要であるとし、この コミットメント を組織内に明らかにするためにそれを トップマネジメント の行動に結びつけることの必要を規定している。
「ミットメント」 はcommitment の片仮名表記であり、96年版では「責務」と和訳されていた。規格ではan obligation と定義され、obligations は「約束や契約によって何か特定の行為に自分自身を縛りつける行為」「公式の約束」と定義されている。
顧客に受入れられる組織として恒久的発展を望むなら トップマネジメントは、如何なる事態に陥ってもISO9001に従った品質マネジメントを貫徹するという決意を固め、社内に公表し、職を賭す覚悟で品質マネジメントに取り組まなければならない。
る。
   
◆ コミットメント の証拠
トップマネジメントはコミットメントを行動で表すことが必要である。行動を起こさないならコミットメントは空約束に過ぎない。品質マネジメント を組織内で実行するには、要員の意識づけとトップマネジメントを支える中間管理層の行動が必要であり、そのためには トップマネジメントの揺るぎない決意を言葉だけでなく行動によって組織内に知らしめることが重要である。規格はこのために必要なトップマネジメントの行動を、a)〜e)項で示している。
法規制等の遵守と顧客満足向上の重要性の周知 ( a)項) :規格の定義から、「顧客要求事項を満たす」とは顧客満足の向上を図るという意味である。「法令・規制要求事項」の遵守はその要素のひとつである。トップマネジメント は、製品、サービスの顧客満足向上による組織の発展を目指すという品質マネジメント の基本を組織内に周知させる必要がある。周知を図るのに説明、記述、表示もよいが、トップマネジメント が顧客満足向上に向けた業務改善に指導性を発揮することが大切である。
品質方針を設定する ( b)項) :トップマネジメント は、顧客満足の必要な向上を図るために組織は何を目指さなければならないかという戦略的判断を品質方針に示し、組織内に明確にして、組織の業務を指揮することが必要である。
品質目標の設定を確実にする ( c)項) :トップマネジメント は、品質方針をどのように具現化するのかを明確にする品質目標が、それぞれの責任部門で明確になり、取り組まれるように管理することが必要である。
マネジメントレビューを実施する ( d)項) :トップマネジメント は品質方針の下に、品質目標の達成に向けて組織を指揮してきたが、一定期間毎に実績と事業環境、情勢の変化を体系的に見直し、マネジメント活動の必要な軌道修正を行うことが必要である。
資源が使用できることを確実にする ( e)項) :品質マネジメントを効果的に実行するためには手段としての人材や設備や資金を初め資源が必要である。トップマネジメント は必要な資源を見極め投入することが必要である。
     
◆ トップマネジメント の役割、責任、関与
トップマネジメント の責任権限の記述が96年版より大幅に増加したが、トップマネジメントの普遍的な責任権限では何も変わっていない。また、2000年版では品質マネジメントシステムを構築、実施、改善するのはトップマネジメントであることを要求事項 ([前段記述])として明確にしている。トップマネジメント の役割が「関与」でないことは明らかである。
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その10  要求事項の構成
   4〜8章が要求事項である。 要求事項とは規格の規定のことであり、「○○すること」などと表現される。 「要求事項」「requirement」の翻訳であり、定義では「need or expectation(必要とされるもの又は期待されるもの)」である。「要求事項」と言うより「必要事項」と言う方が規格の意図に近い。JISQ9001規格においては、組織が顧客満足の向上を目指す場合に必要な業務の在り方、つまり業務に対する必要条件のことである。
 
  規格には 250もの要求事項があるが、これらは無意味にばらばらに記述されている訳ではなく、その意図に則って分類し、順序づけられている。要求事項の解釈は個々の条文の文言ではなく、規格がその要求事項の配置によって表現したかった意図に沿って行なわなければならない。
 
  規格は要求事項を4〜8章に分けて、序文(0.2項)でこの章立てに一致する図.1(プロセスを基礎とした品質マネジメントシステムのモデル)を掲げている。これは、継続的改善を目指して組織を運営管理する活動の概念をPDCAサイクルの形で表現したものである。規格は要求事項を展開するに当たり、何を狙うかを決め、資源を用意し、達成の活動を行い、結果を測定、分析して、改善を図るというプロセス循環のマネジメントサイクルを意図している。
 
  しかし、これは実際の業務の相互関係や順序とは遊離した感が免れない。著者は実務の視点で、規格の要求事項(条項)を2つのPDCAサイクルとそれらの運用を支援する事項のそれぞれに位置づけて考えている。
(1) 製品提供のPDCA
5.2項(顧客重視)を理念として組織の事業活動に廻されるPDCAサイクルである。 このサイクルで顧客が次回も購入しようと思うような顧客満足の製品を提供することが追求される。
(2) 品質マネジメントのPDCA
8.5.1項(継続的改善)がその方法論を示す組織の品質マネジメントのPDCAサイクルである。このサイクルによって組織は、時代の変化にかかわらず顧客のニーズと期待を満たす製品を一貫して提供し続けることが可能となる。
(3) 支援プロセス
2つのPDCAを効果的に廻すために必要な支援業務が明らかにされている。
トップマネジメントは、これら2つのPDCAを効果的に廻すことにリーダーシップを発揮し、責任をもつということに揺るぎのない決意を固め、組織内外に公約し、実行しなければらない(5.1項)。
 
   要求事項を2つのPDCAと支援業務に分類し配置したものとして理解することが、規格の適切な解釈とシステムの効果的な構築と運用に役立つものと考える。
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その9  品質マネジメントの8原則 (マネジメント活動の方法)
d) プロセスアプローチ : 活動及び関連する資源が一つのプロセスとして運営管理されるとき、望まれる結果がより効率よく達成される。
e) マネジメントへのシステムアプローチ :  相互に関連するプロセスを一つのシステムとして、明確にし、理解し、運営管理することが組織の目標を効果的で効率よく達成することに寄与する。
g) 意思決定への事実に基づくアプローチ : 効果的な決定を行なうためには、データと情報の分析に基づくことが必要である*
 
<マネジメントの実施手法に関する原則>
   マネジメントがその狙いを実現するには、その活動は透明性があり体系的でなければならず、思いつきや人の勘に頼るのでなく事実に基づく科学的な思考や判断が活動の基礎とならなければならない。
 
<プロセスアプローチ>
   規格では "プロセス"は、"業務(の活動)"の意味で用いられている。業務が効果的、効率的に実行されるためには、諸活動、インプット、アウトプット、資源、手順という関連要素が明確にされることが大切であり、この状態で業務が運営管理されている時にこれを規格は"プロセス"と呼ぶ。プロセスアプローチとは、業務を"プロセス"として確立して実行するという業務取組みの概念である。この概念では、業務のこの実行の管理の方法論は計画、実施、管理、継続的改善という一種のPDCAサイクルを廻すことである。
  プロセスの概念は94年版にもあり、上記のプロセスアプローチの概念も実務的には目新しい考えではない。94年版の要求事項がプロセスの文書化を強調した感があり、プロセスの実行がおろそかにされたという実態と反省がある。2000年版でプロセスアプローチが強調されるのは、業務の実行による目標追求がシステム構築の目的であることを強調するためで、実務的には特別に意識するという必要はないように思える。
 
<システムアプローチ>
   システムとは「相互に関連する又は相互に作用する要素の集まり」であり、規格の場合の要素はプロセスであるから、プロセスの有機的集合体のことである。 組織の諸業務は相互に関連をもって実行されているが、この様子は「プロセスのネットワーク」と呼ばれ、規格はこれを「プロセスのシステム(system of processes)」と呼ぶ。  
   特定の目的に対して諸プロセスをシステムとし、システムをPDCAサイクルで管理することが、システムアプローチである。規格の品質マネジメントは、諸業務をプロセスのシステムと見做して全体としてPDCAを廻して継続的改善の目標を追求するという形の体系的活動でなければならない。このように体系的に業務を遂行することによって組織は、その目標を効果的で効率よく達成することができる。
 
<意思決定への事実に基づくアプローチ>
    実務的判断と戦略的判断とを問わず、マネジメントの意思決定は勘や体験に依存するのでなく事実に基づいて行なうことが大切である。そのためには起きた事実を記録し、これらデータを分析するが必要である。分析によって事象の背景に潜む真実を見いだすことが容易になる。データ分析は実務では、品質管理をはじめマネジメントの多くの業務で実行されている。
   規格はこの原則をトップマネジメントが行なう戦略的判断にも適用すべきことを明確にしている。すなわち、マネジメントレビューで検討すべき事項を羅列して明示しており、8.4項(データ分析)によっていわゆる生データでなく分析された結果の情報をその結論と合わせてトップマネジメントの戦略的判断に供することを指している。
詳しくはこちら<35-01-09>
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その8  品質マネジメントの8原則(マネジメント活動の実行主体)
b) リーダーシップ :   リーダーは、組織の目的と方向を一致させる。リーダーは-、人々が組織の目標を達成することに十分に参画できる内部環境を創りだし、維持すべきである。
c) 人々の参画 :   すべての階層の人々は組織にとって根本要素であり、その全面的な参画によって、組織の便益のためにその能力を活用することが可能になる。
h) 供給者との互恵関係 :  組織とその供給者は相互依存の関係にあり、その互恵関係は両者の価値創造能力を高める*
 
<マネジメントの実行主体に関する原則>
  この3つは組織のマネジメントにおいて諸業務を誰が担うかに関する原則である。 マネジメント活動はトップマネジメントの指揮の下、意識づけられた人々と自立した供給者の努力と協力によって効果的なものとすることができる。トップマネジメントは人々に参画意識をもたせ、供給者の自主性と主体性を涵養することで、両者のもつ能力を組織のマネジメントの目標の達成に寄与させることができる。
   
<リーダーシップ>
   leadership とは、リーダーであること、リードする能力、リードする行動* の意味(10)である。経営管理学で「組織の指導者が構成員に働きかけて、組織の目標の達成に個々人が貢献するように統率していく組織的力量あるいは指導力または資質」とも定義される。 品質マネジメントの効果的な実施のためには、トップマネジメントはじめ管理者がリーダーシップを発揮することが必要である。
  リーダーシップの発揮において特に大切なことは、「組織の目的に合致した将来像、方針、戦略的目標を確立」し、これを組織の構成員が理解し、その達成に向けて積極的に参加し努力するというような状況を創り出すことである。
   規格 5.1項(経営公約*)は、品質マネジメントの効果的な実行にトップマネジメントが不退転の決意を固め行動することを、証拠でもって示すことを規定している。
 
<人々の参画>
  組織の中の自らの仕事の役割や意味を理解し、組織の一員として他の人々と共に事業活動の遂行と発展の一翼を担っているという意識で仕事に取り組むような従業員を、規格は「参画意識をもった人々」と呼ぶ。このような人々はその持てる能力と努力を仕事に投入すること厭わず、従って組織はその有する人的資源を事業活動の推進にフルに活用することができる。
  人々の参画は、日本的経営の特徴のひとつであったが、今日では人々の意欲に期待するマネジメントが欧米でも拡がっている。
   人々を参画させるために規格は、トップマネジメントと人々との意思疎通の活動(5.1 a)項)(5.3 d)項) 及び 組織内の情報伝達、情報交換の活動(5.5.3項)を行なうべきことを規定し、教育訓練(6.2.2 d)項)や、 表彰制度など参画意識醸成に寄与する作業環境(6.4項)の整備が有効であることも示している。
   
<供給者との互恵関係>
   JISでは「組織及びその供給者は独立しており・・」と訳されているが、英原語は interdependent であるから「組織とその供給者は相互依存の関係にあり・・」が本意である。 供給者の主体的業務遂行に委ね、供給者の専門性を活用することで組織は一方的な支配の関係では得られない利益を享受し、供給者の力を自らの発展に資さしめることができる。供給者は顧客たる組織のニーズと期待に応える努力を通じて専門性を向上させ、"選ばれた供給者"の地歩を固めることができる。これが相互依存の関係であり、互恵関係である。
   規格は、7.4項(購買)で供給者とその製品の管理について、8.4項(データ分析)で供給者に関するデータ分析をそれぞれ規定している。この評価と必要な処置は、マネジメントレビューの検討項目(5.6.2 c)項)となり、顧客満足の継続的改善のための戦略的判断の対象(5.6.3 a)項)となる。
詳しくはこちら<35-01-08>
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その7  品質マネジメントの8原則 (マネジメント活動の方向)
a)  顧客重視 :  組織はその顧客に依存しており、そのために、現在及び将来の顧客ニーズを理解し、顧客要求事項を満たし、顧客の期待を越えるように努力すべきである。
f)  継続的改善 :  組織の全体的な業績の継続的改善を組織の恒久的な目標とするべきである。*
 
<マネジメントの方向に関する原則>
  この2つは組織をどのような方向で運営管理するかに関する原則である。組織の維持、発展は、顧客のニーズと期待にどこまで応えることができるかにかかっているから、マネジメント活動は顧客満足の向上に焦点を当てることが必要である。顧客のニーズと期待は常に変化するから、マネジメント活動はこれに適切に対応するため、製品やプロセスを継続的に改善することを意図したものでなければならない。
 
<顧客重視>
  いかなる組織も顧客の支持でなりたっている。顧客の支持は組織が常に顧客のニーズと期待に応えようと努力してくれるとの組織への信頼感が基礎となる。顧客要求事項を満たす製品、サービスをいつの時代にも一貫して提供することで顧客満足の向上を図ることができる。これを狙いとする品質マネジメントを組織の全体マネジメントの中核に据えることが、組織の事業の発展と成功をもたらし得る。
   規格5.2項(顧客重視)は、トップマネジメントが、受注した製品、サービスについての顧客のニーズと期待を自らの判断でくみ取って、それに合致するような製品、サービスを提供することを確実にすべきことを規定している。
 
<継続的改善>
   組織を発展に導くためのマネジメントは本質的に改善の活動である。マネジメントの方法論の基本は、現在あるいは将来の課題を抽出し、その解決のために方針、目標を定めこの達成を図ることである。これはPDCAサイクルの考え方によると、方針、目標がPであり、達成の活動がD、そのフォローがC,新課題の抽出や設定がアクション(A)である。また、規格の概念では、計画通りの結果が得られなかった場合にその原因を取り除いて再発を防止することが是正処置であり、計画の未達の兆候を見出して潜在する原因を除去して問題発生を未然に防止することが予防処置である。
   規格は 8.5.1項は、継続的改善の活動を「品質方針、品質目標、監査結果、データ分析、是正処置、予防処置及び マネジメント レビュー を通じて」と、その手順を明示している。
   品質マネジメントは顧客満足向上に関するマネジメントである。 顧客の期待、ニーズは時代により変化するし、競争もあり技術の進歩があるから、組織は現状の顧客満足に安住していれば将来を失うことになりかねない。規格の継続的改善は顧客要求事項を満たすために製品やプロセス、システムを改善する活動である。
詳しくはこちら<35-01-07>
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その6. 品質マネジメントの8原則(その意図)
    品質マネジメントの原則は8項目から成り、各々の意図や利益の説明はあるが、原則間の相互関係や全体としての意義についても説明がない。これら8項目は 3つの種類に分けてた上でそれらを関係づけることによって、全体としての意図が明確になり、個々の意味もよく理解できるようになる。
   
   すなわち、a)顧客重視と f)継続的改善は、組織のマネジメント活動の方向、つまり、狙いや目標に関する原則である。 次に、b)リーダーシップ、 c)人々の参画と h)供給者との互恵関係は、マネジメント活動を実行する主体についての原則である。そして、d)プロセスアプローチ、 e)システムアプローチ、 g)事実に基づくアプローチは、マネジメント活動を実施する手法に関する原則である。
   
   品質マネジメントの原理は、トップマネジメントが業績の改善を目指して組織を指揮、管理するために用いる、効果的な品質マネジメントの在り方を示している。 それは、トップマネジメントが組織の要員と供給者の能力を活用し、体系的、科学的な手法を用いて、顧客満足の向上を目指して製品を継続的に改善するよう組織を指揮、管理する、というものである。  品質マネジメントの原則は組織の発展のための指針である。JISQ9001規格の要求事項は、品質マネジメントの原則が、マネジメントの実際の各業務に対する要件として表現されたマネジメントの処方箋である。
詳しくはこちら<35-01-06>
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その5. 顧客要求事項
<はじめに>
  事業の維持、発展のため製品・サービスの顧客満足の向上を図る組織では、トップマネジメントが「顧客要求事項が決定され、(それが実際に)顧客満足向上の狙いを満たすものであることを確実に*」することが必要である (5.2項)。
 
<顧客要求事項と顧客満足>
  「要求事項」は requirement の和訳で、これは「必要事項」又は「要件」の意味である。規格も「ニーズ若しくは期待」と定義(ISO9000:3.1.2)しているから、“要求するもの”ではなく、“必要とされるもの”“期待されるもの”の意味であることは明確である。 「顧客要求事項」は、customer requirement という2つの名詞が連なった英文法上の群名詞であるから、その用法に従うと “顧客の『要求事項』”ではなく、“顧客に関する『要求事項』” である。「顧客要求事項」とは、組織の“顧客に関する必要事項ないし要件”であり、組織が“顧客に関して必要とされ、期待されている事項” である。これも規格の「顧客のニーズ若しくは期待を全体として顧客要求事項と呼ぶ*」(同:2.1)という説明で明確である。
 
  但し、「顧客要求事項」が組織の立場から見た顧客の“ニーズ若しくは期待”であるのに対して、実際に顧客が抱いている“ニーズ若しくは期待”は、“顧客の要求事項(customer's requirement)”とも表現される(8.2.2項)。
 
  組織は顧客に製品・サービスを買ってもらうためには、「顧客要求事項」を満たす製品・サービスを提供しなければならない。「顧客要求事項」を推し量り決定するのは組織の責任であるが、その「顧客要求事項」が適切であるかどうか、つまり、その製品・サービスが “顧客の要求事項”を満たしているかどうか、或いは、どの程度満たしているのかは顧客の判断するところである。顧客のこの判断が、規格の「顧客満足」(customer satisfaction)である(ISO9000:3.1.4)。
 
<顧客要求事項の決定>
  組織が製品・サービスの顧客満足の向上を図るには、顧客要求事項の内の製品に関連する要求事項、つまり、製品要求事項を適切に決定することが鍵である。これに関して規格は、7.2.2項で、4つの観点を規定している。この内a)項は顧客が明示する要求事項であり、契約条件、或いは、組織がカタログで明示する製品仕様などである。 c)項は法令・規制要求事項であるが、これは顧客の要求がなくとも組織が特定し対応処置をとることは当然の“顧客要求事項”である。またd)項は、DIS版からの変更の経緯に鑑みて、顧客のニーズ、期待とは直接関係ない組織独自の方針やニーズに基づく要件のことであると考えられる。
 
  b)項の「顧客は明示していないが、規定された又は意図されている用途に必要な要求事項*」が“顧客満足向上”に係わる要件である。誰にも明らかなニーズ、期待を満たすだけでは他社との競争優位は得られない。また、「顧客と合意した顧客要求事項を満たしても高い顧客満足が得られるとは限らない」(ISO9000:3.1.4 参考2)。「苦情がないことは、必ずしも顧客満足度が高いことを示唆するものでない」(同 参考1)。顧客は自分のニーズと期待を必ずしも認識しておらず、積極的に表明しようとはしない。組織は自身で、顕在の及び潜在の顧客のニーズや期待を探り、推し測ることが必要である。こうして組織は、「顧客の期待を越えるように努めなければならない」(同:0.2 a))。 ただ、当該製品に特有の機能や性能以外の使用環境や使用条件に係わる当然の特性や配慮も顧客満足向上には必要であるから、いわゆる“当然品質”に関する要件もb) 項に含まれると解釈される。
 
<まとめ>
  顧客のニーズと期待は「顧客要求事項」と呼ばれ、それを満たすことで“顧客満足の向上”が図られ、満たされた程度に関する顧客の受け止め方が「顧客満足」である。“品質が良い”“顧客満足が高い”“顧客要求事項を満たしている”はみんな同義語である。顧客満足向上には、組織自身で“顧客要求事項”を適切に決定することができるかどうかが鍵である。規格はこのための4つの視点を7.2.1項に規定している。
詳しくはこちら<35-01-05>
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その4. 継続的改善
   組織の維持発展のためには、現在のみならず将来にわたって一貫して、顧客の期待とニーズを満たす製品を提供していかなければならない 。 顧客のニーズと期待は変化し、かつ、競争と技術の進歩があるので、今日において必要な顧客満足を確保していたとしてもそれに安住することは将来において顧客を失う危険がある。
     
   品質マネジメントは、組織が時代や情勢の変化に対応して競争力のある、顧客に受け入れられる製品を提供し続けることを目指した組織の運営管理活動である。規格は組織が品質マネジメントの PDCAを効果的に繰返して、顧客満足の向上のために製品とそれをもたらすプロセス、システムを継続的に改善していくことを求めている。運営管理の業務体系たる品質マネジメントシステムがこのような改善を実現させ得るかどうかが有効性であるから、品質マネジメント システムの有効性の改善の実体は、顧客満足向上のために必要な製品の改善である。
     
   しかし、要求事項としての継続的改善は、品質マネジメント システムの諸業務を規格要求事項に従って効果的に実行することである。認証審査では結果はどうであれ、品質マネジメントの活動が 8.5.1項のPDCAを廻して実行されていることを実証すればよい。但し、顧客満足や製品の改善の実績のない活動を継続的改善と見做すことは、環境マネジメントシステム(ISO14001)の継続的改善と同様、審査上の判断としても問題になり得る。
   
   継続的改善は顧客満足の向上、プロセスアプローチと並んで2000年版の論理の中核である。継続的改善の要求事項は規格の目的である顧客満足向上の実現の方法を示すものである。また、組織の運営管理の本質は継続的な改善を図る活動である。組織の実務の上では、「継続的改善と呼べる活動をやめなければよい」では済まされない。規格に従って品質マネジメントを行うということは、組織が現に当面している顧客満足向上の緊要性や難易度に照らして適切な継続的改善の取り組みを定め、顧客満足向上や製品改善の実績を着実に出すことでなければならない。
詳しくはこちら<35-01-04>
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その3. プロセスアプローチ
    「プロセス」の英原語は、process であり、これは「継続的な前進、時間の経過、一連の行為、処置、操作の方法」の意味である。組織の業務運営を取扱う規格においてはプロセスは、日々に行われている業務のことである。
   
   プロセスの定義(JISQ9000: 3.4.1)は「インプットをアウトプットに変換する、相互に関連、作用する一連の活動」である。業務であるから変換とは何らかの付加価値を加えることを意味する。このためには、資源の投入が必要であり、資源の使い方は管理されなければならない。逆に、業務の要素の活動、インプット、アウトプット、必要な資源、手順が明確になった状態が「プロセス」である。
     
   業務はある目的で行われていても、同時にいろんな他の目的を達成するのに与かっている。従って、同じひとつの業務でも視点の向け方、焦点の合わせ方によっていろいろな異なった業務の一部と見做すことができる多面性をもつ。
 
   組織では多様な業務が行われているが、それらはバラバラに実行されているのでなく、一定の方向を目指して相互に関係を持ち連携して実行されている。これらプロセスの相互関係は一般に複雑であり、独立した多くのプロセスがネットワーク構造で有機的に結びつけられた状態である。このようなプロセスのネットワークを、プロセスのシステムと呼ぶ。
   
   システムとは諸要素の有機的集合体の意味であり、マネジメントシステムは運営管理の業務体系のことである。システムは概念上、要素プロセスとそれらの相互関係から成る。一方、システムを要素プロセスとそれらの実施に必要な手順、資源など"道具立て"とする理解もある。表現の違いであってどちらも適切な理解であるが、後者の場合は「システムの実施」ではなく「システムの運用」と言う方がわかり易い。業務を効率的に行うには、それを「プロセス」として明確にして、PDCAで運営管理することが大切である。そして目的に応じて諸業務を相互に関係づけてプロセスのシステムとし、システムを運営管理することが、組織の効果的効率的な業務遂行に通ずる。これが規格のプロセスとシステムに関する論理である。
   
  プロセスとシステムの概念は94年版にもあり、2000年版でも何も変わっていない。しかし、2000年版ではプロセスとシステムの両方にPDCAの考え方を適用して、継続的改善を図る運営管理(マネジメント)を行うことが明確にされた。2000年版でプロセスアプローチの考えが強調されているのは、 94年版でプロセスの手順の文書化が強調されて誤解を生んだ反省から、規格の意図がプロセスの文書化ではなく実行や運営管理にあることを明確にするためである。従って必要なのは、規格への認識と理解を正しい軌道に復帰させることであって、プロセスアプローチということでシステムの構築や運用上で新たに何かをしなければならないとは思えない。
詳しくはこちら<35-01-03>
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その2. 品質マネジメント
 組織は存立の目的を追求する事業活動を行っているが、合わせて、その維持発展のための管理の活動が存在する。経営の戦略、基本方針の執行のために人々はじめ資源を効果的、効率的に活用するよう事業活動(作業活動)を指揮管理する活動がマネジメントである。
   

 規格では、これを「組織を指揮、管理する体系的活動と規定している(JISQ9000: 3.2.6)。 規格のマネジメントは、方針、目標を定め、その目標を達成するというPDCAを廻す活動であり、組織の目標達成能力を向上させる継続的改善の活動である。
   

 如何なる組織にもマネジメントは存在しており、事業活動を組織の維持発展のために様々な観点から運営管理している。規格が規定する品質マネジメントとは、このような組織の全体マネジメントの中の、品質に関する側面である。規格はその狙いが顧客満足の向上にあることを明確にしており、「品質」の新しい定義からも、規格が規定する品質マネジメントとは顧客満足の向上を扱う運営管理活動である。
 マネジメントを統轄、管理する層がトップマネジメントであり、これに沿って部門内や各活動に関して作業活動を指揮監督するのがミドルマネジメント及びロアマネジメント、つまり管理者、監督者である。マネジメントは包括的な活動であり、トップマネジメントが全体マネジメントの一部の特定のマネジメントの日常的な実行管理を次席者等に委ねることが大規模組織では普通である。これが規格の品質マネジメントに関する「管理責任者」(原英語では「マネジメント代行者」)である。
   
   規格は、組織が顧客満足の向上を目指すならそのマネジメントの活動はどうあるべきか、の必要条件を規定している。どのような狙いでマネジメントを行うかは組織の自由であるが、認証登録を取得する組織はそのマネジメントの中に顧客満足の向上を目指した活動を含まなければならないということである。
詳しくはこちら<53-01-02>
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その. 顧客満足
  2000年版規格は顧客満足の向上を目指している。顧客は常に「自らのニーズと期待を満たす特性をもつ製品を求めている」と考えられ、この顧客のニーズと期待を顧客要求事項と呼ぶ。そして、「顧客要求事項が満たされた程度に関する顧客の受けとめ方*」が顧客満足(:3.1.4)である。
   
  製品を買ってもらわなければ成り行かないという意味で、組織は顧客に依存している。 顧客が製品を買ってくれるのはその製品に相応の満足をしているからであり、競合相手の製品より相対的に高い満足を感じているからである。顧客満足の向上を追求することによって、他組織に伍して、或いは、打勝って、顧客や市場において”選ばれた供給者(supplier-of-choice)”となり、”継続的に注文(follow-on orders)”を得ることができる顧客満足の意義は一般消費者向け製品、サービスについて語られることが多いが、競争がある限り、契約型や下請け型など如何なる形態の事業にもあてはまる普遍的原理である。
   
   ISOマネジメントシステム規格は、規格独自の考えによって作成されたのではなく、世界の専門家が認める最新の理論に基づいている。規格の種々の記述からも、規格の意図する顧客満足がマーケティングの最新の理論における顧客満足の概念と同じものであることは明白である
。  規格解釈は日本語条文の文言を根拠とするのではなく、現実の理論に沿って行われなければならない。
   
   競争のある中では、顧客の要求通りの製品では競合他組織と同じ満足しか与えることができないから、競争優位を得ることはできない。顧客のニーズは、顧客の明示の要求を超えて、組織が探り、推し測ることが必要である。 規格は、顧客のニーズと期待を把握し、提供した製品に対する顧客の受けとめ方を監視するため、顧客とのコミュニケーションを規定している。組織は、顧客との契約の有無によらず、顧客満足が得られるように、製品の品質、仕様をみずからの判断で決めることが必要である。製品の新機軸と他組織にない製品を提供する差別化が、顧客満足の要諦である。
   
  顧客満足の緊要性は組織やその状況によって自ずと異なる。どのような内容でどのような程度の顧客満足を狙うのかは組織の判断である。
   
  顧客満足に影響するのは最終製品だけではなく、製品実現プロセスでの顧客との対面で実施される諸活動や経営の理念、社会問題への対応状況など顧客が総合的に感じる利益に支配される。しかし、規格は製品以外の要素の顧客満足への影響は対象にしていない。また、認証登録の条件は規格要求事項に沿って顧客満足向上を目指すマネジメントを行うことだけである。
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