ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
109       組織の実務を基礎とする規格解釈
           
    組織主導の規格解釈(7)
<62-01-109>
0. 概要  こちら
 
 
1. 規格の性格

  規格が役に立たないという認証取得組織に蔓延している不満の原因は、組織が規格の意義に思いを致すことなく認証業界による文字面解釈に盲従しているからである。そもそも規格とは作り出されるものではなく、ある物又はある事柄が世の中に様々な姿や形で存在するのを整理し、平均的で適切な姿、形を決め、これを標準とみなそうという当該分野内部の合意である。しかし、認証業界の、そして驚くべきことに規格作成者の15年版改定解釈の説明には、この規格の性格についての認識が全く欠落している。規定の文章の変更を、その文面、しかも、規定の意図を顧みない不適切な和訳の日本語を根拠にして、組織にどのような効用があるかに触れずに新たな業務の形式を要求する改定解釈の根本は、自分達が規定を作り出しているとの思い違いである。
 
  しかし、遵守すればこのような効用が得られるとするISO9001/14001規格の規定は、規格作成者の創造物ではない。ISO9001/ISO14001は、製品の顧客満足/地球環境保全の点で顧客や利害関係者或いは社会の必要や期待に沿って事業活動を行ったことにより認められ信頼されて存続発展して来た世界の多くの組織の経営管理の様々な仕事のしかたの中から共通的で優れた考え方と方法論を抽出、整理して規定という形で標準化したものである。それ故に規定は無条件で信頼できるのであり、規定解釈はその元になった世界の優良組織の業務実態に照らして行なわなければならないのであり、規定の文字面解釈は以ての外なのである。
 
 
2. 組織の実務に照らした規格解釈
  従って、日本の組織の規格解釈の原則は、規定の用語や文章は当該組織で行なっているどのような仕事に関係し、規格はそれをどのように行なわなければならないと言っているのか、また、それは顧客や利害関係者或いは社会に認められて永続的に存続発展するために、或いは、そのための効果的な品質/環境経営であるために、或いは、組織の狙いの品質/環境業績の実現を確実にすることにどのように関係するのか、なぜ必要なのかを考えることでなければならない。
 
  この規定はこの仕事のしかた、この管理のやりかたについて言っているとわかり、これまで特に意識せずにやってきたこの仕事はこれが目的だったのかとわかると、規定の趣旨に照らして、今のままでよい、これはやる意味がない、或いは、このように変えなかければならないということになる。規定に対応する仕事が全く存在しないということは、まずほとんどないはずだが、そのときは尚更それがなぜ必要かを納得するまで考えることが、無駄な仕事を作って大変大変と嘆かないために必要である。
 
  例えば、マネジメントレビューという規定に関して、毎日やるべきだ、毎月の品質/環境会議を活用してもよい、何回かに分けて行なってもよいというような解釈論議が未だにかまびすかしい。しかし、文字面解釈に疑問を持ち、これは自分の組織でも行なわれていることと考えると思い当たることがあるはずである。
 
  例えば、どの規模の組織でも期末には決算を行う。決算では収益の確定と合わせて、経営者の頭の中の思考だけであれ、系統的分析データを用いた検討であれ、目標収益達成を評価し、差異の原因を分析して、その背景の業務実績と顧客の満足実態を把握し、これと経済情勢、顧客や市場の動向など次期の事情の予測とを照らし合わせて、次期の売上と原価に係わる成り行きを予測し、とり得る対応をとることにより可能な売上と原価の狙いとその差としての収益目標を決め、とるべき対応としての経営施策の腹積もりをする。ISO9001の「マネジメントレビュー(9.3項)」は、このような決算の中の顧客満足に係わる部分である。目標達成の評価と差異原因分析が「c) 品質パフォーマンスの情報」、次期の事情の予測が「b) 外部及び内部の事情の変化」と表現され、対応する必要があると判断される成り行きが「取り組む必要のあるリスクと期待」(6.1項)であり、腹積もりした経営施策がマネジメントレビューからのアウトプット(9.3.2項)と表現されている。
 
  また、経営者主宰の品質問題に関する月例会議をもっている組織では、期末のこの会議では1年を振り返って、各種の目標が達成されたか、どんな問題があったか、次年度に取り組むべき課題は何か等の議論が行なわれる。これは期末決算の顧客満足に係わる部分を独立して行なっていることを意味し、規格の意図のマネジメントレビューである。この期末の会議のやりかたを規格の趣旨に沿って見直せばよい。
 
 
3. 役に立つ規格にするために
  規格を役にたつものとするには、規格の元が組織で実際に行なわれている経営管理の活動にあり、日本の認証取得組織のすべては既にISO9001の規定に沿って業務を行なっていると考えて、規定は組織の存続発展に必要な顧客満足/環境保全業績の確実な実現のための必要条件であるとの認識の下に、規定に該当する既存の業務のやり方を見直すという、組織主導の規格解釈、規格導入或いは品質/環境マネジメントシステムの確立でなければならない。そして、それが規格作成の意図するところなのである。
 
H27.6.8 
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サニーヒルズ コンサルタント事務所