ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
17   製品の品質とシステムの品質  <62-01-17>
    ISO9001の登録証は製品に直接表示することは禁止されている。登録証は製品の品質を保証するものではないからである。しかし登録証は、その組織は不良製品が顧客の手に渡らないように、世界的に合意された適切で妥当な努力をしているという保証である。個々の製品の品質を保証するものではないが、顧客や消費者がその組織が提供する製品、サービスの品質に信頼感をもってもよいという保証である。 これが認証登録制度の趣旨である。登録証は、組織の仕事の仕方を認証するもので、個々の製品の品質の認証ではない。
 
   一方、認証登録制度のこの趣旨に適う考えであるとの主張の下に、登録証が保証するのはシステムの品質であって、製品の品質ではないという考え方がある。この考えは主として規格の解説や審査を行なう立場からしばしば表明される。この考え方では、組織が致命的な或いは重大な品質事故を起こした場合でも、その原因追求と再発防止対策がきちっと行なわれるならば、その品質マネジメントシステムは健全であるとみなされる。 悪いのは製品の品質であって、システムの品質は問題ない。 登録証が発行されている以上、組織の品質マネジメントシステム はISO9001規格の要求事項に従って構築され実施されていることが審査で確認されているので、品質事故の原因はシステムにはないと考えられる。 重大品質事故の度重なる露呈が原因と思われるこの6月の三菱ふそうトラック・バス鰍フISO9001の審査機関による登録停止の場合も「登録維持条件に抵触する」ことが理由と発表されている。ISO14001についても同じような考え方が主流であり、重大な環境事故を起こしても登録証の効力には直ちには影響がない。
 
   ところで、ISO マネジメントシステム では製品はプロセスの結果である。プロセスは業務の活動のことであり、ある目的のために種々のプロセスが相互関係をもって結びつけられたのがシステムである。従って、組織が顧客に提供する製品やサービスはシステムの産物である。 つまり、システムと顧客が手にいれる製品は、原因と結果の関係である。 製品が悪いのはシステムが悪いからに他ならないのである。悪い製品を顧客に提供するシステムを良いシステムと言うことはできない。
 
   ISO9001が規定する品質 マネジメントシステム は、組織が製品やサービスが顧客の顕在、潜在のニーズと期待を満たしていることを確実にするための業務体系であり、組織が品質不良の製品、サービスを顧客に提供するのを防止することが一方の柱である。 品質不良の製品を顧客が手にすることを防ぐことは、ISO9001 に適合するシステムの目的であり、組織がこのシステムを効果的に実施すれば、顧客が不良製品を手にする危険を限りなく小さいものとすることができる。従って、不良製品が顧客に渡ることをどこまで抑止できるかが、システムの品質である。システムの品質は欠陥製品や品質事故の発生度合いで評価されるものである。 このように、品質 マネジメントシステム の論理においては、製品の品質はシステムの品質の反映に他ならない。 製品の品質と無関係なシステムの品質があるという主張は、論拠に乏しく、認証登録制度の趣旨を逸脱している。
 
   審査合格が目的化した今日の日本のISO マネジメントシステム の実践においては、規格の要求事項に適合する形式が重視される。 審査では構築されたシステムたる業務体系にこの形式があるかどうかが焦点になり、システムの実施たる業務の実行に関してもこの形式の実行の確認に留まる。システムが不良製品防止という目的に有効かどうか、その目的が果たされるようにシステムが効果的に実施されているかどうかは、通常は審査の対象にはならない。 このような認証審査は正に、登録証は製品の品質と無関係なシステムの品質を保証するものとする考え方を反映している。 システムの品質と製品の品質は別物とする考えは規格の論理に適合しないし、このような考えで製品の品質を考慮の外においてシステムの品質のみを保証していると主張する登録証は審査登録制度の趣旨に合致したものとは考えられない。
H16.7.19 
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