ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
19   製品の品質とシステムの品質  <62-01-19>
   自治体のISO14001の認証登録が進んでいる。これらの中で審査登録機関による認証登録をとりやめる自治体が現れている。これは、規格と認証登録制度の趣旨に適う正しい判断であると思われる。
 
   ほとんどどの組織もその活動、製品、サービスに付随して環境に悪影響を及ぼしている。一方で公害に悩まされる地域住民や、購入した製品の使用による環境への悪影響を心配する消費者を初め各種の利害関係者は、組織に環境保全努力を望んでいる。ISO14001規格は、組織がこのような諸利害関係者のニーズと期待に応えてその活動、製品、サービスの環境影響の低減に取り組む場合の指針を示している。組織の存続のための利益の確保とバランスさせつつ必要な環境改善を実現するためには、環境改善をマネジメントの課題として体系的に取り組むことが必要である。規格はこのような考えから、環境改善のマネジメントの諸業務が効果的、効率的に実行されるための必要条件を規定している。
   
   組織が規格の要求事項に沿って業務を行なえば、組織は利害関係者のニーズと期待に応えた環境影響低減を達成することができる。このことによって組織はその諸利害関係者の支持を得ることができ、規制当局との摩擦回避、地域社会との共存、製品やサービスの販売、投資受け入れなどの利益を享受することができる。
 
   しかし、環境改善の成果は一挙に出るとは限らず一般には長期間の評価となる。そうとは言っても組織のマネジメントがISO14001に適っているとか、着実な環境改善成果が期待できるということは外部から伺い知ることは困難である。第三者機関による認証登録はこのような問題に効果的に対応する制度である。登録証は、日常的には組織の活動や製品に疎遠な利害関係者に対して、組織の環境保全努力がそのニーズと期待に応えているということを保証するものである。登録証の有無は見知らぬ組織との初めての取引や多くの組織からどれかを選ぼうとする場合に殊更有力な判断基準となり得る。
 
   ところで自治体が、地域住民の環境保全のニーズと期待を効果的に満たすためにISO14001をその業務に適用することは規格の意図に沿ったものと考えることはできる。しかし自治体の努力や成果は身近な地域住民には目に見えることが多いし、広報誌等で十分に知らせることができる。登録証が住民に対する自治体の努力の証明だというのなら、わざわざ大金を使って取得するまでもない。それに、住民が幾つかの自治体の環境保全努力を比較して自分の住む地域を選ぶというようなことはないから、競合他組織と争って支持を得るための道具としての登録証の効用も自治体には当てはまらない。
   
   規格は組織が自ら適合性審査を行なってこれを自己宣言することを認めている。自治体がその環境保全努力を住民に知って欲しければ広報誌などを利用してISO14001適合の自己宣言をすればよい。見知らぬ営利企業の自己宣言は俄には利害関係者に信用されないだろうが、自治体が宣言してそれが住民に信頼されないということはないはずである。
 
   日本ではISOマネジメントシステム規格を組織の業務に適用することが認証登録とほとんど同義語となっている。このような誤解を背景として、ISO14001に従って環境マネジメントシステムを確立した自治体は当然のように、審査登録機関による認証審査を受けて登録証を取得している。 地域住民以外の利害関係者は考えられないから、登録証は自治体ないし担当公務員の仕事振りを住民に対して訴えるのが目的である。しかし、その取得費用は住民の税金から支出されている。 ISO14001と認証登録制度の意図を正しく知らされた住民が登録証取得を望むとは思えない。登録証取得をとりやめた自治体は正しい判断をした。
H16.8.14 
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サニーヒルズ コンサルタント事務所