ISO9001/ISO14001
コンサルティング・研修


解説
 
    実務の視点    規格要求事項の解釈
このセクションでは、 MS 実務の視点主宰者が、ISOマネジメントシステム規格を取巻く種々の問題を取上げ、
実務の視点に立つ  ISO マネジメントシステム コンサルタント としての見方、考え方を披露します。
目  次
MSS 共通テキスト
定義・上位構造
13
2015年改定の要点
ISO9001
14 2015年改定の要点
ISO14001
英語で読み解く
ISO9000/14000
規格の論理
ISO9000/14000
実務の視点による
ISO9001の解説
よく見られる
誤った取組み
ISO9001/14001
この方がよくわかる
ISO14001:2004
実務の視点による和訳
規格と認証の利用
ISO9001/14001 事例研究
改定の要点
ISO14001:2004
10 改定の要点
ISO9001:2000
11 改定の要点
ISO9001:2008



テーマ別  目次
-特定テーマで考える-
顧客満足
日立、原発事故響き巨額赤字
日航再建はブランド力回復がカギ
カルフール社業績不振で日本撤退
ミツカン ブランド重視の拡販戦略

テーマ別  目次
-特定テーマで考える-
不祥事
不祥事と登録証
リンナイの ISO認証再検討
不二家 ISO14001認証一時停止
不二家 ISO9001再認証されず
欠陥マンション会社  ISO9001認証ISO9001、曲がり角
三菱ふそう、ISO認証一時停止
品質不祥事
「白い恋人」賞味期限書換え
フジテック エレベーター規格外鋼材使用
偽装ミンチ食品会社を強制調査
生命保険でも不払い263億円
NECトーキ 製造ミスで最終赤字に
不二家 安全宣言、生産再開
不二家へ衛生管理で支援受け
データ捏造、番組打切り
不二家 期限切れ原料の使用
東芝、中国でパソコン販売自粛
ソニー、リチウ電池問題説明不足
揺らぐ日本の「品質神話」
日立、原発部品事故響き赤字
プール事故死 安全点検業者任せ
トヨタ RV車の欠陥を放置
誤発注で東証マザーズ市場混乱
美浜原発の蒸気噴出事故遠因
パソコン用ソニー製電池発火事故
東証の大規模システム障害(続)
東証の大規模システム障害
環境不祥事
トヨタを汚水排出で書類送検  
日本製紙 煤煙データ  改ざん
その他
全日空システム障害 原因究明
ベスト電器で回収家電大量紛失

鉄道マンの基本の徹底
構造計算偽装解明調査難行
約定急増で東証システム綱渡り

テーマ別  目次
-特定テーマで考える-
地球環境
環境悪化
温暖化、全地球に影響(IPPC)
中国、水不足や汚染深刻
異常気象 世界で猛威
過剰富裕化論の現実化
中国、日本の廃プラ輸入を禁止
環境改善
名鉄が エコムーブマーク で環境アピール環境対策、コストとのせめぎ合い
回収樹脂の自社再使用拡大
環境政策
経産省、省エネ投資支援
経団連が環境税創設に反対

テーマ別  目次
-特定テーマで考える-
他の適合性評価制度
環境
KES認証事業部が独立
環境省 産廃処理業者評価制度

環境省の環境管理認証制度
品質
マンション販売に住宅性能表示
有機JAS認証の不正表示
JAS認定機関業務停止命令
その他
UFJホールディングス 決算再修正

ISO9001/14001 規格と認証の利用 事例研究
  −時事問題でISO9001/14001規格を考える−
63
実務の視点が依拠する ISO9001/14001と規格適用と認証制度の論理と意図を、
新聞等で報じられる事件や問題に則して考えます。
規格と認証制度の効果的な利用は、規格要求事項を
どのように組織の実務に結びつけることができるかにかかっています。
目 次
<引用事例>
<No.1; H16.4.21>  顧客情報漏洩事件の特集記事    から
<No.139; H19.11.21>  キャノン、世界の拠点でISO14001統合認証   まで

<基本事項>
◆ 規格の適用、意義
◆ 認証審査、登録証
◆ マネジメントシステム



<ISO9001/14001 共通>
◆ コミットメント
◆ 品質方針、環境方針
◆ 法令、規制
◆ 文書、文書管理)
◆ 記録の管理
◆ 資 源
◆ 力量、能力、教育訓練
◆ 認識、自覚
◆ 購買管理
◆ 監視機器及び測定機器
◆ 是正処置、予防処置
◆ トップマネジメント
◆ マネジメントレビュー
<ISO9001>
◆ 品質、顧客満足)
◆ 製品、サービスの改善
◆ 内部コミュニケーション
◆ インフラストラクチャー、作業環境
◆ 製品実現の計画
◆ 製品に関連する要求事項
◆ 顧客とのコミュニケーション
◆ 設計開発
◆ プロセスの妥当性確認
◆ 顧客所有物の管理
◆ プロセスの監視及び測定
◆ 製品の監視及び測定
◆ 不適合製品の管理

<ISO14001>
◆ ISO14001 2004年改定版
◆ 著しい環境側面
◆ 実施計画
◆ コミュニケーション
◆ 運用管理
◆ 緊急事態への対応
◆ 不適合の管理

  規格の適用、意義 <基本事項>
<No.131; H19.7.12> −日本製紙 煤煙排出データ 改ざん−
 
日本製紙の釧路、旭川両工場で発電用ボイラー から排出される煤煙の記録データ 改ざんが発覚した問題で、同社は10日、新たに4工場で排出基準超過や報告義務違反、データ 改ざんといった大気汚染防止法などに抵触する法令違反が見つかったと発表した。富士工場では地元自治体との取り決めた「協議値」を超過していた上に報告書のデータの改ざんもしていた。関係各県などは立入検査を実施する予定 (日経新聞 7月5日号)。
   日本製紙は、地球環境への取組みを経営ビジョンに織込み、今年4月の「近年の環境に関する情勢変化を踏まえ6年振りに“環境憲章”を変更した」など積極的な環境取組みを ウェブサイトでも広報してきた。そしてこの一環として、全工場・事業所、事業本部及び研究開発本部でISO14001の登録取得をしている。ISO14001では法令など規制に関して遵守状況を責任者が定期的に評価し、その記録を残すこと(4.5.2項 遵守評価)、更に、トップマネジメント がこれを確認すること (4.6 a)項 マネジメントレビュー)になっている。また、H17年2月のJFEスチールの水質、同5月の神戸製鋼の大気の排出データ 改ざん事件は、トップマネジメントの意に反する末端の担当者の行為という点で関係者に衝撃を与えたが、規格はこのような事件を自社で防止する予防処置(4.5.3項)の手順を規定している。報道では同社がこれらのことをきちっとやってきたかどうかはわからない。しかし、同社の環境先進企業のイメージは今回の事件により失墜した。ISO14001は、組織が環境に関して経営の狙いを実現する、換言すると、社会のニーズや期待を裏切って経営が揺らぐことのないようにするにはどうすればよいか、ということを規定している。しかし、多くの組織が、どこまでやれば“規格の要求”を満たすことができるか、審査に合格する最低限のことをやればよいというような規格取り組みになっている。日本製紙のISO14001も後者で、登録証を壁に掲げ、ウェブサイトで発表するだけのものだったということである。
 
<No.128; H19.6.11> −コムスン介護事業譲渡問題で会長が会見−
 
事業取消し処分を受けた訪問介護最大手コムスンがその全事業をグループ内会社に一括譲渡しようとした問題で折口会長らが8日、記者会見した。同会長は譲渡計画を当面凍結すると表明したが、同時に介護事業継続の意向をにじませた。会見では「介護事業には思い入れがある」「お客様の介護を第一に」と事業に懸ける思いが繰り返し強調された。しかし、処分が下された理由は、管理者やヘルパーがいないのに虚偽の申請をしたりなど悪質なものだった(日経新聞 6月9日号)。
    同社は全国に 2,000余の事業所を展開し、従業員数24,000人にのぼるとされる。事業への思いを東京に居る会長が全拠点で実現させようと思うなら、経営管理の業務体系を確立し、それに則って業務が体系的に行われるようにすることが必要である。会長は思いを方針、目標として明確にし、その実現を図る業務の決まりや方法、基準を定めて文書化し、社員に徹底し、かつ、実際の業務がその通りに行われ、結果として自分の思いが実現しているかどうかを監視し、必要な指示、指導、方向づけの変更を行わなければならない。ISO9001、14001は、このような文書化を武器に経営者の思いの実現を図る経営管理(マネジメント)のPDCAサイクルを基礎としている。ISO9001は顧客満足向上、ISO14001は地球環境保全という点から、企業が健全な発展を目指す道筋を規定している。同会長の思いが会見で披瀝された通りであるなら、社内の業務の再構築を図るのにISO9001が貴重な手本となる。
   
<No.127; H19.5.29> −全日空システム障害 原因解明「まだ時間」−
 
 27日に130便もの欠航を出した全日空の予約搭乗管理システムの障害は、新規導入の3系統のシステムが原因であり、旧来のシステムに戻して復旧した。その後 システム開発にかかわった日本ユニシスなどと共同で原因究明を急いでいるが、「詳細が判明しておらず、解明にはまだ時間がかかる」という。原因がわからない状況では再発防止策もままならない(日経新聞 5月29日号)。
    新規システムがシステム障害の原因であるから、その操作に人為的なミスがなかったとすれば システム設計上の問題であり、新規システム自体に問題があるのか、新規システムと従来の関連システムとの関係に問題があるのかどちらかである。ISO9001では、設計開発の結果である システムのプログラム(7.3.3 設計開発からのアウトプット)について、設計開発の目標(7.3.2 同インプット)である機能、性能を満たしたことを確証(7.3.5 同検証)し、更に、当該プログラムが投入される全体システム環境においても正常に機能し、また、全体システムの機能に悪影響を及ぼさないことを確証(7.3.6 同妥当性の確認)しなければならない。この関係各社の当該業務部門がISO9001の登録証の下で業務を行っているかどうかはわからないが、いずれも著名な大企業であるからこのような品質保証の基本手順を踏んでいないとは思えない。それならば問題は、このようなシステム障害を防止できるほど効果的な検証や妥当性確認を行う能力、つまり、システムを取扱う組織としての固有技術能力に不足があるということになる。ISO9001は効果的な業務であるための必要条件を規定しているが、必要条件をどのように満たすかの手法や技術については何も教えてくれない。ISO9001の要求事項を効果的に満たすことはどの組織にも可能という訳ではない。登録取得組織が不祥事を発生させるのは、要求事項を満たしていることを“仕組み”と称される業務の形式で評価しているからである。
   
<No.124; H19.4.23> −登録件数急増でKES認証事業部が独立−
 
 京都で生まれた環境管理規格KESの認証業務を手がけるNPO法人KES環境機構がこのほど発足した。新法人は、京都市や京都工業会、市民団体などでつくる任意団体、京のアジェンダ21フォーラムのKES認証事業部が独立したもの。登録件数が全国で急増しているためで、法人格取得で社会的信用や認知度を更に高めるのが狙い(京都新聞 4月11日号)。
  KESは中小企業でも分かりやすく取り組みやすいといういわゆる簡易版ISO14001のひとつである。環境マネジメントシステムを唱えてはいるが、ウェブサイトの説明を読む限り実態は“著しい”環境影響を改善する運動を規定している。ISO14001は、環境問題を経営の課題のひとつに位置づけて、環境影響の改善を経営の目標の実現を図る要素のひとつに織り込むことを基本としている。ISO14001は環境責任を果たす経営管理の在り方を規定しており、その枠組みに環境改善運動を取入れることを否定してはいないが、環境改善運動自体がどうあるべきかを規定する規格ではない。同規格の序文はISO14001の意義について大略次のように述べている。すなわち、どの組織も環境を顧慮せずにはたちいかない時代になり、環境改善の種々な取組みをしてきたが、組織の環境影響の程度が今日も将来も法規制や利害関係者のニーズと期待を満たし続けることが保証されるような効果的な取組みであるためには、組織の経営活動と一体となった環境マネジメントの明確な業務体系に基づく取組みとする必要がある。
 
<No.122; H19.4.9> −温暖化、全地球に影響(IPPC報告)−H18.11.12>
 
 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第二部会は6日、温暖化が「地球規模で目に見える影響を及ぼし始めた」とする報告書をまとめた。人間の社会活動が温暖化の原因であることを指摘し、平均気温の上昇幅を1990年比で2〜3度に抑えなければ海面上昇、洪水、暴風雨の被害や生物種の激減、サンゴ死滅など世界的に損失が拡大すると警鐘を鳴らした(日経新聞 3月23日号)。
   1992年の国連の“地球サミット”は、世界が21世紀の温暖化防止を初めとする地球環境保全にどのように取組むかを討議し誓約した会議であるが、ISO14001はこれに関連して、産業界を代表するBCSD(持続可能な開発のための経済人会議)の要請により作成された。規格は、事業組織の地球環境保全責任の果たし方の世界標準である。規格の意図は、現場主導の環境改善活動ではなく、環境責任を果たすのに必要な環境投資、環境コストを事業発展と両立させる経営の戦略的判断を基礎とする環境改善施策の実行であり、施策は公害防止を含み、温暖化進行防止など地球環境改善へ寄与するものでなければならない。
 
<No.104; H18.11.12> −相次ぐ不具合で揺らぐ日本の「品質神話」−
 
 パソコンや家電製品の発火事故、自動車の大量リコールなど、日本企業の強みであった「品質神話」が大きく揺らいでいる。背景には日本企業の品質へのこだわりが薄れているという状況があり、デミング賞申請件数やQCサークル活動成果発表数も減少し、原子力発電のタービン動翼破損事故のように品質に対する認識を疑う事例さえ出ている(日経新聞 11月11日号)。
   ISO9001は、記事の「品質神話」を中心に同様の世界の成功企業の体験の背景を分析して、不良製品、品質事故を起こさないための業務のあり方を論理化し体系化したものである。記事はこのお手本となったはずの日本を代表する大企業で品質問題が頻発し始めたことを憂慮している。記事は「90年代の経営環境悪化で地道な現場の取り組みが重視されなくなった」ことが背景としているが、これら企業のものづくりのマネジメント或いは品質マネジメントの業務体系が放棄されたのではなく、規格の表現によると「効果的に実施していない」ということである。ISO9001は、各種業務のあるべき姿、つまり、要件を規定しているだけで、それら要件を満たす方法論は何も語っていない。しかし、その基本となる管理者のリーダーシップへの責任感(5.1項)と作業者の業務に対する自覚、認識(6.2.2 d)項)、これを育む情報伝達(5.5.3項)と人間重視の労務施策(6.4項)の必要を明確に指摘している。
 
<No.103; H18.10.22> −経産省、中小企業の省エネ投資支援−
 
 経産省は、二酸化炭素など温暖化ガスの削減につながる省エネ設備を購入する中小企業に政府系金融機関が通常より低い金利で貸し付ける「金利減免」制度を設ける。大企業に比べて遅れている省エネ対策を後押しし、地球温暖化防止のための京都議定書が定めた温暖化ガスの削減目標の達成を目指す(日経新聞 10月1日号)。
   組織にとって環境対策は投資やコストを伴うのが普通であり、この故に地球温暖化や、時には公害問題にさえ後ろ向きになりがちである。記事の制度は政府が主導して低利融資によりコスト負担を軽減することで中小企業に温暖化ガス削減取組みを促すことを目的としている。これに対してISO14001は、事業組織がコストを負担しても自主的に活動と製品の環境影響の削減を図る際の指針を示すものである。営利組織である以上は例え地球環境に対する貢献であってもコスト増に見合う利益が必要であるから、審査登録制度がISO14001に則って業務を行う組織を峻別し、広い利害関係者からの利益を得られることを保証する。規格の想定する利益とは、社会との良好な関係、有利な資金調達、安価な保険料、市場占有率強化、有利な新規取引、賠償責任を伴う事故防止、容易な許認可取得などである(ISO14004,0.2項)。 
   
<No.101; H18.9.26> −中国、水不足や汚染深刻−
 
 中国での水の汚染と不足が止まらない。急激な経済成長による水需要と汚染の拡大が中国人の健康をむしばみ、経済発展を妨げる恐れさえ出てきた。地方では「捨てるものになぜカネをかけるのか」とか「排水規制違反で罰金を払う方が安上がり」として汚水処理施設に冷淡な経営者が多い(日経新聞 9月25日号)。
   ISO14001は、このような公害を含めて組織が発生させる環境影響について法規制の遵守は当然として、被害者をはじめ利害関係者のニーズと期待を満たすように環境影響を維持管理し、改善していくための規格である。中国のISO14001の登録数は近年急増し、昨年末では12,683件に達している。これは23,466件の日本に次いで世界第2位で、世界の総登録数111,162件の11%に相当する。このISO14001登録の増加が記事のような環境の悪化を背景としていることは十分に推定できるが、実際に環境悪化を食い止める働きをしているのかどうか、記事はISO14001自体にも触れていない。登録の急増が環境対策への真剣さの現れであり、やがて中国の環境問題が解消に向かうことが期待できるのか、はたまた、公害を克服した日本での現場の自主的環境改善運動然としたISO14001取組みと同じ規格解釈による表面的取り組みによって社会の批判をかわしているだけなのか。
   
<No.100; H18.9.15> −日立、原発部品事故響き巨額最終赤字に−
 
 日立製作所は15日、2007年3月期が550億円の赤字(前期は373億円の黒字)になると発表した。一括計上した未払費用750億円が原因であり、この内で中部電力、北陸電力で起きた原発タービン破損事故に伴う補修費用が半分程度にのぼるもよう。これには中電の逸失利益は考慮されていない(日経新聞 9月16日号)。
    ISO9001は品質保証のための要件を定めた規格であり、2000年版で“顧客満足”を標榜するようになってもこの本質は変わっていない。規格は、製品の品質への不安を拭い去ることによって、国際間の初めての或いは見知らぬ相手と取引が円滑に進められるようにすることを目的に制定された。 審査登録制度は登録証によって、組織が欠陥品、不良品を出荷しないことを含み、組織の製品が顧客のニーズと期待を満たすものとの安心感を顧客にもたらすよう設計されている。反対に品質保証に齟齬を来した組織は顧客から排除され、起こした損害の回復と補償の費用と相まって存続を危うくする事態に追い込まれることにもなる。ISO9001は、このような事態を回避し、逆に品質への信頼によって取引を拡げて組織を発展させるための組織のマネジメントの業務の在り方を規定している。
 
<No.97; H18.7.31> −異常気象 世界で猛威−
 
日経新聞はトップ記事で、世界各地で異常気象による被害が広がっていることを報じている。記事は、米国の高温と渇水、欧州の高温、中国の豪雨と低温、豪州の多雨、それに日本の異常な梅雨を挙げ、偏西風の蛇行が原因とする識者の見解を合わせて報じている(7月29日号夕刊)。国連環境計画(UNEP)は世界各地で観測される現象を”地球温暖化早期警報”としてまとめているが、記事の異常気象はこの延長線にあると見ることができる。一部にこれを全面否定する考えもあるが、国連を中心とした世界の環境取組みにおいては温暖化現象は人間による温暖化ガスの排出の結果であるとの認識が定着している。今日の世界の環境取組みはWECD東京宣言の「持続可能な発展」の考えに基づいており、この枠組みの中で企業など事業組織がその製品と活動のもたらす環境影響を低減する活動の世界標準がISO14001である。組織がISO14001に従って環境問題に取組めば、地球環境保全に必要な貢献が出来、その環境責任を果たすものと社会から認められる。組織は事業に必要な自然環境を維持し、社会の支持を得て持続して発展していくことができる。
   
<No.93; H18.6.1> −名鉄が エコムーブマーク で環境アピール−
 
名古屋鉄道は31日、「鉄道が  マイカー  などと比べて環境に優しい移動手段」であることを  アピール  するために、名鉄独自の環境マーク  「エコムーブマーク」  を制定したと発表した。定期券や  ポスターなどに使用していく(日経新聞 6月1日号)。    ISO14001は組織が事業活動と製品の環境影響の改善に体系的に取組む マネジメントの在り方を規定している。規格では、そのすべてでなくとも、一部でも組織がもたらした環境変化はすべて「環境影響」であり、それは「有害か有益かを問わない」(3.7項)。規格は環境保全を含む環境改善のことを「汚染の防止*」(3.18項)と呼び、直接的には「有害な環境影響」への取組みにしか触れていないが、「環境パフォーマンス」(3.10項)の「継続的改善」(3.2項)において「有益な環境影響」の増進を否定するものではない。組織の活動、製品・サービスの中から利害関係者のニーズ、期待に合致する有益な環境影響を見出し、製品・サービスの購買など利害関係者からの支持に結びつくようにこれを活用できれば、地球環境保全が組織の経済活動の利益になる。ISO14001は組織の マネジメントにこのような機会を提供する。ISO14001のマネジメントシステムは経済上及び環境上の利害を均衡させ、そして、融合させる枠組みである(ISO14004 0.2項)。
 
時事寸評 <No.79; H18.1.7> −環境対策、コストとのせめぎ合い−
I  
日経新聞連載記事"環境と市場"では、電子機器への有害物質含有禁止の欧州連合 RoHS指令への対応が「新たなコスト負担を生むが、製品価格への転嫁は難しい」と業界の悩みを採り上げている(1月6日号)。 ISO14001の狙いは「社会的、経済的ニーズとバランスをとりながら環境保全、汚染防止を図る*」(序文)ことであり、組織がその環境影響を被る又は関心を有する利害関係者のニーズと期待に応えるように環境対策を行えば、利害関係者に受入れられるという市場、社会原理に依拠している。 ISO14001に則って活動、製品・サービスの環境対策を適切に行えば、製品の販売増(顧客の環境意識)、取引先確保(取引先の環境保全要求)、地域社会との共存(公害)、低利融資(環境配慮型融資)、株式時価の高騰(社会的責任投資)、規制官庁からの法違反疑念の低減(立入り調査)など、利害関係者から利益を得ることができる。 いずれも法規制の前に取り組んで初めて競合他組織から差別化でき、獲得できる利益である。 ISO14001の論理は組織が環境保全に寄与して且つ利益を得る絶妙の仕掛けである。
   
時事寸評 <No.74; H17.12.11> −みずほ証券の大量誤発注で東証マザーズ市場が大混乱
    
みずほ証券の東証マザーズ市場への誤発注は担当者の取引システム端末への単純な入力ミスが原因であるが、端末画面の警報が日常的に無視されていること、取り消しの操作を間違えたため誤発注が取り消せなかったことが問題の背景として報じられている(日経新聞 12月10日号)。  ISO9001/14001は誤作業防止に直接言及していないが、業務が狙い通りに行われて狙いの結果を出すようにするための業務管理の在り方を規定している。 規格によると、ミスを含めて決まりの通りに業務が行われなかった場合に事業活動に重大な影響が生じる状況(ISO9001:1996 4.9 a)項/ISO14001 4.4.6 a)項)に対しては、手順を確立するだけでなくそれを文書化することが必要である。 また、一般に手順には、端末操作の手順(ISO9001 7.5.5項)だけでなく、正しい入力の確認(同 8.2.4項)や誤入力修正(8.3項)の手順などPDCAの各要素を含めなければならない。 そして、担当者がこれら手順を理解し操作に習熟していることを確認してからその業務を担当させる(6.1項)。  管理者は種々の可能で必要な程度と方法で警報無視を含む担当者の手順遵守の状況を監視し、改善の指導、処置(8.2.3項)をとらなければならない。 画面の警報も誤作業防止の技法であるが、効果的な技法を編み出し手順に織り込んでその間違いない実行を図るのが マネジメント (management) であり、管理者(manager)の業務である。
   
時事寸評 <No.57; H17.7.1> −商品説明文書の作成プロセスについてのISO9001認証取得−
   日本生命保険は「わかりにくい」と評判の悪い生命保険の募集書類の見直しに向けて品質管理の国際規格であるISO9001の認証を取った(朝日新聞 7月1日)。
    同社はホームページで、「商品内容をお客様にわかりやすくお伝えすることが重要であり、商品説明文書の作成プロセスについて品質管理の仕組みを築くことが、お客様の満足につながるものと考えております」と、規格適用の意図と範囲を明確にしている。ISO9001では商品説明文書も「製品」であり、これの顧客満足向上に焦点をあてた品質マネジメントシステムの確立をISO9001適用の目的にすることは問題ない。ただし、商品説明文書は売る製品つまり商品ではない。同社が成り立つために顧客の満足を得て買っていただかねばならないのは保険商品である。商品説明文書に満足した顧客が、買った保険商品に満足するとは限らない。認証の意義は「組織が登録証記載の分野で供給する製品、サービスに関して合意事項を確実に満たす能力を有するとの信頼感を市場に与える」(ISO/IEC Guide62に関するIAF指針;序文)ことである。その販売する保険商品に関して顧客満足向上を図る品質マネジメントシステムを運用していると顧客が誤解しないように同社、当該審査登録機関は最大限の注意を払わなければならない。
   

時事寸評 <No.46; H17.3.10>    −仏カルフール社  業績不振で日本撤退−
   世界第2位の小売業、仏カルフール社が業績不振のため進出4年で日本を撤退する。背景には日本の消費者の好みやニーズを十分把握できなかった事情がある(日経新聞 2月26日)。
    ISO9001では「組織は顧客に依存しているので現在と将来の顧客のニーズを理解し、必要事項を満たし、その期待を越えるようにしなければならない」(ISO9000: 品質マネジメントの原則)との認識に立って、これを「顧客満足の向上を目指す」と言う。そして規格は、これを実現するマネジメントたるには組織の業務はどうあるべきかを規定している。 規格の規定を意味する requirement  は「"要求"事項」と翻訳されているが、組織の発展を図るマネジメントの業務に対する「"必要"条件」である。カルフール社の失敗はISO9001の必要条件を満たしたマネジメントが行われなかった結果であると記事は断定していることになる。

 
時事寸評 <No.44; H17.2.16>    −経団連が環境税創設に反対−
   
 日本経団連は15日、京都議定書の発効を前に「経済統制的な温暖化対策には反対」とする文書を発表し、この中で環境税を「環境と経済の両立への配慮を欠く一時しのぎの政策と批判している(日経新聞 2月16日号)。 環境保全と経済発展の両立は、国連決議によるWECD(環境と開発に関する世界委員会)の結論たる東京宣言(1987年)の「持続可能な発展」の理念に基づく環境保全取組みの世界共通の原則である。 「ISO14001規格の全体的な狙いは、社会経済上のニーズ、つまり、産業の発展との均衡の下での環境保全、汚染防止を支援すること(筆者訳)」(序文)である。ISO14001は、地球規模では組織が持続可能な発展を世界的に推進する駆動力であり、個々の組織にとってはその存続を支配する利害関係者に受け入れられる精一杯の環境取り組みを行うための指針である。
     

時事寸評 <No.41; H16.12.26>  −環境省  産廃処理業者の評価制度を検討−
    環境省は絶えない不法投棄対策として、産業廃棄物処理業者の評価制度を05年度から始める。産廃処理を委託する排出企業の参考とし、悪質な産廃処理業者を淘汰するため、財務諸表、処理施設能力、処理実績などの情報公開した業者を「優良」と認定する。ISO14001では利害関係者のニースに対応する環境対策を進めることになっているから、産廃処理業の組織にとって処理工程は今日的には最も「著しい」、つまり重要な環境側面である。 組織は不適正な処理を行わないことを環境方針で誓い、実行管理しなければならない。 排出企業にとっては業者が不法投棄をしないということに対して、本来ならISO14001登録証の方が財務諸表等の公表行為よりはるかに強い安心感を与えてくれるものである。15,000件を超える登録証が発行される至ったISO14001業界の隆盛の一方で、社会の信頼感がついてきていない現実の反映である。
     
時事寸評 <No.31; H1610.6>  −環境省が独自の環境管理認証制度−
     環境省所管の地球環境戦略研究機関が中小企業を対象にした環境管理の認証制度を創設し、7日から審査の申し込みを受け付ける。ISO14001の認証取得が高額なため中小企業には負担が大き過ぎるので、中小企業でも環境管理を実践していることを証明できる公的な制度が求められていた(日経新聞: 10月6日)。 ISO14001の認証登録は、組織がその事業活動と製品、サービスの性質、規模及び自然や社会に対する環境影響にふさわしい汚染防止、環境保全の取組みをしていることの証明である。 組織は問題解決の困難さや自身の体力などの事情も勘案して最大限の、かつ、世間が納得する努力をすることが必要である。 これが負担で対応できないという企業の"環境管理の実践"とはどのようなものか、企業の地球環境保全責任を果たす努力なのか、認証により世間に何を保証するのか。 ISO14001代替を主張するならこの説明がなければならない。
   

時事寸評 <No.25; H16.8.12>    −関西電力美浜原発の蒸気噴出事故の遠因−
     関電美浜原発の蒸気噴出事故の原因や背景に関する情報が連日新聞を賑わしている。発電所保全部門は、蒸気配管の破損部分の点検が運転開始以来漏れていたことを昨年11月に知らされたが、緊急性がないと判断し今月14日からの定期検査で調べることとしていた。この際、高浜原発の96〜01年の軽度だった磨耗実績データに基づいて判断され、配管材質を変更した98〜03年の高浜原発の激しい磨耗実績は顧みられなかったという(日経新聞 8月12日)。  点検は米国サリー原発事故を教訓とした事故防止処置であるから、点検漏れは重大な問題である。判断は適切な情報に基づき、それなりの上位管理者による慎重な判断でなければならず、他にも同様の点検漏れがないかの全社的確認や点検漏れの再発防止対策が実行されるべきであった。本事故の原因と背景に直接当てはめることのできるISO9001の条文はないが、組織の品質マネジメントが プロセスの監視及び測定(8.2.3),是正処置(8.5.2),記録の管理(4.2.4),責任及び権限(5.5.1),内部コミュニケーション(5.5.3),購買製品の検証(7.4.3)等の各要求事項を満たすように効果的に実行されておれば、このような事故は防ぐことができた。規格要求事項は単独で意味をもつ場合もあるが、基本的には全体として顧客満足の製品を提供するための指針を示している。
   

時事寸評 <No.23; H16.8.2>    −家電・精密機械大手  回収樹脂の自社製品への再使用を拡大−
     シャープ、キャノンなど家電・精密機械大手が独自に開発した技術で、使用済み製品から回収した樹脂の自社製品への再利用を拡大する。これまで文具、建材、雑貨類などに限られてきた廃プラスチックスの高機能部品への利用の本格化の第一歩であるが、これは新規の資源投入を抑えた環境配慮型の商品への需要の高まりに対応するものである(日経新聞 8月1日)。 ISO14001は、組織がその活動と製品、サービスのもつ環境影響を継続的に改善するための規格である。近年、消費者が機能や性能など製品品質だけでなく製品のもつ環境影響にも関心を強めつつある情勢を受けて、種々の環境配慮型製品が誕生している。廃プラスチックスの再製品化もこのような顧客のニーズや期待に応えるものであるが、これはISO9001の製品の顧客満足の向上を図ることと軌を一にする。顧客のこのようなニーズと期待を見出した場合、ISO14001を導入せずISO9001のみの組織なら、その製品要求事項の決定(7.2.1 b))において製品の環境側面を配慮すればよい。ISO14001のみの組織で製品の環境側面を重視すると、肝心の品質の側面が考慮されずに製品特性が決められて効果的に顧客満足の向上が図れない恐れがある。両規格導入の組織では両マネジメントのこの部分は一体的に実行されなければ、相互にちぐはぐな製品を企画するはめになる。
   

時事寸評 <No.18; H16.7.12>  −顧客価値−
     日経新聞(7月12日)の連載 "イノベート・ジャパン"(広告)のVol.3「顧客価値を創る」は、絶え間なく変化する顧客のニーズに機敏に反応し、期待や想像を越えた満足を提供することが顧客価値の本質であるとの論陣を張っている。 日本では ISO9001の顧客満足はこれと異なり、「"satisfactory"とは優・良・可・不可の"可"程度に相当する」と解釈する向きがある。 しかし 規格の意図における顧客満足は、「組織は顧客に依存しているので、その現在と将来とニーズを理解しそれらを満たし期待を越えるよう努力しなければならない(ISO9000 0.2 a))」「顧客のニーズと期待は変化し市場競争があり技術の進歩があるので、常に製品の改善が必要である(同 2.1)」であるから、記事の顧客満足と同質である。 記事では品質には(ビールが)おいしいということだけでなく、安全・安心を含み、企業の社会貢献、誠実さは前提であるとするアサヒビールの経営理念も紹介されている。ISO9001は顧客価値の製品品質の側面しか取扱っていないから、組織の発展をISO9001のみに依存することはできない。ところでISO14001は利害関係者の環境ニーズと期待に応えることが狙いであるから、環境対応という顧客価値を取り扱うものである。
 
時事寸評 <No.17; H16.7.9>  −過剰富裕化論の現実化−
     日経新聞(7月7日)の連載コラム "大機小機" は、原油価格の高騰、資源インフレなどの最近の経済情勢から、1980年代に一部経済学者により唱えられた「過剰富裕化論」の現実化に警告を発している。 これは、途上国が GDP 5,000ドル/人を越える過剰富裕状態になるなら、地球規模での資源枯渇、環境破壊を通じて人類は破滅の道をたどるという考えだそうだ。人口大国の中国、インドがこのまま経済成長を続ければここに至る危険が強い。、過剰富裕を享受して来た日本は今こそ "持続可能な発展" のモデルとなるべきであると論じられている。 ところで ISO14001規格は、企業の持続可能な経済活動の指針として産業界の要請で作成された。ISO14001を導入した企業は、その存続を支配する各利害関係者のニーズと期待に沿った環境影響の低減に経済的、技術的に精一杯の取組みを行なうことが必要である。 環境ニーズと期待を満たされた利害関係者は製品の購入、投資、立地許容などで企業に報いる。こうして企業は地球環境保全と事業発展を両立させることができる。
   
時事寸評 <No.9; H16.5.29>    −中国、日本からの廃棄プラスチック輸入を禁止−  
    中国政府がリサイクル原料としての日本からの廃棄プラスティックの輸入を今月初め全面停止した。 意図的な生活ごみ混入の廃プラがあったというのが理由で、同政府は悪質業者締出しのため7月から再生資源輸出業者に対してISO14001取得を含む条件を課す登録制を設けることにした(朝日新聞 5月29日)。 ISO14001は企業の事業活動と製品に付随する環境への悪影響を継続的に改善することが狙いの規格であり、登録証は企業が環境改善に関する顧客初め利害関係者のニーズと期待に応えんとする努力をしていることを保証するものである。廃棄物として処分していた廃プラを再生資源の原料に変えた企業の処置は、ISO14001の狙いに沿ったものである。 しかしこの場合は、製品たる廃プラに異物が混入していたという品質保証の問題である。 規格制定の意図からは中国政府は業者にISO9001の登録取得を求めるのが適切である。
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  認証審査、登録証 <基本事項>
<No.139; H19.11.21> −キャノン、世界の拠点でISO14001統合認証−
   キャノンは、国内外のグループ゚一体でISO14001の認証を取得した。統合認証の対象範囲は、国内の事業拠点、関連会社の他、北米、欧州、アジア、豪州など世界38ケ国に及ぶ生産、販売会社で、104社、719拠点。 環境戦略にかかわる管理体制を一元化し、グループ内での環境活動の指示や報告の重複をなくし、環境規制が世界規模で厳しくなる中で経営判断を現場に迅速に伝え、環境計画や規制対応の徹底、企業統治の強化に繋げる。事業所単位の個別認証からグループの統合認証への切替えはソニーや米国IBMなども進めている(日経新聞11月21日)。
   認証の対象となる“組織”とは、「責任、権限及び相互関係が取り決められている人々及び施設の集まり」であり、会社、法人、事業所、団体、協会、個人事業者の単独とは限らず、「これらの一部又は組合せ」も認証対象となり得ることを明確にしている(ISO9000, 3.3.1)。また、IAFは、多数の支店をもつ会社などに対する“多数サイト認証”の指針を決めている(IAF GD2,付属書3)。しかし、ISO14001に関しては基準は見当たらないから、審査機関SGSジャパンの審査登録規則に準拠する統合認証なのであろう。いずれにせよ統合認証では、グループ本社のトップマネジメントの下に全拠点が同じマネジメントシステムに則って地球環境保全の業務を行うことになる。個別認証の審査は実質的にグループ内の関連する個々の全部門を網羅ていたが、統合認証では各拠点が同じ業務を行っていると見做されれば、それら拠点の審査は抜き取りになるので、統合認証により組織は審査の負荷を大幅に軽減できる。記事はこれを3,000億円と報じている。また、登録証はグループ全体に1枚発行される訳であり、登録件数統計においては大きな数値の減少となる。
   

 
<No.138; H19.10.31> −農水省、JAS認定機関業務停止命令へ
   
農水省は、JAS規格の認定業務がずさんだったとして登録認定機関「民間稲作研究所認証センター」に業務停止命令を出す方針を31日までに固めた。同センターが化学肥料を使用する農家に「有機JASマーク」の使用を認めていることが昨年7月に判明し、改善指示を受けても認定業務を見直さなかった。農水省は同センターの新規の認定業務を90日間停止する処置に踏み切ることを決めた (日経新聞10月31日夕刊)。
   
有機JASマークの製品への貼付ができる農家など製造者を認定する業務はH17年JAS法改正により、民間の第三者である登録認定機関に開放された。登録認定機関は農水省の定める登録基準への適合の審査を独立行政法人「農林水産消費安全技術センター」から受けて登録される。登録後も農水省は同センターを通じて登録認定機関を監視し、必要な適合命令、業務改善命令を出すことができる。ISO9001,14001の審査登録制度において、審査登録機関を認定し、その業務を監視する機関は適合性認定機関と呼ばれ、日本ではJAB(日本適合性認定協会)である。各国で発行される登録証の国際的信頼性の確保のため、審査登録機関の認定基準はISO/IEC規格として定められ、また、各国の適合性認定機関はIAF(国際認定機関フォーラム)の下にMLA(多国間相互承認協定)を締結している。審査登録機関がどの適合性認定機関から認定を受けるかは自由であり、現に日本でJAB以外の海外の適合性認定機関からの認定を合わせて受けている機関もあれば、海外の認定機関の認定だけの審査登録機関もある。認定を受けずに審査登録機関として登録証を発行することを妨げる法的問題はないから、海外ではいわゆる非IAFの審査登録機関があり、その格安料金による審査登録が話題となっている。
   

<No.126; H19.5.15> −陸前高田市 ISO9001登録返上し新仕組み−

    陸前高田市は、「正確・迅速・親切な行政サービス」を基本方針として市民の目線に立った行政運営を目指すためにH15年に取得したISO9001の登録を、財政事情からその維持のための昨年の審査を受けず、審査機関により登録証を1月に抹消された。今後はこれまでのノウハウを活かして、新たな仕組みの構築を目的とした独自の「行政品質向上運動」をゼロ予算で実施する(東海新報 5月8日号)。
   
ISO9001は変化する顧客のニーズと期待を把握し、それを満たす製品・サービスを提供できるような品質マネジメント の業務体系を規定している。それは、どのような顧客満足を目指すのかを明確にし、その実現を図る諸業務の手順を確立し、適宜文書化し、それに基づき業務が実行されるよう管理するというPDCAサイクルによる体系的な業務取組みが基礎となっている。業務が実際にこのように実行されていることの保証が審査機関の発行する登録証であり、これを示して顧客を安心させるためにある。ISO9001に従った品質マネジメントシステムを確立し、業務を行うことには誰の許可も必要はない。知的財産権のある著作物としての規格書を購入すれば、内容を学び、業務に適用することは自由である。陸前高田市は登録証を返上したからといって以前の品質マネジメントシステムの文書を捨てたり業務方法を変えたりする必要はないし、新しい仕組みをつくるのは無駄なことだ。
 

<No.119; H19.3.2> −不二家、安全宣言し菓子生産を再開−
    不二家は1日、チョコレートなど菓子の生産を再開し、店頭での販売再開は27日になると発表した。山崎製パンの支援による衛生管理手法AIBの導入などで品質面での安全を担保できたとの説明で、消費期限切れ原料で一連の不始末発覚の端緒となった洋菓子も23日頃生産再開を予定している。ただし、スーパーなど小売り各社は慎重な姿勢を崩しておらず、ダイエーはISO9001など外部機関による再認証が販売再開に必要との立場だ (日経新聞 3月1日号)。
   
ISO9001は品質保証を含む顧客満足向上を目指す経営管理の在り方を規定しており、ISO9001の登録証は個々の製品の品質の保証はしないが、初めての取引、なかんずく輸出取引など、見知らぬ組織との取引を中心に、顧客に組織の製品の品質への安心感を提供する。しかし、一旦、取引が開始されれば組織の製品品質への安心感は実績によって左右される。実績が悪ければ登録証の効用が消え失せるだけで、実績を覆して顧客の安心感を繋ぎ止めるような力は登録証にはない。記事のように不祥事発覚で改めて規格不適合が発見され、これを審査機関の指示で是正して、一時停止された登録証が再び有効になった場合の登録証の効用については、登録制度は想定していないから、実際に顧客がこの登録証をどのように受けとめるか興味深い。ただし、顧客が安心感つまり組織の製品への信頼感を取り戻すには不祥事の後の長期間の品質実績しかないというのが現実であろうし、その結果で登録証に信頼性が回復する。製品品質への信頼回復に登録証は無力である。
 
<No.118; H19.2.18> −不二家、不祥事対策でISO推進室設置−
    不二家は15日付けで、期限切れ原料の使用が明らかになった洋菓子2工場の工場長を更迭し、生産ラインのずさんな管理を改善するため生産本部を新設し、桜井社長が兼務するなどの新体制を発足させた。また品質保証部にISO推進室を新設し、一時停止や保留になっている工場での再認証を目指す(毎日新聞 2月15日号夕刊)。
   
ISO9001、14001の登録取得組織で、いわゆるISO規格取組みを推進する事務局機構を設け或いは要員を配置するところは少なくない。しかし、組織が確立し、それに基づいて業務を行っているISO規格準拠の品質マネジメントシステムとは、組織の経営管理の業務体系の一部としての品質問題に焦点をあてた業務の枠組みである。ISO規格取組みは本来、日常の経営管理業務と一体でなければならない。一般にISO推進室を設置する組織では、ISO9001要求事項を満たす業務の体系が日常の品質保証業務体系とは別立ての、登録証取得が目的化した品質関連業務ないし品質改善運動となっている傾向が強い。ずさんな管理の解消に必要なのは、ISO9001が示す品質保証関連業務の正しい在り方としての要求事項、つまり、必要条件を日々の業務の手順に織込み、きちっと実行することである。ISO推進室の設置は無益であり、逆効果をもたらす危険も小さくない。
 
<No.117; H19.2.18> −リンナイのISO9001認証再検討−
     
製造した湯沸かし器での相次ぐ一酸化炭素中毒事故が判明したガス機大手のリンナイについて、日本適合性認定協会が認証機関に対して認証が適切かどうかの調査依頼を出していることがわかった。調査依頼は13日に出されており、JIA-QAセンターが臨時審査を実施する見通し。その結果次第では、同センターが、「是正措置」により認証に適合しない部分の改善を求めたり、「認証の一時停止」によりISOの取得を対外的に示せなくさせる措置を取ったりする可能性もある (読売新聞 2月14日号)。
   
記事は、日本適合性認定協会(JAB)を国際規格「ISO」の日本機関と呼び、JIA-QAセンターを唯一の認証機関かの表現があり、また、認証条件についての記述など多くの点で不正確である。リンナイの登録証に関しては、登録取得組織の不祥事の報道があれば、組織に事情説明を求め、規格不適合の疑いがあれば臨時審査するというのが、今日、当該の審査登録機関がとることになっている手続きである。記事のように当該審査登録機関はJIA-QAセンターであるが、同センターは本件について未だ何も発表していない。今はリンナイに事情説明を求めた段階であるのかもしれない。臨時審査が行われた場合の結果で考えられる処置は記事の通りである。
 
<No.116; H19.2.10> −不二家、ISO14001認証一時停止に−
    不二家は8日、洋菓子を製造していた埼玉工場が取得いた環境管理の国際規格「ISO14001」について、7日付で認証が一時停止になったと発表した。臨時審査した認証機関が「衛生マニュアルに関して不適合な点がある」としたため。期限切れ原料の使用などが「人々の健康と安全を守り続ける」という環境マネジメントシステムの基本理念に反した他、食品衛生マニュアルの要求事項に合致していなかったことが理由という (日経新聞 2月9日号)。
    当該認証機関である日本環境認証機構(JACO)もそのウェブサイトで、臨時監査の予告(1/18)、実行(1/30)に引き続き、「2/7の認証登録判定委員会で不適合の是正処置とその有効性が確認できるまで登録を一時停止することに決定した」旨、発表している(2/7)から、記事の認証一時停止は事実なのであろう。しかし、なぜISO14001に関する臨時審査が行われ 、このような処置になったかという点では、記事はISO14001とその審査登録制度の趣旨を正確に反映していない。すなわち、ISO14001の認証は組織が公害防止を含む地球環境保全に対する責任を果たしていることの証明であり、食品の安全衛生や製造の衛生管理とは無関係である。食品に関して「人々の健康と安全を守る」ための規格でもない。そして、これまでの報道で明らかにされたのは、製品の品質管理面の、或いは、食品安全衛生面でのずさんな実態であり、環境影響の管理の齟齬を窺わせる事実は報じられていない。記事の「衛生マニュアル」という文書が環境影響の管理を取り扱うものとも思えないから、この不備はISO14001登録に影響しないと考えるのが普通である。
 
時事寸評 <No.114; H19.2.1> −不二家、ISO9001再認証されず−
    不二家の小売店向け菓子の3工場が既に取得しているISO9001の基準を満たしていないことが30日、明らかになった。臨時検査を依頼していたISO審査機関から同日、不二家が調査報告書を受けた。規格の再認証を得て、小売店に販売再開を働きかける方針だったが、想定より遅れることが必至となった(日経新聞 1月16日号)。別のメディアは、不二家が審査機関に臨時審査を依頼したが、管理体制に不十分な点があるとして、登録を保留されたと報じている(フジサンケイ ビジネスアイ 2月1日号)。
    ISO9001登録制度では、組織の要請による再審査も、認証の確認作業や再認証というような措置も存在しないから、両記事の伝えるところは正確でない。登録組織にこのような不祥事が公になった場合、審査機関は登録制度の信頼性毀損の防止のため、組織に事情説明を求め、必要により再審査を行うのが決まりである。この結果、規格要求事項への不適合の事象があれば是正処置を求め、或いは、登録の一時停止処分に付す。記事は不二家が指摘事項の改善を行い、再度審査を受けるとあるから、審査機関SGS社は不適合の事象を発見したが、容易に是正できるので、登録一時停止まで必要ない判断したのであろう。しかし、これほどの多くのずさんな品質管理事例が報じられている状況で、不二家がこの認証再確認作業で安全性にお墨付きが得られるとの見方を示していたと記事が報じているのは、信じ難いし、また、不適合が記事のように1ケ月で是正できる程度のものというのも信じ難い。
   
時事寸評 <No.102; H18.10.2> −後発医薬品、「安心」伝えたい−
   特許が切れた新薬と同じ成分で価格が安い「後発医薬品」が、品質や安全性に関する情報提供が十分でないために普及が進まない。医師や薬剤師、患者の後発医薬品に対する不安が消えず、患者が後発品を選ぶ割合は低水準のまま。安心して後発品を選べるようにと、薬剤師らが薬剤情報のデータベースを作る動きもある(日経新聞 10月1日号)。
  ISO9001の審査登録制度は、海外市場など組織とその製品が知られていない市場や顧客に対して、市場や顧客が必要とする品質の製品を組織が供給できるという信頼感を抱かせることを意図した制度である。組織がISO9001の規定する要件(“要求事項”)を満たして効果的に業務を行えば、市場ないし顧客のニーズや期待に反するような不良製品、欠陥製品を出荷することはない。組織がこのように業務を行っており、従って、不良品や欠陥品を受け取る恐れはないという安心感を顧客にもたらすのが、審査登録機関の発行する登録証である。後発医薬品をめぐる記事の状況が問題なら、ISO9001と審査登録制度の出番である。
   
時事寸評 <No.85; H18.3.7>  −日航再建はブランド力回復がカギ−
   日経新聞の連載「クイックベイ」欄は日航内紛に関する世論調査結果から、低下したといえなお高いブランド力が再生の最後の浮力となるとの分析を示している。調査 では、今後も日航を利用するという人は36%に過ぎないが、この40%以上がブランドイメージが高いことを理由とし、利用しないという人の71%は多発する安全面のトラブルを理由にしている(3月6日号)。  
   データは
安全で優れたサービスという実績が日航という組織に安心と信頼のブランドをもたらして日本を代表する航空会社になったのたが、度重なる運航トラブルの実績によりブランド力が損なわれ乗客からそっぽを向かれ始めたという実態を物語っている。ISO9001への適合の証の登録証は製品個々の品質を保証しないが、組織の製品・サービスの品質への信頼感を顧客に与えるものである。登録証は、ブランドの確立した組織には無用であり、また、取引が開始された後は顧客は実績で組織を評価するから品質が悪ければ登録証は何の役割を果たすこともできない。
 

時事寸評 <No.82; H18.1.29>  −マンション販売に住宅性能表示を義務付け−
   
国土交通省、耐震強度偽装事件を踏まえ、分譲マンションの売り主に欠陥が判明した場合の補修や建替え費用を負担する保険への加入又は銀行保証の設定を義務づけ、合わせて住宅性能表示も義務づける方針を固めた(日経新聞 1月28日号)。
   
この住宅性能表示は、住宅品質確保促進法に基づく一種の適合性評価制度であり、国交相が認定する指定住宅性能評価機関が日本住宅性能表示基準に基づいてマンションの性能を評価して登録マーク入りの「設計住宅性能評価書」「建設住宅性能評価書」を発行する。ISO9001,14001は適合性評価を前提とした規格ではないが、認定された審査登録機関が組織の品質又は環境に係わる業務の規格適合性を評価して登録証を発行する制度の下に運用されている。この制度は法律ともISOとも無関係で、日本では任意の民間団体の日本適合性認定協会が審査登録機関を認定する一方、IAF(国際認定機関フォーラム)の下で各国の認定機関と相互承認協定を結んで、登録証の国際的認知を保証している。認定機関は誰でも設立できるから、英米ではIAFに加わらない認定機関もあり、その認定する審査登録機関も登録証を発行している。
   
時事寸評 <No.72; H17.11.24>  −欠陥マンションの販売会社のISO9001認証取得が判明−
   日経新聞
は、偽造構造計算書に基づくマンションを販売した ヒューザーが 「製品の品質管理の国際規格ISO9001」の認証を取得していたことが23日分かり、認証を与えた(財)日本品質保証機構が認証取り消しも視野に再調査を進めていると報じている。  また、認証取得は 「この分野で手順や仕組みが規格に達していると判断された」結果であるとし、偽造によるマンション欠陥について「審査段階では気づかなかった」という同機構の見解も報じている(11月24日)。
 
 同社が今年8月に認証を得た製品、サービスの範囲は「共同住宅の設計、施工及び付帯サービス(定期点検と補修工事)」である(同機構ウェブサイト)。  顧客のニーズと期待に応える製品、サービスを提供するのが組織の ISO9001適用の狙い(1.1 b)項)であり、規格はその実現を図る道しるべである。 すなわち、同社はマンションの建築販売の企画において、 a) 狙いの顧客層が販売時に明示して求めるであろう事項はもちろん、 b) 顧客は言わないかもしれないが当該マンションに関して顧客が喜び或いは当然必要とし、期待している事柄 、c) 遵守すべき法、条例の要件がそれぞれ何であるかかを明確にし決定することが必要である(7.2.1項)。 そして、これを満たすように管理された状態で設計(7.3項)、施工(7.4〜7.5項)を行い、完工したマンションがこれら要件を満たしていることを検証(8.2.4項)してからでないと販売してはならない。 認証審査はこれらが確実に実行されるような手順が確立しているかどうか、また、それら手順が確実に実行されているかどうかを確認する。 この場合、マンション企画段階(7.2.1 c)項)、又は、設計段階(7.3.2 b)項)で構造計算の建築基準法準拠が確実に取り上げられるような手順となっていたか、外注した構造計算の受入れ検査(7.4.3項)で法準拠を確認する手順があったどうかである。 それら手順が確実に実行されていることの確認は抜取り検査であるから、偽造が一部なら発見できないことはある。
   
時事寸評 <No.56; H17.6.29> −有機JAS認証の不正表示防止のためのJAS法改正−
  相次ぐ不正表示を背景に、有機農法製品のJAS認証を行う登録認証機関に対する基準を強化した改正日本農林規格(JAS)法が15日に成立した。しかし、制度の信頼性低下の一方で、農作業への制約の厳しさ、事務作業の煩雑さ、監査料の負担など、認証制度そのものに対する不満が拡がっている。記事は、 「生産者と消費者がお互いに顔のを見える関係で、信頼があれば認証は不要」として認証にこだわらない生産者の例を紹介しつつ、「両者の顔が互いに見えにくい通常の流通市場では、信頼性の面から第三者が介在する認証制度が不可欠」であると認証制度の意義を指摘している(日経新聞:連載"食安心と価格" 6月29日号)。
    ISO9001,14001規格も第三者の審査登録機関による認証によって組織の品質ないし環境取り組みが顧客を初めとする利害関係者のニーズ、期待に適うものであることを保証する審査登録制度で運用されている。認証は新規取引、新規事業所立地などで顧客など利害関係者が組織を知らない場合に最も効果的に機能する。 信頼関係が確立しておれば認証有無によらず組織と製品は利害関係者に受け入れられるし、逆に利害関係者が組織の品質あるいは環境取り組みの実績に不満を持っている場合には認証は全く無意味なものとなる。これが第三者認証制度の本質である。
   
時事寸評 <No.33; H1610.15>  −ISO9001、曲がり角−
 
 日経新聞 が「ISO9001、曲がり角」という囲い込み記事を掲載している。 「品質意識の不明確な企業」や「認証さえ取れればという意識の企業」までもが登録証を取得しているという建設業界の実情を引用して、審査機関による認証の乱発に対するJAB(日本適合性認定協会)の危機感が、最近目立つ審査機関の資格取り消し(2件)、一時停止(8件)処分の背景であると分析している(10月15日号)。
   審査機関が登録証発行業務を行うには ISO/IEC Guide 62,66 の必要条件を満たさなければならず、JABの認定審査に合格した後も定期、更新審査を受けなければならない。認定停止、取り消し処分はこの審査で、JAB基準(R/T/C/CP213-2003改1、11.1,11.2項)に抵触した場合に下される。 これはJABのウェブサイトに公表されるが、理由となった事実にはほとんど触れていないので、問題提起としては十分でない。 なお、JAB認定が取り消されても登録証にJABマークが使用できないだけで、審査登録業務は引き続き行うことができる。 記事が引用した審査機関も業務継続をそのウェブサイトで発表している。 問題は顧客がそのような登録証を信頼するかどうかである。
 
時事寸評 <No.27; H16.9.9>  −ミツカン ブランド重視の売上拡大戦略−
  ミツカングループ本社は、これまでの「味ぽん」「金のつぶ」など商品力に依存するブランド戦略から、コーポレートシンボルや全商品統一ロゴの導入など企業ブランドを重視した売り上げ拡大戦略に転換し、既に「ブランドマネージメント部」を新設していると報じられている(日経新聞 9月9日)。 
    ISO9001認証登録は、海外など見知らぬ顧客に組織の製品品質への信頼感を与えるのが趣旨であるから、ブランドが市場で確立している組織や製品には認証登録は意味をもたないし、そのような組織には不必要である。 しかし、ブランドの確立に至るには組織の製品が顧客のニーズと期待を満たしてきた永い年月があったはずであり、この期間も現在も顧客満足向上を追求するマネジメントが行われているからに他ならない。 ISO9001は、このようなブランド確立に至る顧客満足向上追求のマネジメントを体系的に行うための必要条件を規定している。 ブランドマネージメントの成功は ISO 9001の品質マネジメントとの連携の下で初めてもたらされる。
 
時事寸評 <No.13; H16.6.16>  −三菱ふそう、ISO9001認証の一時停止−
   
クラッチ系統の欠陥隠しを理由に三菱ふそうトラック・バス(株)の生産本部が取得していた ISO9001 の認証が停止されたことが判明したと報じられている(朝日新聞 6月16日)。
   登録証を発行していた JIA-QAセンターはそのホームページで「登録維持条件に抵触する」ため6月1日付で登録を停止したと発表している。 認証審査では「品質 マネジメントシステムの要求事項が欠けている、実施、維持されていない」「製品の品質に関して入手できる客観的証拠に基づいて重大な疑いを生ずる状況」が不適合(JAB R300-2002 改1)と判断される。このようなことがなく、「品質マネジメントシステムが効果的に実施、維持され、システムに従ってプロセスが運営されている(同)」と判断して登録証を発行した審査登録機関は、その登録の維持、一時停止、取消しに関する条件と手順を定めておくことが必要である(JAB R100-2001)。 JIA-QAはこの手順を適用し、ISO9001登録証の信頼性が失われかねない事態の回避への最低限の処置をとった。
 
時事寸評 <No.7; H16.5.19>  UFJホールディングスの3月期決算大幅赤字に再修正
   
UFJホールディングスの3月期決算が再修正され大幅赤字となる見通しが17日の株式市場を揺るがした。この厳格な再修正の引き金を引いたのはまたしても監査法人であったことが報道されている(朝日新聞 5月18日)。
   
相次ぐ企業破綻で決算を承認した監査法人に対する社会の目が厳しくなっているのに対応して監査姿勢を厳格化せざるを得ないという背景があるとのことである。 会計監査は企業の財務諸表が会計基準に従って適正に作成されていることを検証する活動とされるが、その結果を "倒産はしない" というお墨付きと世間が受けとめるのも自然である。現下の会計監査の信頼性向上の官民の諸施策の原点はここにあると思う。ISO マネジメント システム の登録審査も、品質、環境に関して "少なくとも不祥事は出すことはない" とのお墨付きと世間で受けとめられるのも自然である。このような審査となっているだろうか。
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  マネジメントシステム <基本事項>
<No.99; H18.8.20> −パソコン用ソニー製電池発火事故−
 米国デル社のノートパソコンに搭載したソニー製リチウムイオン電池に過熱・発火の恐れがあるとして14日、410万個を回収・無償交換すると発表した。これには米国外で販売した140万個が含まれており、日本のパソコン各社も情報収集を急いでいる。生産子会社の工場で正負極間に微小な金属片が混入したのが原因と見られ、デル社パソコンのうたい文句の急速充電が電池に大きな電圧負荷をかけるなど「デル社充電システムとの相性の問題」との見方もある(日経新聞 8月17日)。ISO9001の品質マネジメントは、製品の品質事故を防止すると共に一貫して顧客のニーズと期待を満たす製品を供給することを狙いとする経営或いは組織のマネジメントの活動であり、明確な品質方針、品質目標の下に、品質計画、品質管理、品質保証、品質改善の各側面から組織の事業活動をを体系的に管理することによって、狙いの達成が図られる。発火の直接原因の微小金属片混入が製造工程で発見すべき異常であったなら事故は品質管理(品質要求事項を満たすことに焦点を合わせた活動*:ISO9000 3.2.10項)上の問題であり、当該製造方法に付随する起こり得る問題であったのなら品質計画(品質目標達成に必要な製造工程と資源を決めることに焦点を合わせた活動*:同 3.2.9項)上の問題である。製品の設計特性がデル社充電システムに不十分であったことが発火の原因なら品質保証(品質要求事項が満たされるとの信頼感を与えることに焦点を合わせた活動*:同 3.2.11項)上の問題であり、他社の同じ製品では問題解決済であるなら品質改善(品質要求事項を満たす能力を高めることに焦点を合わせた活動*:同 3.2.12項)上の問題である。問題解決はそれぞれ、7.5項(製造の管理)、7.1項(製品実現の計画)、7.2/7.3項(製品要求事項の決定/設計開発)、8.2.2/8.4/5.6.3項(顧客満足/データ分析/マネジメントレビュー)の改善によることになる。
 
I<No.47; H17.3.26>  −医療機関ネットワーク−  
   来年の医療法改正に関連して、医療機関ネットワークの構築の必要性の主張(松山幸弘氏)が日経新聞連載コラム「経済教室」に掲載されている。すなわち、国民の医療ニーズは多用であり、個々の病院が提供するサービスをばらばらに選択し専門化するのでは「地域住民の医療ニーズ全体とのミスマッチが発生」しかねない。この解決には、地域内の各医療機関が専門性、診療科目、規模、形態等々提供する医療サービスを地域の全体ニーズと合致させるよう、相互に調整、補完して「広域医療圏毎の医療機関ネットワーク」を構築することが必要である(3月21日号)。ある目的の達成のために種々の要素がネットワーク構造で結ばれて機能している場合、これらはシステムと呼ばれる。地域の医療機関がネットワークを構成して地域の全医療ニーズをまかなう医療活動は地域医療システムであり、この場合のシステムの要素は各医療機関が提供する医療サービス活動である。ISO9001/14001両規格では、品質/環境に関するそれぞれのマネジメントの目的達成に向けて必要な種々の業務がネットワーク構造で相互に関係づけられ実行されることを基礎的概念としている(例えばTC176/SC2 N544R)。このような諸業務の集まりを規格は「マネジメントシステム」と呼んでいる。
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  コミットメント <共通>
<No.136; H19.10.3> −次期社長選抜 コンテスト−
  厨房機器販売の テンポスバスターズ社は森下現社長が退く予定で、10月から半年間の次期社長の座を競う社内コンテストに入る。コンテストはち2003年秋に第一回を開き、現社長が勝利した。立候補者は12日に所信表明し、半年かけて経営者としての資質を競う。評価者は現社長が中心になる見通しで、部下の評価も加味して判断する。候補者が必達目標を作り、どのような施策を打ったかを見る。しかし、最大の評価項目は「断固やる」という強い意志があるかどうかである(日経新聞 10月2日号)。
   ISO9001,14001の審査登録制度においても、社長に「断固やる」という強い意志があることを審査員に証明しなければ登録証は発行されない。規格はこれを、トップマネジメント が「品質マネジメントシステムの構築、実施、有効性の継続的改善」を行うこと(ISO9001;5.1項)、又は、「環境汚染の防止と継続的改善、適用される環境法規制とその他の約束の順守」をすること(ISO14001;4.2項)に 「コミットメント する」ことと表現している。規格は組織が、不良品を出さないことを含む顧客満足の向上(ISO9001)、又は、地球環境保全に負った企業責任の全う(ISO9001)によって、顧客はじめ利害関係者の支持を得て発展していくという、真っ当な経営に関する手引き書である。規格は、この経営の実行には相応の経営資源を投入しなければならないこと(6章/4.4.1項)を明確にしている。この経営には、単に収益を上げるだけに比べて多大の コスト や努力を必要とする。それでもやり抜くという強い意志、揺るがない決意、はたまた、内外に誓約したことへの責任感が確立していないと、この経営は挫折しかねず、トップマネジメント は組織の発展は図る責任を果たせない。規格の コミットメント は、記事の「断固やる」のことである。
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  品質方針、環境方針 <共通>
<No.87; H18.3.29>  −不祥事防止は経営理念の浸透が鍵−
   日経新聞の連載コラム「回転いす」で、続発する企業の不祥事は「しっかりした理念が従業員に根付いていない」ことだとする住友電工社長の分析を採上げている。経営理念の浸透に社員教育が重要であるが、失われた10年の間は人材教育の余裕も失っていた。同社では今こそ「企業は人なり」を徹底する時期として、「すぐには効果が出ないが十年先に違いが出てくる」と社員教育に力を入れている(3月28日号)。
   ISO9001/14001は 経営理念を踏まえてどのように業務を行うかの組織の意図、方向づけをトップマネジメントが品質方針(5.3項)、環境方針(4.2項)として定め、人々に周知、理解させる必要を規定している。しかしどのようにすれば周知、理解させることができるかは規格は何ら示していない。一般には方針カードの携行や方針書の掲示などの形式が審査を意識してとられているが、形式で理念や方針という哲学や思想、考え方というものを浸透させることは出来ない。
 
<No.51; H17.5.5>  −鉄道マンの基本の徹底−
  JR西日本の電車脱線惨事に関連して、出勤のため当該電車に乗っていた同社の2人の運転士が救助活動に加わらずそのまま職場に向かったが、これら2人から連絡を受けた上司のいずれもが救助活動を指示せず、また、事故に関する緊急処置の手配や関係部門への連絡など何の対応もしなかったことがわかった。 「鉄道マンとしての基本ができていない」「会社全体の意識、仕組みの問題だと思う」との幹部の認識も報じられている(日経新聞 5月5日号)。
   ISO9001では、トップ マネジメントは鉄道事業者の基本たる安全輸送の実現を図るための意図及び方向づけを品質方針として定め、組織内に伝達し理解されるようにしなければならない(5.1, 5.3 d)項)。 人々は普段は品質方針を反映した手順など決まりに従って業務を行っているが、決まりにない状況に遭遇することは少なくない。緊急事態に際する臨機応変の判断と行動を含めて想定外の状況にトップマネジメントの意図に沿って人々が適切に問題に対応できるには、人々は品質方針の意味や意図を理解しておくことが必要である。品質方針を書いたカードを人々に所持させるのは規格の「伝達、理解」ではない。
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  法令、規制
<共通>
時事寸評 <No.111; H19.1.7> −東芝、中国で品質問題のパソコンを販売自粛−
  中国浙江省の工商行政管理局が昨年10月東芝など4社の5型式のパソコンを、静電気への耐性などが基準を満たさないとして不合格とした問題で、東芝の中国法人は問題の2型式について中国全土で販売を自粛していることを明らかにした。「顧客に不安を与えたため」とし、返品に応じるかどうかは同局と協議中という (日経新聞 1月6日号)。
   
ISO9001では組織が製品の仕様を決める際には、顧客の明示の要求と用途上必要と判断される事項(7.2.1 a),b)項)に加えて、「製品に関連する法令・規制要求事項」(同 c)項)を考慮することが必要であると規定している。製品が法規制を満たしたものであることは顧客の最も基本的なニーズ、期待であり、顧客満足を得る前提である。記事は中国ないし浙江省に独自の電気安全基準が存在することをうかがわせているが、東芝等各社がその存在を把握し、例えば製品の設計開発で基準遵守の対応(7.3.2 b)項)をとったのかどうかには何も触れていない。
 
時事寸評 <No.55; H17.6.23>
  −「知らなかった」の常套句−
   新しい会社法の下では企業の不祥事に対して「取締役は『自分は知らなかった』との常套句で責任を逃れる」ことはできなくなる(日経新聞:連載"会社法どう変わる" 6月23日号)。   ISOマネジメントシステムではトップ マネジメントは、顧客のニーズと期待を満たす製品、サービスの提供に対して(ISO9001 5.1項)、或いは、利害関係者のニーズと期待に応える環境改善努力を行うことに対して(ISO14001 4.2 b)項)、それぞれコミットすることが必要である。このようにコミットしたならトップマネジメントは実務において、適用するべき法令・規制要求事項が製品に取り込まれることを確実にしなければならず(ISO9001 7.2.1 c), 5.2項)、或いは、製品と活動に適用される法的要求事項及びその他の要求事項を遵守することにもコミットし(ISO14001 4.2 c)項)、それらの適用(同 4.3.2項)と遵守(同 4.5.2項)を図らなければならない。 これら業務の実行状況は内部監査(8.2.2/4.5.5項)で監視し、マネジメントレビュー(5.6/4.6項)で確認することが必要である。ISOマネジメントシステムではトップマネジメントは、法令違反を「知らなかった」では済まされない。
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  文書、文書管理 <共通>
 <No.135; H19.9.23> −江戸の治安を支えた“異扱要覧”
   江戸の町の治安がよかった理由のひとつは番人制度にある。町の入口や屋敷の門前・角々に合計2,000近くの番小屋が置かれ、行政と治安の最末端をなしていた。治安の異常事態にどのように対応するかの手順を定めた規則集“異扱(イアツカイ)要覧”が残っている。各番小屋には持ち場“廻り場”が決められ、その範囲内の出来事に責任を負う。例えば変死体には身分によって毛氈又は風呂敷を掛け、検死役を待つこととか、2つの“廻り場”の境界にある変死体や水面に浮かぶ 変死体がどの番小屋の担当になるのかを含め、事細かに定められているという(日経新聞 9月23日号。野口武彦連載「江戸の風格」)。
   企業はじめ多数の人々が協働する組織において、組織の目標を効率的に又効果的に達成するためには、人々の責任と権限が明確され、諸業務とそれらの相互関係についての手順や基準が決まっていることが必要である。これらの決め事は文書に記述することによって、関係する人々に決め事がより明確に理解され、決め事が守られることがより確実になる。ISO9001/14001は共に、組織内の人々が思い思いにではなく、定められた手順に則ってそれぞれに委ねられた業務を行い、或いは、責任と権限を果たすという体系的な業務遂行を基礎としている。規格は体系的業務遂行を可能にするために、各人の業務担当範囲、つまり、責任と権限(5.5.1/4.4.1項)を明確にし、業務の手順を文書化(4.2.1/4.4.4項)することの必要を規定している。江戸の町々の治安を保障したのと同じ考え方、手法である。
   
<No.69; H17.11.3>  −東証の大規模システム障害−
   取引全面停止をもたらした1日のシステム障害の原因は解明に至っていないが、基本的な作業手続きのミスを指摘する声が多い。10月11日に改定したシステムのある部分が11月1日に初めて作動し、そのプログラムが正しくなかったのが直接の原因らしい(日経新聞 11月2日)。 ISO9001で コンピューター システムの管理に直接言及しているのは監視、測定用のコンピューター ソフトウェアの適切さを最初の使用に先立って確認する必要の規定(7.6項)だけである。 規格ではコンピューターシステムのプログラムも仕事の手順の記述であり、それを保持するハードディスク等は文書である。しかし文書改定の際の文書管理については、責任者による適切性の確認(4.2.3 a) 項)や、使用時点、場所での改定版の使用可能なことの確実化(4.2.3 ,d) 項)など書類としての文書を想起させる表現に留まっている。人がその手順を実行する場合は書類の内容承認、配付と要員への周知でよい。 しかし、この場合はコンピューターがプログラムの形で手順を教えられ、その手順を実行するのであるから、コンピューターが意図した通りのデータ処理を行うことを確実にする 4.2.3 a),d)項の処置が必要である。規格は必要条件を規定するものであるから、これが何かは教えてくれていない。
 
<No.29; H16.9.19>   −富士ゼロックスが電子文書管理サービスを開始−
    富士ゼロックスは電子保存可能な文書の範囲が広がる電子文書法の来年の施行に合わせて、企業の紙文書を整理・分類したうえで重要度に応じて電子化したり金庫に移し替えたりして文書管理を効率化するサービスを来春始める(日経新聞: 9月18日)。 
    ISO9000では文書とは「情報及びそれを保持する媒体」であり、「媒体としては、紙、磁気、電子式若しくは光学的コンピューターディスク、写真若しくはマスターサンプル、又はこれらの組み合わせあり得る」と規定されている。 ISO14001では「紙面又は電子形式で(中略)情報を確立し維持しなければならない」(4.4.4)と文書化について規定している。 ISOマネジメントシステムで用いる文書は電子化することが認められている。

 
<No.22; H16.7.31>   −電子入札入力ミスで入札指名停止処分−
   
中部地方整備局は、電子入札で極端な低額を提示した四日市市の建設会社を入札の信頼性を損なったとして3ケ月の指名停止にした。低額提示の原因は、パソコンで金額を入力する電子入札で、「万」の位を忘れた入力ミスであった(朝日新聞 7月31日)。
   
ISO9001,14001では、文書の発行に当たり管理者による適切性(ISO9001, 4.2.3 a))、妥当性(ISO14001,4.4.5 b))の観点からの承認が必要であるから、記入ミスは文書を承認した管理者の責任である。しかし、管理者により承認された紙ベースの見積書をパソコン画面に転記するだけなら、普通は画面上の文書を管理者が承認するようなことはしない。これは両ISO規格も許容している。ただし転記されただけとはいえ画面上の文書は重要な文書であるから、間違いないものであることを確実にする、確認などの手順を規定することが大切である。これはISO9001の製品実現の計画の「製品に特有なプロセス及び手順の必要性を明確にすること」(7.1 b))に該当する。
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  記録の管理 <共通>
<No.96; H18.7.14> −トヨタ RV車の欠陥を放置−
   
熊本県警は、RV車の舵取り装置”リレーロッド”の欠陥を認識しながらリコール届出をせず、交通事故が発生したとして、トヨタ自動車部長らを業務上過失傷害で書類送検した。同社では強度不足を社内調査で発見した96年当時は、再現試験や部品回収を通じて発生頻度、被害の程度などを総合的に判断した結果、リコール必要との判断に至らず、2004年の3件の事故発生を受けてリコールを実施したと コメントしている(日経新聞 7月12日)。
   ISO9001では、設計開発の変更の管理(7.3.7項)に関して、変更の必要性、変更の適切さ、妥当さを検討し、この検討には出荷済の製品をどうするのかを含めなければならないと規定している。そして、検討の結果と決めた処置に関する記録を残すよう規定しているが、これは「要求事項への適合性の証拠」のため(4.2.4項)である。記事によると熊本県警は96年の”総合的判断”を過ちと断じたことになるが、記録はこのような利害関係者の指摘や苦情に対して、自身の製品や行為の正当性を主張し、自身を守るために残すものであるから、それに十分な内容でなければならない。
 
<No.76; H17.12.24>  −検査済構造計算書の所在不明で偽装解明調査が難行−
   
耐震強度偽装に係わるマンションの構造計算書の所在がわからず、大田区による偽造手口検証ができない状態にある。同マンションの建築確認は1998年に大田区に申請され、1999年に「検査済」とした書類が残っているが、構造計算書は保存期間1年が経過した時に破棄された。当時は副本の保存義務を定めた法律もなかった(日経新聞 12月22日号夕刊)。
   ISO9001/14001では、「記録」は「達成した結果を記述した、又は、実施した活動の証拠を提供する文書(ISO9000;3..7.6)」である。 記録を作成するのは「要求事項への適合及び品質マネジメントシステムの効果的運用の証拠(ISO9001;4.2.4)」として、また、「環境マネジメントシステム及び規格の要求事項への適合並びに達成した結果を実証する(ISO14001;4.5.4)」ために必要だからである。記録の維持は事後に何らかの問題が発生した場合に証拠として使用するためであり、記録は問題の原因と責任の所在を明らかにする活動に有力な情報を提供する。両規格とも記録の保管期間を決める必要を規定しているだけで、具体的な保管期間には言及していない。しかし、記録の目的から考えると、その記録がいつまで使用される可能性があるかによって保管期間を個々に決めなければならないのは当然である。構造計算の結果の良し悪しが建物の建築後相当の期間を経過して初めて表面化するものであるなら、構造計算書の1年という保存期間はISO審査では不適合である。
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  資  源 <共通>
ISO 時事寸評 <No.80; H18.1.20>  −約定件数急増で東証システム綱渡り−
   ライブドア事件による取引激増で18日に売買全面停止に追い込まれた東証では、なお1日の注文件数が取引停止発動基準の八割強の高水準となっており、急遽システム改善で1日当たり約定上限を450万件から500万件に引き上げると発表した。もともと小口の売買を頻繁に繰り返す個人のネット投資家が増えるなど、取引の小口化は世界的傾向であり、ニューヨークやロンドンの取引所では先手を打ってシステムを拡充して安定した取引環境を確保している(日経新聞 1月20日号)。
   東証
が世界の証券取引所と競争するには顧客満足向上を基本とした取引所業務の確立が必須であり、顧客のすべての注文を受付けることはその前提条件である。ISO9001では、品質方針に表明した顧客満足を追求するためには、資源がきちっと適用されなければならず、必要な資源を間違いなく評価し決定し投入し維持する資源マネジメント(6章)の実行の必要を規定している。 トップマネジメントはマネジメントの実績、実態と情勢の変化に対応して新たな資源が必要となるかどうかを定期的に体系的に評価することが必要である(5.6.3 c)項)。
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  力量、教育訓練 <共通>
<No.134; H19.9.14> −企業とIT、システム障害と闘う−
     相次ぐ大規模システム障害に関して日経新聞は連載記事「企業とIT、システム障害と闘う」で、業界の取組みと問題点を取りあげている。これまでおろそかにされてきたシステムの品質保証への取組みを強化する業界にとって深刻なのは システムエンジニアが不足していることである。NECソフト社長は「一定の品質を確保するには受注を制限せざるを得ない」と現状を憂う。 システムの現場はいまだに労働集約型の3K職場であり、人手不足に拍車をかけている。インドや中国での技術者の確保にも乗出しているが頭数を揃えるという発想では根本解決にならない。一方でシステム開発作業の自動化やシステム開発手法の標準化などの取組みも始まっている(9月14日)。
    ISO9001,14001では品質方針、環境方針を実現するためには資源の投入が必要である(6.1/4.4.1項)ことを指摘している。最も重要な資源は人であり、人は頭数ではなく、competence(物事を首尾よく行う能力)が指標でなければならないことを明確にしている。即ち業務遂行力の意味であるが、JISはこれを「力量」と和訳している。記事では、企業は品質方針に掲げる顧客満足の実現に必要なシステム の品質保証のためには、いわゆる“ソフト開発”業務能力が不足していることを認識している。企業は、配置転換、教育訓練による社内戦力の強化だけでなく、外注化や、作業の自動化、標準化による効率向上などで対応を図っている。両規格の「必要な力量を決定する*、この必要を満たす教育訓練又はその他の処置をとる*」(6.2.2 a),b)項)、「教育訓練のニーズを特定する*、これらニーズを満たす教育訓練又はその他の処置をとる」(4.4.2項)とは、記事のような状況と対応を指す。
   
<No.130; H19.7.6> −航空管制官に英語試験−
   英語のコミュニケーション能力不足による航空事故が世界的に目立つ。国際民間航空機関(ICAO)によると、1976〜2000年の間に英語の理解が欠けていたことが原因の空中衝突などの事故で約1,100人が犠牲になっている。管制官と操縦士の会話は英語で交わすのが原則。国交省は4日、各空港の航空管制官らに「公用語」である英語の能力を問う試験を課す方針を固めた。対象者は約2,400人で、不合格者は業務に就けない(日経新聞 7月5日号)。
  ISO9001/14001は要員が業務をきちっと完遂するための業務遂行力をもっていることを確実にする必要を規定している(6.2/4.4.2項)。JIS和訳ではこれを「力量」と呼ぶが、規格は「力量がある」ことを教育、訓練、経験、及び「技能」を指標として判断できることを指摘している。「技能」の原英語は skills であるから、 management skill, language skill などの例のように、必ずしも手を使った技量ということでなく、職業的専門性を指す。記事の場合は、管制官の職務遂行力を学校教育を元にした認定資格、管制官としての職業訓練や業務実績で測ってきたことの問題を認識し、「技能」としての英語会話能力をも別途評価することにしたという、航空管制事業者である国交省の「人的資源」管理における経営判断である。
     
ISO 時事寸評 <No.64; H17.9.5>  −団塊世代定年退職の「2007年問題」−
   団塊世代が大量に定年退職する「2007年問題」が日本の製造業を揺さぶっている。技能や技術のベテランから若い世代への継承の難しさを訴える企業が多い(日経新聞  8月29日号)。 連載コラム「経営の視点」は、この事態を長期的な視野に立っての人材育成を怠ってきた報いであると指摘すると共に、何年も前に予測できた「2007年問題」がこのようになったのは製造業が数年前から加速させてきた人員削減が反作用が予想以上に大きかった影響と同情も示してる。 ISO9001 /14001は、効果的効率的な品質、環境マネジメントには「力量のある要員」が必要である旨規定している(6.2.1/4.4.2項)。「力量がある」とは与えられた業務を期待通りに完遂できるという意味である。 組織は、「予想される業務継承の必要性」をも考慮に入れて、組織内に現在も将来も必要な力量が備わっていることを確実にしなければならない(ISO9004; 6.2.2.1項)。 トップ マネジメントが各マネジメントシステムの実施、維持にコミットメントしている(5.1/4.3項)ということは、リストラや人員削減に迫られても品質、環境を疎かにしないと誓約したということであるから、そのための必要条件である「力量の維持」を 疎かにするはずはない。
   

ISO 時事寸評 <No.43; H17.130>  07年以降に一斉に定年退職を迎える団塊世代について若手社員らの半数に、「退職すると業務に支障がでる」と心配する声があることが、野村総研の調査でわかった(朝日新聞 1月30日)。  ISO9001,14001が規定する「力量」とは仕事をこなすことのできる能力のことであるから、これは団塊世代の退職によって事業継続に必要な力量が組織から失われていくということを意味している。組織は現在及び将来に不足する力量、つまり、必要な力量(の種類)を特定し、これを教育訓練ないし採用など他の処置で充足し、常にそれぞれの業務に力量のある人を就かせることができる状態を維持しなければならない。これがISO9001(6.2項)、ISO14001(4.4.2項)の力量に関する意図である。
   
ISO 時事寸評 <No.15; H16.6.30>  財務省の財務総合政策研究所は、団塊世代の大量退職が GDP 16兆円減少など日本経済に与える深刻な影響を分析した報告書を発表した。これには企業の賃金総額が減り収益にプラスになるとの景気への好影響もあることが指摘されている(日経新聞 6月21日)。 企業を支えている熟年層を穀潰し扱いした失礼な表現である。ISO9001では、それぞれの業務を遂行できる能力を "力量" と呼んでいる。大量定年は、熟年層が担っている高度の業務に係わる(高度な)"力量" が組織から一斉に失われていくことを意味する。組織はこのような事態で不足する、つまり、必要となる力量を明確にし(6.2.2 a))、これを補うよう計画的に後継者を教育訓練するかその他の処置(同 b))をとることが大切である。既に多くの企業で再雇用という力量確保の処置がとられている。
 
ISO 時事寸評 <No.24; H16.8.6>  三重県長島町の遊園地で7月27日ジェットコースターが脱輪して子供2人が負傷した事故に関し、整備と運行管理の業務区分が不明確で専門技術を要する部品交換を運行管理者が行なえるなど管理体制の問題が事故の背景であるとする、県の調査結果が発表された(日経新聞 8月6日)。 ISO9001では、その業務を行なうのにふさわしい能力のことを力量と呼び、各業務には力量のある要員を当てる必要を規定している。その業務に力量があるかどうかは、履修した学校教育、組織内の教育訓練の実績、業務経歴及び専門的な技術、技能を根拠として判断する。力量のない要員に業務を行なわせるとこの事故のように製品、サービスの品質に問題を生ずることがある。ISO9001(6.2.1)の力量管理の規定はこのためにある。ISO14001(4.4.2)の「能力をもたなければならない」も同じ意味である。
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  認識、自覚 <共通>
<No.129; H19.6.23> −偽装ミンチ食品会社を強制調査へ−
   
苫小牧市の食肉加工販売会社 ミートホープが豚肉を混ぜたひき肉を「牛ミンチ」として出荷していた問題で、北海道警は22日、不正競争防止法違反容疑で同社を強制捜査する方針を固めた。伝票に「牛100%」と表示しながら、取引先の北海道加ト吉に豚肉や鶏肉を混ぜて販売していた。この他にも「豚肩ロース」という商品名の挽き肉260kgに豚の心臓100kg を混ぜたこと、原産地の不正表示など会社ぐるみの偽装行為が疑われる。同じ日に加ト吉は、原料を仕入れて製造した「牛肉コロッケ」の自社製品9品目の内2品目にDNA鑑定で牛肉が全く検出されなかったと発表した。同社初め加工食品各社は ミートホープ製原料を使った加工食品の回収に乗り出した(日経新聞 6月9日号)。
   
ISO9001は、組織がこのような被害を受けないために供給者とその製品を管理しなければならないこと、及び、効果的な管理であるための要件を規定している。即ち、加工食品各社は納入実績を中心に ミートホープ社の品質保証能力を評価し、指導又は要求して不正品はもとより不良品が納入されないよう同社の業務遂行を管理する。日々に入荷する製品については、その必要仕様、条件を明示し、入荷各製品がこれを満たしていることを受入れ検証する。加工各社がこのような管理を行っていて、不正が永年見過ごされてきたのなら、牛肉が100%豚肉であることを食品加工の専門家が判別できない訳がないから、問題は品質に関する経営トップの姿勢(5.1項 コミットメント)と従業員の責任意識(6.2.2項 要員の認識)にある。このISO9001の論理が依拠する日本の“ものづくりのマネジメント”の考えでは、規定手順を淡々と遵守するような要員では品質は創造できない。加ト吉が全国の工場を対象に取得しているISO9001登録を北海道加ト吉にも適用しておれば、被害を免れていたかもしれない。
   
ISO 時事寸評 <No.73; H17.12.8> −衆院参考人質疑で耐震強度偽装の見逃しを弁明−
   
7日の耐震強度偽装問題をめぐる衆議院国土交通委員会の参考人質疑で検査機関 日本ERIが1年半前に偽造の通報を受けたのを放置したことに関し、担当者が「正しい設計をするのは当たり前と思い、偽造ではなく設計ミスと受けとめた」と弁明した(日経新聞 12月8日)。 「事故苦情報告制度」はあったというから、ISO9001が必要とする苦情受付け(7.2.3 c)項)と処理(8.3項)の手順はあったが、報告が上がらなかったのはその基準があいまいであったのかもしれない。ISO9001/ 14001では、手順が確立していてもその意図の通りに効果的に業務が行われるためには、要員が与えられた職務を遂行する能力(6.2.1/4.4.2項)を有するだけでは不十分で、職務の意味と重要性に対する認識や責任感をもっていることが必要である(6.1 d)/4.4.2 a)-d)項)と教えている。人の命に係わる業務との認識や確認検査の責任を全うするという経営方針が明確で徹底(5.3 d)/4.2 f)項)しておれば、「事故苦情報告」がきちっと作成され今日の事態を防止できた。
   
ISO 時事寸評 <No.62; H17.8.19>  外食産業でパート、アルバイトの正社員化の動き
   パート、アルバイトへの依存度が高い外食関連業界で店舗への正社員の配置を増やす動きが相次ぐ。人件費は増加するがサービス向上で集客の回復を目指す。他の産業界でも社員の士気向上や技能伝承の点から正社員を増やす企業が目立つ(日経新聞  8月18日号)。 終身雇用による社員の会社への帰属意識を基礎に福利施策、社員教育、自主管理運動などによる能力と意欲、責任感の源泉となる参画意識を涵養するのが、品質で世界を席捲した日本企業のいわゆる日本型経営の根幹であった。経営の目的の達成には従業員の能力と参画意識が必要という考え方は、マネジメントの基本思想として ISO9001/14001に力量、認識・自覚(6.2.1/4.4.2項)やこの手段のコミュニケーション (5.5.3/4.4.3項)、心理的作業環境(6.4項)の要求事項の形で取り込まれ、引き継がれている。 ISO9001のこれら規格要求事項の必要性については、「すべての階層の人々は組織の基本要素であり、人々の参画意識がその能力を組織の利益のために発揮させることができる*」(ISO9000 0.2 c)項)と明確に説明されている。
   

ISO 時事寸評 <No.62; H17.8.19>  外食産業でパート、アルバイトの正社員化の動き
   パート、アルバイトへの依存度が高い外食関連業界で店舗への正社員の配置を増やす動きが相次ぐ。人件費は増加するがサービス向上で集客の回復を目指す。他の産業界でも社員の士気向上や技能伝承の点から正社員を増やす企業が目立つ(日経新聞  8月18日号)。 終身雇用による社員の会社への帰属意識を基礎に福利施策、社員教育、自主管理運動などによる能力と意欲、責任感の源泉となる参画意識を涵養するのが、品質で世界を席捲した日本企業のいわゆる日本型経営の根幹であった。経営の目的の達成には従業員の能力と参画意識が必要という考え方は、マネジメントの基本思想として ISO9001/14001に力量、認識・自覚(6.2.1/4.4.2項)やこの手段のコミュニケーション (5.5.3/4.4.3項)、心理的作業環境(6.4項)の要求事項の形で取り込まれ、引き継がれている。 ISO9001のこれら規格要求事項の必要性については、「すべての階層の人々は組織の基本要素であり、人々の参画意識がその能力を組織の利益のために発揮させることができる*」(ISO9000 0.2 c)項)と明確に説明されている。
   
ISO 時事寸評 <No.60; H17.7.25> 意欲と能力を発揮できる就業環境
   日経新聞の「団塊定年が問う職場改革」をテーマとする読書欄「今を読み解く」では、2007年に始まる人口減少という状況で企業が競争力を高めるには「付加価値の高い技術を継承し、新たなものを創造し続ける人材の確保」が必須であるが、「90年代にリストラを先行させ、人材の育成や年齢・性にとらわれず、だれもが意欲と能力を発揮できる就業環境の整備を後回しにしてきた」とし、大量定年を迎えるに当たってのこれらの対策の緊要性を指摘している。ISOマネジメントシステム規格では、、「すべての階層の人々は組織にとって根本要素であり、その全面的な参画によって組織の便益のためにその能力を活用することが可能である」(ISO9000;0.2 c)項、品質マネジメントの原則(「人々の参画」))との認識の下に、品質、環境のそれぞれの経営課題の達成には要員の力量の確保と認識或いは自覚の向上が必要である(ISO9001/14001; 6.2.2/4.4.2項)ことが明記されている。これは1980年代までの日本工業躍進の背景となった日本型経営の特質であったが、今日ではISOマネジメントシステムとしてその手段であるコミュニケーション(ISO9001/14001; 5.5.3/4.4.3項)、作業環境(ISO9001;6.4項)と共に世界的に認知され実行されている。
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  購買管理 <共通>
<No.137; H19.10.16> −横浜のマンション構造計算偽装発見−
  横浜市に建設予定のマンションで170ケ所の構造計算が偽装されていたことが15日、国交省などの調べでわかった。構造計算した一級建築士は偽装を認め、他に数件の偽装のあることをほのめかしている。マンションは建築主の積水ハウスが分譲マンションとして計画し、設計を松田平田設計に発注したが、構造設計が構造計画研究所に委託され、さらに構造計算がこの建築士の藤建事務所に委託された。同建築士により建築確認が3月に申請され、6月12日に完了した。しかし、積水ハウスが別の評価機関に物件の評価を依頼した結果、偽装の可能性の高いことが判明した(日経新聞10月16日号)。
   
ISO9001では、外注した業務によって組織の製品・サービスの品質が悪化することを避けるための、購買管理の要件を規定している。組織は発注する製品・サービスの仕様など必要な条件を明確にして外注先に伝え(7.4.2項)、製品・サービスの受取りの際には条件が満たされていることを検証することが必要である(7.4.3項)。記事の場合は、積水ハウスが受取るマンションの設計が建築基準法を満たしたものであるとの要件を自ら検証したものであり、法違反のマンションを販売するという顧客満足、品質保証上の致命的過ちを回避できた。規格は、購買製品・サービスの管理の方式と程度を自身の製品・サービスに対する重要性に応じて決めるべきこと(7.4.1項)を指摘しており、記事の伝える別途の評価という再確認手続きは問題の重要性及び姉歯事件の深刻性に照らして、規格の意図に沿うものであったと考えられる。規格は、このような設計業者に外注することのないようにする供給者管理の必要条件をも規定している(7.4.1項)。積水ハウスには設計業者を選定する能力に改善の余地があるというのが規格の見方である。
   
<No.120; H19.3.9> −国内大手企業、環境・法遵守で調達先選別−
国内大手企業が法令順守や環境配慮など企業の社会的責任を基準にした部品・資材調達先の選別に動き出す。資本関係のない取引先が起こした問題でも最終製品メーカーが責任を問われる例が増えていることに対応したもの。例えば、松下電器は世界9,000社と特定化学物質使用、児童労働の禁止など独自の基準の順守を求める契約を結び、富士ゼロックスは環境、労務、企業倫理の3分野、670項目について状況報告を求める(日経新聞 3月9日号)。
   
購入する物品や役務が、組織の活動や製品・サービスに必要な条件を満たして提供されることを確実にするための供給者の管理の重要性は、日本自動車産業の”系列”を例に広く世界で認識されている。ISO9001、14001両規格でも供給者の管理の必要とその要件を規定している。ISO9001は供給者管理の望ましい枠組みを、組織が購買要件 を明確にして供給者を選定し(7.4.1項)、供給者に要求し(7.4.2項)、その順守を製品の検証(7.4.3項)だけでなく業務実行状況の定期的評価(7.4.1項)で確実なものとするというように規定している。これは世界の成功企業がそれぞれに生み出し実践してきた供給者管理に係わるマネジメントの手法を規格が体系化したものである。両規格の品質又は環境マネジメントシステムは、組織の全体マネジメントシステムの切り離せない一部であり(ISO9000:2.11項/ISO14004:0.1項)、その品質又は環境に係わる側面に過ぎない。両規格の規定する製品品質(7.4項)又は環境影響(4.6項)に関する供給者の管理の要件は、全体マネジメントシステムの構成要素である共通の供給者管理の枠組みの中で満たすことが規格の意図である。規格の意図に沿ってISO9001或いはISO14001のマネジメントシステムを確立している組織なら、記事のような供給者管理に社会的責任という新たな要素を持ち込み マネジメントシステムの範囲を拡大し強化することは格別の出来事ではない。全体マネジメントシステムの枠組みとしての供給者管理の業務に新たな要素を追加すればよいだけである。
 
<No.109; H18.12.22> −東証 次期システム開発企業に富士通を内定−

 
 東京証券取引所が2009年の稼働を計画している次期システムの開発企業に、富士通が内定したことがわかった。東証は国内外のIT関連企業から幅広く公募し、10月までに6社に絞ったうえで、最終選考には富士通と日立製作所の2社が残っていた。日立は大阪証券取引所の新システムを手掛けるが、東証のより容量の大きなシステムには富士通の提案が適しているとて判断した。富士通が担当した現在のシステムは昨年から障害が相次いだが、複雑な取引所システムを永年開発してきた実績を評価し、次期システムをつくる能力が高いと考えた (日経新聞 12月19日夕刊)。
   
記事は、東証が次期取引所システムの開発を外注することに関して、東証の必要とする内容や品質のシステムの提供を受けることを確実にするために、どの企業に発注すればよいかの選択と決定の過程を報じたものである。ISO9001ではシステム開発の外注も「購買」であり、購買製品が組織の購買要件に適合することを確実にする「購買プロセス」の要件(7.4.1項)を規定している。規格の要求事項は規格作成者の創造ではなく、世界の成功企業のマネジメントの優れた要素を採入れ、体系化したものである(ISO中央事務局;ISO9001/14001謎解きの旅)。記事は、7.4.1項の要求事項のひとつ、「組織の要求事項に従って製品を供給する能力を判断の根拠として供給者を評価し選定こと」が、重要な購買を行う際に組織が実際に実行してきた業務の枠組みであることを明確にしている。
 
時事寸評 <No.98; H18.8.10> −プール事故死 安全点検業者任せ−
   女児死亡事故があった埼玉県ふじみ野市の市営プールの安全点検は1994〜2003年の間はすべて管理業者任せで、業務委託元の教育委員会の担当課長は「ふたを自分が間近に見てチェックすることはなかった」と証言した(日経新聞 8月10日号)。同紙8月6日号では、この管理業者太陽管財はさらに契約に反して京明プラニング社に丸投げしていたこと、また、同市市長が「業者との関係にあいまいな部分があった」と謝罪したことが報じられている。ISO9001は、業務を外注した場合はその重要性に応じた管理の方式と程度を適用すべきことを規定(7.4.1:購買プロセス)している。管理とは、委託する業務の内容と実行に関する条件を明確にして業者に伝達すること(7.4.2:購買情報)、及び、この内容が間違いなく実行されていることを検証すること(7.4.3 購買製品の検証)である。購買情報については適切であることを責任者が承認しなければならず(7.4.2項)、検証の記録は残すことが必要である(8.2.4 製品の監視測定)。水遊びの機会提供サービスたる教育委員会の事業の最も重要な品質は安全と衛生であろうから、これに係わる業務のすべてを外注したのにもかかわらず、適用した管理の方式と程度がお粗末というか、どんな管理をしたかも見えない。規格の要求事項は過去の世界の体験に基づき品質トラブルを起こさない方法を規定したものであり、不幸にもこの事件でもその正しさが実証された。
 
時事寸評 <No.94; H18.6.19> −国交省、民間工事も”丸投げ”規制−
   国土交通省は既に公共工事で禁止している、建設業者が受注した工事を一括して下請け業者に再発注する”丸投げ”を民間工事についても2007年度にも大幅に規制する方針を固めた。住宅建設で大手ゼネコンが受注して施工を中小の下請け業者に”丸投げ”することが多いが、工事の責任があいまいになり手抜き工事を誘発しかねず、一方、消費者は大手ゼネコンの信用力で住宅を購入しがちである。業界には、”丸投げ”が禁止されると小規模工事でも自社で工事を監督するなどのコストが膨らむとの不満が強い。(日経新聞 6月18日号)。
   ISO9001では「製品の適合性に影響を与えるプロセスをアウトソースする場合は、そのプロセスを確実に管理すること*」(4.1項)と、”丸投げ”を戒めている。受注した建設工事を外注する場合は、製品たる住宅の必要仕様だけでなく、使用する資材、工事者の資格、工事の検査方法などを含む住宅品質に影響するすべての工事仕様を文書にして伝達し(7.4.2項)、これを間違いなく実行できる下請け業者を選択し(7.4.1項)、また、完工に当たって規定事項が満たされていることを検証(7.4.3項)しなければならない。規格は記事のような”丸投げ”では品質保証が出来ないことを明確にしている。
 
時事寸評 <No.70; H17.11.9>  −東証の大規模システム障害(続)−
   日経新聞は同社記者との会見で、取引全面停止をもたらしたシステム障害の再発防止対策を「システムをつくった富士通に完全と言えない製品を納入しないよう強く要請することと、東証として納品検査を徹底すること」と東証会長が述べたと報じている(11月9日)。
   ISO9001では組織の業務実行又は最終製品の品質に影響を及ぼす製品、サービスを購入する場合には、必要事項を明確にし、供給者に要求すること(7.4.2項)、及び、それらが実際に満たされているかどうかを検査その他の方法で確認すること(7.4.3項)を規定している。組織は購買製品についてどこまで供給者に要求すれば、間違いなく必要とする品質の購買製品を受け取ることができるかを検討し、これを文書で供給者に伝える必要がある。これには製品の機能、性能など品質だけでなく、必要ならこれを確実にするための供給者の業務手順、要員、設備の条件、出荷前の試験、検査とその結果報告の条件、或いは、品質マネジメントシステムに関する条件などを含める。組織はこれら必要事項の要求に加えて、実際にこれら条件が満たされているかどうかを、製品検査、書類確認、品質監査など適切な方法で確認する必要がある。確認は供給者先で実施することを含む。
     
時事寸評 <No.66; H17.10.10> −トヨタ ハイブリッド車部品の初調達先に日立を選定−
   トヨタ自動車はハイブリッド車の基幹部品のモーターを初めて社外調達することになり、系列部品メーカーを含めて調達先選びを進めていたが、発電用タービンなどの技術転用でモーター分野全般に強い日立に決めた(日経新聞  10月5日号)。
   外部調達した部品の品質が組織が製造するのと同等であることを確実にするためにはまず、部品仕様をはじめ製造や検査の方法、基準或いは作業者に対する条件や品質マネジメントシステムに関する条件まで期待する品質の部品が納入されるのに組織が必要と考える事項をすべて明確にすることが必要である(ISO9001 7.4.2項)。 供給者がこれらの必要事項に沿って部品を製造して初めて期待する品質の部品を得ることが出来るのであるから、組織は部品製造を発注するに当たって供給者がこれら必要事項を満たす能力を有していることを見極めてから供給者を決める必要がある。ISO9001はこのために、製品供給能力を判断根拠として供給者を評価、選定すべきことを規定している(7.4.1項)。
 
時事寸評 <No.45; H17.2.27>   -政府が省庁発注の随意契約の監視を強化-
  政府は専門性を理由に入札せずに特定業者に発注する随意契約への監視を来年度から強化する。特に、受注業者が再委託することが多いのに発注省庁が実際の受託業者を把握していないという現状に対しては、省庁が発注時に下請け・孫請けの予定の有無を確認することが義務づけられる(日経新聞 2月26日)。  
   ISO9001では組織が物品やサービスを購入する場合は、手に入れたそれらが組織の必要とする品質の購買品、サービスであることを確実にするために、購買先が組織の要求を満たす能力をもっているかどうかを評価してから購買先を選定することが必要である(7.4.1項)と規定している。 専門性の高い物品、サービスという重要な購買品、サービスであれば尚更、下請け、孫請けの有無が評価の重要な要素となるのはいう迄もない。
   
時事寸評 <No.6; H16.5.14>  −米ギャップ社が不当労働条件の取引先を排除−

    米国の衣料品大手ギャップが初めての社会的責任報告書で過少賃金、児童就労など不当な労働条件を理由に途上国を中心に136ケ所との取引を中止したことを明らかにした(朝日新聞 5月14日)。
    ISO9001は、組織の製品品質の確保のために供給者に求める必要のある事項を購買情報として供給者に伝え、その遵守能力を実績で評価して必要な処置をとるという供給者管理を規定(7.4)している。 製品品質は性能の良否に限らず顧客が受入れるかどうかである。米国の消費者は、衣料品自体の質だけでなくその製造の担い手をも製品品質の一部と受けとめて購入判断をする。この故に同社は供給者に必要な労働条件を課し実績を評価して処置をとった。従ってこの問題は ISO9001の品質或いは顧客満足のための購買管理の範疇でもある。 
 
時事寸評 <No.26; H16.8.21>  −美浜原発事故は配管検査会社の能力不足が背景に−
  関電美浜原発の蒸気噴出事故で1996年から三菱重工に代わって配管検査を請け負った会社は当時、原発検査の実績が全くなかったことがわかった。 この会社によると、当初は原発検査のノウハウが不足していたため他原発のトラブル事例情報の提供等の契約を三菱重工と結んでいた(朝日新聞 8月21日)。 
    ISO9001では、このような重要な業務を外注する場合は、委託業務の内容を必要な程度の詳しさで購買情報として明確にし(7.4.2)、外注会社がこの業務を継続的に遂行する能力を有することを評価した上で選定する必要がある(7.4.1)と規定している。 そして、外注会社の業務実施状況と結果を引き続き管理し、業務実績に基づいて外注会社の能力を評価して必要な処置をとらなければならない。 外注会社がこの度のような事故の原因となることを防ぐためである。
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  是正処置、予防処置 <共通>
<No.115; H19.2.9> −不二家、衛生管理で山崎製パンの支援受入れ−
 
  不二家は5日、衛生管理体制の整備で山崎製パン鰍フ支援を受けるため、同社と覚書を締結したと発表した。安全基準の導入と社員教育の徹底でずさんな品質管理が問題となった製造現場の改善を急ぐ。覚書は山崎製パン鰍ェ採用している米国の衛生管理手法(AIB)を導入するのが柱で、同社の専門家を工場に招き指導を受ける (日経新聞 2月6日号)。
   
 記事の米国の衛生管理手法(AIB)は、北米の製粉・製パン業界が設立した会社AIB Internationalが諸規制に基づいて自主的に作成した食品安全統合基準のことであり、この順守状況を監査し点数で評価、判定するAIB食品安全監査制度を指すようだ。しかし、この基準は防虫、防鼠、清掃など製造現場の衛生管理に関するものである。不祥事は、原料賞味期限切れ、一般生菌検査省略、大腸菌群回収基準逸脱など品質管理上の問題であり、業務の基準の不順守が工場ぐるみで全社的に行われていた結果であるから、AIB手法導入は不祥事再発防止にはならない。ISO9001の是正処置(8.5.2項)であるとすれば、不適合の原因に対応していない対策であるから、このAIB導入は是正処置として不適合である。
   
<No.110; H18.12.27> −韓国検疫で米国産牛肉からダイオキシン検出−
    韓国の聯合ニュースによると、同国農林省が今月1日に骨の一部が発見されたため検疫不合格とした米国産牛肉から基準値を超える1グラム当たり6・1ピコグラムのダイオキシンが検出されたことを21日明らかにした。同省は米国に対し原因究明を要求した。ダイオキシンが検出された牛肉10.2トンは返送もしくは廃棄処分されており、市場には流通していない。韓国は、牛海綿状脳症問題で米国産牛肉の輸入を2003年12月に禁止し、今年10月に再開したばかりであった(日経新聞 12月22日号)。
   
ISO9001/14001では、問題を未然に防ぐために、「起こり得る不適合の原因を除去する処置*」たる予防処置の必要を規定している(8.5.3/4.5.3項)。このためには品質の場合は、組織が「プロセスと製品の特性及び傾向」 (8.4項)の他、「工程、作業、特別採用、監査結果、品質記録、サービス報告書、顧客の苦情など」(94年版 4.14.3項)の諸情報を活用して、時期を失することなく予防処置の必要を把握することが必要である。日本も購買条件が多少異なっても韓国向けで骨やダイオキシンの品質事故を起こした同じ米国という供給者から牛肉を購入している。日本の輸入、販売業者は、この情報を元に、原因を特定し(8.5.3 a)項)、日本向けに起きる可能性の有無を判断(同 b)項)することが必要である。可能性があるなら、その原因を除去する処置をとって(同 c)項)、日本の顧客に問題を生じることを予防しなければならない。
 
<No.89; H18.4.25>   −山手線また線路下工事で長時間不通に−

   24日JR高田馬場駅近くでレールが盛り上がったトラブルで、山手線が5時間半、埼京線が7時間半も運転を見合わせ、32万人に影響を与えた。JR東日本は線路下の道路拡幅工事が原因とみて、現場も含めて同じ工法の28ケ所の工事の中止を決めた(日経新聞4月25日号)。2月にも新橋駅付近で同様の事故が起きているから、なぜ再発したのか組織のマネジメントの問題に焦点を当てなければならない。ISO9001/14001では、再発防止対策を是正処置と呼び、それは手順書の変更(96年版4.14.1/4.5.3)を伴わないと効果的でない、つまり、対応処置が遵守されないということを教えているが、JR東日本ではどうであったのか。或いは是正処置の適用が新橋駅付近の当該工事に限定されていたのなら、是正処置を決定(8.5.2 d)/4.5.3b))した責任者の判断と責任意識、意思決定の仕組みに改善の必要がある。またISO規格では、とった処置が再発防止に有効であることを何らかの方法で確認し記録を残す(8.5.2e)/4.5.3d))ことになっているから、この記録が処置或いは確認の方法にどんな問題があったのかを含み、再発の技術的原因解明への重要なとっかかりとなる。
 
<No.86; H18.3.16>   −日証協が誤発注防止ルールを公表−

   全証券会社222社の内89%の会社が昨年株式取引で誤発注をしていたことが金融庁のまとめでわかった。同日、日本証券業協会は昨年12月の大量誤発注問題を受けた再発防止対策を公表した。証券各社にはこれを社内規則として制定することを義務づけている(日経新聞 3月16日号)。 協会を組織、加盟各社をその部門としてISO9001の規定でこの事を考えると、犯した誤発注に対して各部門では問題の大きさに対応する再発防止対策(8.5.2: 是正処置)をとったが、全社として多発するので問題の見直し(8.4:データの分析)を行い、改めて総合的な再発防止対策(是正処置)を決めたということになる。データ分析は、是正処置の責任者が自主的に行い7(8.5.2 a)項)、又は、管理責任者が月例会議で指示し(5.5.2 b):管理責任者)、或いはマネジメントレビューでのトップマネジメントの判断(5.6.3 a):マネジメントレビューからのアウトプット)であるかもしれない。プロセスアプローチを標榜するISO9001であるが所詮、各業務(“プロセス”)の必要条件(“要求事項”)を規定するに過ぎず、それら各要素業務をどのように関連づけて実行するかは「プロセスの順序及び相互関係を決めること*」(4.1:一般要求事項)としか規定していない。規格が規定する要素業務を効果的に組み立ててシステムとするのは組織の裁量であり、見識と能力の問題である。
 
<No.84; H18.2.19>   −牛肉背骨混入原因調査報告書−
   米国農務省はBSE特定危険部位の脊柱混入問題について、「特定の商品について、食肉業者も検査官も輸出条件に十分に精通していなかった」人為ミスだったとし、15項目の再発防止対策を含む調査報告書を日本政府に提出した(朝日新聞 2月18日号)。ISO9001/14001では、問題の再発防止のためにはその原因を除去することが必要であることを規定し、これを是正処置(8.5.2/4.5.3項)と呼ぶ。発表では人為ミスの原因が連絡不備としているが、なぜ連絡不備が生じたのか、その原因をどのように除去したのか、除去されたことをどのように確認したのかがわからないから、検査官の再訓練、輸出証明書への署名を2人にするなど発表の再発防止対策が本当に有効なのか判断できない。規格は、是正処置は再発した場合の問題の重大さに応じたものでなければならないと規定している。すべての問題に「なぜなぜ」を繰り返す必要はないが、規格の意図に則って考えると、米国には本件が今度こそは絶対に起こしてはならない問題であるとの認識がないということである。
    
ISO 時事寸評 <No.52; H17.5.22>    −JR西日本の "日勤教育"−
   
JR西日本の電車脱線惨事に関連して、運転ミスを犯した運転士に対する”日勤教育”についての批判が続いている。懲罰的研修であり国鉄時代の「いじめ体質」の継続であるとの千葉商科大学加藤寛学長の批判(日経新聞 5月20日号 ”私の履歴書”)、5年前の判決での不合理の指摘や昨10月の国交省の是正指導も無視されてきたとの記事(朝日新聞 5月22日号)である。ISO9001,14001では発生した不適合の影響の重要性に応じた再発防止対策、つまり、是正処置(8.5.2,4.5.3項)をとることを必要としている。是正処置とは不適合の原因を除去することであり、不適合の原因を特定すること、とった処置の有効性の確認と記録、後日に総合的評価、判定を行うこと等が必要であると規定されている。ミスの再発防止対策として”日勤教育”が妥当か有効か何の評価もせず繰り返えされてきたとすれば、それはISO規格では是正処置の名に値しない。
  
ISO 時事寸評 <No.48; H17.3.27>    −リコール補修トラックにも車両火災発生−
   
三菱ふそうトラック・バスがリコールを届出た大型トラックのサスペンション部品の欠陥で昨年9月の届出後にも7台の車両火災が起きていることがわかった。内4台はリコールか暫定対策実施車、1台は生産ライン変更後の新車だったため、同社では「対策実施の新車も火災の危険性はなくなっていない」と判断し国交省に報告した(朝日新聞 3月26日号)。 昨年9月の「対策」による火災防止の効果を同社がどのように確認した上で実施し公表したものなのかについては記事は触れていない。 ISO9001では問題が起きた時の再発防止対策の手順のひとつとして、とろうとする或いはとった処置が効果的なものかどうかを確認した「とった処置の結果の記録」(8.5.2 e)項)を残しておくことの必要性を規定している。 更に、対策のとりっぱなしではなく、再発を見守ることを含めて、とった再発防止対策の適切性、妥当性、有効性を評価しなければならない(同 f)項)。
   
ISO 時事寸評 <No.30; H1610.1>  −乗務員の勤務中携帯電話使用がまた発覚−
   
乗車中の運転士の7月下旬の私物携帯電話使用の処分を発表したばかりの名古屋鉄道で、今度は8月上旬の車掌の乗車中の携帯電話使用がわかった。同社では先の事件で運転士は7/30に乗務停止とし、他の乗務員に携帯電話の電源を切るよう指導していた(日経新聞: 9月30日、10月1日)。  問題が生じれば再発防止の対策をとるのがISO9001/14001に共通の考えかたである。 この対策は是正処置(8.5.2/4.5.2項)と呼ばれ、問題の影響の重大性に応じた程度の深さで実施しなければならない。 是正処置とは原因を除去することであるから、本人の乗務停止措置だけであったとすれば是正処置には値しない。  電源を切るように手順を変更したなら、管理者は関係する人々に周知徹底を図り、実際に遵守されているかどうか監視しなければならない。 電源を切ることが是正処置なら、2度目の事件は是正処置が効果的に実行されなかった結果である。
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  トップマネジメント <共通>
<No.92; H18.5.26> −社会保険庁の年金不正免除問題が全国的に
   社会保険事務局・事務所で本人の申請がないのに保険料納付の免除手続きをした不正が京都、大阪、長崎に続き、25日には三重県でも発覚した。民間出身の長官の納付率改善指示と「以前より成果が厳しく問われるようになった」ことから、計算の分母となる支払対象者を減らして見掛けの年金納付率を高めようとしたものと言われている(日経新聞 5月26日号)。納付率改善は社保庁の最大の課題であるからISO9001/14001のマネジメントでは、これを トップマネジメントたる長官が「方針」(5.3/4.2項)として明確にし、関係する部門、階層、つまり、地方の社会保険事務局等で何をどこまで改善するのかの「目標」(5.4.1/4.3.3項)を設定し、更にどのように目標を達成するのかの計画(5.4.2/4.3.3項)を策定する。ISO9001は、「目標」と「計画」が「方針」の実現に適うものであるようにするのを トップマネジメントの責任と明示している。また、両規格とも「計画」の実行には人や方法論、予算など「資源」が必要なことを指摘(6.1/4.4.1項)しており、ISO14001では「資源」の提供を トップマネジメントの責任と明示している。トップマネジメントは「方針」を出して号令を掛けるだけではなく、その実現を図る各部門、階層の「目標」「計画」の策定及びその実行についても指揮監督し、必要な処置をとらなければならない。

   
<No.42; H17.1.14>   −上場企業経営トップによる「宣誓」−
   東京証券取引所が全上場企業に義務づけた経営トップによる「宣誓」の提出締め切りが2月末に迫っている。これは西武鉄道の有価証券報告書の虚偽記載問題を契機に、「適時開示に真摯に取り組む」姿勢と社内体制の整備状況について代表取締役などの名前での宣誓書の提出を求めるものである()。ISO9001及びISO14001では、顧客満足向上又は環境影響改善に対すトップマネジメントの「コミットメント」を品質方針声明書、環境方針書でそれぞれ明らかにするように規定されている。「コミットメント」とは「ある活動に進んで精力と時間を注ぎ込み精一杯努力する意気込み」 (Oxford Advanced Learner's Dictionaryより)というような概念であるから、東証の求める宣誓書は投資家に必要な経営情報は不利なものでも隠さず公開することに対するトップマネジメントの「コミットメント」の声明書である。

   
<No.14; H16.6.21>  −新世代経営者の マネジメントスタイル−
   日経新聞の連載コラム"経営の視点"が、この1,2年に相次いで登場した若い世代のトップのマネジメントスタイルの特徴を分析している。これによると若手トップは、経営方針や決定事項、経営の現状など自らの考えについて社員に説明を尽くすことによって組織の透明度を上げ社員の求心力を生む努力をしている(6月21日)。ISO9001の品質マネジメントの原則(ISO9000 0.2 b),c))は、組織の基本要素たる人々の能力を組織の利益に発揮させるためにトップマネジメントは人々が組織の目標の達成に参画できる環境をつくることが必要であると説いている。これをISO9001は具体的に、トップマネジメントが顧客の大切さ(5.2)とその追求のための方針(5.3)を組織全体に理解させ、人々にその仕事の意味と大切さを認識させる(6.2.2)ことを求め、諸情報の伝達、連絡の徹底(5.5.3)、社員の意欲向上の環境の整備(6.4)と、教育訓練(6.2.2 d))の必要性を規定している。
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  マネジメントレビュー <共通>
<No.106; H18.11.30> −旅行大手が新予約サイトを相次ぎ開設−
  大手旅行各社がホテルなど宿泊施設に料金やプランの規格を任せ、手数料だけ徴収する宿泊予約サイトを相次ぎ開設している。従来の大手旅行各社に一定数の客室の販売を委託する形に比べて手数料が安く、宿泊施設では売れ残りを直前に格安販売できるなど機動的な値付けで売れ残りを減らすことが可能になる。(日経新聞 11月20日号)。
   従来、仕入れ販売という自社のブランド力を活用するネット予約サービスを提供してきた旅行大手であるが、顧客の宿泊施設側には手数料が高く、また、売れ残った客室は宿泊施設に返却されるという不利益があり、楽天トラベルなどネット専業大手の直販サイトを利用する動きが拡がっている。旅行大手の新ネット予約サービスは、顧客のニーズと期待がネット専業大手の提供する方式の予約サービスに変化しつつあると判断した結果である。ISO9001ではその製品・サービスが顧客のニーズと期待をどの程度満たしているかを評価することの必要を、顧客満足の監視、測定(8.2.1項)として規定している。顧客満足の監視、測定は、苦情や顧客の声や売上の増減で実態がどう変化したかを判断するだけでなく、検出される不満足の部分の背景にある変化しつつある顧客のニーズや期待或いは競合組織の製品・サービスへの顧客の評価の向上の兆しなどをも把握することが必要である。トップマネジメントはこれをマネジメントレビューの対象とし(5.6.1 b)項)、新しい製品・サービスの開発など「顧客要求事項に関連した製品の改善*」(5.6.3 b)項)に関して必要な戦略的決定を行うことが必要である。
 
<No.105; H18.11.20> −松下電器など3社がプラズマパネル無鉛化−
  松下電器、日立製作所、パイオニアのプラズマパネル3社がパネルに含まれる鉛の使用をとりやめる。現在はEUの「RoHS指令」でも規制の対象にはなっていないが、今後の環境規制の強まりを見越して代替材などに切り替える(日経新聞 11月20日号)。
   ISO14001は、法規制を遵守する他、活動と製品・サービスの環境影響をその利害関係者のニーズと期待に応えて自主的に改善する環境マネジメントのための要件を定めている。経営トップは事業の継続、発展のためにどのような環境影響をどの程度に管理し改善する必要があるかを環境方針(4.2章)として明確にし、これに沿って組織内で諸業務が行われるよう管理し、定期的に実績(4.6項 a〜f)項)と法規制の進展を含む変化している状況(4.6 g)項)を評価して、方針を含む環境取組みを変更することが必要である。規格は、効果的な環境マネジメントのためには経営トップが マネジメントの体系的見直しと記事のような戦略的決定を行う機会を持つことを「マネジメントレビュー」(4.6章)と呼んで、その実施の必要と要件を明確にしている。
   

ISO 時事寸評 <No.11; H16.6.7>  −環境省 鉛弾丸の使用禁止を検討−
   
鉛弾がオオワシなど希少動物への被害にとどまらず土壌や水質汚染を各地で引き起こしている。環境省は鉛弾使用禁止も視野に対策に乗り出した(日経新聞 6月7日)。
   
ISO14001の著しい環境側面とは利害関係者のニーズを満たすという点で"重要な"という意味であるから、銃弾提供に係わる組織にとっては鉛毒は今や間違いなく製品の著しい環境側面である。これをこれまで著しい環境側面に取り上げていなかった組織は、経営層による見直し(4.6)でこの「変化している周囲の状況」を受けとめて、「方針、目的・目標、環境マネジメントシステムのその他の要素(著しい環境側面の決定基準)の変更」を検討することが必要である。
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  品質、顧客満足 <ISO9001>
<No.123; H19.4.15> −生命保険でも不払い263億円−
   
生命保険各社は13日、金融庁の命令に基づく保険金支払いの調査結果を公表した。全38社の保険金や給付金の不払いは同日時点で確定した分で計12万4千件、263億円。三大疾病、通院など主契約に上乗せする特約の不払いが多く、契約者からの請求があったのに事務作業ミスで支払いが不足したものが9万4千件もあった。この他に、契約者から入院給付金の請求があって支払ったが請求がないからと通院給付金を支払わなかったいうような事例が多くあり、金融庁はこれも顧客保護の観点から問題視している (日経新聞 4月14日号)。
   ISO9001では、算出した保険金額の正しさを検証しなければ保険金支払いというサービスの引き渡しを行ってはならない(8.2.4項)。これは作業ミスの防止を直接目的とするものではないが、この検証が手順になっておれば多数の作業ミスが気付かれないまま放置されるようなことはなかったはずである。またISO9001は、実際にサービス提供の注文があった場合は、顧客の要求する条件が先の約束や合意、この場合は保険契約の内容と合致することを確認し、異なる場合は顧客と問題解決をしてから注文を受付けることを規定している(7.2.2 b)項)から、請求がないから保険金は不払わないというような問題も起きない。更にISO9001は、このような問題を発生させない基本として トップマネジメントが顧客満足の実現を心に定め、公約し(5.1項)、顧客重視を組織内に徹底し(5.1 a)項)、そのように組織の業務が行われるよう管理する(5.2項)ことが必要であることを指摘している。記事は問題の背景に「保険金の支払はまず契約者にありき」という業界の常識があり、金融庁は不払いを業界の構造問題と認識していると報じているから、保険各社の経営がISO9001が定めるような顧客満足という観点では行われてこなかったということである。
   
<No.90; H18.4.30> −盟主インテルの経営が転機に−
   
半導体世界最大手の米国インテルが約20年振りに不採算事業見直しの大規模なリストラに追い込まれようとしている。「ひっくり返らない石はない」と同社最高経営責任者は強気だが、経営の揺らぎの遠因は過去数年の後手に回った製品戦略にある。64ビット処理可能汎用MPUではAMDに先行され、NAND型フラッシュメモリーでは東芝とサムソン電子に、コアを複数持つ新型MPUでもIBM、ソニー、東芝三社連合にそれぞれ先行された(日経新聞 4月30日号)。製品の品質保証から顧客満足向上に概念を拡大した2000年版のISO9001では、組織の発展のためには顧客のニーズと期待を満たす製品の提供が不可欠とする考えに立っている。顧客のニーズと期待は変化するが、加えて競合他社が存在し、技術の進歩があるから、組織は現状に満足せずに常に製品を改善してこれに対応していかなければならない(ISO9000 2.1項)。このためISO9001は、不良製品を出荷しない管理(7,8章)と合わせて市場の情報を収集(8.2.2項)、評価(8.4項)し、トップマネジメントが製品戦略初め顧客満足向上のための適切な決定(5.6.3項)を行って、組織をあげてこれに取組む(5.3,5.4項)ことの必要を規定している。
 
<No.88; H18.4.6> −定番の狭間に宝の山−
   
日経新聞のコラム「サイズの法則」は、寸法や量に関する消費者のニーズを汲取った種々のヒット商品を紹介している。例えば、1パックに1個だけのサンドイッチが従来の2個入りでは足らないが2パックは多すぎるという会社で朝食を摂る席朝族の女性を中心に売れている。需要飽和の冷蔵庫でも高級感のある大型だけは売上が伸びている。オープンキッチンで冷蔵庫が見せるものになり、又、働く女性など一度に大量の買物をする人が増えているからだそうだ(4月4〜6日号)。 組織が毎年の増収増益の道を目指すなら、このようなヒット商品、売れる商品がたまたまではなく、市場戦略や商品企画、商品開発等の組織的な活動として生み出される必要がある。ISO9001はこれを可能とする品質マネジメントとはどのようでなければならないかを規定している。この基本は変化する顧客のニーズと期待の適切な把握であり、これは規格では「顧客満足向上の監視、測定」(8.2.1項)である。これを受けて多くの組織が顧客満足度調査を実施しているが、本記事が挙げる ヒット商品のいずれも顧客満足度調査で顧客が指摘したものとは思えない商品である。組織は自ら「顧客のニーズと期待を分析し、どのようにすれば顧客に受入れられる製品となるのかを判断して、それを実行しなければならない」(ISO9000 2.1項;筆者意訳)というのが規格の8.2.1項に関する意図である。
 
<No.83; H18.2.6>  −時計技術を生かして自動車部品へ−
   
腕時計メーカーは精密加工技術を生かして自動車部品事業への進出、強化を図る。シチズン時計はエンジン、ブレーキ、エアバッグ部品の工場を5月に新設、稼働させ、セイコーインスツルは車載の各種用途の集積回路の生産能力を4年間で3倍に高める設備増強を行う(日経新聞 2月4日号)。
    ISO9001は、顧客満足向上を通じて組織の事業を発展させるための規格である。 「組織の成功は、現実の顧客と潜在的顧客の現在と将来のニーズ・期待をどれだけ把握し満たすことができるかに依る*」(ISO9004; 5.2.2項)から、組織は常に顧客のニーズ・期待に関する情報を監視する必要がある(ISO9001;8.2.1項)。 この「顧客満足」に関する情報とは、組織の製品を「顧客がどのように受けとめかた」の情報に限らず、顧客の動静、市場動向、競合他社の動向(ISO9004;8.2.1.2項)など将来の、また、潜在的な顧客のニーズ・期待を汲み取るための情報がとりわけ重要である。これら情報はデータ分析(8.4 a)項)して、トップマネジメント が新事業分野への進出など組織発展のために必要な製品戦略の導き出す(5.6.3項)ことに結びつけることが大切である。規格の規定の「顧客満足の向上を目指す」とは、トップマネジメント が製品戦略の時宜を得た 更新を基礎として組織の事業繁栄を追求することである。
 
<No.75; H17.12.18>  −成功企業の商品戦略−
   
日経新聞は売れる商品に関する成功企業2社の戦略を別々の記事で紹介している。 その中で、衣料品販売の山陽商会田中社長は 「先月下旬から紳士・婦人服ともに絶好調。とはいえ浮かれてはいられない。消費者の心はますます読みにくくなっている。めまぐるしく移り変わる流行をタイミングよくとらえるために顧客動向のチェックの徹底を社員に呼びかけている」と語り(連載コラム"回転いす")、 富士ゼロックス有馬社長は「人々が求めているものを先取りする精神が必要。予想もつかないような優れた商品、サービスを提供する企業でなければ成功できない」と価値の創造を説いている(全面広告"これからの経営を考える座談会")。(12月17日号)。 これらの考えは、「組織は現在と将来の顧客のニーズを理解し、必要事項を満たし、顧客の期待を超えるよう努めなければならない*」(ISO9000 0.2項: 品質マネジメントの原則 a)顧客重視)や、「顧客のニーズと期待は変化し、市場競争と技術進歩があるので、組織は製品を改善し続けなければならない*」(同 2.1 品質マネジメントシステムの論理的根拠)など、ISO9001の拠って立つところと同質である。 ISO9001は審査登録のための形式的な"要求"ではなく、商品が売れるに十分な高い顧客満足を追求する マネジメントとはどのようなものであるかの世界の成功企業の体験を論理化したものである。
   
<No.67; H17.10.17>  −消費者はどこにいるか−
   
日経新聞の連載コラム「経営の視点」は、ユニクロのファーストリテイリング社の8月期減益決算の原因を「売れると見込んで多めに生産した商品が計画を下回った」こととし、ユニクロですら苦悩する「移り気な消費者の心をとらえること」の難しさを指摘している。続けて、この浮沈の激しい業界で四期連続増収増益のハニーズ社(いわき市)の「顧客と同じ20歳代の女性社員が店頭での商品動向を分析、顧客の声に耳を傾け、街を歩いて流行の兆しをつかむ」という消費者ニーズ把握の手法を紹介している(10月17日)。 ISO9001では変化する顧客のニーズと期待を的確に把握してこれを製品に反映させ、顧客の受けとめ方を評価して、組織の製品、サービスを顧客のニーズと期待に合致させるようPDCAサイクルを廻す必要を規定し、この効果的な実行管理の責任は トップマネジメント が担うべきことを規定している(5.2項)。 規格では製品、サービスに対する顧客の受けとめ方が「顧客満足」(ISO9000;3.1.4)であり、この効果的な監視、測定の必要を 8.2.2項(顧客満足)に規定している。 顧客満足の監視、測定の方法として多くの登録組織で顧客満足度アンケート調査が機械的に実施されているが、記事は顧客のニース、期待の正確な把握に成功しているハニーズ社を例に挙げて、規格の意図する顧客満足の監視、測定とは如何なるものかを示している。
     
<No.61; H17.8.10>  金融庁が金融機関に顧客満足度調査を要請
   
金融庁は銀行、保険会社などの金融機関に顧客サービスについての満足度調査 の実施を要請すると発表した。方法は自由だが、店頭での聞き取りやダイレクトメールの活用を推奨している(日経新聞  8月10日号)。 ISO9001は品質マネジメントの在り方に関する規格であり、組織がいつの時代にも顧客に受け入れられる製品を提供することができるために何をする必要があるかを規定している。このひとつが組織による顧客満足度の監視である(8.2.1項)。これは提供した製品が顧客にどのように受けとめられたかということだけでなく、顧客の変化するニーズや期待、競合他組織の動向(ISO9000 2.1項)の把握を含む。この結果を新製品の開発を含む製品の改善(5.6.3 b)項)に繋げていくことが必要である。このような顧客満足度はひとつの指標で測ることは出来ず、種々の情報の分析に基づかなければならない(8.4 a)項) 。規格は顧客アンケート調査が必要とは規定しておらず、適切な場合には情報のひとつとなり得ると言っている(ISO9004 8.2.1.2項)。

 
<No.59; H17.7.22>  米議会 牛肉輸入再開に向けて対日圧力強める
   米国産牛肉の輸入再開を日本に求める法案が米上院に提出された。報復措置はふりかざしてはいないが、早期輸入再開に向けて日本に圧力を強めようという米議会の一段と踏み込んだ姿勢を浮き彫りにしている(7月22日)。牛肉を買う顧客は日本の一般市民であり、日本政府が再開をためらうのは一般市民の牛肉の安全性への強いニーズ、期待が背景である。ISO9001は、顧客に製品を買ってもらうためには組織は、「顧客のニーズと期待を理解し、それらを満たし、顧客の期待を超えるように努力しなければならない」(ISO9000 0.2 a)項)という市場経済の原則に基づいている。 ISO9001の考えに従えば、米国畜産業者のやるべきことは議員を通じて日本政府に輸入再開の圧力をかけることではなく、日本の消費者のBSE検査のニーズと期待を理解し、それに応えることである
   

<No.53; H17.6.10>  ファストフード店 大人の利用が増加
日経新聞は「ファストフード 大人の利用増」との見出しで、個人経営の喫茶店の減少とコーヒーチェーン店の増加と合わせてファストフード店が子供連れの母親の集まりや社会人の仕事の息抜きに利用されることが増加していることを報じている。この新しい喫茶需要にいち早く着目したフレッシュネスバーガー社ではメニューの半分が飲料となっており、他のファストフード店でも種々の取り組みを始めている(6月10日号)。 顧客或いは市場のニースや期待は早い遅いの違いはあっても常に変化し、これを読み取って他に先駆けて対応することが、組織が競争を生き抜いて繁栄するための条件である。「顧客のニース、期待は変化し、競争と技術進歩があるので、組織はその製品を継続的に改善する」(ISO9000; 2.1項)必要があるというのがISO9001の基本論理である。 規格は、組織が顧客情報の収集を怠らず(ISO9001;7.2.3項)、提供する製品、サービスが顧客にどう受けとめられているかを把握し(8.2.2項)、諸情報を分析して(8.4 a)項)、年度の実績評価の場(5.6項)で変化する顧客のニース、期待を検討し、トップマネジメントがそれに応えるために必要な製品や業務の改善(5.6.3項)を決定するという顧客満足の継続的改善のための体系的なマネジメントの要件を定めている。
   
<No.46; H17.3.10>  仏スーパー カルフール社が 日本進出4年で撤退
   世界第2位の小売業、仏カルフール社が業績不振のため進出4年で日本を撤退する。背景には日本の消費者の好みやニーズを十分把握できなかった事情がある(日経新聞 2月26日)。  ISO9001では「組織は顧客に依存しているので現在と将来の顧客のニーズを理解し、必要事項を満たし、その期待を越えるようにしなければならない」(ISO9000: 品質マネジメントの原則)との認識に立って、これを「顧客満足の向上を目指す」と言う。そして規格は、これを実現するマネジメントたるには組織の業務はどうあるべきかを規定している。 規格の規定を意味する requirement  は「"要求"事項」と翻訳されているが、組織の発展を図るマネジメントの業務に対する「"必要"条件」である。カルフール社の失敗はISO9001の必要条件を満たしたマネジメントが行われなかった結果であると記事は断定していることになる。

 
ISO 時事寸評 <No.34; H1610.28>  朝日新聞の調査によると、米国産牛肉の輸入が再開されても食べたくないと思う人が63%で食べたい人28%を大きく上回った(10月26日)。調査が適切なら、生後20ケ月以下の牛をBSE検査なしで輸入するとの政治決着が消費者の希望や期待に反するということである。 ISO9001の顧客満足の論理では、顧客のニーズと期待を満たす製品しか売れない。 すなわち、消費者はBSE検査をしない牛肉は買わないし、又食べないと予想される。  販売増を図りたい企業は、その製品の要求事項(7.2.1 b)項)に「BSE検査済牛肉であること」を含める必要があり、 牛肉を原料、仕入れ商品として購入する場合は「BSE検査済」を購買情報(7.4.2項)として明確にすることがその製品要求事項を満たす上で必要である。 輸入再開後の売れ行きがどうなるのか。 企業(日米政府)と消費者の本当の力関係が、そして、ISO9001の顧客満足の論理の正しさが試されている。
   
ISO 時事寸評 <No.28; H16.9.12>  サッポロビールは、ビール風炭酸アルコール飲料「ドラフトワン」の来年の販売目標を今年2月発売開始時目標の2倍の2,000万ケース以上に伸ばす計画を固めた。 「ドラフトワン」はエンドウマメ由来のたんぱくを使用してビール風に仕上げたもので発泡酒より更に酒税が安く、低価格とすっきりした味わいが受けて発泡酒市場を切り崩している((日経新聞: 9月10日)。  発泡酒もビールの高い酒税への消費者の反発に、ビールと変わらない味を実現した新技術で応えたヒット商品であった。 この新商品の好調な売れ行きは、酒税の更なる回避という消費者の期待の的確な把握と適切な新技術の開発を結び合わせた顧客満足向上追求のマネジメントの成果である。 市場に競争があり、技術の進歩があり、顧客はいつも自らのニーズと期待が満たされる製品の登場を求めているという、 ISO9001の顧客満足に係わる概念がそのまま当てはまるビール業界の激しい市場競争である。

 
ISO 時事寸評 <No.20; H16.7.18>  米国産牛肉の輸入解禁に絡む牛海綿状脳症(BSE)の全頭検査の有効性の議論が迷走している(朝日新聞 7月18日)。 BSE原因物質が牛の体内に蓄積するには時間がかかり、更に、蓄積量がある程度以上にならないと検査では検出できないという理由で米国が全頭検査を非科学的と主張してきたのに対して、厚労省の食品安全委員会がこれに近い「一定月齢以下の牛を検査対象外としても人への感染のリスクは増えない」と結論を出した。原因物質が蓄積する危険部位さえ除去すれば問題ないという主張もある。 ISO9001は、製品は検査して品質に問題ないことを確認してからでないと出荷してはいけない(8.2.4)旨規定している。 全数検査である必要はないが、工程内検査も合わせて製品品質に問題のないことを確実にしなければならない。しかし、その妥当性が確認できるなら、検査をしなくても工程の条件を規定したり工程の実績で選別して品質を保証する方法も認めている(7.5.2)。 本件の場合、検査方法が不完全だから全頭検査は有効でないというなら、適切な検査方法の開発に向かうのが筋である(94年版 4.2.3 e))。 月齢による選別や危険部位の除去で感染リスクがなくなるというなら、それは科学的に実証されなければならない(7.5.2)。 単に「検査しなくてもリスクは不変」という結論ならそれをどう受けとめるか、その結果米国産牛肉が買われるかどうかは消費者次第と考えなければならない。大事なことは、これも含めて本件は今や、供給側の品質保証の在り方の問題ではなく、消費者の受けとめ、つまり顧客満足の問題になっていることである。
   
ISO 時事寸評 <No.18; H16.7.12>  日経新聞(7月12日)の連載 "イノベート・ジャパン"(広告)のVol.3「顧客価値を創る」は、絶え間なく変化する顧客のニーズに機敏に反応し、期待や想像を越えた満足を提供することが顧客価値の本質であるとの論陣を張っている。 日本では ISO9001の顧客満足はこれと異なり、「"satisfactory"とは優・良・可・不可の"可"程度に相当する」と解釈する向きがある。 しかし 規格の意図における顧客満足は、「組織は顧客に依存しているので、その現在と将来とニーズを理解しそれらを満たし期待を越えるよう努力しなければならない(ISO9000 0.2 a))」「顧客のニーズと期待は変化し市場競争があり技術の進歩があるので、常に製品の改善が必要である(同 2.1)」であるから、記事の顧客満足と同質である。 記事では品質には(ビールが)おいしいということだけでなく、安全・安心を含み、企業の社会貢献、誠実さは前提であるとするアサヒビールの経営理念も紹介されている。ISO9001は顧客価値の製品品質の側面しか取扱っていないから、組織の発展をISO9001のみに依存することはできない。ところでISO14001は利害関係者の環境ニーズと期待に応えることが狙いであるから、環境対応という顧客価値を取り扱うものである。
 
ISO 時事寸評 <No.10; H16.6.3>  三菱自動車の5月の新車販売台数が対前年同月比で56.3%の減少した。三菱ふそうトラック・バスの安全・品質問題、独ダイムラークライスラーの支援打ち切りという経営問題でブランドイメージが低下したのが原因だと分析されている(日経新聞 6月2日)。 顧客の離反が製品の品質と直接的に関係していないのなら、ISO9001運用では防止できなかった問題といえる。今日のマーケティング理論は、製品を購買するかどうかの顧客の判断基準は「顧客(評価)価値」であり、それは製品の価値だけでなく接客態度や企業のイメージまで含む広範囲な要素について顧客が受けた総合的な印象に支配されるとしている。記事の販売不振はこの考えで説明され得る。ISO9001は顧客満足向上の必要条件だが十分条件ではない。
 
ISO 時事寸評 <No.6; H16.5.14>  米国の衣料品大手ギャップが初めての社会的責任報告書で過少賃金、児童就労など不当な労働条件を理由に途上国を中心に136ケ所との取引を中止したことを明らかにした(朝日新聞 5月14日)。 ISO9001は、組織の製品品質の確保のために供給者に求める必要のある事項を購買情報として供給者に伝え、その遵守能力を実績で評価して必要な処置をとるという供給者管理を規定(7.4)している。 製品品質は性能の良否に限らず顧客が受入れるかどうかである。米国の消費者は、衣料品自体の質だけでなくその製造の担い手をも製品品質の一部と受けとめて購入判断をする。この故に同社は供給者に必要な労働条件を課し実績を評価して処置をとった。従ってこの問題は ISO9001の品質或いは顧客満足のための購買管理の範疇でもある。

   
ISO 時事寸評 <No.5; H16.5.10>  DVDレコーダーの普及がテレビ広告業界に深刻な影響を与えつつあるという(日経新聞 5月10日)。そのひとつが CM 飛ばしの機能「30秒スキップ」であり、これが拡がればテレビ広告の効果が減退しかねない。DVDのメーカー自身も有力テレビ広告主だが、「競争上、視聴者が求める機能をはずす訳にはいかない」とのことである。ISO9001の顧客満足とは、どの企業もこのような他社との競争の中で顧客を維持していかなければならないという現実を教えるものである。顧客満足は優、良、可、不可の可に相当するとか、顧客満足アンケート調査をすればよ いとかという問題ではない。
 
ISO 時事寸評 <No.4; H16.5.5>  4月の六本木ヒルズの回転扉事故の特集記事(日経新聞、5月3日)で、過去に全メーカー合わせて重軽傷133件もの事故があったのにこの情報が業界で共有されず安全対策に結びつけられなかったと分析されている。 どのメーカーも事故情報を採り入れ製品の安全性を確保して競合他者製品との差別化で競争優位に立ち、また、事故を受けて他者の回転扉が壊滅状態に陥るのを尻目にひとり繁栄するという千載一遇の機会を逸したということである。ISO9001では顧客満足が競合他者との相対的なものであることを指摘しており(ISO9000;2.1)、顧客満足の情報収集(8.2.2)やデータ分析(8.4a))に競合他者と製品の動静を含める(ISO9004; 7.2,8.2.1.2)ことの必要性を教えている。   
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  製品、サービスの改善 <ISO9001>
ISO 時事寸評 <No.21; H16.7.24>  1リーグ化で揺れるプロ野球だが、巨人戦のテレビ視聴率の低下が続いている。テレビ局の営業現場には広告枠の空き、広告料の低下などの影響が現れている(日経新聞 7月24日)。 視聴率調査は、野球中継という製品に対する視聴者の満足度の測定(ISO9001 8.2.1 顧客満足)であるが、各番組に視聴率の目標があるなら視聴率は実質的に製品の品質特性である。放映前にこの特性は直接的に検査(8.2.4 製品の監視及び測定)できないが、事後に得た視聴率の値が不適合なら、解説が巨人寄り過ぎでなかったか、巨人戦以外が望まれていたのか等の低視聴率の原因を調査して是正処置(8.5.2)を検討することが必要である。また、諸情報を分析(8.4 a) データ分析-顧客満足)して野球中継という番組が視聴者の変化するニーズと期待に合わなくなっていると判断されれば、他の番組の開発などの戦略的決定が必要である(5.6.3 b) マネジメントレビューからのアウトプット-製品の改善)。
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  内部コミュニケーション <ISO9001>
ISO 時事寸評 <No.19; H16.7.15>  リコール問題からの信頼回復を図る三菱ふそうトラック・バスでは、外部への情報開示の迅速化のために社内での情報伝達のスピードを上げる方策に躍起となっており、不具合情報の本社への報告を1週間以内とするなどの改善が進められている(日経新聞 7月15日)。組織内情報伝達は、諸業務が適切に体系的に実行され、また、業績の改善を進める上で不可欠である。 ISO9001(5.5.3)、ISO14001(4.4.3)の両規格とも、組織内でのコミュニケーション(情報伝達)が適切に行なわれるよう手順や仕組みを確立するべきことを規定している。ISO9001(5.5.3)は、業務上の問題が適切に把握され報告されることを確実にするのはトップマネジメントの責任であることを明確にしている。
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  インフラストラクチャー、作業環境 <ISO9001>
ISO 時事寸評 <No.16; H16.7.4>  東芝は開発部門の技術者の士気高揚と大学などへの人材流出防止を狙いとして、専門職の最高ポストの処遇を執行役上席常務と同等まで引き上げる新制度を発足させた(日経新聞 7月4日)。 ISO9001の品質マネジメントの原則(ISO9000 0.2 b),c))は、「すべての階層の人々は組織の基本要素である。人々の全面的な参画によってその能力は組織の利益のために発揮させられる。」と、組織の発展に対する人々とその意欲の大切さを指摘している。 人々の意欲は組織が人々の想いをどのように汲み取ってそれに応えるかに大きく依存する。ISO9001(6.4項)は顧客満足の製品の造り込みのために、無菌室など製品品質に直接係わる作業環境は当然、適切な空調など人々の集中力維持のための作業環境の他、賃金、処遇制度、報奨制度、安全健康施策など人々の意欲を引き出す心理的作業環境を整備する必要を規定している。
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  製品実現の計画 <ISO9001>
<No.125; H19.5.1> −ベスト電器FC2店で回収家電2000台紛失−
  大手家電量販店ベスト電器の埼玉県内の2店舗で顧客からリサイクル目的で回収した家電2000台以上が紛失したことが経産省の調査で分かった。2店はゲオグローバル社が運営するフランチャイズチェーン店。家電リサイクルは消費者から不要家電を有料で回収し製造メーカーなどへ引き渡す仕組みで、紛失した家電に対するリサイクル料金は800万円以上になる(日経新聞 4月30日号)。
   引取る家電には一品毎に「管理票」が発行され適正な処理が図られる法の仕組みがあるから、回収家電の横流しはあり得ないことだが、現実にはH16年のヨドバシカメラとビックカメラ(福岡)、エイデン(愛知)が摘発された他、この3月にもヤマダ電器で発生している。ISO9001/14001の業務体系では、他社の事故を他山の石とする予防処置(8.5.2/4.5.3項)が行われ、また、製品・サービスに係わる法規制(7.2.1 c)/4.3.2項)を遵守する手順が確立しているから、記事の事件は防止できた。更にISO9001/14001は、どの業務手順にもその実行を監視する手順と管理基準ないし合否判定基準を含めること(7.1.1 c)/4.4.6 b)項)を規定している。両店舗で法遵守、適正処理の業務手順があったとすれば、記事の不祥事の発生は手順の実行を監視し確認することが行われていなかった結果である。
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  製品に関連する要求事項 <ISO9001>
<No.132; H19.8.5> −フジテック製エレベーター 規格外鋼材使用−
   フジテックが2002年9月以降製造したエレベーターの鋼材に強度不足が見つかった問題で、JFE商事建材販売からは注文と異なる規格外の鋼材が1993年から納入されていたことがわかった。両者の国交省への報告では、フジテックが鋼材「SS400」を注文したのに対してJFE側は強度の低い「SPHC」の納入を継続してきたことが判明した。これにつきJFE側が「担当者 間で口頭の合意があった」とする一方で、フジテックは問題を検証する第三者委員会も「合意があった事タはない」と説明している。フジテックは2002年9月〜今年6月製造のエレベーター560基の補強工事を進めている(日経新聞 8月4日号)。
    組織が顧客のニーズと期待を満たす品質の製品を提供する管理は品質保証と呼ばれる。これには、受注に際して顧客の要求を正しく理解することが先決である。記事のように合意した、しなかったというような泥仕合を防ぐため、ISO9001は受注契約の書類において、顧客の要求や合意事項など製品の製造の前提となる事項が間違いなく定められていることを確認することの必要を規定している。あいまいな点や口頭の要求は顧客に確認し、その結果を文書にしておくことが必要である(7.2.2項)。規格はまた、顧客が発注書発行の前にその内容が正しいかどうかを確認する必要を規定しており(7.4.2項)、担当者まかせのあいまいな発注を戒めている。フジテックWは1993年以来のISO9001登録取得組織であり、JFE 商事建材販売は非登録だがJFEグループ11社が登録取得している。
 
<No.121; H19.3.23> −NECトーキ 製造ミスで一転最終赤字−
   
NECトーキンは22日、07年3月期の連結最終損益が黒字15億円の見込みから一転して19億円の赤字になりそうだと発表した。ある顧客向け携帯電話向リチウムイオン電池で特別な安全基準を要求されたのに通常仕様と勘違いして製造した単純ミスが主因。顧客による工場監査で発覚した。回収費用など28億円の特別損失を計上する (日経新聞 3・3日号)。
   
顧客の注文内容を取り違えては、品質管理が如何に適切でも顧客には不良品を届けることになる。このような問題をなくするためISO9001では、受注に際して製品仕様や要件が正しいことを確認する必要を規定している(7.2.1項)。注文書等にすべての必要枕が明示されているかどうか(同 a)項)、それらが見積段階で合意したもの或いは以前の注文、従来から納入していた製品と同じであるかどうか(同b)項)を確認し、問題があれば顧客に問い合わせして、正しい内容にしなければならない。そして、確認したこと、及び、顧客と合意したことについては爾後のトラブルに備えて記録をとっておくことが必要である。特に、口答での注文や顧客とのやりとりは、必ず記録を残すことが必要である。規格は明言していないが、記魔フような社の死命を制するような注文には、規格が規定する確認、顧客との合意、記録の作業に関しては担当メまかせでなく、上位管理メや関連部門も確認できるような手順にすることが必要である。
<No.2; H16.4.24>    −森ビル 回転扉の自主撤去−
   森ビルが六本木ヒルズの事故と同型を含む自社の管理下の回転扉15台の撤去を検討中と報じられている(日経新聞 4月24日夕)。
    この事故にはISO9001と関連する様々な側面があるが、回転扉撤去は製品が顧客のニーズと期待に合致していなかったことを物語っている。 契約条件は満たしていたかもしれないが、顧客要求事項に対する不適合製品であるということである。メーカーは顧客から言われなくとも、使われかたから必要と考えられる事項(7.2.1 b)として回転扉の仕様に挟まれ事故防止処置をしっかりと織り込まなければならなかった。もし、受注後に設計した製品とすれば、設計・開発の妥当性確認(7.3.6)が十分でなかったということある。
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  顧客とのコミュニケーション <ISO9001>
<No.95; H18.6.26> −ネット問い合わせ対応強化−
  消費財メーカーや小売企業が消費者からのインターネットを通じた問い合わせに対応する体制を強化していることが、日経新聞社による2,000社の調査でわかった。調査対象の4社に1社が社内に専門の部署を設けており、半数がホームページにメールアドレスを掲載し、問い合わせが前年より10%以上増えた企業が36%にものぼった。問い合わせを受けて返信するまでの時間の短縮を図る企業も多い(日経新聞 6月26日)。
  ISO9001の「顧客満足向上」とは、組織が顧客のニーズ・期待を満たすたゆまない努力によって、顧客に受入れられる製品・サービスを一貫して供給することができるようになることを意味し、このことを事業発展の基礎と位置づけている。規格は、組織が顧客のニーズと期待を的確に把握し、これを満たすことを確実にするために、顧客との効果的な情報交換の体制を整備することの必要を規定している(7.2.3 顧客とのコミュニケーション)。組織は、提供する製品・サービスに関する情報を積極的に発信 (同項 a))し、苦情を含む顧客の製品・サービスの受けとめ方に関する情報を受付け、対応、対処(同項 c))することが必要である。また、顧客と販売契約を結び或いは販売する場合に顧客の意思を正しく把握し、また、変更を受付けるための手順と顧客に受付け窓口を明確にすること(同項 b))が大切である。
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  設計開発 <ISO9001>
ISO 時事寸評<No.81; H18.1.25>  −外付けハードディスクとパソコンの相性−
   「どこでもすぐに使える。持ち運びできる」と箱に大きく書いたハードディスクを量販店で購入しパソコンに接続したところ、書込みと読出しは出来たが パソコンが起動しなくなった。このメーカーとパソコンのメーカーに相談した結果、ハードディスクとパソコンの相性の問題という結論になった。使えないハードディスクでは意味がないのでメーカーに引取りを求めたところ、「製品は不良でない」と拒否され、最後に量販店が「これ限り」と恩にきせて返品に応じた(筆者の経験 12月29日〜1月25日)。 ハードディスクとしての性能はあっても使用できなければ顧客が満足しないのは当然だ。ISO9001は、新製品の設計開発において性能や機能が顧客のニーズ・期待を満たすことを確認(7.3.5項 設計開発の検証)した後に、顧客の使用環境での使用に必要な条件を満たしていることを確実にする「妥当性の確認」(7.3.6項)を行う必要を規定している。 このメーカーの主張するように パソコンによって外付け機器の受け付け方が異なるのなら、それらすべてに対応できるようにしておくか、対応できるパソコンの種類を明確にして販売することが必要である。「製品は不良でない」と胸を張られても筆者の今後の購買行動がこのメーカーと量販店に距離を置くことになるのは間違いない。このような事態を生じさせないために規格は「設計開発の妥当性の確認」を規定している。
 
ISO 時事寸評 <No.78; H18.1.1> −家電、ソフト欠陥に悩む−
   2005年、日本の家電メーカーに共通する新たな問題が表面化した。デジタル家電製品でソフトウェアの欠陥が頻発したことだ。機械部分の高い品質で世界を席捲した日本メーカーは「ソフトの品質管理」への取り組みを迫られている(日経新聞 12月31日号)。  「事前にソフトの一部に完成度が不十分な部分のあるのを認識していた」というiPod対抗品のトラブルは論外であるが、記事の指摘するトラブルは「複合機能型の商品やパソコンと連携する商品」を中心に、当該機能のソフトの欠陥がその製品に関連するソフトとの関係で表面化する問題である。ISO9001では新商品の設計開発においては、設計開発の結果が性能、機能などその狙い(7.3.2項)を満たしているかどうかの検証(7.3.5項)に加えて、目的の用途に対する必要条件を満たしているかどうかの妥当性確認(7.3.6項)を行う必要を規定している。1994年版を執筆したC.A.Cianfrani氏は著書で、妥当性確認の項は ソフトウェアの設計開発を対象に設けられたと述べている(ISO9001:2000 EXPLAINED)。 ソフトウェアの場合は特に、狙いの商品機能を満たしていても関連ソフトウェアへ意図しない影響を及ぼし或いは関連ソフトウェアからの思わぬ影響を受ける危険があるということであり、これはソフトウェアの品質保証の隘路として当時既に認識されていたということである。
   
ISO 時事寸評 <No.38; H16.11.23>  −ディーゼルエンジン排ガス浄化装置データ捏造−
    三井物産が販売したディーゼルエンジン排ガス浄化装置が実際は性能が規定の基準を満たしていないことが発覚した。 同社によると担当者がデータを捏造したためであり、最初に発売前に行われて以降、設計変更、追加実地試験でも虚偽を積み重ねてきたという(日経新聞 11月23日)。 最初のデータ捏造は設計開発の結果に関して行われたと思われるが、ISO9001では設計開発の結果が性能など設計開発の目標を間違いなく満たしていることを検証する(7.3.5項)べきことを規定している。 そして、設計開発された製品の性能データなど設計開発の結果は、検証に供される前に責任者により承認されなければならない(7.3.3項)。 承認とはめくら印を押すことでなく、試験方法を含めてデータの正しさ、技術的妥当性を審査し、提出された設計開発結果が適切であることを確認することである。 ISO9001に従って設計開発を行っていたなら、この問題をひとり担当者の責任に帰すことはできない。

   
ISO 時事寸評 <No.32; H1610.11>   − "設計をしない設計"−
      日経新聞連載「会社の金言」の10月11日は栗田工業の"設計をしない設計"である。過去の図面の活用により納期の短縮と設計コストの低減の実績を挙げていると報じられている。 ISO9001の7.3項(設計開発)では顧客のニーズと期待を製品特性に間違いなく反映させるための管理が規定されている。 このために、目標とする製品の機能、性能など特性を明確にして設計開発を行い、結果がそれらを満たしていることを検証しなければならない。 規格は特性の決定に際して「以前の類似の設計から得られた情報」(7.3.2 c)項)を用いること、また、検証の方法に「類似製品と対比した評価」(ISO9004,7.3.3)を含めてもよいことを規定している。 規格が規定する検証の記録はじめ設計開発に関する諸記録は、単にそれらを実行したという内容では十分ではなく、後日に活用できる詳細な技術データを含んでいなければならない。
   
ISO 時事寸評 <No.26; H16.8.28>   −新発売の携帯電話のリコール−
      ドイツのシーメンス社は発売したばかりの新型携帯電話「65シリーズ」の販売を停止し、リコール(無料回収・修理)する方針を8/27、明らかにした。特定の環境下で使うと聴覚を傷つける恐れがあるためという(日経新聞 8月28日)。  ISO9001では、製品の設計開発に際して、製品の狙いの機能、性能が得られたことを確認した後に、製品が実際に使用される環境や状況、条件において何か問題がおきることがないかどうか確認する、設計・開発の妥当性確認(7.3.6項)を行うことが必要である。、設計・開発の妥当性確認は、可能な限り製品の発売開始までに行っておくことが必要である。
   

ISO 時事寸評 <No.2; H16.4.24>  −他のビルの回転扉も撤去−
    森ビルが六本木ヒルズの事故と同型を含む自社の管理下の回転扉15台の撤去を検討中と報じられている(日経新聞 4月24日夕)。  この事故にはISO9001と関連する様々な側面があるが、回転扉撤去は製品が顧客のニーズと期待に合致していなかったことを物語っている。 契約条件は満たしていたかもしれないが、顧客要求事項に対する不適合製品であるということである。メーカーは顧客から言われなくとも、使われかたから必要と考えられる事項(7.2.1 b)として回転扉の仕様に挟まれ事故防止処置をしっかりと織り込まなければならなかった。もし、受注後に設計した製品とすれば、設計・開発の妥当性確認(7.3.6)が十分でなかったということある。
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 ◆ 妥当性確認 <ISO9001>
ISO 時事寸評 <No.20; H16.7.18>  米国産牛肉の輸入解禁に絡む牛海綿状脳症(BSE)の全頭検査の有効性の議論が迷走している(朝日新聞 7月18日)。 BSE原因物質が牛の体内に蓄積するには時間がかかり、更に、蓄積量がある程度以上にならないと検査では検出できないという理由で米国が全頭検査を非科学的と主張してきたのに対して、厚労省の食品安全委員会がこれに近い「一定月齢以下の牛を検査対象外としても人への感染のリスクは増えない」と結論を出した。原因物質が蓄積する危険部位さえ除去すれば問題ないという主張もある。 ISO9001は、製品は検査して品質に問題ないことを確認してからでないと出荷してはいけない(8.2.4)旨規定している。 全数検査である必要はないが、工程内検査も合わせて製品品質に問題のないことを確実にしなければならない。しかし、その妥当性が確認できるなら、検査をしなくても工程の条件を規定したり工程の実績で選別して品質を保証する方法も認めている(7.5.2)。 本件の場合、検査方法が不完全だから全頭検査は有効でないというなら、適切な検査方法の開発に向かうのが筋である(94年版 4.2.3 e))。 月齢による選別や危険部位の除去で感染リスクがなくなるというなら、それは科学的に実証されなければならない(7.5.2)。 単に「検査しなくてもリスクは不変」という結論ならそれをどう受けとめるか、その結果米国産牛肉が買われるかどうかは消費者次第と考えなければならない。大事なことは、これも含めて本件は今や、供給側の品質保証の在り方の問題ではなく、消費者の受けとめ、つまり顧客満足の問題になっていることである。
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  顧客所有物の管理 <ISO9001>
ISO 時事寸評 <No.1; H16.4.21>  日経新聞(4月21日)が最近の顧客情報漏洩事件の特集記事を掲載している。ISO9001では、顧客の個人情報は顧客の所有物(7.5.4)に相当する。組織は、個人情報がその管理下にある間は、紛失、損傷のないよう保護、防護の処置をとらなければならない。万一漏洩した場合は顧客に報告しなければならない。 これら事件は ISO9001 適用で防ぐことができたかもしれない。
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  プロセスの監視、測定 <ISO9001>
ISO 時事寸評 <No.65; H17.10.6>  根室沖漁船転覆事故でコンテナ船の社長が謝罪
   
根室沖で漁船第3新生丸が転覆し7人が死亡した事故でイスラエルの海運会社社長が来日し、所有するコンテナ船が衝突した事を認めて謝罪した。しかし原因については、他船の接近を知らせるレーダーの警報が「鳴らなかったか鳴っても聞いていなかったか」を調査中とし、一方でイスラエル紙は「警報音を聞いた航海士が就寝中の船長に知らせなかった」と報じている(日経新聞  10月5日号)。 ISO9001では、航海は操船という業務、つまり、プロセスである。 レーダー監視は安全航海のためのプロセスの監視、測定であり、警報装置は監視、測定機器である。 レーダー監視装置は正しく機能することを定期的に検証し、損傷、劣化のないように使用して、警報が鳴らないという事態を防止しなければならない(7.6項)。プロセスの監視、測定で 「プロセスが計画通り結果を達成できない」、つまり、衝突の危険があると考えられるなら、「製品の適合性の保証」、つまり安全航海のために、「修正の処置」、つまり衝突回避の定められた手順をとらなければならない(8.2.3項)。 衝突は監視、測定機器の保守、点検の問題か、プロセスの監視、測定による不適合修正の手順の問題ということである。
   
ISO 時事寸評 <No.54; H17.6.16> 全日空機が高度はずれで長時間飛行
全日空機が5日、機体の高度計の異常のため管制官指示と大きく異なる高度を40分も飛行し、異常接近や衝突につながりかねない状況にあったことが判明した。機長席と副操縦士席の高度計表示が異なっているのに気づいた機長が、自分の計器を第三の高度計に接続して副操縦士席の高度計の表示と一致したため、この高度を正として操縦したのであるが、実際には第三の高度計は存在せず機長が接続したのは副操縦士席の高度計であり、しかもこちらが狂っていたというのが原因だと報じられている(朝日新聞 6月15日号)。 ISO9001では、安全、定時輸送というサービスの確保のために飛行という「プロセスを監視し、可能なら測定する」(8.2.3.項)ことを必要としている。操縦士は二つの高度計を用いて高度計の精度の確認と合わせて指定高度での飛行というプロセスを監視しているが、高度の異常という不適合発見に当たって機長は第三の計器があるものと勘違いした。規格では、監視、測定した工程パラメーターに不適合が発見され、「計画どおりの結果が達成できないなら、修正(不適合を除去する処置)する」(同)ことが必要である。同社ではこの不適合の修正の手順が決められておらず、すべて機長まかせだったのだろうか。
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  製品の監視及び測定 <ISO9001>
<No.113; H19.1.24> −データ捏造“あるある”番組打ち切りへ−
   情報番組「発掘!あるある大事典U」の1月7日放送分での実験データ捏造問題で、系列キー局のフジテレビジョンの幹部は22日、「番組打ち切りはやむを得ない」と話した。単独スポンサーの花王も同日、降りることを決めている。同番組を制作、放送したのは関西テレビ放送であるが、実際には制作会社日本テレワークが制作した (日経新聞 1月16日号)。
  ISO9001では、日本テレワークが制作した番組は ソフトウェア製品(ISO9000;3.4.2)であり、記憶媒体に納められて顧客たる関西テレビ放送に出荷された。日本テレワークは、製品の特性が定められた合否判定基準を満たしているかどうかを、監視、測定し、検証しなければ出荷してはいけない(8.2.2 製品の監視及び測定)。情報番組であるからこの製品特性としては、内容の科学的正確さが真っ先に挙げられるはずである。番組の制作計画ではこれを含めて顧客の明示の番組仕様と番組に必要な当然の要件或いは自社独特の工夫を明確にし(7.2.1 製品関連要求事項の明確化)、番組がこれら要件を満たしていることをどのように検証するのか、監視、測定の方法と合否判定基準を決めておく(7.1 製品実現の計画)こと必要である。記事は、日本テレワークが番組の品質保証のために行うべき検証について何も触れていない。
 
<No.112; H19.1.17>  −期限切れ原料の使用は常態化していた−
   不二家が洋菓子工場で期限切れ原料を使っていた問題は15日、社内調査の結果、組織ぐるみであり、常態化していたことがわかり、トップが辞任に追い込まれる事態となった。同社によると「各工場は食品衛生マニュアルを備え、原料の消費期限を二重確認して出荷する仕組み」だったが、埼玉工場ではこれが順守されていなかったことがわかった(日経新聞 1月16日号)。
   ISO9001では、製品の品質が基準を満たしていることの証拠を提供するために製品を監視、測定する必要(7.6項)を規定している。組織はどのような監視、測定が必要か、どのような監視、測定の手段を用いるかを決めなければならず(7.6項)、監視、測定の結果で基準が満たされていることを検証したなら、「合否判定基準に適合していることの証拠」(8.2.4項)を記録に残さなければならない。記事の場合は、製品品質確保のために原料の新鮮度の監視、測定が必要であるが、これに原料加工後の経過日数の監視、測定という手段をあてたものである。原料使用に際して行う検証は、経過日数を調べて基準の日数内であることを確認することであり、記録は実際の経過日数と基準日数を対比して合格と判断したことがわかるような内容でなければならない。トップマネジメントは、遠く離れた工場で決めたことが守られ、効果的に実行されていることを内部監査員に調査させ(8.2.2項)、確認しなければならない(5.6.2 a)項)。を規定している。
   
<No.68; H17.11.1>  −保険金不払い−
   大手生命保険や外資系生保など17社は契約者に保険金や給付金を不当に支払っていなかった案件の調査結果を公表した。不払の原因は査定時の確認不足やミスであり、告知義務違反と関係ない病気入院への給付金不払、事故にあった酒気帯び運転への同乗の重過失との認定、転倒が原因の病死への転倒割増金の不払などであった(日経新聞 11月1日)。
   保険契約に基づく保険金の支払額の査定は、ISO9001では製品の実現のプロセスのひとつであり、査定の正しさについては顧客への通知と支払、つまり、製品の引渡し前に検証或いは検査することが必要である(8.2.4項)が、報道される事例はこの検査の合否判定基準が明確でなかったことを示唆している。 査定した支払保険金額が適切かどうかの判定のためには、契約の支払条件を具体的な要素と基準に展開した合否判定基準の明確化が必要である。 保険サービスの品質保証のためには、この合否判定に加えて、その他の定められたすべての処理、処置を実行したことを確認してからでないと、顧客に支払保険金額を通知してはいけない。 規格は、検証、検査が適切に実施された証拠の記録及びこれを含む必要事項完了を確認して支払通知実行を承認した責任者名の記録を残すことの必要を規定している。
   
<No.50; H17.4.25>  −ウイルス対策ソフトによるシステム障害はソフト作成作業ミスが原因−
   トレンドマイクロ社のウイルス対策ソフトの更新が多くの企業のコ゚ンピューターシステムに障害を起こした事件は、更新ファイルのプログラムのミスに加えて定められた配付前最終試験の一部手順の実行を怠ったことが原因だったと報じられている。担当者が手順の一部の実行を忘れ、確認する別の社員もそれを指摘しなかったとのことである(日経新聞 5月25日号)。
    ISO9001では、製造の適切な段階で製品の検査を行うこと、検査合格の証拠の記録を残すこと、検査はじめ定められたすべての事項が問題なく完了したことを決められた責任者が確認してからでないと出荷をしてはならないことを規定している(8.2.4項)。記事の配付前最終検査とはソフト作成作業のひとつであるから、ソフトが間違いなく狙いのウイルスの検出、排除の能力を有したものであることの検査ではない。
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  不適合製品の管理 <ISO9001>
<No.133; H19.8.16> −「白い恋人」賞味期限書き換え−
 チョコレート菓子「白い恋人」で知られる菓子メーカー 石屋製菓鰍ヘ14日、本社工場で製造したアイスクリーム、バウムクーヘンから食中毒を誘発する恐れのある大腸菌群や黄色ブドウ球菌が検出されたこと、及び、「白い恋人」の賞味期限を1か月長く改ざんして販売していたことを明らかにし、商品の自主回収を始めた。後者については、「30周年キャンペーン限定商品」として製造した「白い恋人」のうち、売れ残った商品を一般商品として再包装する際、本来の賞味期限より1か月長く改ざんしていた。改ざんは同社役員の指示で行われたといい、同社は「賞味期限を越えても品質は劣化しないが、規範意識が薄かった」としている(8月15日1時31分 Yomiuri Online)。
   賞味期限はその商品価値の確保のために製造業者たる組織が決めるものであり、製造後どれほど経桙オた商品まで顧客に受け入れられるか、或いは、組織としてどのような新鮮さを顧客に訴えるかの問題である。こうして定めた賞味期限の基準を事情によって変えることは、製品品ソに問題ないことが再検証によって確認され、権限を有する責任メによって承認された上で行われるなら、直ちには「規範意識が薄い」と否定されるものではない。ISO9001は、このような行為に関しても顧客満足を損なうことのないようにする手順を「特別採用」として規定している(8.3項)。しかし、回収するというのだから、この特別採用の判断が顧客に受入れられなかったということであろう。そもそも、この賞味期限の変更は“限定商品”として不適合になった商品を別の品ソの商品として特別採用するために行われた。“限定”に魅せられて購入した顧客は誰にでも入手できる普通の商品だったことを知った訳だが、顧客の今後の“限定商品”の購入態度への悪影響は測り知れない。特別採用は社内判断で可能だが、判断は顧客に受入れられるものであることが前提である。担当取締役が行った賞味期限変更を含むこの特別採用の判断が、組織に確立した顧客満足向上の方針とそれに基づく商品戦略に則ったものだとすれば、これを見直すことが是正処置(8.5.2項)であるべきだ。
 
[事後註釈]
8月19日付け日経新聞は、「道庁が賞味期限の改ざんがJAS法に違反するとして近く行政処分する」と報道している。JAS法(農林物質の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)は「消費期限」と「賞味期限」の2種類の品質表示を規定し、前者を「(経時)劣化に伴う衛生上の危害の発生の恐れ」、後者を「期待されるすべての品質の保持」に関する期限と定義し、期限の設定は「各種の試験を含めこれまでの経験や知識等の活用による科学的・合理的根拠」に基づいて製造者が決めることになっている。期限を過ぎた製品の販売は直ちには法違反ではなく、「消費期限を過ぎた製品の販売は厳に慎むべき」だが、「賞味期限内に消費されるよう販売することが望まれる」というのが農水省の法解釈である(同省医療食品局:加工食品に関する共通Q&A)。このように基本的に賞味期限は製品の品質が顧客に受け入れられるかどうかの問題であり、法律が規制する問題ではない。しかし、ISO9001も法順守を前提としており(5.1 a)項)、期限変更を違法とする規制があるのなら組織は、それを「特別採用」(8.3 b)項)の基準に反映しておかなければならない。
 
<No.107; H18.12.7> −ソニー社長、リチウム電池問題 説明不足を反省−
  ソニーの最近のPS3や電池問題を巡る混乱に対応するための30日付け経営陣見直しに関連して中鉢良治社長は、発火事故を起こしたパソコン用リチウムイオン電池問題について「対外的な説明などで深い反省点を残した」と日経新聞記者に語った。消費者の不安払拭のための960万個全量回収の決定が逆に消費者の不安を拡大し、客観性をもたせるための原因究明の第三者機関への委託が能力のないためと誤解されたということである (日経新聞 12月1日号)。
  ISO9001では、品質不良が出荷後又は使用後に発見された場合には、それによる影響又は起き得る影響に適切な処置をとる必要を規定している(8.3項)。組織はその不良製品の引取り、修理など顧客が被った品質不良を解消する処置をとり、また、品質不良が他の製品、他の顧客にも起きる可能性を検討し、適切な処置をとることが必要である。更に、起きてしまった品質不良で顧客の抱いた不満をそれ以上に拡大させることのないよう、また、組織の製品への不信が他の顧客にまで波及するような事態が生じないよう、慎重な対応が必要である。記事は後者の起き得る影響に対する対応を誤った例であり、同社長は「1個でも製品に問題があれば、これから起こり得ることについても早く説明することを社会は求めている」と述べ、問題に対するしっかりした説明が起き得る影響への対応の鍵となるという事実を指摘している。
 
<No.49; H17.4.19>  −特別許可で搭乗の男性が遊具から転落死−
    東京の娯楽施設「東京ジョイポリス」で遊具から男性が転落し死亡した。遊具に搭乗するには転落防止の安全バーと腰ベルトの装着が必要であるが、身体が大きくて腰ベルトが締まらず、係員が責任者の許可を得て遊具を運転した。このような場合は搭乗を断るのが規則だが、搭乗者の希望が強い場合はベルト未装着を認めていたことが過去にもあったという((朝日新聞 4月19日号)。
   ISO9001では製品(サービス)実現の計画で決められたことが完全に満たされるまではその製品(サービス)は顧客に引き渡してはならない(8.2.4項)が、このような不適合製品の引き渡し(サービスの提供)を顧客及び当該の権限を持つ者が認める手続き(8.3 b)項)をも認めている。 記事では男性が希望し、職場の責任者が認めて遊具搭乗というサービスを提供したものだが、同社規則はこのような特例を認めていない。 この職場の責任者は「権限がある者」には相当しないし、特別許可の判断をする責任者も判断基準も確立していなかった。
   
<No.8; H16.5.21>   −三菱ふそう 新たなリコール隠しが発覚−
    三菱ふそうトラック・バス社長が記者会見し、1996年に行なうべきリコールを怠っていたと新たなリコール隠しを認めた(朝日新聞 5月21日)。
     ISO9001は、出荷された製品に不良が発生した場合は「その不適合による影響又は起き得る影響に対して適切な処置をとること」(8.3)と規定している。 同社では事故の発生を把握して対策会議を開き、原因を特定し事故が更に起き得ることを認識して、「ヤミ改修」という処置をとったとされる。不良発生に対応するプロセスがあり、それが実施されていたから 規格の要求事項を満たしている。しかし本件は、その結果の処置が "適切"でなかったというのであるから、プロセスが "効果的に" 実施されていなかった(4.1 c)という点で適合とはいえない。
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  2004年改定版 <ISO14001>
ISO 時事寸評 <No.37; H16.11.16>  国際標準化機構は、ISO14001を8年振りに抜本改定する。一部の事業が基準を満たすだけでよかった現状を改め、企業が手掛ける事業全般を認証の対象とするよう変更する。基準の厳格化で企業に環境対策の強化を促すのが狙いだ(日経新聞 11月15日夕刊)。 これは日本の規格作成、審査機関の関係者の一部の改定版規格解釈と同じ考えに立つ論評記事と見受けられる。なぜなら事実はこれと異なり、 要求事項の意図の明確化とISO9001との両立性の強化が改定の趣旨である。このことは、改定版の発行を告げる ISOの11月15日の新聞発表でも明確に述べられている。少なくともこの発表を含むISOの公式見解に、「認証厳格化」「事業全般が対象に」「抜本改定」というようなことが取り上げられた事実を知らない。
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  著しい環境側面 <ISO14001>
時事寸評 <No.99; H18.9.5> −中山製鋼所 医療廃棄物を製鉄原料に−
   中山製鋼所と共英製鋼は共同で注射針や胃カメラ、手術台などの医療廃棄物を製鉄原料や燃料に再利用する事業を始める。全国の医療機関から廃棄物を密閉ドラムで回収し、新設する溶融炉で1300°C以上の超高温で処理し、細菌などを無害化すると共に、発生ガスを自家発電燃料として、鉄分は製鉄原料として、金属以外の溶融かすは道路工事用補強材などに、それぞれ再利用する。(日経新聞 9月6日夕刊)。
   ISO14001は、組織の活動と製品・サービスに付随する環境影響を管理し、削減するマネジメントの世界標準である。「環境影響」の定義に「有害か有益かを問わず」の文言のあることから、日本では「有益な環境影響」とその原因たる「有益な環境側面」が殊更強調される。記事の新事業にも運搬や溶融炉のエネルギー使用の他、排ガス、溶融金属、溶融かすの排出という環境影響発生要素、つまり、環境側面がある。ここに溶融炉の排ガスなどの再利用はその有害な環境影響を防止又は軽減する対策であり、敢えて「有益な環境側面」と位置づける必要も価値もあるとは思えない。一方、医療廃棄物を回収、無害化するという事業は中山製鋼所の責任でない医療廃棄物廃棄、埋立処理に伴う有害な環境影響をなくする行為であるから、「有益な環境側面」として誇ることができる。そして、事業に伴う上記の有害な環境影響が「有益な環境側面」に付随するものとするなら、この有害な環境影響に対する利害関係者の理解が少しは得やすくなるのかもしれない。
 
ISO 時事寸評 <No.77 H17.12.28>   −愛知県 物品納入にはエコカーを義務づけ−

   愛知県は来年4月から県庁などへの物品納入の際に事業者に低公害車の利用を促す「グリーン配送」徹底すると発表した。 当分は低排出ガス認定車や低PM(粒子状物質)認定車も認めるが、狙いはエコカーの普及に弾みをつけることだそうだ。 愛知県も登録取得しているISO14001は、組織の活動と製品・サービスの重要な環境影響を管理し継続的に改善するマネジメントの世界標準である。 組織が取組むべき環境影響としては、組織が管理できるものだけでなく、影響力を行使できるものも対象である(4.3.1 a)項)。 県の活動に物流がそんなに大きなウエイトを占めるものとは思えないし、県も狙いを"エコカーの普及"と言っているから、今回の施策は県の活動の環境影響低減対策ではなく、エコカー使用による排ガス量削減政策という県の製品を県民に提供しようとするものである。とは言っても現状では条例作成によるエコカー通行禁止というような直接的な管理は法的、経済的に無理であろうから、県がエコカー使用を率先し、県への物資の納入時だけは事業者にエコカー使用を強制するという形で、排ガス量削減政策の実現に対する県の影響力を行使しようとするものであると考えることができる。
   
ISO時事寸評 <No.39; H16.12.11>  
  松下電器産業は塩化ビニール樹脂の2005年度末全廃の方針を見直す。高圧回路内の電線や絶縁シートなど代替材の品質保証が難しい場合は当面の間は利用を認める(日経新聞 12月11日)。 ISO14001では、組織が自ら管理できる環境影響と何らかの影響力を及ぼすことのできる環境影響の両方を管理することが必要である。塩ビ樹脂は家電製品廃却後の焼却において燃焼条件によって猛毒のダイオキシンを発生させる。焼却条件は組織が直接管理できないが、焼却場への広報活動などダイオキシン発生防止のために出来ることがある。 この意味でダイオキシン発生は、組織が影響を及ぼすことのできる環境影響である。しかし、製品に塩ビ樹脂を使用するかどうかは組織が決めることだから、組織が直接管理できる環境影響であることにもなる。 どちらとして問題に取り組むべきかは、組織の活動、製品、サービスにとって適切かどうか(4.2 a)項)の問題であり、適切かどうかは利害関係者のニーズ、期待と取り組みの経済的、技術的困難さとのバランスを基礎とする戦略的判断である。
   
ISO 時事寸評 <No.11; H16.6.7>  鉛弾がオオワシなど希少動物への被害にとどまらず土壌や水質汚染を各地で引き起こしている。環境省は鉛弾使用禁止も視野に対策に乗り出した(日経新聞 6月7日)。 ISO14001の著しい環境側面とは利害関係者のニーズを満たすという点で"重要な"という意味であるから、銃弾提供に係わる組織にとっては鉛毒は今や間違いなく製品の著しい環境側面である。これをこれまで著しい環境側面に取り上げていなかった組織は、経営層による見直し(4.6)でこの「変化している周囲の状況」を受けとめて、「方針、目的・目標、環境マネジメントシステムのその他の要素(著しい環境側面の決定基準)の変更」を検討することが必要である。
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  環境マネジメントプログラム、実施計画 <ISO14001>
ISO 時事寸評 <No.3; H16.4.27>  京都議定書の炭酸ガス排出削減目標の達成が困難との認識が拡がり、環境省は専ら国民の省エネ意識に訴える従来の対策が不十分として環境税など「経済処置」の導入に意欲を示している(日経新聞 4月26日)。 未達の理由が "対策が不十分"なら、ISO14001では環境方針、初期環境評価、環境目的、目標の設定の問題ではなく、環境マネジメントプロラムの目的及び目標達成ための手段(4.3.4 b))が不適切であったということである。ISO14004 はこのプログラムが効果的であるには、組織(この場合は政府)の戦略計画と一体化したものでなければならない(4.2.6)と教えている。自動車の長距離走行を促進する高速道路建設推進政策とプログラムの自動車排出ガス削減とが政府の国家経営の戦略のどこかで結びついているのだろうか。   
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  コミュニケーション <ISO14001>
ISO 時事寸評 <No.19; H16.7.15>  リコール問題からの信頼回復を図る三菱ふそうトラック・バスでは、外部への情報開示の迅速化のために社内での情報伝達のスピードを上げる方策に躍起となっており、不具合情報の本社への報告を1週間以内とするなどの改善が進められている(日経新聞 7月15日)。組織内情報伝達は、諸業務が適切に体系的に実行され、また、業績の改善を進める上で不可欠である。 ISO9001(5.5.3)、ISO14001(4.4.3)の両規格とも、組織内でのコミュニケーション(情報伝達)が適切に行なわれるよう手順や仕組みを確立するべきことを規定している。ISO9001(5.5.3)は、業務上の問題が適切に把握され報告されることを確実にするのはトップマネジメントの責任であることを明確にしている。
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  運用管理 <ISO14001>
<No.108; H18.12.15> −横浜海保 トヨタを汚水排出で書類送検−   
  横浜海上保安部は14日、強アルカリ性汚水を適正に処理せずに横浜港に排出した水質汚濁防止法違反容疑でトヨタ自動車と子会社の建設会社の工事長を書類送検した。建設会社は今年の6月23日〜7月5日 の間、トヨタ自動車横浜事業所内のガソリン貯蔵カンク設置工事で掘削穴の強アルカリ性となった雨水をそのまま海に排出した。工事の作業者は穴にたまった雨水がコンクリート成分が溶出し強アルカリ性になることを知らなかったと言い、工事長は「作業者が適正に処理していると思った」とのこと(日経新聞 12月14日夕刊)。
  ISO14001では、重要な環境影響を発生させる作業を「著しい環境側面」と呼び、その環境影響を受ける利害関係者のニーズと期待を満たすように作業を管理する。このために、環境影響をどの程度に抑制するのかを環境方針として明確にし、これを達成するように環境目的、目標、実施計画(4.3.3項)で改善を図るか、或いは、作業を定めた条件で実行し(4.4.6項)、発生する環境影響が定めた限度内に納まるよう管理する。記事の掘削穴の雨水の排出作業は法規制違反を招くから「著しい環境側面」と考えられ、利害関係者とニーズと期待はそれぞれ横浜海上保安部、法規制の遵守である。記事のように環境上重大な結果を招く恐れのある場合には管理者は、作業手順を定め、文書化し(同 a)項)、これに基づいて要員に作業を行わしめ、実際に行ったかどうかを作業手順書に規定した”運用基準”(同 b)項)に照らして監視(4.5.1項)しなければならない。
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  緊急事態への対応 <ISO14001>
<No.91; H18.5.19>  大地震・テロに備え関西に第二システム
   大手証券各社が大規模地震やテロなどを想定した危機対策を強化している。予備の取引システムの整備などが柱で、売買注文を処理する取引システムの第二システムを関西圏に設置して東京のシステムに問題が発生しても取引を続けられるようにする(日経新聞 5月19日号)。ISO14001は組織の活動に起因する環境影響を管理する業務の在り方を規定しているが、通常の事業活動での環境影響を最小限にするだけでなく地震や台風、事故その他の想定できる非常事態の際の環境影響にも対応することを必要としている(4.4.7 緊急事態への準備及び対応)。組織は起こり得る事態を想定し、予想される環境影響について防止又は最小化の対策及び起きた影響の拡大防止の処置を定め、実施し、又、可能なら模擬訓練を行って備えなければならない。
 
ISO 時事寸評 <No.63; H17.8.29> 半導体工場の防災システム
沖電気工業は9月末から宮城県沖地震に備えた半導体工場の防災システムの運用を始める。地震の初期微動を感知し主要な揺れが来る前にガスや薬品の供給を止め、有毒ガスの流出など被害の拡大を防ぐ(日経新聞  8月29日号)。 ISO14001では、日常業務で発生する環境影響を一定の水準に管理する(4.4.6項)だけでなく、地震や火災など考えられる緊急事態における環境汚染防止にも備えておく(4.4.7項)ことの必要を規定している。組織は事故など異常事態に特有の環境影響の内、被害が大きいなど組織の環境管理の枠組みに照らして深刻な打撃となるものを特定し、それが発生した時の環境影響を防止又は軽減するような対応策を決めておかなければならない。可能なら防災訓練などにより定期的に対応の有効性を確認することも必要である。
 
ISO 時事寸評 <No.40; H16.12.19>  原子力発電所から出る使用済核燃料の再処理工場で21日、放射性物質のウランを実際に使う実験が始まる。運営主体の日本原燃では試験中に予想されるトラブルのリストをホームページに掲載している。トラブルリストには190例があげられているが、結論では「いずれも環境に影響を与えない」と安全性を強調している(朝日新聞 12月19日)。 ISO14001では、起き得る事故や緊急事態を予測し、その場合に生ずるかもしれない著しい環境影響を防止、緩和する手順を決めておくこと(4.4.7項)が求められている。可能ならこの訓練をすることも必要である。

ISO 時事寸評 <No.12; H16.6.12>  10日午前の愛知県西三河から知多北部にかけての広域停電で東海市の新日鉄名古屋製鉄所構内も全面的に停電し、集塵機など環境対策設備の停止で黒煙が一時立ち込めたりしたが、環境基準を越える有害物質の排出はなかったと報じられている(朝日新聞 6月11日)。 ISO14001では、このような起こり得る事故や緊急事態を想定しそれらによって生じる可能性のある環境への悪影響を防止、緩和する対策を定め、維持することが求められている(4.4.7項)。 これらの対策は実際に起きた場合に備えて訓練をしておくことも必要である(同)。また、万一の場合に官庁や地域住民にどのように必要事項を伝えるかについても決めておくことが必要である(4.4.3項)。
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  不適合の管理 <ISO14001>
ISO 時事寸評 <No.58; H17.7.6> 石綿原因の従業員の死亡が相次いで公表
アスベスト(石綿)が原因と疑われる肺ガンなどによる従業員の死亡が、先月末のクボタに引き続きニチアス、エーアンドエーマテリアルの両社から公表された。クボタでは「因果関係は明確ではないが、社会的責任を明確にするため」として周辺住民の「中皮腫」の患者3人に見舞金を支払った(日経新聞 7月6日)。ISO14001では組織がその環境影響を管理する際に過去の活動とその結果をも考慮するべきものと理解されている(ISO14004 4.1.3項)。周辺住民の健康に影響が考えられるのなら、「潜在的不適合」としてそれを取り扱う手順を確立することが必要である(4.5.3項)。この手順には、可能なら不適合の顕在化防止(同 c)項)、又は、その影響の緩和の方法(同 a)項)を含めなければならない。組織の環境改善努力に対する地域住民の理解と承認を得るのに役立つなら、これら情報は公表するべきである(4.4.3項)。ISO14001には「労働安全衛生マネジメントシステムに固有の要求事項は含まれていない」(序文)から、従業員の健康問題は同マネジメントシステムの労働安全衛生法を基準とする取組みで対処されなければならない。

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