ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
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ISO9001/14001 規格解釈と認証制度運用に巣くう権威主義と無批判・盲従
品質不祥事発生に対するJABや 認証機関の責任意識        
<66-01-08>
(1) 直近品質不祥事に対するJABの対応状況
  ISO9001認証制度の元締めであるJAB(日本適合性認定協会)はそのウェブサイトに6/1付けで昨年末以来の一連の著名企業の品質不祥事に対する認証機関の処置の現状をまとめている。これによると、不祥事に対しては当該の認証機関が調査しその発行した登録証の取り扱いに関して適切な処置をとってJABに報告することになっているとのことであり、受けた報告が一覧表にまとめられている。
   
  一覧表には、関係のある組織毎に認証の一時停止、一時停止解除、取消しという認証機関が決めた処置の現状が記されている。しかし、JABはそれら処置がどのような事実認識と判断により決められたかの報告は要求していないとし、それらの情報を知りたければ当該認証機関から得るようにという注釈が付されている。認証機関のウェブサイトを覗くと、当該認証組織に対して臨時審査をした結果で不適合が発見されたので、登録証を一時停止して是正処置を要求している、或いは、是正処置を適切と判断して一時停止を解除した、或いは、指定期間内に適切な是正処置が示されなかったので登録停止にしたというようなことが書かれている。しかし、発生した不詳事の原因と思われるどのような不適合が見つかり、どのような是正処置をとったのか、それにより再発を確実に防止できるとどのように判断したのかの説明はない。
 
 
(2) 認証組織による品質不祥事発生に対するJABの責任
 JABや認証機関がこのような木で鼻をくくった説明で平然としているのは、品質日本の信用失墜とも揶揄されるこれほどの大問題を他ならぬISO9001認証組織が引き起こしたという事実に対して何の責任も感じていないからとしか考えられない。しかしながら実際にそうなのである。すなわち、JABの考えではISO9001認証とは、組織が品質不祥事を起こさないことを保証するものではなく、品質不祥事発生時に迅速に処置をとらせることを保証するものである。これは認証組織による品質、環境不祥事や事故が相次いで社会からの認証制度の信頼性が低下したという危機感からH19〜22年の3年間に経産省の干渉も受けてJABが主導した認証制度の信頼性回復の取組み*1においても一貫して維持されてきた認証業界の主張であり、従ってこれが社会が認証制度に期待できることなのである。
 
  従って、JABには認証機関が迅速に当該組織に不適合の是正処置をとらせたかどうかにしか責任を感じないから、迅速にその報告を受けたことで満足し、認証は不祥事発生防止の保証ではなく是正処置も同じ品質不詳事の再発防止を保証するものではないから認証機関が本当に適切な是正処置をとらせたかどうかにも関心がなく、認証機関が臨時審査で見出した不詳事発生に繋がった不適合をなぜ定期や更新審査で見落としたのかにも関心がない。そもそも上記の3年にわたる大騒ぎは、認証組織による不祥事が原因で認証制度の信頼性が低下したので、その低下した信頼性をどう回復するかの議論であったので、認証が不祥事発生防止の保証でないのなら議論する余地のないことであったのにJABは「有効性審査」論を持ち出して不祥事発生防止の議論をしているふりをして、信頼性回復の議論をうやむやなまま終息させた*1。この中のH20.3月、JABは組織不祥事対応検討会報告書*2を発表し、不祥事発生時の前記のようなJABと認証機関の対応を決めた。
 
 
(3) JABの勘違い
  しかしながら、今年3月のJABマネジメントシステム シンポジウム*3では山田氏が基調講演で、近年の登録件数の減少傾向に鑑みて「社会から信頼され、活用される認証制度」を目指すべきとし、「信頼され活用される」とは認証の有無によって社会がその行動を変えることであり、認証の有無が顧客による商品購入先の選択、企業による外注先の選択等の判断基準として利用されるようになることであると宣言した。つまり山田氏は、信頼され活用されていないのは上記の通り認証組織も品質不祥事を発生させるからであり、現状では認証有無は顧客等が品質不祥事を出さない組織を探すための基準にならないと認め、認証が不祥事を出さない組織であることの保証でなければならないと言っている。
 
  しかし、このシンポジウムの後もJABウェブサイトの「万が一のことが起こっても、迅速で的確な対応でお客さまへの影響を最小限にくい止めることができます」というJABの認証の価値に関する記述は変更されておらず、実際にも冒頭のようにこれまでと同じ考えで直近の品質不祥事対応を行っている。JABがシンポジウムで「このようにしよう」と認証機関や審査員或いは認証組織に呼びかけたことは何であったのか。聴講料収入を得るためにシンポジウムを開き、注目を集めやすいテーマとして心にもないことを言っただけなのであろう。そもそもJABには認証制度に対する社会の信頼など眼中にない。JABの認識では現会長飯塚悦功氏がかつて「認証制度は社会制度」と広言していたように事業組織が従うべき規範である。社会に存在するために組織の方から登録証の発行を求めてくるものであり、組織にとっての効用や社会からの信頼の議論とは無関係に認証制度は永遠に発展すると勘違いしているのである。
 
*1: 迷走を続ける有効性審査論議(6) http://www.ms-jitsumu.com/sub62c.html#85
*2: 品質データ改竄などの不適切行為報道に関連する認証について(6/1) JABウェブサイト
*3: 組織不祥事への認定・認証機関の対応について(組織不祥事対応検討会 報告書) ; 2008年3月, JAB
*4:第6回JABマネジメントシステム シンポジウム −2015年版の有効活用と構築のポイント;
      基調講演「マネジメントシステムのの第三者認  証制度が目指すべき姿」、山田 秀, 2018.3.20 
H30.6.7 
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サニーヒルズ コンサルタント事務所