ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
18 東京の新型コロナウイルス新規感染数、5月末でのぶり返しは必至
-ISO9001規定で考える(分析)-
時事問題を事例とする規格解釈
<sub91-01-18>

  日本で5/14、政府は新型コロナウイルス対応取組みにおける感染者の爆発的増加防止を狙いとした外出の自粛(接触の80%削減)及び特定事業の休業要請を柱とする緊急事態宣言を、東京など8都道府県を除いて解除することを決定した。察するに、安倍首相は、緊急事態宣言の爆発的感染阻止という狙いは全県で達成されたとの認識の下に、以降は39県は宣言で縛らずとも各県独自の方策で今日の感染状況の維持又は低減が可能であるが、8都道府県では宣言を継続して「感染者の減少が再び爆発的感染が起きないという観点で十分なレベル(宣言解除基準)」に至るのを待つと判断したものと思われる。
 
  しかし、この決定の根拠として示されたのは、同日の専門家会議メーンバーの会見で提出された4/22〜5/12の間の県別の週別新規感染者数の変化を示す棒グラフだけである。これでは、爆発的感染を阻止できたことはわかるが、外出自粛・休業要請がどの程度実現し、感染者減少にどのような効果があり、宣言解除で感染者数はどうなるかなどは明らかにされていない。緊急事態宣言の効果も解除した後にどうなるかもわからない、或はひょっとすると考えないで、上記の重要な決定をしたということであろうか。
 
  狙いの確実な実現を図るISO9001では、判断と決定はデータ及び情報の分析と評価に基づき行わなければならないという原則(ISO9000 2.2.7 証拠に基づく意思決定)に立ち、活動結果の評価には監視測定からの適切なデータ及び情報を分析しなければならない旨規定されている(9.1.3 分析及び評価)。
 
  規格に則る組織では、本件のような場合は、いろんな問題はあっても唯一の利用可能な組織内情報(東京の場合は東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトの統計データ)を用いて分析する。例えば次の図と表のような分析データが得られたとすると、
 
(1) 日々に報告される確定新規患者数は当該日のPCR検査数の影響を受けて変動している。
(2) 新規患者数は緊急事態宣言により直前の知事による活動自粛要請期間より約30%減少した。
(3) 直近では新規患者数はゼロに近づき、上記の減少率は約70%にもなるが、これは連休により実質的に死の街化した程の最大限の外出・休業規制という連休効果の賜物であり、また、検査数が少ないことによる架空の減少という面もある。
 
という現状認識となる。
 
  そして、この分析結果が正しく感染の実態を表していると考えるなら、連休明けの感染数を表す今月末の日別確定新規患者数は増加に転じ、喧伝されるような外出自粛・休業要請に緩みがなくても、また、第二波と言われる新たな感染の種が生まれなくとも、感染の拡がりがこれまでの対応策による新規感染者数の減少に応じて少し小さくなっていると思われるから急激ではないが、徐々に連休前の緊急事態宣言期間の感染水準に向けて確定新規患者数がぶり返し増加するであろうし、宣言を継続するだけでは解除基準を満たす状況に新規患者数が減少する可能性は期待できないとの判断となる。安倍首相がこの分析データを吟味していたなら5/14の決定はどうなっていたであろうか。
 
       図1                
   
                     

対応策

期間

実績

対応策の効果検討

実績平均 (人/日)

一定検査数での新規患者数(人/日)

検査数

新規患者数

検査数

新規患者数

対応策の効果

無対応

3/1

32

2

300

-

-

小中校休校

3/23/22

135

45

300

120

20%

活動自粛要請

3/234/9

297

144

300

150

基準

緊急事態宣言

4/10*14/28

204

71

300

100

30%

+連休効果

4/295/10*2

138

14

300

    40

70%

 
   *1:特定事業休業要請開始、 *2:データは5/3まで  
 
 
(註)  データ分析方法
① 情報源: 東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
② 確定新規患者数(感染日別): ①の日別の新規患者に関する報告件数(人/日)を④により感染日別の新規患者数に換算した。
③ 検査数(感染日別:人/日): ①の日別の検査実施人数(人/日)のデータを用い、②の新規患者を検査した日の検査数を、その日の前日及び前々日の検査実施人数の平均値として求めた。

禁無断転載  (個人的使用のための複写歓迎) R2.5.19
サニーヒルズ コンサルタント事務所