ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
20 東京の新型コロナウイルス新規感染者数、予想的中。まだまだ増える
-ISO9001規定で考える(計画及び管理)-
時事問題を事例とする規格解釈
<91-01-20>

  5/25の緊急事態宣言解除に続き、その外出・営業自粛を3段階で緩和するという「ロードマップ」を進めようとした矢先の6/2の新規感染者数が34人と大きく増えた。”メディアは第2波の兆候かと煽り、小池知事が感染が拡大傾向にあるとして直ちに「東京アラート」を発令した一方で、西村新型コロナウイルス担当大臣は、5/31に現時点では緊急事態宣言を再発令するような段階にはないと言いながら、6/4の感染者数28人を見て「全体として増加傾向にあり、危機感を持って見ている」と判断を変えた。
 
  しかし、この数字は5/26の前報(今月末の東京の新型コロナウイルス新規感染数のぶり返しは必至)で、連休後の緊急事態宣言の外出・営業自粛の実態の反映するものとして予測した通りの、政府のコロナ禍対応取組み上では当然の結果である。すなわち、東京の5/18〜24の新規感染者数がほぼ10人前後であったことを以て解除基準(10程度以下)が満たされたとして宣言が解除されたのであったが、前報の図のように、この数値は4/29〜5/10の連休期間のほぼ死の街化するほどの最大限の外出・営業自粛の下で感染した人の数を表したものである。
 
  すなわち、日々に発表される新規感染者の数は、報告すなわち発生日の凡そ15日前に感染した人の数と考えられ、当該報告、発生日の1~2日前に検査が行なわれて陽性と判定された人の数と考えられるから、前報の図のように、当該検査日の総検査数と密接な関係を持って変動する。この図によると、日々の新規感染者数の分布が、政府や都のコロナ禍対応策の段階によって、図の上下の位置の差として明確に区分できる。この違いが、各対応策の効果である。
 
  これによると、5/18〜24の日々の新規感染者数がほぼ10人前後という数値は、緊急事態宣言の効果に連休(4/29~5/10)の効果が加わり、かつ、検査数も少ないという特殊な条件の下で感染した人々の数であることがわかる。従って連休効果のない5/25以降の新規感染者数は、連休前の緊急事態宣言の下で感染した人々の数まで戻ると予想された。
 
  図2は、前報の図のデータの期間を6/5の新規感染者数まで拡げて、新規感染者数と検査数の実際の分布範囲に絞って拡大して表示したものである。これによると5/25以降の新規感染者数は、検査数が少ないだけで前報の図の連休前の緊急事態宣言の下で感染した人々の数の水準にあることが明白である。6/2の新規感染者34人という数字も、6/4の28人も、感染防止策が緊急事態宣言の外出・営業自粛の場合には当然あり得る数値である。感染防止策をとってその目標の新規感染者数に抑制せんとする管理の観点からは、とった対応策がもたらした当たり前の数値である。新規感染者数は管理された状態にあり、感染拡大かどうか慌てる必要はない。但し、「その15日前は管理された状態にあった」ということである
 
  従って、小池知事と西村大臣で異なる見解は、両氏の頭の中でこの時点で実現すると考えられている新規感染者数の水準が異なることによるのであるが、実態は両氏が緊急事態宣言の発出と解除を決め、国民にそれぞれの態様、程度の外出・営業自粛を求めながら、それによって日々の新規感染者数をどの程度に抑えるつもりなのか、抑えることができるのかを自身でも考えていないということである。
 
  ISO9001では、不良品を出さないための製造品質管理活動の在り方として、製品に必要な品質を決めて、これを確実に実現させる製造条件を決め、その順守を管理しなければならないとし、管理の基準として製造条件の管理基準と製品の合否判定基準を決め、日々の管理活動では、製造条件と製品品質の実績がこれら基準をそれぞれ満たすかどうかを評価確認しなければならない(8.1 運用の計画及び管理)。実績が基準を満たさない場合にのみ、何か想定外のことが起こっているのではないかを疑うのであり、実績の数値が大きく変動しても基準内であれば無視する。
 
  政府のコロナ禍対応取組みを見るに、緊急事態宣言による新規感染者数の抑制目標は解除の間際になって解除のための目安の形で10人/日として決められただけであり、新規感染者数をどの水準まで抑えこむことができると判断し、また、そのために宣言のような外出・営業自粛が必要と判断したという形跡がない。小池知事のロードマップも抑制目標を緩和取消し条件の形で50人/日と決めているとも思われるが、3段階で行う自粛緩和処置でそれぞれ実現させる新規感染者数を決め、或は、そのためにここまでは自粛緩和が可能と判断してステップ0を1,2に進めたという説明はない。
 
  6月9日以降の新規感染者数は、宣言の外出・営業自粛が「新しい生活様式」のステップ2にまで緩和された5/26以降に感染した人々の数を反映するものとなる。新規患者数をここまで抑制できるということを考えずにこの「新しい生活様式」を決めたのなら、宣言の自粛の「緩和」なのだから前報図のように、宣言期間に感染した人々を表す今日の新規感染者数がより増加するのは間違いない(2では、分布が上方に移動する)。  検査数を意図的にいじらない限り、レインボーブリッジが虹色に戻ることのないまま、ロードマップの自粛緩和撤回基準の50人/日まで増え続けることもあり得る。

   
                                    図2  
                                       

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サニーヒルズ コンサルタント事務所