ISO9001/ISO14001 情報発信
24 プロセスの効果的な運用及び管理
− 保健所に「やれることはやった」と言われても集団感染で公演は中止に −
ISO9001で考えるコロナ禍対応
<ISO 時事寸評>
  日本で 10/11付の中日新聞は、さいたま市でミュ-ジカル劇団の稽古中に出演者等の男女62人の感染が判明し、10/20に始まる全公演が中止となったことを報じている。記事には、消毒、換気、マスク・フェースシールドなど「業界指針に照らし、やれることはやっていた」との集団感染やむなしとし、自らと劇団の管理責任を否定するかの保健所見解が付されている。
 
  実務の苦情対応では、「この対策をとるので再発させません」と約束して出荷再開した製品でまた同種の不良品が見つかった場合に、「この前に説明した通りの対策をとったのですが」と言い訳して「それならしかたないですね」と許してくれる顧客はいない。組織はまず、当該不良品が対策処置の通りの方法で間違いなく製造され、検査されて出荷されたのかを疑って原因の調査するのが普通である。
 
  ほとんどの解説ではISO9001を仕組みの構築の規格だとしているが、顧客満足の製品サービスを一貫して提供するためには「規格の規定に従って品質経営体制を確立」するだけではなく、「履行し、維持し、継続的に改善」をしなければならないとはっきりと書かれている(4.4.1)。上記の原因調査は「履行」に関係し、「プロセスの効果的な運用及び管理を確実にした」のかどうかの調査である(同 c))。すなわち、不良品を顧客に引渡さないことを確実にするためには、狙いの製品を確実に実現させる製造の方法、条件を決めるだけではなく、それら一連の業務が決められた通りに実行され、決められた通りの製品が確実に得られるようにする管理が必要であるということである。
 
  初歩的な苦情の理由の典型が突発的な検査ミスであるように、認証取得組織にはある手順や基準がないとか、それらが製品のすべてで遵守されないというような状態はあり得ないから、認証審査では「是正処置」の実行に関して、その対策処置の抜けのない実行を確認する。手順は文書化されているか、関係要員が理解し、必要により教育訓練されているか、対策実行に関連する記録がとられているかが聞かれるのはこのためである。
 
  上記記事の集団感染の事例では、劇団は決めたことがどのように出演者等に伝えられ、理解され、抜けのない実行の体制が整えられ、遵守されない状態がなかったのかどうかの監視の責任が決められ、記録がとられていたのかを、調査、検討した上で初めて、「業界指針に照らしてやるべきことをやった」と言えるのである。
 
  劇団としては、やるべきことをやらなければ感染は防止できない。やったやったと言っても感染者が出ると公演を開けない。「やれることはやっていた」で済むのは保健所だけだという現実を知っておらなければならなかった。
 
  ISO9001の認証審査も同じである。苦情対応では、組織の再発防止対策と実行の規格適合性を審査員が了承するかどうかに係わらず、真の原因を除去した「是正処置」であり、効果的に実行、管理されなければ不良は再発する。認証機関は不良再発に責任をとらない。規格適合性を判断するのは組織自身でなければならないのである。

禁無断転載  (個人的使用のための複写歓迎) R2.10.15
サニーヒルズ コンサルタント事務所