ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
4 東京の新型コロナウイルス感染者数の増減 分析 ( 8/8現在)
  7月の感染急増は予想的中 + PCR検査基準・範囲変更による水ぶくれ
時事問題を事例とする規格解釈
コロナ禍対応の規格解釈

<91-02-21 より>

<現状>
  1ヶ月前の毎日の報告感染者数が100人を越え出した時点でも、なお、入院者数や重症者数が少ないので、夜の街を中心とする若者の集団感染の発生とPCR検査を増やしたことが数字を押し上げていると平常を装っていた政府も知事も、直近では増え続ける日毎の感染者数の数字の前に、お盆休みの帰省の自粛に意見が分かれ、また知事は8/3には居酒屋等への閉店時間繰上げ規制を発表したが公然と反旗を翻す店舗があるなど、感染拡大防止策を巡っての混乱が大きくなっている。 この混乱が、政府や都のコロナ禍対応の論理と手法がISO9001に示される問題防止管理の常識に沿っていないことの結果であることは、これまでと同じである。(関連情報:ISO9001で考えるコロナ禍対応)。
 
 
<前回予測>
<前回予測>   前回分析(7/9)では、6/9以降の日別の報告感染者数の増加が、人々や社会の感染防護策が緊急事態宣言の外出・営業自粛から“新しい生活様式”に含まれる行動・営業指針に緩和されたことが原因であり、7/3以降の100人/日を越えるようになった報告感染者数も、休業要請が全面解除された緩和された感染防護策の状態で感染した人々を表すものであるから、この数値は分析日以降も検査数の増加と共に増え続けるものと予想した。 <7月の報告新規感染の実態>
 
 
<7月の報告新規感染の実態>
(1) 前回分析通りの増加
① 予想通り、7月の日別報告新規感染者数は前回分析時点の増加傾向を受け継いで増加し続け、かつてない高い水準となっている。→図4-1.
   
                 
   図4-1      日別報告感染者数の推移
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200807/k10012556201000.html
 
 
 
② 報告(確定)感染者数を感染日別に評価した場合も予想の通り、新生活様式のステップの進行に伴う感染防護策の緩和につれて初めは検査数一定のまま新規感染者数が増加を始め、休業要請の全面解除後(7/3~)は感染する人々(感染日:6/19~)の数が検査数の増加と共に急増した。→図4-2
                       
   4-2     感染防護策と新規感染者数  
 
 
(2)予想外の増加到達水準
① しかし図4-2によると、休業要請の全面解除後の新生活様式の感染防護策の下での感染者数に相当するこの急増後の日別報告感染者数の水準は、緊急事態宣言前の感染拡大時期の3月に感染した人々の数を大きく上回っている。
② これは、今日の新生活様式の下での感染防護策の有効性の程度が、知事がオリンピック延期が決まって急遽記者会見して感染拡大の危険性を訴え、昭恵夫人のレストランでの集合写真を国会で咎められた安倍さんが「レストランに行ってはいけないのか」と開き直った時期の感染防護策の実体にも劣るということを意味するから、数値には予想外の、或いは、新たな要因の影響が含まれていると考えるべきである。
 
   
(3) PCR検査の増加による新規感染者数の水ぶくれ
① ”クラスター追跡”におけるPCR検査適用基準の意図した変更
イ) いわゆる”クラスター追跡”における関連感染者の特定作業においては、7月より無症状の当該関連者にもPCR検査を行なうよう厚労省指針が改定されたとする新聞報道がある。
ロ) 都の感染情報の新規感染者分類の「接触歴判明患者」を”クラスター追跡”により特定された新規感染者とすると、7月に入ってこの感染者数の水準がそれまでの20~30人/日から、50~150人の水準に増加している。→図4-3
ハ) この人数の増加が、イ)のPCR検査強化の結果であるとすると、以前は感染者数に数えられなかった若者層の無症状者、軽症状者が感染者としてあぶり出されたということであり、増加した新規感染者の多くが20~30代の若者であり、無症状又は軽症患者であるとする当局者の一般説明と合致する。
ニ) 従って、この増加は感染拡大の視点でいうと見かけの増加であり、以前の感染者数に加えられた水ぶくれの数値である。

                         
                      4-3  クラスター追跡におけるPCR検査適用基準の変化  
 
 
② “市中感染”におけるPCR検査適用範囲の意図しない変化
イ) 症状を訴える人々(結果的にいわゆる“市中感染者”となる)に対するPCR検査は緊急事態宣言前の感染拡大期では徹底的に抑えられていたのが、今日では緩和されたと聞く。
ロ) しかし、図4-4のように“市中感染者”(都統計では接触歴不明者)の増加曲線は緊急事態宣言の前後の感染拡大期間で変わっておらず、一方で当局の説明では入院者も重症者も増えていないということである。
ハ) 拠って、高齢者など感染弱者の感染防護策が効果的に実行され著しい症状を訴える人が減り、結果としてのPCR検査余力がそれまではお払い箱だった軽い症状を訴える既感染者の若者層に向けられた結果であったと推定できる。
ニ) この増加分も、以前はPCR検査をせずに見逃されていた感染者数であり、従来統計から水ぶくれした数値である。
 
                   
    4-4  緊急事態宣言の前後の市中感染増加曲線  
 
 
(4) 新生活様式の感染防護策の有効性
① 上記(3)の感染者数の水ぶくれは定量的にはデータに基づかない推定ではあるが、休業要請撤廃後の”新生活様式”という感染防護策の有効性を表す図4-2においては、それぞれのの縦軸の位置を上記推定の両水ぶくれ値だけずり下げて、PCR適用基準及び範囲の変化の影響を除くと、緊急事態宣言前のの分布範囲内、それも下方の領域に分布することになるものと想像される。
② すなわち、過去との比較において全体として”新生活様式”という感染防護策の計画と実行の感染拡大防止効果は、3~4月の緊急事態宣言前の感染拡大期の施策と同じか、少し良い水準程度であると推定され、ニュースで知り或いは当地の生活実態に照らして妥当な判断と思う。
 
 
<今後の報告新規感染者数の予想>
① ”クラスター追跡”を除く報告新規感染者数は、変更されたPCR検査の基準、範囲の下での休業要請撤廃後の”新しい生活様式”なる感染防護策とその実行の有効性の実体に則った水準にある。
② ”新しい生活様式”なる感染防護策とその実行の有効性に対する改善の処置をとらない限り、日別報告新規感染者数は放物線的に増え続け、やがてその変曲点を越えるだろう。
③ PCR検査基準・範囲の変更による水ぶくれ感染者数は、それだけ市中の感染原因者を減らすことを意味するが、これが感染拡大防止にどれほど寄与するかを評価できるデータを持ち合わせていない。

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サニーヒルズ コンサルタント事務所